大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会

1984-04-10 衆議院 全103発言

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会議録情報#0
本小委員会は昭和五十九年二月八日(水曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月十六日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      熊谷  弘君    笹山 登生君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中西 啓介君    平泉  渉君
      平沼 赳夫君    森  美秀君
      伊藤  茂君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      宮地 正介君    米沢  隆君
      蓑輪 幸代君
二月十六日
 中西啓介君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
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昭和五十九年四月十日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席小委員
   小委員長代理 中村正三郎君
      熊谷  弘君    笹山 登生君
      塩島  大君    田中 秀征君
      平沼 赳夫君    森  美秀君
      伊藤  茂君    野口 幸一君
      堀  昌雄君    坂口  力君
      宮地 正介君    安倍 基雄君
      米沢  隆君    正森 成二君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  堀之内久男君
        大蔵大臣官房審
        議官      行天 豊雄君
        大蔵省国際金融
        局長      酒井 健三君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   瓦   力君
        大蔵委員    越智 伊平君
        大蔵委員    小泉純一郎君
        大蔵委員    中川 昭一君
        大蔵委員    川崎 寛治君
        大蔵大臣官房審
        議官      藤野 公毅君
        大蔵省銀行局総
        務課長     日吉  章君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     千野 忠男君
        参  考  人
        (日本銀行副総
        裁)      澄田  智君
        参  考  人
        (全国銀行協会
        連合会会長)  草場 敏郎君
        参  考  人
        (社団法人日本
        証券業協会会
        長)      渡邊 省吾君
        参  考  人
        (社団法人全国
        地方銀行協会副
        会長)     瀬戸山孝一君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    —————————————
四月十日
 小委員蓑輪幸代君二月二十二日委員辞任につ
 き、その補欠として正森成二君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
同日
 小委員平泉渉君及び森美秀君二月二十九日委員
 辞任につき、その補欠として中村正三郎君及び
 森美秀君が委員長の指名で小委員に選任され
 た。
同日
 小委員田中秀征君、平沼赳夫君及び藤田高敏君
 三月二十六日委員辞任につき、その補欠として
 田中秀征君、平沼赳夫君及び野口幸一君が委員
 長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員笹山登主君及び柴田弘君同月六日委員辞
 任につき、その補欠として笹山登主君及び坂口
 力君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員米沢隆君及び正森成二君同日小委員辞任
 につき、その補欠として安倍基雄君及び蓑輪幸
 代君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員安倍基雄君同日小委員辞任につき、その
 補欠として米沢隆君が小委員に選任された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 金融及び証券に関する件
     ————◇—————
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中村正三郎#1
○中村(正三郎)小委員長代理 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。
 小委員長が所用のため、私が小委員長の職務を行います。
 金融及び証券に関する件について調査を進めます。
 本日は、金融・資本の自由化と直面する諸問題について、参考人として日本銀行副総裁澄田智君、全国銀行協会連合会会長草場敏郎君、社団法人日本証券業協会会長渡邊省吾君、社団法人全国地方銀行協会副会長瀬戸山孝一君の御出席を願っております。
 参考人の方々には、御多用中のところ、本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。本問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。
 なお、議事の進め方といたしましては、初め参考人の方々から御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、小委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず澄田参考人からお願いいたします。
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澄田智#2
○澄田参考人 本日は、日本銀行の立場から、当面の金融自由化の課題につきまして申し上げます。
 日本銀行は、金融の自由化、特にその中の金利の自由化につきましては、これは避けて通ることのできない課題である、そういうふうに考えてまいっておりまして、既に数年前からその方向で努めてきたつもりでございます。
 自由化を避けて通れないものにしている背景は、俗に「二つのコクサイ化」と申しておりますが、やはりその点が大きいと思います。
 第一のコクサイ化、これは国債の大量発行に伴う金融市場の変化のことでございます。昭和五十年度以来年々多額の国債発行が継続しておりますことから、今日では幅の広い、そして奥行きの深い国債市場が成立しております。国債が自由な金利で活発に市場で取引される、また国債を利用した新しい金融商品が工夫されて提供されるということになりまして、その結果預金金利を中核とする規制金利に影響が当然に及んできております。そういうことから、やはり従来の規制金利の弾力化あるいは自由化ということが促されている、そういう状況であるわけであります。
 第二のコクサイ化は、いわゆるインターナショナルという意味の国際でございまして、金融のそういった国際的な歩みということでございます。これは資本の取引が原則自由ということになりまして、外国為替管理制度の全面改正が行われ、内外の資本交流がいよいよ深まりまして、金融機関の国際業務が活発化するにつれまして、わが国の金利のあり方や金融慣行あるいは金融制度についてまで修正を求める声が内外ともに強まってきている、こういう状況であると思うわけであります。
 この二つの大きな要因に付随いたしまして、金融業務の機械化いわゆるエレクトロニックバンキングの進展、これも新しい金融商品の開発を技術的な面で可能にしている、そういう要因でございます。これも自由化に大きな影響を与えていると思います。
 また、近ごろ特に高まってまいっております法人、個人の金利選好というものも自由化にインパクトになっている、こういうふうに考えるわけであります。
 以上のような背景のもとで、金融市場におきましては自由金利の分野が拡大しつつあるわけでありますが、自由金利と規制金利とが併存しているということになりますと、金融情勢の変化によりまして、自由金利の分野と規制金利の分野の間でどうしても資金シフトが大量に起こる、こういう問題が起こるわけでございます。資金の不測の移動によって金融市場が大きな攪乱的な影響を受ける、そういうことのないように十分に留意していく必要があるわけでありまして、そのためには実情に応じまして漸進的に規制金利の分野の縮小を進めていく、そして自由化へのソフトランディングを図るということが何よりも望ましい、こういうふうに考えるわけであります。
 また、日本銀行といたしましては、金融政策の有効性を維持していくためにも金利の自由化を進めることが望ましい、かように考えております。
 申すまでもなく、金融政策は、金融市場の需要供給の関係や、そしてまた金利に影響を与えることによって、金融の引き締まりあるいは金融の緩和の度合いを調節していく。そしてそれによって経済活動や物価動向に効果を及ぼそうとする、そういう性格のものでございます。
 戦後、我が国の金融政策は、窓口指導のような政策手段に依存をして運営されてきた傾向がございますが、最近におきましては、今述べましたような環境変化を背景にして、企業や個人の手元の金融資産の蓄積が進み、海外との資金交流も活発化してきていることなどから、これまでのようないわば行政指導的な手段に依存をして政策を運営することが逐次困難になってくるわけでございます。そしてまた、将来においてはこういう傾向が一層強まるということが予想されるわけでございます。したがいまして今後は、金利の変動を通じまして経済活動に影響を及ぼしていくいわゆる金利機能の活用ということが、金融政策の運営にとって一層重要になる、こういうふうに考えるわけであります。金利が、資金の需要供給の関係に応じまして自由に変動するような体制を確立していく意味におきましても、金利の自由化を進めることが肝要である、こういうふうに考えるわけであります。
 以上のような考え方に基づきまして、日本銀行といたしましても、金利の自由化に取り組んできたわけでありますが、今後、当面におきましては、預金金利の自由化と短期金融市場の整備、確立が大きな課題になると思っております。
 預金金利につきましては、欧米諸国と同様に、まず大口預金金利の自由化から始めることが適当であろう、こういうふうに考えております。我が国の場合におきましては、具体的には譲渡性預金の一層の規制緩和、さらに市場金利連動型預金の導入という措置を経まして、大口預金金利全般について自由化を図ることが考えられるわけであります。
 一方、小口の預貯金金利の取り扱いにつきましては、何といたしましても、郵便貯金金利との調整をいかに図るかという問題がそこにございます。
 預貯金金利の自由化を図る場合、金融機関がそれぞれの経営責任のもとで市場原理に従って行動する結果、預金金利が市場メカニズムを通じて決まっていくことを期待するわけでございますが、郵便貯金は建前といたしまして非営利の官業でございまして、そうした機関が独自の立場で決める金利というものは、市場の実勢とは言いがたいものではないかと思います。しかも、現在郵便貯金は個人預貯金の中で著しく高いシェアを占めているわけでありまして、この郵便貯金が独自の立場で金利を決めるということになりますと、どうしてもそのマーケットにおきましては郵便貯金がプライスリーダーということになりまして、力関係からしても民間はその金利水準に従わなければならない、こういう作用が働くわけでございます。
