逓信委員会公聴会

1980-10-24 衆議院 全114発言

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会議録情報#0
昭和五十五年十月二十四日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 佐藤 守良君
   理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君
   理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君
   理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君
   理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君
      足立 篤郎君    秋田 大助君
      川崎 二郎君    東家 嘉幸君
      長谷川四郎君    吹田  愰君
      森山 欽司君    久保  等君
      武部  文君    楯 兼次郎君
      米田 東吾君    竹内 勝彦君
      木下敬之助君    藤原ひろ子君
      村上  弘君    依田  実君
 出席公述人
        青山学院大学経
        営学部教授   大島 国雄君
        日本労働組合総
        評議会国民生活
        局長      福田  勝君
        評  論  家 生内 玲子君
        日本ダイレクト
        メール協会理事
        長       大儀見 薫君
        ファイザー株式
        会社代表取締役
        社長      松阪麻樹生君
        全日本労働総同
        盟顧問     菅原 栄悦君
 委員外の出席者
        逓信委員会調査
        室長      芦田 茂男君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 郵便法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第九十二回国会閣法第二号)
     ――――◇―――――
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佐藤守良#1
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 郵便法等の一部を改正する法律案について公聴会を行います。
 この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 公述人各位には、大変御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。郵便法改正案に対する御意見を拝聴し、これからの審議の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 次に、御意見を承る順序といたしましては、まず最初に大島国雄君、福田勝君、生内玲子君、大儀見薫君、松阪麻樹生君、菅原栄悦君の順序で、お一人約十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えをお願いしたいと存じます。
 それでは、大島公述人、お願いをいたします。
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大島国雄#2
○大島公述人 ただいま御紹介にあずかりました大島でございます。
 郵便事業は、御存じのように、わが国三公社五現業の一つといたしまして、十三万九千人の職員から成っております代表的な公企業であります。その経営に当たりましては、公共性と企業性、この両面を実現することが根本だと存じております。その場合、公共性及び企業性の概念につきましては、これを抽象的あるいは観念的に理解するのではなくて、具体的かつ科学的に理解することが必要ではないかと思います。
 私の考え方によりますと、公共性と申しますのは、公共所有、公共主体、公共目的、それに公共用役及び公共規制、こういう五つの概念を包括するものでありまして、言いかえますと、所有の公共性、主体の公共性を基礎にいたしまして、公共規制のもとに公共用役を提供することによりまして、目的の公共性を実現するという使命があると思います。また企業性と申しますのは、独立採算制と生産性の向上という二つの原理に支えられました自主的かつ効率的経営を目指すものであります。
 本日のテーマであります郵便料金の改正、料金決定方法の特例の問題及びサービス改善等の問題も、当然にただいま申し上げました公共性と企業性の総合的観点から、科学的に議論さるべきである、こういうふうに存じております。
 まず第一の郵便料金の改正につきましては、言うまでもなく、料金決定の根本にただいま申し上げました独立採算原則があり、さらに原価補償主義と受益者負担原則が遵守されることが不可欠と存じます。
 郵便事業の場合、五十一年一月の料金改定によって、一応財政状態が好転したものの、御存じのように、五十三年度から赤字に転じ、五十四年度末で累積欠損が実に二千百二十四億円に達し、このまま推移いたしますと、五十八年度末には九千二百九十億円の累積欠損が見込まれております。このような状態では、独立採算制が全く侵害されているのでありまして、速やかに赤字の解消を図り、独立採算制を確保し、企業性を維持することが緊急の課題であると考えております。
 こうした状況にありまして、公共性の名において独立採算制を無視し、さらには原価補償主義を放棄することは、公共性そのものをかえって侵害することになることが留意されなければならないと存ずるのであります。国家財政の再建が最も強く求められている現段階におきまして、このことは一層重要な問題ではなかろうかと存じます。
 個々の料金改定について見ますと、はがきは五十四年度で六百十三億円の赤字でありまして、それは実に収入の四〇%にも及んでいることを考えますと、料金を二十円から四十円にすることはやむを得ないことと言わなければならないと存じます。また、封書は五十四年度で四百七十五億円の黒字となっておりますけれども、他の種目の赤字を補てんし、かつ、これまでの累積赤字二千百二十四億円を減らしていくためには、十円の値上げは妥当なものではないかと存じます。今回の値上げによりましても、五十六年度見込みでなお累積欠損金千三百二億円が残るわけでありますが、家計への影響、諸物価との対比、あるいは諸外国の郵便料金とのバランスをも考えますと、全体として一応妥当な料金改定と言えると存じます。
 ところで、公企業の本来の姿は、収支均衡を確保するにとどまらず、進んで最低限の拡大再生産の資金を確保することが必要であり、それによって初めて真の独立採算制ないし企業性が維持し得るものでありまして、今回の改定は、そうした本来の姿から見ますと、なお若干遠いものであるような状態であります。
 次に、料金決定方法の弾力化のための改正について見ますと、これは国鉄を初め公企業の多くが議会による料金決定方式をとってきたことが料金決定をおくらせたりいたしてまいりまして、独立採算制の原則を大きく破る結果の一因となっております。国鉄では、そうした点を改善するために、周知のごとく運賃改定方法の弾力化を採用することになったわけでありますが、郵便事業におきましても、同様の趣旨から、一定の範囲と条件のもとで、第一種及び第二種の料金を、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で省令で定めることに改めるのは妥当な改善策と存ずるのであります。これによって、過度の公共規制から来るゆがみが是正され、公共性と企業性の正しい調和が図られることを期待するものであります。