 このような問題がありますために、預貯金金利の自由化を図っていくためには、郵便貯金の金利が民間の預金金利を基準として、それと均衡を保ち、整合性を保って決定されるという意味合いにおける金利の一元的な決定のルール、そういうものを確立することが何よりも肝要であると思います。そうしたルールがしっかりと踏まえられない限り、小口預貯金金利の自由化は当面極めて難しい、こう言わざるを得ないと思います。
 次に、金融市場の自由化が進む中で、諸金利がそのときどきの金融政策の基本的なスタンスを的確に反映して動いていくというためには、日本銀行が必要に応じていつでもオペレーションを行うことができ、そこで形成された金利が他の市場に波及、伝播をしていくような中核的なマーケット、中核的な市場が生まれることが望ましいわけでありまして、こうした金融市場全体の中で中心となるようなオープンマーケットは、やはり政府短期証券の市場が最も望ましい、こういうふうに考えております。
 現在は、政府短期証券の恒常的な流通市場は存在しないわけでありますが、しかし、日本銀行は五十六年から、市中の資金の余剰を吸収する目的で、日本銀行手持ちの短期証券を売却するオペレーションを随時実施してきております。私どもは、今後とも金融市場の状況に応じて、このようなTB、短期証券のオペを活用していきたい、かように考えているわけでございます。
 最後に、円の国際化を図るという観点から、我が国の金融・資本市場の開放と申しますか、自由化問題について議論が高まっておりますので、この点につきまして私どもの考えを申し述べたいと思います。
 円の国際化の内容には、円が貿易取引に使われる、すなわち貿易が円建て化して行われるということ、それから第二には、海外諸国の外貨準備として円が保有されるということ、第三には、資本取引に円が使われるということ、こういう幾つかの側面がございますが、このうち当面最も重要であり、そして進めていかなければならないのは、資本取引における円の使用、換言すれば、居住者、非居住者を問わず円を自由に調達、運用できるようになるということではないかと思います。この意味では、やはり国内の金融あるいは資本市場の整備、自由化を進めていくことが円の国際化ということの中心的な課題であろう、こういうふうに思います。
 この点に関しまして、最近、海外における円の取引、すなわち、いわゆるユーロ円の取引を自由化することによって円の国際化を進めようという考え方が提起されております。私どもといたしましても、貿易取引の円建て化が進み、そして内外資本交流が活発化するにつれましてユーロ円が自然にふえていくということは、これは避けられない現象であろうと思います。
 ただ、海外で保有されております円というものは、これは円だけでなくて、ユーロドルでもユーロマルクでも同じでございますが、それぞれ自国の中央銀行の影響が及びにくいものでございまして、やはりこれが国内との取引関係を通じまして自国の流動性調節上も問題が生ずるという場合はあるわけでございます。このような観点から、日本銀行といたしましては、ユーロ円取引の自由化あるいはユーロ円市場の拡大ということを政策的に推進する、エンカレッジする、そういった性質のものではないのではないかというふうに考えているわけであります。いわば、自然に発展をしていくものというようなことになるかと思います。
 また、国内において、現実の問題としてはある程度の規制が残っている、そういうような状態のときに、ユーロ円取引だけが先行して、あるいは突出して自由化されていくということになりますと、どうしても金融取引がユーロ円市場の方に移っていく、いわば逃避をしていく、そういう傾向が生ずるのは、これは当然でございます。したがいまして私どもとしては、まず国内の金融・資本市場の自由化を推進することによりまして、非居住者による円の使用が自然に高まっていくということになることが本筋であると思いまして、そういう状況と調和のとれた、つり合いのとれた形でユーロ円取引も自由化をしていく、これが適当であろうか、こういうふうに考えるわけであります。
 以上のような考え方が主要な我々の考え方でございまして、日本銀行といたしましては、以上のような考え方に基づきまして、金融あるいは金利の自由化に前向きに取り組んでいく、そういう所存でございます。
 以上でございます。拍手
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中村正三郎#3
○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。
 次に、草場参考人にお願いいたします。
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草場敏郎#4
○草場参考人 ただいま委員長から御指名をいただきました、全国銀行協会連合会の草場でございます。きょうは、金融・資本の自由化と直面する諸問題に関しまして私どもの意見を述べるようにとのことでございますので、意見を申し述べさせていただきます。
 金融の自由化は、確かに今や避けて通れない一つの大きな流れでございまして、また、実際にも、これまでに自由化への布石が着々と打たれてきておりますことは、皆様御承知のとおりでございます。
 さらに、円安問題に端を発しまして、新たに海外から我が国金融・資本市場の開放要求が加わっているわけでございますが、その要求内容はまことに広範多岐にわたっております。
 我が国社会が今後より一層効率化を図っていくために、金融・資本市場のあり方も時代の要請にこたえまして、変革に向けて努力すべきは当然でございますが、一方、我が国にも、長い歴史と社会風土の中で固有の制度、慣行をつくり上げ、それを基礎に経済社会を維持発展させてきたという側面もあるわけでございます。
 円の問題につきましても、我が国の国際経済上の地位から見まして、これをより一層国際化すべしという欧米諸国からの強い要請があることは、これは十分理解できるわけでありますが、我々はこれを外圧としてではなく、みずからの問題として受けとめて考える必要があるかと思います。
 すなわち、国際協力を推進し、我が国経済の一層の発展を図るために、円の国際化を進めていく必要性があることは当然でございますが、それが我が国経済に及ぼす摩擦や混乱を最小限度にとめるべき配慮も十分加えて、秩序ある自由化、国際化を進めることが肝要であると存ずる次第でございます。
 また、我が国は今日まで金融の国際化を過度に進めることなく、経済発展のために望ましい金利政策を維持することによりまして、産業界が設備の近代化を推し進め、生産性の向上を通じて国際競争力を維持発展せしめてきたのでございます。資源に乏しい我が国にとりましては、今後とも原材料を輸入し、付加価値を高めた上で輸出するパターンが続かざるを得ないものと考えられまして、引き続き適正な輸出競争力を維持する必要があることには変わりはございません。
 しかし、一挙に、あるいは急激な形で国際化を進める場合には、海外金利と我が国の金利が一気に同じ水準に近づくことが危惧されるわけでございます。特に、現在基軸通貨でありますドル金利が極めて高い水準にございますが、この原因がアメリカの財政赤字によっていることは、周知の事実でございます。
   〔中村(正三郎)小委員長代理退席、熊谷小委員長代理着席〕
 では、この財政赤字が縮小するかとなりますと、国防費の増大とか、自由圏のリーダー的役割を果たす上での責任などから、そう簡単に縮小することは難しいと判断されます。
 したがいまして、大幅な自由化を一挙に実施すれば、我が国の金利も米国並みの水準にさや寄せされて上昇することが予想されまして、ひいてはそれが企業の設備投資意欲の減退につながり、長い目で見た場合に、果たして産業の国際競争力を弱めるおそれがないであろうかということであります。
 かつて世界の工場と自負いたしました英国が、現在の姿にまで低迷を余儀なくされたその同じ道を、アメリカそして我が国が後から歩んでいくことにならないとは断言できないと申せましょう。
 第一次石油危機後の設備投資の低迷によりまして、我が国の製造業の資本ストックの平均年齢は、最近十年間で二年高齢化いたしまして、逆にアメリカは一年短くなったために、既に両国とも九年という年限で横並びとなっている点を考えてみましても、今後とも設備近代化の必要性は引き続き重大な課題だと思います。
 したがいまして、金融・資本の国際化は重要な意味を持っておりますが、今後そのスピードをどうするかということにつきましては、我が国にとりまして果たしてプラスになるのかどうか、そのあたりを十分に検討した上で、みずからが決めるべき課題であり、そしてその場合にも、信用秩序の混乱は絶対に回避しなければならないと考えている次第でございます。
 ところで、国内の金融・資本の自由化について述べるに当たりまして、我が国の戦後金融体制の特徴について一言申し述べますれば、まず、金融業務が広範にわたり規制を受けておりますこと、とりわけ金利は、昭和二十二年十二月施行の臨時金利調整法と日本銀行のガイドラインによって規制されてきたこと、また長短金融が分離されまして、同時に、証券取引法第六十五条により、金融と証券が厳密に分離されたことなどが挙げられます。今後、金融・資本の自由化が進展するに伴いまして、これらの特徴が大きく変貌することが考えられますので、改めて金融自由化の意義を問い直してみたいと存じます。
 まず第一に、規制の撤廃によりまして業界の競争が促進され、個々の銀行の経営効率も、銀行組織全体としての効率も向上することが期待できることであります。
 第二は、金利を中心としました価格メカニズムが貫徹され、資金の効率的配分が行われることが考えられます。
 第三は、経済・金融構造の変化に適切に対応する体制を金融面で整備することができ、多様化する顧客のニーズへの適応が促進される効果が見込めることであります。
 以上を総合いたしますと、金融・資本の自由化は、国民経済の発展に寄与するという大きな意義のある課題だと言えるわけでございます。したがいまして、金融自由化への対応は、こうした効果が十分に発揮されるよう前向きに取り組むことが必要でありますが、今後これを具体的に進めるに当たりましては、次のような問題点への配慮が不可欠であると考えております。
 その第一点は、我が国金利体系の根幹をなしているところの国債発行条件についてであります。
 財政再建へいかに努力いたしましても、当面は十兆円を上回る新規財源債の発行が続くことは不可避である上に、昭和六十年度以降は、借換債の大量発行も行わざるを得ない状況に至りますことは、御高承のとおりでございます。
   〔熊谷小委員長代理退席、中村(正三郎)
   小委員長代理着席〕
 借換債は、その資金使途が満期到来国債の償還に限定されている点が新規財源債と異なるだけで、消化の難易度は新規財源債と全く同様でありまして、しかも旧債の期日が確定しているだけに、借換債の消化が円滑に行われる必要性はさらに大きくなるわけでございます。
 これらのことから、借換債の発行が巨額になる昭和六十年度に向けて、国債の発行条件が既発行国債の流通利回りに即応して、より一層弾力的に決定されることが必要となると考えるものであります。
 なおその際、既発国債の流通市場が十分に発達し、適正な価格形成がなされることも必要でありましょう。新銀行法によりまして取り扱いが認められました公共債にかかわる銀行の証券業務も、この観点から重要な意義を持つものと考えております。
 第二点は、国債の発行条件の市場実勢尊重を根幹とした金利自由化が金融市場全体に影響を及ぼすことは、当然の流れであると考えられますが、その場合にも次の問題について検討が必要でありましょう。
 一つは郵便貯金の問題であります。郵便貯金は、今や個人預金の三〇%を超えるほど巨大な存在となっているにもかかわらず、郵便貯金金利は依然として銀行預金とは別個に決定されております。
 こうした預貯金金利の決定が二元化されている状態で預貯金金利の自由化が推進されますと、郵便貯金が事実上の金利決定のプライスリーダーとなる可能性が大きく、市場原理を無視した金利決定が行われるとともに、その結果として、財政赤字がさらに拡大することすら予想されるわけでございます。
 さらに、金利自由化の手順の問題でございますが、このことに関しましては昭和五十八年四月の金融制度調査会の「金融自由化の現状と今後のあり方」という中で「まず、既に自由金利運用に習熟している機関投資家や法人向け等の大口預金金利から順次実施に移していくことが適当である。」と報告されております。
 金利が自由化すれば、市場実勢等に従いましてかなり激しく変動することが予想されますので、やはり自由金利運用に習熟していることが必要条件であろうかと考えますし、また大口取引は小口取引に比較してコストが安くなることは、あらゆる商取引に共通して言えることでございます。小口預金は、大幅な変動を繰り返すよりも、比較的安定した金利がつけられることが、預金者からしても望ましく、そのような配慮が必要であると思います。
 金融自由化への対応の第三点は、業務規制等の緩和についてでございます。
 我が国の戦後金融体制は、当時の資金不足時代にありまして、日本経済の復興から高度成長のために極めて効果的に機能してきたことは評価できるのでありますが、今後の国際交流の必然性とか低成長経済への対応を考えますと、業務規制のプラス面、マイナス面についての見直しをより一層進めるべき時期に来ているのではないかと思われます。
 その場合、金融そのものをできる限り市場原理にゆだねていくことが基本でありまして、それがすなわち国民経済上プラスであるという点をしっかり認識することが必要であると思われます。
 また、自由化に際しての基本的な考え方の中で、預金者保護あるいは投資家保護の観点が重視されるべきことは、これはもう論をまちませんが、何よりも預金者自身あるいは投資家自身の自己責任原則という物の考え方が育たない限り、本当の意味での自由化は進展しがたいのではないかと考えます。
 最後に、個別論といたしまして、次の二点を申し述べます。
 第一は、銀行業界といたしましても、顧客ニーズの多様化に対応すべく、自由金利商品の取り扱いや新しい金融サービスの提供に努めてまいりますので、引き続き行政の自由化、弾力化を推進されるように希望いたしております。
 また、業務分野の拡大に伴いまして、金融と証券の周辺分野での相互乗り入れがさらに進むことが予想されます。このことは、競争を促進し、国民経済的に見て望ましいことと言えましょうが、この場合におきましても、それぞれの根幹となる業務、いわゆる本業につきましては、相互にこれを尊重していくことが肝要であると考えます。
 もとより、私ども金融機関といえども、いたずらに既得権に固執し、既成金融秩序に安住することはみずからの衰退を招くことにほかならず、このような態度は到底許されぬところでございます。しかしながら、余りに急激な自由化は、我が国金融・資本市場の制度、慣行に重大なる影響を及ぼし、不必要な摩擦と混乱を生じさせかねません。したがいまして、今後とも積極的、主体的かつ漸進的な秩序ある金融自由化の推進が必要でありまして、望ましい姿への軟着陸を図ることが肝要と存じます。
 以上をもちまして、陳述にかえさせていただきたいと存じます。
 ありがとうございました。拍手
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中村正三郎#5
○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。
 次に、渡邊参考人にお願いいたします。
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渡邊省吾#6
○渡邊参考人 日本証券業協会会長の渡邊でございます。
 平素、先生方におかれましては、証券市場の健全な運営、またその発展のため、何かと御配慮をいただきましてまことにありがとうございます。まずもって厚く御礼申し上げます。
 本日は金融・資本の自由化と直面する諸問題について意見を申し述べよとのことでございますので、証券界の立場から意見を申し上げ、御審議の御参考に供したいと存じます。
 御高承のとおり、近年、金融・資本市場は大きく変貌し、自由化の進展には著しいものがございます。その要因について私どもの立場から申しますと、まず第一に、証券市場の国際化が進展していること、第二に、国債の大量発行を背景として国民の金利選好が高まり、また、企業の資金調達が多様化していることの二点が挙げられます。この点につきましては、冒頭澄田日銀副総裁からお話がございましたとおりで、「二つのコクサイ化」と言われたとおりでございます。
 まず、証券市場の国際化の進展状況を申し上げますと、外国投資家による対日証券投資は昭和二十年代後半からスタートしましたが、当初は投資額もごく微々たるものでございました。しかし、昭和三十年代後半からは、我が国経済の高度成長に伴い、その投資額は漸次拡大の傾向を示してまいりました。
 その後、石油危機の時期に一時減少しましたものの、我が国経済が二次にわたる石油危機を克服し、先進主要国の中で最も良好なパフォーマンスを示し、また、政治も安定しているというようなことから、昭和五十一年から再び増加に転じ、さらに五十五年十二月から新外為法が施行され、資本取引について原則自由とされたこともございまして、最近では、欧米の年金基金等を中心にその投資額は急速な拡大を示しておるのでございます。
 一方、我が国の投資家による——これは外へのですが、外国証券投資は、昭和四十五年に証券投資信託に対して外国証券の組み入れが認められたのが最初でございますが、翌四十六年には生損保、一般投資家も外国証券投資が行えるようになりまして、この規模は着実に拡大してまいりました。
 その後、四十八年以降は、石油ショックによる外貨事情の急変から、一時停滞を余儀なくされましたものの、五十二年からは再び増加傾向に転じまして、最近では、内外金利差の拡大等によりまして、外国債券を中心として外国証券投資は急増しております。
 次に、発行市場でございますが、外国政府、国際機関等の東京市場における円建て外債の発行につきましては、昭和五十二年以降我が国の国際収支の黒字基調が定着し、同時に市場の整備が図られたことから順調に増大してきておりまして、最近では銘柄数も起債額も着実な拡大を示しておるのでございます。
 また、東京証券取引所の上場外国株式につきましては、この数年、種々の事情から上場を廃止するものが見られましたが、先般、上場外国企業に対する開示手続の弾力化が図られるなど、外国株式の上場を促進するための措置が講じられまして、今後次第に発行株式を東証に上場する外国企業がふえてくるものと期待されております。
 さらに、我が国企業の海外証券市場での資金調達につきましては、後ほど改めて申し述べたいと存じますが、近年、ユーロ市場を中心として海外市場での資金調達が年々急速に拡大してきております。
 このような証券市場を通ずる国際的資本交流の拡大によりまして、我が国証券会社の現地法人等海外店舗も着実に増加する一方、外国証券会社の我が国への進出も増加しております。また、我が国の証券市場が国際的な資本市場の重要な一環として成長を遂げてきた過程において、我が国証券市場の諸制度、慣行は順次改善されまして、今日における市場の規模は、欧米主要国に比べ何ら遜色のないものとなっておると存じます。
 次に、国債の大量発行下において、国民の金利選好の高まり、企業の資金調達の多様化が金融・資本市場の自由化を促進させる大きな要因となっていることについて申し上げたいと存じます。
 近年、国民の金融資産は急速に増加しております。個人金融資産について見ますと、昭和五十年の年末には百八十兆円でございましたが、五十七年末には四百二十九兆円と七年間に約二・四倍の伸びを示しております。申すまでもございませんが、金融資産が増加すれば国民の金利選好は高まり、国民の資産選択はより有利な投資対象へと変化し、間接金融から直接金融へとそのウエートが高まってまいります。これは、欧米先進諸国の例を見ても同じでございます。特に、国債の大量発行を契機として国債の個人消化が促進され、また、国債の発行条件の弾力化、種類の多様化等が図られることにより、国債が国民の好個の投資対象として定着してまいりましたことも、国民の金利に対する関心を一層高めることになったものと存じます。
 一方、資金を調達する企業の側から見ますと、昭和四十四年から行われるようになりました株式の時価発行公募増資による資金調達は、逐年増加の傾向を示しまして、今日では、これが株式による資金調達の中心となっております。昭和五十七年中には、株式による資金調達額のうち時価発行公募増資によるものが八〇%を占めるに至っております。また、近年、時価転換社債の発行が投資家のニーズに適したものとして急速に普及しており、さらに、昭和五十六年の商法改正により新株引受権付社債の発行についての法制整備も図られまして、企業の資金調達の多様化は一層進展しております。
 我が国民間企業の資金調達に関して特に申し上げたいことは、転換社債の発行を含めて海外市場での社債発行が急増し、海外証券市場への依存度が近年急速に高まってきていることでございます。具体的に申し上げてみますと、昭和四十九年度には企業の海外市場での資金調達比率はわずか六%でございましたものが、五十年には一五%、五十五年二六%、さらに五十八年には四七%にまで増大しており、海外証券市場での資金調達の拡大が、今後の我が国の社債発行等の仕組みに少なからず影響を及ぼすことが考えられるのでございます。
 以上申し上げましたとおり、国民の金利選好の高まり、企業の資金調達の多様化等は、一つの潮流として、金融・資本市場の自由化を促進させる大きな要因となるのでございます。
 証券界といたしましては、新しい情勢に対処して、投資家のニーズにこたえ得るように工夫を凝らして新商品の開発に努めるとともに、資金調達を行う企業の要請にこたえ、内外の資本市場で資金の使用目的にマッチした証券の発行に努めているところでございます。また、投資の効率を高めるために、証券業務の機械化を推進することによりまして、投資家に対し正確、迅速な投資情報の提供、投資に関する事務処理の円滑化、迅速化を図るように努力を重ねているところでございます。
 以上、証券市場の国際化、投資家及び企業のニーズの変化を中心とした金融・資本市場の国際化、自由化の経緯について申し上げましたが、御高承のとおり、昨年秋のレーガン米大統領の訪日を契機といたしまして、海外からの我が国金融・資本市場に対する自由化の要請が急速に高まり、二月、三月と日米円ドル委員会で個別的、具体的な自由化の方策について協議が行われたと伺っております。これが金融・資本市場の自由化の問題についての一般の関心を大きく高めているものと存じます。
 しかしながら、こうした問題の対処に当たりましては、外国での制度、慣行をそのまま我が国に持ち込むという、いわゆる相互主義の考え方を基本とすることではなく、我が国の法律制度を前提とし、海外の金融機関等が我が国に進出する場合にはこれに従うという、内国民待遇という基本線は尊重していくべきではないかと存じます。
 私どもが海外で証券業務を行う場合には、当該国の制度、慣行を十分尊重し、当該国で許される範囲内での活動を行っておるわけであります。これは、国際的な資本交流を円滑に促進していくための基本的な要件であると存じます。
 もちろん、我が国の制度、慣行の中で、諸外国に比べて不合理な点があれば、これを改善していかなければならないことを否定するものではございませんが、我が国の金融・資本市場の自由化を進めていくに当たっては、海外からの自由化の要請に対しましても、金融・資本市場の健全な発展を図るという見地に立脚し、あくまでも自主的な立場を貫くべきであると存じます。