 以上述べましたような料金改定と料金決定方法の改正は、郵便事業の経営が企業的、効率的に行われ、かつ、国民へのサービス向上を一段と高めることが前提であることは言うまでもございません。したがって、今後もそうした効率的な経営とサービスの向上については、十分に内部努力が払われなければならないと存じます。今回の改正案の中にも、サービス向上の具体案が盛られておりますが、その効果に多大の期待を寄せるものであります。そうした努力によってこそ真に国民のための公共目的が実現するのではないかと存じます。
 なお、終わりに、効率的経営ないし生産性の向上の努力が、かつてのマル生運動のように労使の対立を激化させることのないよう十二分に配慮がなされることを期待するものであります。
 以上で終わります。
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佐藤守良#3
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、福田公述人にお願いします。
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福田勝#4
○福田公述人 福田でございます。
 今回の郵便法の改正案の内容及び理由として三項目述べられているわけでありますが、私は、特に郵便料金の値上げと料金法定主義の緩和につきまして強く反対する立場で意見を申し上げたいと思う次第であります。
 第一点は、この郵便料金の改定、いわゆる値上げ問題でありますが、その理由として三点ばかり挙げておきたいと思います。
 一つは、家計並びに物価に占める割合がそれほど大したことはないというような理由が書かれているわけでありますが、これはもう郵便法第一条の精神からいっても、あるいはまた政府が直接管理するものの価格を上げるという波及効果はある意味では米と同様な立場を持つと思うのです。その心理的な波及効果からいきましても、非常に大きなものがあるということであります。
 第二点は、いわゆる政府の六・四%の公約の問題であります。ことしの四月から八月までの消費者物価の全国の平均は、私の試算するところ八・
○八%であります。政府は六・四%の公約を実現するということを労働団体四団体合わせまして何回となく申し入れしまして、いまも言っておるわけですが、これはどう見たって六・四%の達成は困難であると言わざるを得ない。一体この政治責任をどうされるのか。このことは、私ども労働組合の立場では、ことしの春闘及びいろいろな面と非常に大きなかかわりを持つものであります。したがって、この値上げ問題は六・四%の公約が達成されてからにしてもらいたい。そのときにするかしないかの判断を下すべきであって、六・四%の公約が達成することはほとんど不可能だと言われている現在、政府みずからが自分の管理する料金を上げるということはきわめて不当であるということを言わざるを得ません。
 三番目には、物価対策特別委員会との連合審査をぜひ実現をしていただきたいと思うわけであります。衆参両院とも物特という特別委員会があって、物価問題を取り扱っておられるわけであります。したがって、この特別委員会との連合審査を十分やっていただいて、物価問題についてひとつ徹底した御議論をいただきたい、これは国民の最大の課題でありますから。
 第二点として、いわゆる法定主義緩和の問題でありますが、これについても三点ばかり申し上げておきたいと思います。
 一つは、財政法三条の立場からいいましても、財政法三条を読んでみましても、いわゆる租税と同様に公共料金というものを扱っている。国鉄、たばこ、郵便、電話というふうに規定をしておりましたが、このうちすでに国鉄とたばこは事実上外されてまいりました。残っているのは郵便と電話でありますが、私はそれぞれの公聴会にお呼びいただいて公述をしたのですが、まだ国鉄、たばこというのは、国鉄に乗らない人もおったり、たばこを吸わない人もおるのですが、私は最近たばこをやめましたが、郵便と電話に関しては国民だれしもを拘束する。この問題は一種の租税と同様だと思うのですね。そういう意味では、憲法八十四条の租税法律主義に基づいても、これを法律から外すということはどうしても納得できないわけであります。この問題でいま検討中でありますが、もしこのような決定をされるならば、私どもとしては訴訟を起こすことについてもいま法律家に検討を進めさせているわけで、どうしてもこの問題は納得できません。
 そしてまた、次に、郵便問題というのは単なる財政問題でなくして、住宅なり交通等を含めましたいわゆる国民の福祉政策の分野からもう少し検討いただけないか。国民を最低保障する立場で、単なる独立採算がどうだとか経営がどうだとかという問題ではないのじゃないのかというふうに考えるわけであります。
 それから、これにかわるいわゆる郵政審議会でありますけれども、現在のこの郵政審議会は国会の議にかわるものとしては考えられないわけであります。定員四十五名中現在員三十八名というのですが、四十五名必要ならば四十五名にすべきでありますし、またあの構成を見ましても、真に国民の、勤労大衆の代表と言われる方が一体あの中に何人おられるのか。この構成をもってしては郵政審議会を国会の議にかわるものとして認めるわけにいきません。私は政府の審議会を三つほどやっておりますが、そのうちのたとえば社会保険審議会等は三者構成でありまして、労使と公益代表によりきちっとここで健保等の料金を決めていくわけです。これはそれにかわるものであるならば、郵政審議会の改組はやってもらいたい。特に国鉄についても、まあ国鉄はあれですが、専売のときもたしか法定主義を外すかわりに専売のあの審議会等の内容は変えております。したがって、そういう議にかわるものは明確にしていただかないと、国民はこの郵政審議会をもって国会にかわるものとして認めるわけにはいかないと思うわけであります。
 以上が主要な内容でありますが、あと少しばかり付言をいたしておきたいと思います。
 一つは、以上申し上げたような考え方からいたしましても、この郵便料金の法律が通らないと郵政関係の職員の仲裁裁定を実施しないなどというのはいささかこれは的外れ、不当ではないのか、これは別問題ではないかということが一つであります。
 二つ目には原価の公開についてでありますが、国会の質問に応じて原価は公開されておるようでありますが、国の独占事業である以上、常に定期的に国民の前に原価の公開はしていただきたい。これは郵政事業の任務であろうと思います。
 次に、この一種、二種が通ると、あと第三種というものの値上げが予定されておるようであります。聞くところによれば、第三種の値上げの幅は相当大きいわけであります。これは団体財政にかかわるものでありまして、いわゆる消費者団体等、労働組合を含みまして、いろいろな団体に非常に大きな財政的な影響を与えます。その意味におきまして、第三種問題についても慎重な御検討をひとついただきたいと思うわけであります。
 次に、若干の点でございますけれども、たとえば最近手紙を出さなくなった、われわれ自身も手紙を余り書かなくなったことは事実でありますが、手紙というのは記録になるわけだし非常に国民の教養を高めるわけでありますが、郵政省が手紙問題等について手紙教室を開くとかなんとかしながらもう少し促進をされたらどうなのか。あるいはまた、郵便局の庁舎というのは最も便利なところにあるわけでございますから、これを利用いたしまして、郵便庁舎の多角的な利用などして、もう少し郵便局というものと国民との関係を密着にされたらどうなのか。国有財産法等の改正が必要かもしれませんけれども、いろいろ少しそういう意味の経営努力なり接触をされたらどうなのかというようなことを日ごろ考えておりますので、以上のことを申し上げまして、私の意見にかえたいと思う次第であります。どうもありがとうございました。
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佐藤守良#5
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、生内公述人にお願いいたします。
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生内玲子#6
○生内公述人 御紹介いただきました生内玲子でございます。交通とか旅行を中心にいろいろ物を書いておりますので、郵便については素人でございますが、生活関連の記事を書いております関係上、やはり素人なりの関心はかねがね持っております。それと同時に、きょうは女性の公述人は私一人のようですので、家計を預かる主婦の立場からも意見を申し上げたいと思います。ただ、主婦の代表というわけではございませんで、あくまで市井の一主婦としてということでお聞き取りいただければ幸いだと思います。
 最初私がこの問題を考えましたときに、料金改定は好ましくないけれども、まあやむを得なければ渋々賛成しようという立場でございましたが、いろいろ考えてまいりますと、これは大変だということに気がつきました。そして、ぜひ早い時期にこの改定を決定していただきたいというふうな感じになってまいりました。なぜかと申しますと、郵便事業というものは国民の基本的な通信手段でございまして、これが危機に瀕するということは私たち国民一人一人の不利益に直接につながってくると思います。そういった意味で、欠損が大きくならないうちに早く今回の改定を決定していただきたいと思うわけでございます。
 まず、今回の改定がひとつ遅きに失しているのではないかという感じがいたします。昭和二十八年からのデータがありますが、郵便料金の改定はその問三回行われておりますが、これに対して国鉄の旅客運賃の方は十回、それからタクシーが七回、それから公共料金にやや準ずるものといたしまして新聞の購読料などは十二回も改定されているようでございます。また諸外国の例を見ましても、イギリスでは郵便料金の改定がこの昭和二十八年から十二回、フランスが十回、それからアメリカが七回、物価の優等生と言われております西ドイツでさえ六回の改定が行われているというわけでございます。こんなわけで、欠損が大きくならないうちに早く改定していただきたいと望むわけでございます。
 五十一年の改定のとき、このときには石油ショックなどが重なりまして、四十八年、四十九年と改定が見送られたために、大変大幅な料金改定になっていたと記憶いたします。当時、定形の一種の手紙が二十円だったものが現行の五十円に上がり、そして、はがき十円だったものが二十円と二倍になったわけですが、確かに私たち庶民のふところには大きく負担になりました。その結果が数字でもあらわれているわけですが、戦後一貫して数%ずつの割合で伸びてきていた郵便の利用が、この五十一年にはマイナス七・八%になっているわけです。ということは、数%伸びていたものが七・八%減ったといいますと、伸びるべきものが伸びなかったということまで入れますと、二けた台の減少ということになりまして、それだけ私どもはどこかで無理をして不便な思いをしなければならないという状態に立ち至っていたのだと思います。このときにはがきを十円から二十円に改定いたしましたが、そのときですら実ははがき三十円というのが答申に出ていたものを、諸般の事情などを考えて十円控えたというふうに承っております。
 それでは、今日私たちの家計に対して今回の料金改定がどのように影響するかということなのですが、この数字は実は受け売りなのでございますが、一家族の、郵便のために使っている費用が、五十四年度中平均いたしますと三千百八十九円、月割りにして二百六十六円になるそうです。家計に対する割合が〇・一%、このほかに多少ポケットマネーなどから出しているものもあるそうですが、およそ〇・一%。それでは改定後どのくらい影響するかといいますと、一カ月百十円程度だそうです。ただ、五十五年度中ははがきについては四十円にしないで三十円ということでございますので、五十五年度中はもう少し負担が少なくて済むのではないかと思います。諸物価に対するはね返り〇・〇四%、このくらいならば以前と違って不自由な思いをして郵便を使うことを差し控えたりしなくても済むのではないかというふうに考えております。
 今回のはがきについての非常に大きな幅の改定、これが急に二倍になって大き過ぎるのではないかという声がございますが、よく考えてみますと、郵便事業というのは全く手づくりの作業でございまして、私もいただいた資料などから数えてみましたら、中継局での作業を入れますと十九もございますが、これだけの手数を経て北海道から九州まででも届けてもらえるものが二十円では、いかに何でも安過ぎるのではなかろうかという気がいたしました。
 郵政省さんでは二十円で何が買えるかというような資料を出していらっしゃいますが、それによると、仁丹三十粒、割りばし一・七本、セブンスター二・二本、これが買えますというのですが、実はこのデータ、うそなんですね。買えません。だって、仁丹三十粒下さいと言ってお店に行く勇気がありますか、割りばし一・七本下さいと言って買うことができますか。割りばし一本欲しければ、おそば屋さんへ行って、こっそり、店員が向こうを向いてるすきにポケットへ入れてくるしかない。買えません。私はきのうスーパーへ行って、一階から三階までずっと歩いてみました。二十円の物、何にもありませんでした。やっと見つけたのが、ボタンの半端物の安売り二十円ということで、何かそこらから拾ったような落ちこぼれのボタンのようなものが箱に入っておりました。ボタン一つ買っても何にもならないと思います。そういった意味で、ちょっと安過ぎるのではなかろうかという感じがいたします。
 私よく外国へも取材に参りますが、外国で見ておりますと、手紙とはがきというものは余り値段の違いがないんですね。フランス、イギリスなどでは同じ値段です。それから、アメリカの場合には、はがき十セント、手紙が十五セントということで、五割増しということです。それから西ドイツでは、はがきが五十ペニヒ、手紙が六十ペニヒということで、手数から考えればこのくらいの差が妥当ではないか。したがって今回の改正が妥当ではないかという感じがいたします。日本では、はがき一銭五厘、手紙三銭以来何となく半額で出せるというような、特にいまははがきがなおさら安くなっておりますが、こんな慣習がありますが、手数を考えれば、やはりこのくらいの割合が妥当であると思います。
 それから、はがきは低所得者層が多く使うものなので、これに大幅な値上げを課すということはおかしいのではないかと言われておりますが、はがきの需要は全郵便の半分を超えているそうでございます。ところが、日本はほとんどが中流意識を持っている。低所得者層というのはきわめて少ない。で、こういった低所得の方々を優遇することに便乗して、いわゆる中産階級と言われる方たちが安い料金ではがきを利用し、そしてほかの郵便を負担するところに負担をかけてしまっているというのは、別の意味で言えば大きな不公正を生じるものと思います。したがって、福祉の観点から所得の低い方々を大切にしなければならないということはよくわかりますが、これはやはり社会給付を手厚くするなど、郵便事業でない別のところでぜひやっていただくべきことだと思います。