 なお、我が国の証券界について見ますと、昭和四十三年の免許制への移行後は、当局の御指導もありまして、証券会社の財務体質、経営基盤は著しく改善されておると存じますが、御承知のように、証券界は業況の変動が著しいという性格を持っておりますので、中小証券会社ですとか地方証券会社の中には、さらに一層経営基盤の充実を図る必要のあるところがございます。今後の自由化の検討に当たりましては、こういう点についても十分御配慮をお願いしたいのでございます。
 最後に、我が国金融・資本市場の自由化に関連いたしまして、短期金融市場の整備拡充について申し上げたいと存じます。
 御高承のように、国債の残高は逐年累積しておりますし、昭和五十八年度末には約百十兆円に達しております。また、昭和六十年度からは国債の大量借りかえが見込まれております。
 このような情勢から、短期金融市場の整備拡充を図ることが喫緊の課題となっております。
 今後、国債の大量借りかえを円滑に処理するほか、長短両市場の裁定取引を通じて金融・資本市場の一層の効率化を図る観点から、短期市場商品の多様化を進め、短期金融市場の整備拡充を図ることが強く望まれるのでございます。
 以上、所感の一端を申し述べた次第でございますが、委員の皆様方におかれましては、どうぞこの間の事情を御理解いただきまして、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 どうもありがとうございました。拍手
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中村正三郎#7
○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。
 次に、瀬戸山参考人にお願いいたします。
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瀬戸山孝一#8
○瀬戸山参考人 全国地方銀行協会副会長の瀬戸山でございます。諸先生方には、私ども地方銀行六十三行の会員が常日ごろ各地で何かと御厄介になっておることに対しまして、本席をかりまして厚く御礼を申し上げます。
 また、本日は金融・資本の自由化と直面する諸問題につきまして、私どもの考え方を申し述べさせていただく機会を賜りまして、まことに光栄に存じます。本来でございますと協会長の吉國が伺って申し述べるべきところでございますが、あいにく都合がつきませず、私から地方銀行の立場で申し述べさせていただきますことをお許しを願いたいと存じます。
 まず初めに、金融自由化につきまして私どもの基本的な考え方を述べさせていただきます。
 金融自由化につきましては、立場立場によって考えている内容は異なっているところじゃないかと存じますが、要しますところは、経済社会の変化に対応して金融制度、慣行、規制を見直し、必要に応じて規制等を撤廃していくことだろうと私どもは理解をしております。
 御高承のとおり、我が国経済社会の成熟化、国際化に伴いまして、今後の金融のあり方につきましては、一昨年来金融制度調査会におきまして審議が行われてまいりましたが、昨年四月「金融自由化の現状と今後のあり方」と題する中間報告が行われました。この中間報告におきまして、我が国における今後の金融自由化についての基本的方向が示されておりますが、私どもといたしましても、この基本的方向にのっとりまして金融自由化が進展していくことが望ましいと考えております。すなわち、我が国の産業・金融構造の特質と、それに対応して形成されてまいりました我が国固有の金融システムを生かしていく方向で進めていく必要があると存じます。
 このような考え方に立ちまして金融自由化の現状を眺めますと、三つの大きな問題に直面しているのではないかと存じます。
 第一の問題は、金融自由化への環境整備が進んでいないことでございます。
 自由化への環境整備として重要な問題は、さきの調査会御報告にもございましたように、一つは通貨価値の安定等経済の環境、二つは国債発行額の抑制、三つ目は郵便貯金等の公的金融の見直し、肥大化防止、この三つになろうかと存じます。幸い通貨価値は安定しておりますが、他の二点、すなわち国債発行額の抑制と郵便貯金等の公的金融の見直しは余り進んでおりません。これが金融自由化の大きな障害となっておると思うのでございます。
 国債につきましては、今後も大量発行が継続されると予想されております。情勢いかんによっては金利水準全般を押し上げたり、あるいはまた資金の流れをゆがめたりすることが懸念されるのでございます。
 郵便貯金につきましては、三年前の郵貯懇報告に始まり、臨時行政調査会の答申に至る過程で、問題の所在と改善の方向が明らかにされております。政府におかれましては、これを受けまして、昨年五月、「政府部内において引き続き具体的検討を進める。」との閣議決定が行われたにもかかわりませず、具体的な改善は一向に進んでいない状況にございます。郵便貯金の残高は、本年三月末には既に八十五兆円を超え、私ども地方銀行六十三行の預金残高七十九兆を追い越す存在となっております。しかも、個人預貯金に占めるシェアは引き続き拡大しておりまして、昨年十二月末には三一%を突破いたしております。
 このような郵便貯金の拡大は、金融自由化の目指しております市場メカニズムの活用、なかんずく民間金融機関の活力を阻害するものでございまして、業務拡大の抑制、貯金業務の見直し、金利決定の一元比等、早急にその是正策が講じられることを願うものでございます。
 第二の問題は、規制されない分野と規制されている分野との摩擦の顕現化と申しましょうか、その問題でございます。すなわち、一方では規制金利市場から自由金利市場への資金流出、金融取引のシフトが進んでおります。また、一方では規制されていないノンバンク、ニアバンクの金融業務への接近が活発化しております。こうした中で銀行は、銀行法や行政指導によって規制される部分が大きいために、自由化への対応が制約され、競争上不利な立場に置かれていると考えられます。
 第三は、こうした現状にさらに部分的、なし崩し的自由化が行われることへの危惧でございます。
 ただいま申しましたとおり、金融自由化への大前提とも言うべき環境整備が進んでいない反面、金融市場の自由化が進み、規制分野とそうでない分野との摩擦が大きくなっている中で、海外からの自由化への要請も強まってきております。我が国経済、金融の国際化の進展との兼ね合いで国内市場の開放、金融自由化を考えていくことも必要かと存じますが、我が国には我が国の経済特質があり、また確固たる金融制度が定着しておりますので、国内制度の自由化を通じて、自然な形で我が国金融・資本市場が開放されていくことが望ましいと考えております。
 次に、金融自由化の進展する中で、私ども地方銀行の直面する諸問題につきまして御説明申し上げ、御理解を賜りたいと存じます。
 金融自由化は、裏を返せば競争の激化を意味しております。それだけに私どもといたしましては、まず第一に経営の効率化を進め、経営体質を強化して、利ざやの縮小、低収益に耐え得る強固な経営基盤を確立すべく努力をいたしております。と同時に、自由化の進展とともに地域社会のニーズが多様化、高度化していくことが予想されますので、これらにこたえられるような業務内容、金融サービスの拡充に努めなければならないと考えております。
 ところが、先ほど申し上げましたとおり、銀行業務につきましては、法律や行政指導によりまして各種の規制が行われており、金融自由化や顧客のニーズの多様化等に銀行が対応していきにくい状況が一方に存在しているわけでございます。
 具体的業務に即して、まず預貸金業務に関しましては、長期金利の高とまりや国債等を取り入れた商品による高金利商品の出現によりまして、預金吸収力が著しく低下しております。
 このような状況の変化に対応すべく、私どもは種々の努力をしております。一例を挙げますと、三年定期の創設問題がございます。長短金利のバランスを見ながら資金吸収力を高める方法の一つとして検討中でございますけれども、長短金融の垣根問題、さらには郵便貯金の存在等がございまして、その取り扱いには慎重な検討を要する問題となっておるわけでございます。
 大口預金金利につきましては、譲渡性預金の小口化も進みまして、漸進的な自由化が進んでおります。また、最近では、市場連動型預金の創設につきましての構想が出ておりますが、これにつきましても、譲渡性預金の小口化との関係、小口預金金利への影響等を十分見きわめながら検討していく必要があろうかと存ずる次第でございます。
 国債等公共債に関します証券業務につきましては、昨年四月からの長期国債を皮切りに、中期国債、割引国債等の窓販を実施いたしまして、消化層の拡大、安定化の一助を果たしているものと存じております。
 本年六月からはディーリング業務の実施が予定されておりまして、私どもといたしましては、ディーリングを希望する地方銀行には全行御認可いただくよう、既に大蔵大臣あてお願いをいたしております用地方銀行のディーリング参入は、一つには地方の投資家、顧客層への公共債投資機会の提供、二つには地方公社債市場の拡充整備、三つ目には今後の公共債の安定的かつ円滑な消化等に寄与するものと確信をいたしておる次第でございます。
 また、国際業務、外為業務の拡充も当面の課題でございます。
 地方銀行の国際業務につきましては、各種の規制、指導等が行われておりまして、都市銀行等に比べまして業務内容等の面でかなりな立ちおくれがございます。このために、取引先企業等の国際業務ニーズの多様化、高度化に必ずしも対応することができない面がございます。行政御当局におかれましても、こうした実情への理解を深めていただき、漸次弾力化が行われてございますが、地方銀行といたしましても内部体制の充実を図りながら、着実に問題の解決に努め、国際業務を進めていきたいと考えておるところでございます。
 以上のような金融自由化の現状と私どもの直面している問題を踏まえまして、今後の金融自由化の進め方につきまして若干申し述べ、締めくくりとさせていただきたいと存じます。
 まず第一は、金利と業務に関する自由化のバランスをとりながら、並行的に進めていくことが基本ではないかと存じます。銀行業務が厳しく規制されたまま金利だけが自由化されましても、金融自由化の目指す市場メカニズムの活用はおろか、いたずらに混乱を大きくし、ひいては信用秩序に不安を招くおそれがございます。業務の弾力化を認める形で業務分野の調整が行われ、金融システム全体が徐々に自由化されていくとともに、金利が自由化されていく必要があろうかと存じます。
 第二は、業態間格差の是正と銀行の自主性尊重でございます。業務分野の枠の中で、例えば同じ普通銀行である地銀と都銀の間の格差は、例えば国際業務の面に残されております。金融自由化の進展する中で、こうした行政による差別は銀行の自由化対応を困難にさせるものと考えております。
 第三は、金融自由化への展望を確立することが必要かと存じます。金融自由化に伴います混乱は絶対に避けなければならないと存じます。そのためには、個別、なし崩し的自由化によらず、自由化措置の効果を事前に十分検討し、金融システムへの影響を予測していくことが必要だと存じます。そうした検討を行うことによってまた環境整備が進み、それぞれの金融業態に応じた自由化への適合努力が行われ、その結果として円滑な金融自由化が進展することを期待しておる次第でございます。
 以上で私の陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。拍手
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中村正三郎#9
○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。
 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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中村正三郎#10