 それから、もう一つ改定を早くやっていただきたいと申します理由は、サービスが低下するのはかなわないということです。私も現に毎日二回ずつ宅配をしていただいて大変ありがたいと思っておりますが、日本では宅配を二回行っているところが四五・六%、これに対して、イギリスは多少この割合が多いようですが、フランスあたりで三四%、アメリカでは二回配っているところはわずか二%、西ドイツでは一日二回配るというところは全くないそうでございます。それから、速達の配達地域にいたしましても、日本では全世帯の九一%が速達の恩恵をこうむることができるというようなことで、まあ日本の郵便事業というのは世界に誇っていいものではないかと思います。こういったものが不便になってしまうのではかなわない、欠損を生じたからというのでサービスが後退してはかなわないと思います6もっとも、審議会の答申では、一日二回配る必要はないんでないか、合理化という観点から一日一回でよいではないかというような答申が出ているようですが、これはこの時点ではさておきたいと思います。
 それからまた、欠損が大きくなって機械化がおくれてしまっては困るということ。
 それから、一般会計から赤字補てんをするというのはかえって不公正になるのではないかということです。一般会計というのは、必ず納めなければならない税金から成り立っておりますので、ほかの手段を選択できるような郵便の赤字をこれで埋めるということは全くおかしいことではないかと思います。
 時間をオーバーしてしまって申しわけありません。それから郵便貯金とか保険事業、これは私どもの大切なお金を預かっていただいているものでございますから、こういったものの黒字で郵便事業の赤字を埋めるなどということはとんでもないことだと思います。これは特に庶民の立場から、こんなことのないようにお願いしたいと思います。
 大変勇ましいことを申し上げてしまいましたが、私個人としては、やはり値上げになるのは困るなあという感じがしております。それで、なるべく封書を出すのをやめて、今度料金の改定にならないミニレターというのを多く使おうと思います。ミニレターを使うことによって封筒代、便せん代が浮きますから、その浮いたお金ではがきが上がった分をカバーして何とか暮らしていこうかと思っているわけですが、こういったふうに、料金が変われば自分で選んでほかの方法をとることができるという点でも、この料金というのは税金などのように絶対納めなければならないものと違って選択できるものであるということをおわかりいただけると思います。
 失礼いたしました。
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佐藤守良#7
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、大儀見公述人にお願いいたします。
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大儀見薫#8
○大儀見公述人 ただいま御紹介にあずかりました大儀見です。
 私ども実際に郵便を使って業としている者ですけれども、きょうはそういう郵便を使って業をなしているということではなくて、日ごろそういう立場におる関係で郵便に対する関心も非常に深いわけですし、そういう立場で、一市民として今後の郵便行政のあり方について深刻に憂えているという観点から御意見を申し上げたいと思います。
 現在審議されております問題は、先ほどから触れておられますように、第一は郵便料金の値上げ、それから第二が郵便料金の値上げの決定の方法について、累積赤字が解消されるまでの間の決定の方法についてこれを省令でできるようにする、それから第三は利用者に対するサービスの改善に関する若干の条項ということですけれども、この第一の郵便料金の値上げとそれから第二の郵便料金の決定方法に関する特例について強く反対したいということで意見を申し上げたいと思います。
 第一の郵便料金の改定ですけれども、先ほどからも触れられていますけれども、政府の当年度の物価値上げ見込みの六・四%が維持できるかできないかわからないという状況になっている、それから現在の物価の値上げが八%前後を推移して、ここ数カ月間、各勤労世帯の実質所得が昨年度の水準を下回っているというような状況の中で、果たしてこの時点で平均三九%というような大幅な郵便料金の値上げを強行しなければいけないのかどうかということをやはり考えてみる必要があると思います。
 現在の提案されております郵便料金値上げ案が出されましたときに、五十四年度の予算として郵便事業は約四百七十三億の赤字を見込んでおりました。それから五十五年度の概算要求としては何と一千百七十七億の赤字が出るということを根拠にして今回の大幅値上げ案が決定されてきたわけですけれども、実際にふたをあけてみれば、五十四年度の赤字は二百二十四億、つまり前回の郵便料金が上がった後に五十三年度で初めて赤字が出たわけですけれども、このときの赤字が二百三十九億、五十四年度はそれを下回る規模で一応抑えることができた。この理由は、郵便通数の利用の伸びが当初見込まれていたものより大幅に伸びた、六・八%くらいのベースで伸びたということです。
 ちなみに、五十四年度の決算の数字と今度の値上げ案の前提になった五十五年度の概算要求の数字を比較しますと、収入の方は八千六百九十一億が五十四年度の実績ですけれども、五十五年度概算要求ではこれが八千七百八十億、わずか八十九億、一%のアップしか見ていなかった。支出の方はどうかといいますと、五十四年度の実績が八千九百十五億に対して、概算要求では何と九千九百五十七億、一千億以上、一一・七%のアップが見込まれていたのが実情なわけです。
 現在の五十四年度の実績の水準に対しまして、収入を通数の伸びに見合った六・八%とみて計算し、かつ支出の方を、前年度の実績に対して五・七五くらいのアップだったのですけれども、それを少し奮発して六%のアップと見ましても、どういうことになるかといいますと、五十五年度で収入が九千二百八十二億に対して支出が九千四百五十億、差し引き百六十八億程度の赤字で済むのがむしろ現状ではないか。これはもちろん小包料金のすでに決めて実施されているアップが含まれておりませんので、当年度内の小包料金による収入増が約九十億見込まれておりますので、実質的に現在の郵便料金全体として赤字にはなっていない。それから小包の赤字が五百億くらい見込まれておりますから、ここで審議されております一種、二種の通常郵便物に関しては当年度は黒字であるというのが実情であってみればなおさらのこと、ここで無理をしてこれだけの大幅な値上げをしなければいけない理由は見当らないというふうに思います。
 それから、個々の通数のあれでいきましても、第一種の原価というものが五十三年度の郵政省から出された数字によりますと約四十一円、その後二年間で六%ずつ上がったとしても現在四十六円で、現行の五十円の料金に対しては四円くらいの黒字がまだ出ている。はがきの方は、二十七円くらいのコストがかかっていたわけですけれども、これにしても六%ずつ上がったとして現在三十一円ということになりまして、四十円の大幅値上げを現時点で強行する理由はさらさらならないということで、具体的に見てみますと、この値上げ案が提案されたときの状況と現在の状況では、通数の伸びに支えられてかなり収支の改善が見られているので、強行すべきではない。
 それからさらに第二の大きな点は、特にこの郵便料金の改定方法について省令で定めることができるということに関連してですけれども、現在のこの郵便事業の財政改善、経営改善の方策に関するアプローチが全く国鉄の場合と同じで、赤字になれば料金を上げる、これでは国鉄財政の改善が成り立たない、むしろ赤字の拡大再生産につながるという路線を文字どおり国鉄の轍を踏むという形ですでに突っ走っているという現状を指摘しないわけにはいかないと思います。
 料金が上がれば当然郵便離れが起こり、結局郵便事業の経営基盤というものは縮小する。先ほど生内さんの方から、前回の郵便料金の値上げで郵便離れのなだれ的な現象が起きたということが指摘されていますけれども、料金問題にかてて加えて、各種通信手段の発展というものは目をみはるものがある、これは将来のものではなくて現在すでに着々と進行している、こういう状況の中で、ちょうど国鉄の場合に、鉄道にかわる手段として自動車あるいは飛行機等の交通網が整備されている中で、総合的な交通政策を立てないで、ただ料金問題という角度から毎年上げていくという結果として国鉄離れ、そしてむしろかえって国鉄の経営基盤の縮小と赤字の拡大再生産につながったということを考えれば、郵便の場合にも、現在の提案されておりますようなコストという観点からこれに見合って料金を上げていくんだということを考えた場合には、むしろ郵便財政と経営の改善にはつながらない、文字どおり近い将来、三K一Uという、米と健保と国鉄に加えて、もう一つ郵便事業が国家財政に対する大変大きな圧迫となって、結局はこの帳じりが何らかの形で、一般消費税の形をとるかどういう形をとるかはわかりませんけれども、国民のツケに回ってくることは避けられない。こういうことから、やはり現時点での郵便料金の値上げについては、むしろ総合的な通信政策の確立という観点で、全体として郵便事業の将来あるべき姿を根本から見直した上で、需要の拡大をいかに図るかということに主眼を置いて郵便財政の改善を図るべきだというふうに考えます。
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佐藤守良#9
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、松阪公述人お願いいたします。
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松阪麻樹生#10
○松阪公述人 松阪でございます。私は、郵便事業に直接携わっておりません。したがって、いままでの公述人の皆様のように細かい数字は決して詳しくはございません。ただ、公共性と企業性という郵便事業が持っております二つの面において、私自身の、むしろ一人の国民という気持ちで率直な感じを申し上げたいと存じます。
 と申しますのは、まず企業性からいいますと、私自身が外資の会社の経営を十五年ほどやっております。収支のバランスということに絶えず非常に気を配り、かなり厳しい見方をするのは当然であります。また、公共の面は郵便のように広くはございませんけれども、ある大きな私立大学の評議員を十数年務めまして、その経営に若干携わっております面で、受益者負担その他において授業料値上げその他の検討を十数年にわたってやってきておりました経験で申し上げたいと存じます。
 まず第一の企業性の面、これを申し上げますと、先ほど申し上げましたように企業の収支バランスをとるというのは、これは私ども私企業では死活を制する命題でございます。しかるに、公共料金の面をわれわれなりの目から見ますと、第一次オイルショックと言われます四十八年度においては、その公共料金へのはね返りをかなり政府が抑えられた。その結果として、いろいろな面でのひずみがはっきりその後の各会計の赤字に見られます。先ほど公述人が言われた三Kというのもその最たるものかと思います。それに比しまして、第二次のショックと言われます二年ほど前の際には、第一次ごろに比べますとかなり公共料金にも思い切ってこのコストのアップをはね返らせた政府の施策と私は見ております。結果としてはその方が、経済の新しい一つのスタンダードに立ちましてすべてのことが行われるという面では、むしろ健全に近いのではないかというふうに、企業経営からいいますと見られるわけでございます。
 なお、公共性の方から見ますと、これは当然値上げが望ましくないということは言いやすいわけでありますけれども、これもやや皮相な見方だと思います。私自身の偽らざる感覚を言いますと、新聞その他で見ますと国民一人当たり約六十万円の借金をわれわれがしょっている、これがいまの国家財政の現状であるというふうに書いております。これが正しいかどうかは私は知りませんけれども、率直にそういう感じを受けるわけでありまして、その一つの大きな原因としての三Kである。これで郵政が加わりますと、先ほどのように三KにUでありますからサンキューということになるのでしょうけれども、とてもサンキューではございません。これはノーサンキューでございまして、その意味におきましてもこの三KにUが入るようなことを絶対に避けなければならないというふうに思うわけであります。
 と申しますのは、先ほどの学校経営におきましても受益者負担の原則というものは根本であります。郵便の料金は郵便を使う者が負担することが受益者負担の原則の原理だと私ははっきり申し上げて差し支えないと思います。しかるに、ここに赤字を補てんするということになりますと、これはむしろ不公正でありまして、国民のそのサービスを受けない人たちからも税金を取ってこれを補てんせざるを得ないのが、これも国家財政及び企業経営、両方からいっても明白であります。これは不公正だと私は思うわけでありまして、その意味において、受益者負担の原則からいっても、公共性からいいましても、しかるべき妥当な価格というものがここに郵便料金の根底になるべきものと思います。
 もちろんこれらの面だけではなくて、先ほど生内さんその他から数字を挙げての御説明のごとく、諸外国との比較あるいはほかの諸物価との比較、あるいは他の公共料金的なものの過去の値上げとの比較、その他の面をざっと、私、本当に素人なりに見ただけでも、そのようなことが裏づけられることは、先ほどの公述人の皆さんの御発言でおわかりだと思います。
 このようなことで、私自身の結論といたしましては、今回の郵便料金の改正は、企業性からいいましても、公共性からいいましても妥当である、むしろ上げるべきであるというふうに判断せざるを得ないことを率直に申し上げたいと存じます。
 もちろん先ほどの大儀見さんからも言われますように、企業性の面からいいますと、郵政の事業にもまだ企業努力の面が多く残されているのではないかと思います。多角化その他におきましても十分に御検討いただく場にいまなりつつあると存じます。ただ原則的には、人件費が八〇を超す、九〇になんなんとするというふうにも聞いておりますので、集配業務というのが人力でやらざるを得ないという実情からいいましても、これはある程度どうしても労力志向の事業であることはわれわれ認めております。その意味におきましても、それらに従事される、郵便業務に従事される皆さん方がもっと、われわれ民間企業で言いますと、いわゆるやる気を起こすということをひとつぜひお願いしたい。そのためにも及ばずながらわれわれも、企業の経験から通して、郵政に携わっていらっしゃいます方々の教育というと失礼でありますけれども、示唆を差し上げるのにやぶさかでございません。
 なお、もう一つの案件として出ております郵政大臣の決定及び省令でこれを定める件でありますけれども、これもいま申し上げた第一次オイルショックの後の問題と、第二次ショックの後の問題、いろいろと考えてみますと、もちろんこれは野方図というわけではありませんけれども、枠をつけておきまして、しかし、その中においての機敏なる即応、いまの企業経営の面から見ました健全収支のバランスを即刻即応してとっていくという意味では、このことも必要かと存じます。