○中村(正三郎)小委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
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堀昌雄#11
○堀小委員 最初に、今参考人がお述べになりました金融・資本市場の自由化に対するお考えや金利の自由化に対するお考えについて、私の基本的な考えをちょっと申し上げて、順次皆さんにお伺いいたしたい、こういうふうに考えます。
 実は、私は当大蔵委員会に昭和三十五年に参りまして、そうしていろいろと金融行政というものを勉強しております中で、日本では、先ほど澄田副総裁がお話しになりましたように、当時は金融政策の中心的な手段は行政指導による窓口規制、要するに量的規制というものが実は金融調節の一番大きな手段となっていたわけでございます。引き続きそれに伴って公定歩合の操作ということがございましたけれども、その公定歩合の操作というものが日歩幾らという極めてわずかな単位の操作ということで、一体これで公定歩合の操作として十分かどうかと私疑問を持ったわけでございます。
 外国のものを勉強してみますと、外国ではオープン・マーケット・オペレーションというものが使われている。さらに準備率の変更という手段も使われている。日本には当時そのオープン・マーケット・オペレーションも準備率の操作も何もなかったわけであります。なぜこの最も広範に影響力を持つオープン・マーケット・オペレーションというものが使われないのかということを調べてみますと、それは当時の政府がとっておりました低金利政策という管理金利政策のために、日本の金利は完全に固定をしておったものですから、そういうオペレーションをやることができないということがわかりました。
 そこで、やはり最も望ましい金融調節手段であるオープン・マーケット・オペレーションがやれるような金融のあり方ということが最も望ましい。そのためにはまず金利を自由化をしなければオープン・マーケット・オペレーションはできないということになれば、順序としてオープン・マーケット・オペレーションができるような金利の自由化を進めるべきである。大体昭和三十七、八年から私は当委員会でこの金利自由化論というのを推進をしてまいったわけでございます。しかし、御承知のように、そうはいっても問題は実はなかなかはかばかしく動いておりませんでした。
 今度は金融の効率化と申しますか、競争原理ということについては、今御出席の澄田副総裁が銀行局長に就任をされまして、そうして昭和四十三年に御案内の合併転換法その他の一連の法律の整備ができました。大蔵省の行政の中で金融行政が自由化、効率化へスタートをした歴史的な時点だと私は考えております。
 そうやってずっとやってまいりまして、実はさっきお話のございましたような国債の大量発行の時代が来て、その後に大量発行からはね返る大量の借りかえ問題というものが避けられない情勢になってきたわけでございます。時間がありませんから、私の方から、大蔵省からいただいた資料をもとに申し上げてみますと、今年度、昭和五十九年度では、年度計で六兆二千億円の借りかえが行われる。御承知のように、国債の発行が大体年四回になっておりますので、その四回の時期にこれが集中をするわけですが、第一・四半期が一兆六千億、第二・四半期が一兆七千億、第三・四半期が一兆四千億、第四・四半期が一兆六千億、今年は全体の発行量から見るとまだそんなに大変な年ではありませんが、昭和六十年度になりますと、二兆、二兆、二兆八千億、三兆、合計九兆八千億ということでありますから、もうこの六十年以降、六十一年十一兆一千億、六十二年十一兆八千億と、実は大量の国債借りかえが起こるということが予想されるわけであります。
 私は、昭和五十六年の二月に渡辺大蔵大臣に、この問題に対応するためにも——もう一つ私が納得できないのが、実は国債の発行が極めて形式的といいますか、官僚的と言っていいのかになっておりまして、少しも金利概念というものが大蔵省、政府にないわけです。百兆円の国債を出しておるときに、もしこの金利が一%違えば、まさに国債全体としては一兆円金利が節約できるわけであります。ところが、高い金利のときにでも低い金利のときでも、ずっとならして平均的に発行しているというのがこれまでの国債発行の状態でありましたから、もう少し金利機能を考慮した国債の発行が自由にできるようなシステムへ転換しないことには、これから長い間にわたって国債の大量の発行は避けられないわけでありますから、そういう問題が一つ。
 さらには借りかえの問題に対応するやり方のためにも、国債特別会計という問題を提起をさしていただいて、実は今は一般会計で国債を発行し、それから借りかえは国債整理基金特別会計、こういうふうに分かれているわけでありますが、それを一つにまとめて、国債の発行を全部国債特別会計が自由に行い得る。要するに、一般会計はその年度に必要な資金を国債特別会計から繰り入れでもらえばいい。発行については、御承知のように、実は現在予算総則で各種の債券の期間やその他について数量を定めておりますけれども、これでは市場で公正な価格といいましても、市場に参加される皆さんは大体このくらいという見当がついておりますから、どちらかといえば買い手市場で国債が発行されておる。こういうのが現状でありますから、国債の銘柄、期間は完全に国債特別会計が自由に発行できるようにする。あわせて短期の国債を発行して、これは後で申し上げますが、今澄田副総裁がおっしゃったTBと、新たな国債特別会計の発行する短期国債というものと、ほぼ似たようなものが出てくる状態が予想される。こういう考えのもとに実は国債特別会計論というものの議論をさしていただいたわけであります。
 いよいよ大量国債の借りかえ時期が参りますから、これらの問題が何らかの形で具体化をされなければこの問題は乗り切れない、こう考えておるのでありますけれども、ずっとそういうような一連の経過を通じて感じますことは、ここへ来て、金利の自由化とか金融の自由化というのは、実は国債の問題を中心に全体が動いてまいりますから、これをおくらせようといってもおくらせるわけにはまいらない。かつて私が昭和三十七、八年ごろから言っておりましたことが、二十年たった今日、ようやくそういう客観的な条件の中で金利が自由化されるところに来たというふうに振り返って考えるわけであります。
 そのときに、そういうものは一体だれのために行われるべきかということが基本的な問題点だと私は思うのであります。私は当委員会でいつも申しておるのでありますけれども、私ども国会議員というのは、国民を代表して、この場所で皆さんにいろいろとお願いをしたりお尋ねをしたりするわけでありますが、それのもとは、少なくとも金融という問題については主体は国民である。要するに、預貯金をする方あるいは債券、証券を買う投資家、この国民、あわせて企業が同じように預貯金をし投資をするわけでありますから、このユーザーである国民と企業が主体であって、金融機関というのはユーザーである国民と企業に対するサービスを提供する機関なのであって、どちらかといえば主体性の方は国民にあるんだ。これが私の過去から今日までの金融政策についての一貫した考えなのでありますけれども、大蔵省のいろいろな対応を見ておりますと、そこへ各局来ておられますが、どうも事の性格上、銀行局は銀行側の肩を持ち、証券局は証券側の肩を持ち、いろいろと過去に問題があるように私は見受けるわけであります。
 そこで、私は五十六年の二月のときにあわせて、もう少し国民的立場から問題を調整するために、金融財務官というものをひとつ制度としてつくったらどうか、そして今日の大蔵省の中の金融というのは、単に銀行、証券だけではなくて、国際金融、理財、少なくともこの四局がいずれもかかわりを持っているわけでありますから、この四局を統括できる金融財務官、要するにそういうおのおのの立場を離れて、少なくとも国民経済における国民の利益、ユーザーの利益を守る立場から判断ができる金融財務官というものを置くのがいいのではないか。こういう提案をしてきたのでありますけれども、まだいずれも実現を見るに至っていないというのが現状でございまして、以上が私が考えておりますことの一つであります。
 そこで、さっき澄田副総裁のお話しになったもう一つの国際化、要するにインターナショナルの問題でありますけれども、このインターナショナルの問題を考えるときにも、私は基本的には同じ考えなのでありまして、まず日本の国民の問題を考える、日本の立場からインターナショナルの問題を考えるということでなければならない。この前、ちょっと関税定率法の質問のときに大蔵大臣にも申し上げたのでありますけれども、私どもが国会の中で言っておることはなかなか政府は取り上げようとしないけれども、外国から圧力がかかってくると、それはもう慌てて対応しているという状態は、私はそういう意味で日本の国会、日本の政府としていかがかという感じがしてならない。こういうことを大蔵大臣に率直に申し上げたのでありますけれども、どうも見ておりますと、そういう点では、外圧に大変弱いという感じがするわけであります。それはもちろんアメリカも大切な国でありましょう。しかし、アメリカだけが日本にとって大切な国ではなくて、日本にとっては、やはり日本国民が一番大切なのでありまして、日本のすべての問題がうまくいく過程を通じて、インターナショナルにもできるだけ自由化をすべきだ、日本の自由化をほったらかしておいて、国際でユーロ市場だけで自由化が先行するなんということは、これは私は本末転倒も甚だしいというふうな気持ちで実は問題を見ておるわけであります。後で個別の問題でいろいろ伺うわけでありますが、要するに、金融というものに対する私の基本的な物の考え方をまず申し上げて、一つの物の考え方を下敷きとして、これからの問題をひとつお伺いをしてまいりたい、こう考えるわけであります。
 そこで、最初に日本銀行の澄田副総裁にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、私きょう特に地方銀行協会の瀬戸山副会長にお越しをいただきましたのは、西日本銀行という新しい銀行がこの四月一日から発足をいたしました。私は、今申し上げたような、社会党ではありますけれども、競争原理、自由化論の先頭に大蔵委員会で立っておるものでありますから、澄田さんが銀行局長になられまして、要するに、競争原理の導入、効率化行政ということに対しては、私は全面的に賛成でございまして、そうして、四十三年の六月に合併転換法ができまして、しかし、その後いろいろありましたけれども、今度の西日本銀行の誕生というのは、まさにこの合併転換法が考えていた合併転換であったという感じがいたしておるわけであります。そうして同時に地方銀行、現在六十三行でございますか、ございますし、相互銀行もたしか七十近くですか、あるわけですから、たくさんの日本の金融機関があります。しかし、金利の自由化というものを通じて金融制度全体が自由化をされていって、競争原理が働いていくとすると、当然私は、この合併転換法というものが非常に大きな役割を果たす時代にこれから入っていくのじゃないだろうか、こういうふうな感じがいたします。
 そういう点を含めて、かつての銀行局長であり、今、日本銀行の副総裁である澄田参考人から、金利の自由化が先行しながら金融の自由化が広がっていくという中における日本の金融機関というものが、これからどういう方向で国民のニーズにこたえられるように対応できるのか、そういう点について、ちょっとお伺いをしたいと思います。
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澄田智#12
○澄田参考人 ただいま、かつて堀先生その他の方々で御支持をいただきました合併転換法のことをお触れいただきまして、大変恐縮に思うわけでございます。