 以上、非常に端的な、非常に素人的な意見だと思います。しかし、偽らざる国民が持っております簡単な感情も入っております。繰り返し申しますけれども、やはりわれわれが日本の経済というものを、私自身外資として見まして、外から見た日本という力強さはございます反面、国家財政に国民一人当たり六十万円もの借金を負わせている現状というのは、絶対に改善に最高の努力を皆様方ぜひおやりいただきたい。私たちも絶対協力したい。これなくしては日本の本当の意味での国力の発揚は、経済的にいいましてもやはり問題があるというふうに思います。郵政事業、郵便事業がその足を引っ張ることではなくて、むしろ寄与するようにわれわれとしてはひとつやっていただきたいというのが偽らざる気持ちでございます。ありがとうございました。
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佐藤守良#11
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
 次に、菅原公述人お願いいたします。
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菅原栄悦#12
○菅原公述人 菅原栄悦でございます。私は、今国会に提出されております法律案につきまして、基本的に反対の立場で公述をいたしたいというふうに思います。
 ただいま物価の上昇の折から、主要な公共料金であります郵便料金の値上げが、国民生活にどのような影響を与えようとしているのか、また、この値上げについて一般国民大衆はどのような感情を持っているのであろうかという点であります。そしてまた、それに基づく郵政事業の合理化、改善あるいは国民へのサービスの問題について申し上げたいと思います。第二の点については、いわゆる料金の法定制緩和の問題についてであります。第三には、この事業の重要な部分、労働集約的な企業であります郵便事業に働く従業員における労使関係の問題についてであります。
 私はむずかしいことを申し上げませんけれども、この公聴会に出席するに当たりまして、いろいろな人の意見を実は簡単に聞いて回りました。これに対するそれらの人々の答えは、十人が十人とも郵便料金の値上げには反対だということであります。その主な理由は、やはり最近における電気、ガス等公共的料金の軒並みな値上げに対して、そしてこれにいままた郵便料金が値上げをされるという問題、あるいはまた近く国鉄の料金も値上げされるというこの公共料金の軒並みの値上げに対して、自分の生活のためから非常に物価の上昇に対して不安を抱いているというのが大きな一つの原因であります。
 第二には、郵便事業における国民大衆のサービスの低下に対する不満であります。率直に申し上げるならば、いまのように郵便が遅配、欠配、働こうともしない、そういう働こうとしないことによって起こる――そう感じているわけですが、赤字を郵便料金の値上げによって補おうということはとんでもない話だという反発がすぐ出てくるわけであります。これをずっと分析してまいりますと、一昨昨年でしたか、郵政における全逓の労働組合のいわゆる生産性向上反対運動における年末郵便に対するストライキであります。これは当時の大衆は非常に怒りを覚えまして、これは私の出身であります岩手県の例でありますけれども、この全逓の闘争に対しまして町内会さんその他の有志が集まりまして、国民の郵便を守る県民会議というようなものをつくって、みずからの自衛手段としてこれに対抗しようといたしたのであります。このようなことは単に岩手県だけにあらわれた現象ではなくて、・多くの日本のいろいろな地方においてこのような現象があらわれたのではないかということであります。そのような当時の大衆が受けた郵便に対する、ストライキあるいはサボタージュによる不満はいまもなお忘れないのであります。大体日本人というのは忘れやすい性格を持っているのでありますけれども、脳裏に刻み込んだのか刻まれたのか、忘れていないということであります。そういう怒りに対して、郵政事業が赤字になったから直ちに郵便料金を値上げして赤字を埋めるんだなんということに対しては非常な抵抗を感じているというのが一般国民大衆の感情ではないかということでございます。また私たちは、そういう感情を踏まえて、なお政府の六・四%に消費者物価を抑える、それまで抑えるということに対して、最近の消費者物価の上昇は八%を超える異常な状況を示していることも考えて、今後一体どうなるのだろうかということに対して非常に不安を感じているところでございます。
 第二には、料金決定の法定制の問題でありまして、国鉄においてこの法案が五十三年に決まりまして、今回郵政も同じような立場で料金決定の法定制が緩和されようとする法案が出されているわけでありますけれども、国鉄は戦前は独占企業的な性格を多少帯びておった企業でありますけれども、今日では国鉄は独占企業ではない、これに反しまして郵政事業は全くの独占企業であります。こういう点が企業の点からいって全く違う。もしこの法定制の緩和がなされた場合においてどのようにこの料金に対するチェックが行われるであろうか。なるほどいろいろ検討してまいりますと、郵政審議会の審議を受けてということでありますけれども、先ほどちょっとお話が出ましたように、一体郵政審議会はこのような重要な決定について国民の負託にこたえられる組織になっているであろうかという疑問も私は抱かざるを得ないのであります。そういう点で、独占企業であります現在の郵便料金制度を緩和して、そして郵政審議会の答申ということだけで独自に決定されてよいものであろうか。将来に対して郵便料金の値上げが今回にとどまらずまたいつか再び起こってくるのではないか。私の見まするところによりますと、五十七年以降に再びまた郵便料金の値上げをしなければならぬような状態になっていくようでありますけれども、この点についても私は法定制の緩和についての不安を非常に感じているところでございます。いわゆる経済市場における競争原理に歯どめがないというのが郵政事業における問題点だというふうに思います。
 次に、郵便事業の合理化の問題について若干申し上げますけれども、果たしていま現実に郵政事業が本当に真剣に合理化に取り組んでそれを実施しているのであろうかということについて疑問を持つのであります。小さな例でありますけれども、郵便の速達がいまなお四キロに制限されておる。私のところは郵便局から六・五キロ離れておるのでありまして、確かに昔は歩いたり自転車等によって配達するという一不便はありましたけれども、今日は道路もよくなり、そしてバイクによって郵便が配達をされている。にもかかわらずいまなお四キロで、速達が参りましてもこれは区域外ということで届かない。速達の届かない速達料金は一体どうなっているのであろうかということに対して私は疑問を持っているのであります。恐らく郵便局は区域外ということで、じゃ速達料は払い戻しますということをやっていないのじゃないか。請求されればやるそうでありますけれども、一般的には行われていないのが実情ではないかというふうに考えるのであります。また、岩手県の花泉町から釜石市に至る郵便が今日なお五日間を要するという事実であります。これなどはまさに、一体郵政当局は何を考えてやっているのであろうかということを私たちは考えざるを得ません。
 最後に、労使関係の問題について若干触れておきたいと思いますけれども、何と言っても郵便事業というのは、先ほどのお話にもありましたとおり労働集約性の非常に高い、いわゆる人手のかかる事業であることは私も認めざるを得ません。しかし、そうであればあるほど、いわゆる労働力の平均化あるいは適当な配分というものがなされていなければならないのに、どうも配置転換が十分になされていない。忙しいところは忙しい、暇なところは人が遊んでいるという状態がいまだに解消されていない、いわゆる配置転換が十分に行われていないところに問題があるのではないか。また一つには、昭和三十年には、これは郵政当局の資料でありますけれども、七万七千人の定員が今日では十四万人にふくれ上がっている。もちろんこれに対する郵便の扱い数についても四億五千万通からいまでは十五億通までふくれている、膨大になっているということについては否定はいたしませんけれども、しかし、この取り扱い数と人員の定員増の問題について、合理的な考え方でこの定員増を行っているのでありましょうかという疑問を持つのであります。これは先ほどの配置転換の合理的な配分の問題ともあわせて私は指摘せざるを得ないのであります。