 その当時も、国際化が今後進むであろうということは漠然と考えていたわけでございますが、今日においては、やはり外圧という点だけを取り上げますといろいろ問題がございます。私も、堀先生御指摘のとおりに、外圧によって動かされるということではなくて、むしろ、先ほど私冒頭申し上げさしていただいたような環境の変化によって、日本の経済としてやはり金融、その中で金利が一つ重要なファクターである金融の自由化が不可欠であるし、同時に、それを進めていくことが将来のために何よりも必要なことである、こういうふうな状態に環境がなってきているということが何よりも重点であろうかと思います。それは当時、金融効率化と申しましたときに考えていたよりも、十数年たったわけでございますが、はるかに進んできたというふうに今考えております。
 しかし、先ほど私以外の参考人の方々も述べられましたように、それぞれの制度あるいはその制度に基づく慣行というようなものによって、歴史を経て成り立ってきております日本の現在の金融の仕組みでございますので、これが急激な変化によって不測の混乱を生ずるということはできるだけ防止しながらやっていかなければならない。そういう中において、競争原理というものがあくまで重要な、経営の基本的な作用として働くような環境において進んでいく。それがすなわち、非常に活力のある金融のあり方というものになっていく。そしてそれがまた、今のように非常に蓄積が進んだ我が国経済のユーザー、おっしゃった主体としてのユーザーの要請、ニーズにこたえるところであろうかと思います。ユーザーのニーズにこたえるために活力のあるマーケットができ、活力のある金融機関の経営となっていくということがあくまで主体であろうと思います。そういうことで、先ほど私もソフトランディングということを申しましたが、そういうことを考えて、そこの間の進め方についてある程度幅と見通しを持ってそれを進めていく、そのための手順、順序というものが非常に重要なことではないかと思っております。
 以上であります。
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堀昌雄#13
○堀小委員 そこで、金融機関の参考人の方が者お触れになったのですけれども、預金金利の自由化の問題であります。既に譲渡性預金というのがつくられて、当初は五億円でございますけれども、これが三億円ということでだんだんと小口化される方向へ向かってまいりました。しかし、大口預金だけは自由化をされていくけれども、小口預金の方はいつまでも規制金利でいいかというと、これは広い国民の立場からいいますと、やはり小口預金もある程度自由化されていくべき方向であろう、こう考えるわけでありますが、その今の小口預金の自由化の問題については、草場参考人も瀬戸山参考人も、郵便貯金との関係ということでお話がございました。
 実は私は昭和五十六年の銀行法改正のときに当委員会で問題を提起をしておるわけでありますけれども、今の郵便貯金というのは最も所得の低い国民にとりましては大変有利な金融商品なのであります。要するに、情報も十分ないし、そういう金融の問題に対して十分対応ができるような判断も、生活に追われでなかなか難しいという、一般の所得の低い層の国民のためには、郵便貯金、特に定額貯金というのは大変すばらしい金融商品である、私はこう考えておるわけであります。
 そこで、私の個人的な試案でありますけれども、現在郵便貯金は三百万円までということになっておりますが、百万円までを甲種定額貯金、百万円を超えてあとの二百万円まで貯金をされるのは乙種定額貯金、ひとつこういうふうに郵便貯金の中で二つの部分を分けて考えていったらどうか。そして最初の百万円までについては、これは最も零細な貯金でありますから、今の郵政審議会で従前どおり、物価の状態その他を勘案して金利を決めたらいいだろう。ただ、あとの乙種定額貯金については、要するに広い国民の小口預金の金利の自由化を考えるためには、その他の金利との連動性ということで、システムとして新しいシステムを考えてみたらどうだろうかというのが、実は五十六年の銀行法改正のときに郵便貯金問題として私が提起をしておる問題なのでございます。この郵便貯金に何らかの対応をしない限り、小口預金の金利の自由化、弾力化ということは全然前へ進まないということは、皆さんの御指摘のとおりだと思うのであります。
 しかし、そうはいっても、本会議の趣旨説明に対する質問でも申したのでありますけれども、預金というものには基本的に二つの性格がある。一つは、企業がその資金を借り出すということを中心にした資金運用の問題、一つは、家計の面で国民が将来を展望しながら営々と貯蓄をしていくという面と、二つの側面があると思うのです。ですから、その両側面が充足されない限り、企業のための金融政策だけがあれば、預貯金者であるところの国民は別に後でいいのだというわけにはまいらないと私は思うのです。その点で私は、預金者の立場を守る一つの方法として、郵便貯金における問題を提起させていただいたことがあります。
 ですから、今後の国内の金利問題の中では、大口預金はやがてどんどんと自由化をされるでありましょう。CD、譲渡性預金も今三億でありますけれども、やがてこれは恐らく一億でもいいのじゃないかという時代が必ず来るだろうと私は思います。今度新たに相互銀行がマネー・マーケット・サーティフィケートですか、MMCというのをお出しになって、それがどうやら五千万円だというふうに新聞が伝えておりますけれども、そういう方向でだんだん単位が低くなりますが、これはいずれも企業の法人預金が主体になるのであって、個人がこれを使えるような情勢にはなかなかまいらない。こう考えてみますと、やはりそれなりに私はそういう問題への対応が必要なのではないか、こういう感じでございますが、今の私の金利自由化等の筋道における郵便貯金対応問題について、澄田副総裁、草場参考人、それから瀬戸山参考人から感触だけをちょっとお伺いしたいと思います。
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澄田智#14
○澄田参考人 私からまず申し上げます。
 ただいまお話にありました小口預金の中のさらに零細貯蓄に関して、別途安定金利、安定の付利をする、手続は郵政審議会でというお話がございましたが、そういう手続で決められた安定付利をするという考え方は、確かに今御指摘のような点から申しまして一つの考え方であろうと思います。
 ただ、この数字をまず申し上げさせていただきますと、昨年の九月の全国銀行協会の全国銀行ベースの数字で、これは民間金融機関に対する個人預金額の一口当たりの平均が二十三万円でございます。定期だけをとりますと三十二万円、こういうことになっております。一方、一口当たりの郵便貯金額、これは昨年六月でございますが、郵政省の統計で見ますと一口当たりの貯金額が、これは偶然なんでございますがこれまた二十三万円でございます。ただ、このうち定額だけとりますと二十八万円、こういうことになっております。したがいまして、口座一口当たりの預貯金額というのは、郵貯だけでなくて、民間の金融機関の場合にもそういう零細な金額であるというようなことがございますので、この零細預金額については、郵貯は独自の見解で別途安定金利を付利する。こういうことになりました場合に、やはり民間預金も口数の平均をとるとこういうふうに低額である、こういうこととの均衡の問題というのがどうしてもそこは残るのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。確かに企業に対する貸し付けという点だけで問題を考えることは到底できないことは、もう御指摘のとおりでございます。預金者の立場、それと同時に今は個人のローンというものも非常にふえていっておりますので、今度はそういった個人の借り手という立場等も考えて、均衡をとった金利の決め方ということを考えていかなければならない。
 ただ、大口と小口、小口の中で殊にまた零細と分けてのお話でございますが、そういうところの自由化の進め方、これは段階的に当然大口から先に進み、小口については今後検討を進めていく。その場合に、今のような民間との均衡ということを零細貯蓄についてもやはり考えていかなければならないのではないか、こういうふうに思っている次第でございます。
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草場敏郎#15
○草場参考人 今の堀先生の御指摘も確かに大変いい案だと思うわけでございますが、この前も日本銀行総裁が言っておられたように、例えば三カ月ないし六カ月というような、たとえ少額の規制金利であろうとも、そういった短い期間のものはやはり金利を自由化したらどうだろうか、そういうような御意見も承っております。私ども極めて賛成なんでございますけれども、ただそれをやると、今度はそういった高い、若干自由化された金利をてこにして、また新たな定額貯金をつくるというような動きが郵政省サイドでございまして、そうなれば定額貯金の方が民間の定期預金よりは期間が長うございますから、はるかに有利になってまいる。そうすると、また新たな民間金融機関への圧迫と申しますか、そういう問題が起こりますし、また郵政サイドから見れば、これも非常に高コストの商品でありますから、将来は非常に大きな財政負担を生ずる可能性がある。そういった意味で、今先生のおっしゃったようなものが郵政省サイドではっきりできますかどうか、その点が私もちょっと難しい問題だろうというような感じがいたしております。
 以上でございます。
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瀬戸山孝一#16
○瀬戸山参考人 ただいま堀先生の御提案、私ども結構なお考えであろうかと思うのでございますけれども、副総裁あるいは全銀会長さんおっしゃいましたように、いろいろ問題がございます。それから、堀先生が郵貯は零細な預貯金だというふうにおっしゃいましたけれども……(堀委員「いや、全部がというのじゃないですよ、百万円まで」と呼ぶ)中にはそうでないものもあるやに伺っておりまして、やはりそれは郵貯だけというわけにいきませんで、民間と同じようなやり方でなければ、今なかなか難しいのじゃなかろうかという気がいたしますので、それらにつきましては、両方同じバランスをとった形で、例えば小口預金の金利の自由化とかなんとかという問題は考えるべきじゃなかろうかと考えております。
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堀昌雄#17
○堀小委員 お答えをいただきましたのでこれで終わりますが、ただ、一つは、私が申しておりますのは、郵便貯金というものは財政資金を調達する一つの手段でございまして、民間金融機関とはちょっと趣が異なっておりますから、そういう問題も下敷きにしながら考えてみますと、郵便貯金だけが零細な預金があるので、銀行預金は零細な預金はないのだ、今副総裁のお話で、小口は同じような形になっておりますから、データとしてはそうなのかもしれませんが、これは国民の選択自由でありまして、郵便貯金でやろうと民間金融機関に預けようと自由であるので、片一方で財政資金調達のための一つの部分があって、それが、ここまではこうなっていますということがわかれば、そこまでは財政資金のために、多少資金が集まってもそれなりにいいのじゃないか。ただ、現状のように、今瀬戸山参考人がおっしゃったように、これがそうでない、別の意図で使われておるという問題もある可能性がありますので、そういう問題は少しきちんと処理をし、同時に、今三百万円というのを、百万円とあとの二百万円というふうに分ければ、全体として多少、そういう意味の財政資金調達機関としての問題も含めて調和的になるのではないか。
 これは郵政省がどう考えられるか、私も郵政省に聞いたことはないのでありますけれども、何らかの調節をしなければ、日本経済非常にマイナスになるわけで、郵便貯金が頑張っているためにいつまでたっても小口預金の方は自由化されないというのは、国民的な立場から見て、これはやはり政府が善処してもらわなければならぬ問題でございましょうから、今後、これまた避けて通れないところへやってくるときがやがて来る、こう思っておるわけです。その時期ですぐ動くのではなくて、少し——私は、あらかじめこの問題を提起をさせていただいて、何年か先には大体そういう予定になるという、過去の例もございますので、ちょっと皆さんの御意見を伺ったということでございます。
 ここで、ちょっともう一つ、実は澄田副総裁がお触れになっておりますTB市場の問題についてお伺いをしたいと思います。
 私は、実はさっきちょっと申し上げた、国債特別会計ができてきましたら、要するにクォーターごとに借りかえが来るわけですから、その前に短期国債を国債特別会計から出す。既に竹下大蔵大臣、新聞で見ておりますところでは、そういう対応がどうも必要だということを予算委員会等でお話しになっているようであります。これは当然、そんな長期のものが必要ではなくて、その借りかえのための短期の資金を調達をしておいて、そこで今の借りかえにセットするわけですから、サイト九十日ぐらいの短期国債で十分ではないか、クォーター別に来るわけでありますから、そういう処理で十分じゃないか。そうしますと、これと今の、政府が出しております歳入補完的な、年度内における蔵券と言われておりますものとは、商品としての性格は非常に共通性になってくるのじゃないか、こう思うのです。これも九十日サイトでいいのじゃないか。
 国が発行するものは、国債特別会計が発行するものは実は市場で行われる。これは、国債の引き受けということは当然避けなければなりませんので、市場の公募になる。TBの方は日銀で引き受けて、特別な金利で、安い金利で処理をする。私、どうもこの問題を考えていて、これはきょうは三局しか入っていただいておりませんが、主計局が一番関心が強いのだろうと思うのですが、これが公募のような格好で出ることになったら、財政負担が非常に多くなるということになるだろうと思います。そういうので日銀が公募と同じような形で受けても、結果的に日銀納付金が国に入るのが多くなるということになるのではないか、こういうふうな感じがするのですが、今の蔵券を日本銀行にある金利で買い取ってもらうというのですか、出して資金調達している。その結果、これが納付金に影響しておる条件と、要するに、市場で発行できる金利で日銀へ行ったときに、その差額が大蔵省にすれば財政の負担になる、こう考えているのですが、それはやがて日銀納付金として国庫に返ってくるのじゃないか。私はこういうふうに思うのですけれども、副総裁、そこのメカニズムとその幅というのは、やはり今のようにやっている方が主計側としては得なんでしょうか。ちょっとそこら、突然のあれで恐縮ですが……。
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澄田智#18
○澄田参考人 今おっしゃったような形で、両方完全に結びつけて計算をしているわけではないのでございますが、今の御指摘の点は一応蔵券、蔵券のほかの特別会計の食糧証券とか外為証券等もございますが、こちらの方と、それから納付金で日銀で決めている部分と、この両方が結局は同じことになるのではないか、その差額ということだけを取り上げると、そういう面は確かにあると思います。
 ただ、やはり国債の発行のための予算あるいは個々の年度内の金繰りのための蔵券の発行のための予算というものと、日銀の納付金で入ってくるというものとの歳入の性格は違っている、片方は歳出予算でございますが、それが違っているという点は、予算編成上の考慮で違うものがあるか、こういうふうに思います。ちょっとお答えにはなかなかならないのですが……。
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堀昌雄#19
○堀小委員 そこで、今の短期TB市場をつくるというときに、私は委員会で何回もこれをやっているわけです。もっと弾力的な処理を政府はひとつやるべきではないか、公定歩合が下げられない、下げられないと言ってみんな公定歩合に集中しているけれども、短期市場で今の自由な価格でTBが処理されるようになっていれば、TB市場を通じてでも企業は資金調達ができるわけですから、そうすれば、公定歩合にかかわらず、実は金利が下がっていれば、安い金利の資金調達ができるじゃないか、こういう問題も提起しながら、このTB市場の問題というのは、私、何回も委員会でやってきているのですが、なかなかはかどらない。
 それは、今ちょっと澄田さんもおっしゃったように、予算上の問題というものがどうもネックにあるようですが、今度はやがて、この六十年ぐらいからは短期国債、これはやはり商品としては今の蔵券と同じですけれども、国債としての九十日サイトというものができてくる。これは私は完全に市場ができる仕組みになってくると思いますので、これがかなりできたときに、同じ九十日サイトの大蔵省が出しておるものが、片方は日銀にだけ行って市場に出ないなんという話はおかしくなるので、やがてこっちへ吸収されてしまって、単一のTB市場というものがやがてはできてくるだろう、こういう見通しを持っておるのです。これはまだ大分時間がかかる話でございますけれども、こういう市場ができることについて、日本銀行はこれまでもその点、副総裁の話もありますが、各参考人は、短期金融市場の短期国債の市場についてどういうふうにお考えになっているかを、草場参考人、渡邊参考人、瀬戸山参考人からちょっとお伺いをしたいと思います。
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草場敏郎#20
○草場参考人 確かに考え方としまして、理論的には、一つのTB市場といいますか、短期の市場ができる、オープンマーケットができるということは、私は非常に結構だと思います。
 ただ、何度も具体的に今まで論議されている問題でございますけれども、やはりどうしても公募という段階の中で、少なくとも現在発行されている金利よりは高い価格で発行されると落ちつくんじゃなかろうかと思いますので、その点で、国の財政側との考え方がまだそこまで固まってないんじゃなかろうか、そういうふうに私どもは考えております。
 以上でございます。
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渡邊省吾#21
○渡邊参考人 政府が財政負担の問題云々という御考慮がいろいろあることは承知しておりますけれども、その点を別にいたしますと、先ほどお話がありましたように、大量の借りかえの場合に、それがあるときにその月に固まって来る、それをなだらかに短期国債でならしていくということはぜひとも必要なことだと思いますので、そういった意味の短期国債の発行はぜひともやっていただかなければならないし、またその方が借りかえが順調にいくということだと思って問題ないと思います。
 それから同時に、大蔵省証券と性格がほとんど同じではないかという堀先生の御指摘も、私もそう思います、ただ先ほどの問題はちょっと別にいたしまして。そして私どもの側から見まして、一般論で見ますと、そういったものを含めまして、短期金融市場が相対的に申しまして今非常に日本ではいびつで、かつ小さいわけです。アメリカと比較しますと大体十分の一ぐらいのスケールしかないと思います。国力から申しましたら恐らく半分近くのものだろうと思いますけれども、非常に小さい。しかもその中がオープンマーケットになっていない部分が多くて、コール、手形あるいはCD、現先といったような程度のものでございまして、特にアメリカのようにTBあたりが中心の短期金融市場というものが日本でも必要ではなかろうか。それがさらに円の国際化に対しましても、短期の円資金を供給できる、あるいはそういう投資家のニーズにこたえられるという点にも寄与いたしますし、それから国際資本取引におきましても短期金融市場との間で裁定取引ができるという点でも有効でございますし、一般論と申しますと、さらに例えばBAとかいろいろな問題が出てくると思いますけれども、一般論として、それの中心はやはり国債ないし短期国債ないしTBというものを形成するのが自然だと思いますので、短期金融市場の形成ないしはそれの大きな短期金融市場の創設という点から考えましても望ましいことであるというふうに思います。
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瀬戸山孝一#22
○瀬戸山参考人 ただいま先生御指摘の短期金融の問題、この長期国債がもう借りかえの時期に来ておる、それに関連いたしまして、スムーズにするためには全体をならす意味で短期の国債の発行が当然避けられない、これはもう当然のことでございまして、大蔵当局もそういうお考えのようでございまして、それは当然のことであろうかと存じます。これはまた、その意味では、いわゆる市中金利、自由金利の商品になってくると思います。その意味では、国債の大量発行に伴いまして、長期金融は国債をてこといたしまして自由化が進んでおりますが、短期金融につきましては、また別の意味で、そういう短期国債をてこにして自由化するということになろうかと思いますが、例のTBの問題につきましては、御指摘のとおり、国債の借換債として考えられている短期国債と性格的には同じではないか、まさにそうでございます。
 この議論は、理論的にはまさしくそうであって、私どももそれは当然そうあるべきだと主張しているのでございますけれども、現実には、やはり国庫負担がふえるというようなことでございましょう。なかなかうまくいかないというのが現実でございますが、これもやはり、私は個人的なあれでございますが、避けて通れない問題で、こういう借換債に伴いまする短期の国債が発行される時期におきまして、従来のつなぎとしてのTBの面もやはり根本的に考える必要があるのではなかろうかという気はいたしております。
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堀昌雄#23
○堀小委員 国内問題、あとまだちょっとあるのでありますけれども、ここでもう一つの国際化の問題をちょっと皆さんに伺う前に、どうも私ども情報不足でございますので、国際金融局長から、けさ新聞を見ますと、昨日ですか、総理のところへ御報告になったというのが新聞にかなり詳しく出ておりますので、ちょっと、直面する今の円ドル委員会に対する対応その他、新聞にも出ておりますが、委員の皆さんに聞いていただいて、その上でさらにインターナショナルのことを皆さんとさせていただきたいと思います。
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酒井健三#24
○酒井政府委員 私ども、来週の月曜日、火曜日と、第三回目のアドホック円ドル委員会の作業部会をやることにいたしております。
 御承知おきのように、いわゆるこの円ドル委員会というのは、円ドルレート、それから金融・資本市場の自由化問題を論議する大蔵省と財務省との場になっているわけでございます。一体、この円ドル委員会でどういうことが討議されるのか、過日の大蔵委員会でもちょっと申し上げましたが、一つは、この円の国際化という意味で、アメリカ側はユーロ市場の拡大という問題に関心を示しておりますし、二番目は、アメリカの金融機関等が日本の金融・資本市場へ参入する、アクセプトと言っておりますが、それを改善するという問題・三番目は日本の金融・資本市場の自由化の問題、それから四番目が直接投資の投資交流の促進の問題でございます。
 ただ、アメリカ側とこれまで二回の作業部会をやりまして私どもも感じたのですが、アメリカ側が重点を置いて考えておるのは、ユーロ市場の拡大の問題と、三番目の日本の金融・資本市場の自由化の問題でございます。
 そこで、ちょっと時間の関係もございますので、ユーロ市場の拡大の問題につきまして、簡単に御報告させていただきたいと思います。