 最後ですけれども、料金の値上げがなければ仲裁裁定が実施できないという、いわゆる仲裁裁定を人質にとった料金の値上げの問題について、私は非常に問題の本質を間違えているというふうに考えざるを得ないのであります。御承知のとおり、公労法十六条は、昭和二十三年の制定当時を振り返ってみますと、予算上資金上、国会に承認云々というのは、実はストライキ権の代償として調停、仲裁の制度が決定されて、それによる仲裁裁定は完全に実施するんだというのが当時の決定であったのでありますが、それでは国会の審議権を無視するということになって、たてまえは予算上質金上、国会の承認云々ということになるけれども、本音は、これは完全に実施するというのが、ストライキ権を制限したあるいは剥奪した代償としてのものでありますから、これを人質にとって料金の値上げを云々することは私は本質的に間違っているというふうに言わざるを得ないのであります。
 以上をもちまして、私の公述を終わりたいと思います。
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佐藤守良#13
○佐藤委員長 どうもありがとうございました。
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佐藤守良#14
○佐藤委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。畑英次郎君。
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畑英次郎#15
○畑委員 まず最初に生内先生にお伺い申し上げたいと思うのであります。
 先ほど来、渋々賛成というお立場での意見の開陳があったわけでございますが、その中で一つ、今回の問題点の一つに挙げられております法定緩和の問題、これを国会の議決を経ずして省令に移管する、当分の間というふうな意味合いの中でございますが、一定の歯どめの上に立って実施することはやむを得ないというような私どもの考え方に立つわけでございますが、この辺につきまして、先生のいま少し具体的な御見解を伺いたいと思うのであります。
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生内玲子#16
○生内公述人 料金の決定方法を改定することによりまして、政治情勢その他に影響されることなく、必要なときに小刻みに改定していただけるということは、私どもの生活に突然大きなショックを与えるような取りまとめた高額の改定がなくて済むということなので、大変ありがたいと思います。そして同時に、・物価等変動率を踏まえた額内にとどめるということについては、ぜひ厳正に守っていただきたいとお願いしたいと思います。
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畑英次郎#17
○畑委員 ただいまの郵政省の考え方に大方御同調をいただいておるわけでございますが、大島先生、この点につきましてはいかがでございましょうか。
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大島国雄#18
○大島公述人 私も基本的には全く賛成でございまして、むしろこういう政策の変更というのが遅きに失しているのではないか、もっと早くすべきではないかということを、国鉄との比較におきましてもしみじみ感じております。先ほど、国鉄とは別だという御意見もありましたけれども、私はむしろやはり共通に考えるのが理論的ではないか、また実際的ではないかと存じております。
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畑英次郎#19
○畑委員 違った立場におきましては、いわゆる赤字の補てんにつきましては、一般会計、国の税金から補てんをしてやっていくことも当然一つの道ではないかというような、類する御指摘もあったわけでございますが、利用者負担の原則、あるいはまた独立採算の問題、こういったことにつきましても、いろいろお話を伺ったわけでございます。この辺につきまして、菅原先生、ひとつ御意見を出していただきたいと思います。
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菅原栄悦#20
○菅原公述人 利用者負担の原則ですけれども、私の調べたところでは、利用者負担の原則を表面に出しておりますけれども、郵政当局が、利用者負担でなくて、たとえば電電公社、国民金融公庫あるいはその他、忘れましたけれども、多数の事業に対して無料で郵便を扱っているというようなことがありまして、本当は利用者負担の原則からいうとどうも反しているようなことをやっていながら、片っ方では利用者負担の原則ということを主張されていることについて、私は疑問を持っております。
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畑英次郎#21
○畑委員 私の立場におきましては、いわゆる利用者負担の原則あるいはまた独立採算制の問題、これは今後とも堅持をしていくべきであるというように考えますし、なおまた一部には特例的な取り扱いもなされておるわけでございますが、この辺につきまして、先ほど来公述人の方々のお話の中にもございましたように、国民の受けとめ方の中におきましては、ある時期に大幅な値上げは困るんだ、逆に申し上げれば、かような社会情勢、経済情勢の中におきましては、言葉をかえて申し上げれば、毎年少しずつの、微調整的な値上げはやむを得ないんだという基礎認識があるように私は受けとめておるわけでございます。具体的に毎年少しずつ上げることが物理的に可能であれば、その方が今日の経済情勢の中ではより好ましいんだという考え方を私はとるわけでございますが、この辺につきまして、大島先生、いかがでございましょうか。
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大島国雄#22
○大島公述人 国民の一人といたしまして、ただですべてができれば一番ありがたいんですけれども、社会主義国ソビエトにおきましても、そういう施策はとり得ないわけでして、やはり基本的には自分の足で立つというところに経済的民主主義の基礎があると思います。したがいまして、財政に期待したいということ、心理的にはわかりますけれども、経済学的あるいは経営学的に考えれば、やはり独立採算ということが基本的な原則である、これは資本主義、社会主義を問わない公企業の基本原則であるというのが私の考え方であります。しかも、国民の影響をなるべく少なくしてまいりますためには、四、五年たってから急激に倍にも三倍にもなるというよりも、微調整ということの方が現在のインフレ下ではいいのではないか、こういう感じを持っております。
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畑英次郎#23