 アメリカ側は、円ドルレートが日本の基礎的な条件、ファンダメンタルズと申しますか、そういうような経済力を十分に反映していないと認識しておりまして、それが、いろいろアメリカ側のドル高の要因というような基本的な問題もございますが、一つの要因としては、円が国際的に十分使用されていない、さらには金融・資本市場が自由化されていないということが影響しているというふうに認識しているわけでございます。そこで、日本の金融・資本市場の自由化を促進し、円が国際的に使用されるのを許容するように、自由主義世界第二位の経済力を持つようになった日本として、それにふさわしい円の国際的な使用を許容していくということを受け入れるべきであるという気持ちを持っているわけでございます。
 ところが、それぞれの国の金融・資本市場には制度、慣行等がいろいろございます。アメリカにおきまして金融の自由化が進展しておりますが、アメリカでも金利の自由化には十年の日時を要したわけでございます。したがいまして、日本が今後も金利の自由化を進めるにしても、小口預金の金利の自由化に至るまでにはやはり数年かかるのは、これはしょうがない話であろうと思います。
 他方、ユーロ市場を見ると、ここはユーロダラーを中心にして発達してきたわけですが、各国の通貨当局が介入しない、源泉徴収税という税の問題も存在しないような慣行のマーケットである。そこで、日本が経済力も向上したことであり、円がこのユーロマーケットで居住者、非居住者いずれもが資金調達、通用において自由に使用するようなことを検討してほしいという気持ちを持っているわけであります。これに対しまして私どもの基本的な考えは、確かに私ども円の国際化という問題につきましては、今日世界経済における日本の地位を考えますと、これはある程度前向きに取り組む必要があるということで、円の国際化につきましては、大蔵省としては積極的なスタンスで対応していくということを考えているわけでございます。
 ところがしかし、円の国際化というのはいろいろの見方があるかと思いますが、とらえ方としては、取引通貨としての円の使用、それから資本取引における円の使用、公的準備における円の使用、それぞれ三つの面で考える必要があるんじゃなかろうか。
 そこで、経常取引における円の使用。今日輸出、輸入とも円建ての比率がかなり低いという現状でございまして、これはやはり自然な姿ではないので、この辺についてはもちろん取引当事者の選択によるわけでございますが、私どもとして取引当事者にチョイスを与える、選択の機会を与えるというようなことで、円建てBA市場の問題についても積極的なスタンスで検討をする必要がある。それからまた、この経常取引、貿易取引における円の使用というものも、やはり取引の当事者がどの程度円を自由に調達し、またその取得した円をどの程度自由に効率的に運用できるかというような問題も絡んでいるわけでございます。そういう意味で、この円の国際化を考えていく場合に、私ども金融・資本市場の自由化、それが基本となるべきである。円の国際化というものを、仮に円が国際取引において使用、保有されることというふうに認識するならば、堀先生が先ほど御指摘のように、やはり国内の市場において外国の人等が円資金を十分調達し、運用をすることを拡大していく、それが基本であるべきである。確かにユーロ市場というものはございますが、これはやはり国内の金融・資本市場の自由化と平仄を合わせると申しますか、そういうような位置づけで考えるべきじゃなかろうかというふうに思っております。
 そこで、具体的にユーロ市場の問題になりますと、ユーロ市場では債券の問題それからCDの問題、ローンの問題がございます。それぞれ居住者、非居住者が短期資金あるいは中長期資金の調達、運用の場としての存在があるわけでございます。ところが、ユーロ市場というのは全く日本の国内市場と隔絶した存在ではなくて、そこの資金の交流というのが非常に自由である。そしてまた、そこで使用された債券であるとかCDであるとか、そういうものもやはり国内に持ち込まれるという問題もある。他方、国内の市場におきましては、債券の市場におきましてもローンの市場にしましても、いろいろの制度、慣行がある。その自由化というものにも日時がかかる。それでユーロ市場で円の使用を直ちに大幅に自由に認めるというようなことをすれば、国内の金融・資本市場に非常に大きな影響を与えるということは避けがたい問題でございます。
 そういうようなことで、私どもはそういう大きな衝撃、混乱を与えることを回避する。しかし、日本の経済的地位に応じて、ある程度補完的な意味でのユーロ市場での円の使用を許容していくことはやむを得ないというようなことを考えているわけでございまして、来週の作業部会に向けまして現在各国と意見調整等を行っております。
 新聞にいろいろ出ておりまして、私どもも当惑している次第でございますが、私ども、第三回目の作業部会でアメリカ側といろいろ意見交換をいたします。しかし、この円の国際化、金融・資本市場の問題は、先ほど堀先生御指摘のように日本経済のため、日本国民のために考えるべき問題でございます。もちろん、日本の国際的な地位というものも十分念頭に置いていかなければいけませんが、しかし我々の通貨の問題でございますので、この辺は自主的、段階的、積極的に対応していきたいというふうに考えております。
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堀昌雄#25
○堀小委員 どうもありがとうございました。
 今の国金局長の話をベースにしながら、ユーロ円市場の問題についてお伺いをしてみたいと思います。実は私ども新聞でしか承知していないのでわかりませんけれども、この間二回目の円ドル委員会で、今までの円ドル委員会の中ではかなり有意義な会議であるというふうにアメリカ側は言ったそうであるというふうに新聞に伝えられておるのですが、その後でリーガン長官が来て、日本はできることを何もしないんだという大変強硬な御発言があったというふうに新聞報道しているわけですね。私ども、アメリカのことですからよくわかりませんけれども、せっかく今の円ドル委員会というのが設けられて、そこで事務ベースでそれなりの話が煮詰まってくる。ところが、政治ベースではそれにちょっとかかわりのない格好で出てくるというのは、どうも極めて政治的過ぎる対応ではないか、私はこんなふうに感じているわけであります。
 その一つの感じがそれと、もう一つ、アメリカ側の要望を見ております中に、あの円ドル委員会のメンバーの中にマルフォードさんという方がおられますね。この方は本来証券会社に長くいらした方だと私は聞いておるのでありますが、今のリーガン長官もメリル・リンチに長くおいでになって、後半会長もしていらした。見ておりますと、アメリカ政治という感じよりも、どうもウォールストリート代表みたいな感じの問題提起が、私のひがみかもわかりませんが感じられるというような気がいたします。
 そこで、これはちょっと皆さんにお伺いをするわけなんですが、一つ私が納得がいかないのは、このユーロ円債の引受幹事はオープンにすべきだという要求があるようですね。これまでは日本は、ユーロ円債は日本側の者が主幹事だということでやってきている。聞くところによると、スイスでもドイツでもフランスでも皆、彼らがそこで発行しておるものについては、おのおのその国の者が主幹事をやっている。アメリカはやってない。アメリカは、ユーロ市場というのはユーロダラー市場で、世界のキーカレンシーですから、それは別にその必要はないのじゃないかと思うのです。これまでそういうふうになっていたのは、聞くところによると、やはり通貨主権という物の考え方が下敷きになっておるというように私は聞いておるのでありますけれども、この問題は、一面からすると、何か銀行、証券の問題という認識の仕方もあろうかと思うのですが、私はそういう問題を離れて、マルクもスイス・フランもポンドもおのおのの国の者が主幹事をやっているというのは、おのおのの通貨主権というものを下敷きにそうなっているのではないだろうか。日本もそれなりにそうなっているのに、アメリカがそれはオープンにしろというのはちょっと筋が通らないのではないか。銀行、証券の問題は別の問題として、今の通貨主権という立場から見ると、これは何も譲歩する必要はないのではないか。聞くところによると、外為法等チェックの方法はあるということが新聞にも伝えられておるのですね。これは国金局の方で、何か方法はあるということをちょっと新聞で見たのですけれども、どうなんでしょうか。
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酒井健三#26
○酒井政府委員 ユーロ円債の発行の法律的な取り扱いでございますが、居住者が発行するユーロ円債につきましては、外為法によりまして審査つき事前届け出で済むということになっております。ところが、非居住者の発行する債券につきましては許可を要するという扱いになっております。
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堀昌雄#27
○堀小委員 そこで、そういう歯どめがかかっているからオープンにしてもいいじゃないかという話もあるのかもしれませんが、その前に通貨主権の問題の方に比重をかけてやるべきで、後の方はやがて、今の法律改正その他の問題に圧力がまたかかってくるのだろうと私は思うのですね。非居住者が許可制というのはおかしいじゃないか、少なくとも居住者並みにやれとか、居住者だって自由にせよというのを聞きますと、結局、今歯どめがあっても歯どめは必ず先では外されてしまう。そうすると、どうも一つこれはというのは、マルクやスイス・フランやポンドがオープンになるのなら日本もオープンにしましょうというのが、日本の国益といいますか、そういう通貨主権を守る一つの道であって、後の歯どめの方は必ず取っ払われる、私は実はこういう気持ちなんですね。ですから、そういう意味では大変重要な案件だと思うのですが、ちょっと澄田副総裁もお答えしにくい案件かもしれませんが、通貨は日本銀行と私は思っておりますので、通貨主権という問題の角度からこの問題をどういうふうにお考えになっていますか。
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澄田智#28
○澄田参考人 私は、円ドル委員会の場面でどういう要望が出され、どういう話し合いになっておるかということは具体的には承知いたしておりませんし、それから今御指摘の問題について日本銀行という立場で何か申し上げるということはいかがかと思いますので、私の感じだけを述べさせていただきます。
 通貨主権ということで、一国の通貨に対する広義のコントロールを維持する。そのために、海外で取引される場合にも、必要に応じて何らかのコントロールの手段を残しておく、そういう体制が必要ではないか。こういうことで、今御指摘のように、西ドイツを初め、その他の国々も主幹事を確保するというようなことでコントロールの手段を残している、こういうことではないかと思います。ユーロマルク債の場合に、主幹事というようなことでドイツの銀行がやる。そしてドイツの市場委員会で調整をする、そういうようなことでやっているように聞いております。
 この点について、現時点におきましては、原則自由化されたとはいえ、酒井局長のお話がありましたように、我が国の外為法の方がコントロールが強い、現状においてはそういう状態であるということで、むしろそういう法的規制が全くないところにおいて、主幹事というようなことを通じてコントロールの手段が残されているのではないか、そういうふうに理解をしておるわけでございます。したがいまして、現時点においてのお話としては、コントロールの手段はむしろ日本の方がより強く確保してあると申しますか、確かな方法として確保してある、こういうことは言えるのではないかと、これは私見でございますが、思っております。
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堀昌雄#29
○堀小委員 草場参考人。
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