○畑委員 先ほど大島先生、拡大再生産というような意味合いの中では、こういった値上げ幅あるいは取り組みの姿勢であったのでは、いささか将来に不安があるというようにも私は受けとめさせていただいたわけでございます。一面、国民の側からすれば、一つの考え方としましては、公共料金的なものあるいは公共料金につきましては、上げなければ上げないで済ましてもらいたい、これも偽らざる感情であるというように考えるわけでございますが、いわゆる相対的に、値上げという問題とサービスの向上という問題、あるいはまたサービスの低下ということになりますか、その辺の絡み合いといいますものがいろいろ今後の大きな問題ではなかろうかというように考えております。
 ただいま新聞等でも報道されておりますように、二度の配達を一度というような問題、いろいろ合理化という名前の中におきます問題点が指摘をされておるわけでございますが、生内先生におかれましては、料金を抑えるという場合には、今日のいささかインフレ傾向の中におきましては、サービスの低下、なおまた正しい意味での適正なサービスといいますか、そういうことも当然考えざるを得ないというように思うわけでございますが、この辺につきまして、いま少し御意見をお聞かせ願いたいと思います。
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生内玲子#24
○生内公述人 特にサービスの低下の問題と同時に、やはりこの事業に従事する方たちのプライドの問題がサービスに具体的につながってくると思います。以前ですと、いわゆる郵便屋さんというものには夢とロマンがあった。それだけに郵便屋さんと言われる方々の持っている通信事業に携わる者としてのプライドというのは大変なものであったと思いますが、ここへ来まして、いろいろと労使間の問題などもありますでしょうが、何かそういったムードが失われてしまっているということが大変残念だと思います。
 それから同時に、サービスの低下の問題は、具体的な機械化のおくれという問題につながってくると思います。これは郵便番号読取区分機のようなものをもっとどんどん普及していただかなければなりませんが、欠損が生ずることによってそういった方面への投資ができなくなるのではないかというふうに心配いたします。したがって、そうなりますと、やはり人手不足による労働強化ということのために労働環境が悪くなれば、サービスということもおろそかになるのではないかと考えます。
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畑英次郎#25
○畑委員 視点を変えるわけでございますが、今日かなりダイレクトメールが大きく郵便事業にかかわりのあることは御案内のとおりでございますが、一般、個人の郵便物は安くいたしましてダイレクトメールの料金を高くする、そういうような差をつけてはどうか、なおまた、逆に申し上げれば、ダイレクトメールの関係は非常に大量であるからこれを安くしてはどうか、そういうような意見もあるわけでございますが、なかなか実際にはその分類といいますか実務上には問題点があると思うわけでございますが、差をつけること、この辺の物の考え方につきまして、生内先生、そしてまた大島先生の御意見、お考えを承りたいと思うわけでございます。
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生内玲子#26
○生内公述人 ダイレクトメールについては、余り受け取った側が利用されないという声もありますが、私どもにとってはやはり生活情報の一部、大切な情報源として役に立っておりますので、ダイレクトメールなのだから、大した意味のないものだからというふうな考えはおかしいのではないかと思いますし、またそれによって企業は成り立っている、正当な企業活動だということなので、特に賦課金的な高額な料金をかけるということはおかしいと思いますし、また先ほども申し上げましたような低所得者層の問題を含めてですが、これはダイレクトメールだから値段を変えるとか、このはがきは所得の低い方が出したものだから値段を安くするというようなことで仕分けの業務を複雑にいたしますと、ますます人手に頼ることの多いこの郵便事業が複雑化して、むしろ合理化の反対の方角へ進むのではないかと考えます。
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大島国雄#27
○大島公述人 基本的には原価補償主義というのが基本になりまして、ダイレクトメールですと具体的にコストが幾らになるかということで、それとの関連で差をつけるということは若干あり得ても、基本的には原価認識が基礎にあるべきではないか。ただし、その結果として、いまも生内さんからお話のありましたように、事務的にかえって複雑になるあるいは繁雑になってコストがかかってしまうということになれば痛しかゆしの面が出てくるのではないかという感じがいたします。
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畑英次郎#28
○畑委員 松阪先生にちょっとお伺いしたいわけでございますけれども、今日の行政改革等の問題もいろいろ論議が盛んであるわけでございますが、当然そういった郵政部内におきます合理化あるいはまたサービス向上、こういうことに鋭意努力をするわけでございますが、先ほどちょっと触れましたようにいわゆるこの郵便料金とサービスの度合いといいますか、これから先どうしても料金とのかかわり合いの中におきましてはサービスの適正化ということを考えていかざるを得ないというように私は思っております。さような意味合いにおける今後の郵便、郵政事業のサービスの今日この状態におけるあり方と将来にわたっての物の考え方、そういうことにつきまして松阪先生の事業家としましてのお立場からのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
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松阪麻樹生#29
○松阪公述人 先ほど申し上げましたように、私自身外資を経営しておりますと、英語で恐縮なのですが、オンコストということが一つの考えの基本でございます。コストというものを踏まえた一つのスタンダードがありまして、その上に立って企業を経営せざるを得ない。そして、そこから生み出されます適正な利潤の中においての顧客サービスというものが生まれてくるわけでありまして、有名な経営者の言われたように、企業は利潤を生まなければ罪悪である、犯罪であるとすら言われているぐらいでありまして、その辺われわれ私企業にとりましては適正利潤を生んだ中で初めてサービスができる、これも非常に現実的な鉄則でございます。もちろん公共の面を非常に強く持ちます郵便事業がそれとイコールだとは申し上げませんけれども、先ほど多くの公述人からも申し上げておられますように、われわれが働く者として一つの意欲を生んでいく根源は、適正なる企業経営というものが目に見え、手につかんで初めてそういうものが裏打ちされていくわけでもありますし、また現実にサービスということは当然必要な投資を呼ぶわけでありまして、その再生産という意味も含めた投資の必要が出てくる。ということになりますと、そこに適正な価格の設定が行われ、利潤を適正に生まざるを得ないということは公共事業といえども同じでないか。これに携わる職員の方々のやる気を起こさせる一つの根元であるということは否み得ないということと、それからやはりサービスをしていくためには何といっても何らかの形での設備投資がゼロではないということから考えて、私はオンコストという面から適正利潤を生むべきであるというふうに思います。
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