津田実の発言 (法務委員会)
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○津田説明員 昨年の議定書は刑事裁判権の行使に関する議定書でございまして、国際連合の軍隊の日本に駐もいたしまする万般の事柄を協定したものではないわけでございます。刑事裁判権のみ一番重要な問題として最初に妥結いたしました。しかしながらその当時といたしましては、まだ他の財政関係その他の事項については妥結いたしておりませんので、とりあえず刑事裁判権だけを切り離して昨年の議定書といたしたわけであります。それにつきましては諸国が署名をいたしまして現に発効をしておる国は、オーストラリア、カナダ、ニユージーランド、グレート・ブリテン、北アイルランド連合、すなわちイギリス、南阿連邦、フイリピン共和国、フランス、イタリア、それだけが署名をいたしまして、これは全部発効いたしました。それからオランダは署名をいたしておりますが、まだ本国が批准いたしておりませんので、発効いたさないのでありますが、そういうことに相なつておるわけでございます。従いましてそれらの諸国との間におきましては、現在はその議定書に基いて刑事裁判権を措置しておる、従いまして国内的手続といたしましては議定書に伴う刑事特別法、昨年十一月十二日に公布になりましたあの法律が適用されておるわけです。ところが本年の二月十九日に至りまして全部の協定ができ上つて、昨年の議定書の内容がそのまま今度の協定の中に取入れられたわけでございます。もとより昨年の議定書には、木協定ができる際はそれに統合されるということがあらかじめ合意されておりますから、それは当然の措置ということになります。ところが今度の議定書に署名いたしております国々はオーストラリア、カナダ、ニユージーランド、グレート・ブリテン及び北アイルランド、すなわちイギリスと、南アフリカ連邦及びフイリピンの六箇国で、フランス、イタリア、オランダはまだ署名いたしておりません。そういうふうになりまして、今度この協定が国会の承認を得て発効いたしますと、これらの諸国のうち、無条件で発効することになつておりますイギリス、オーストラリア、フイリピンにつきましては、日本について発効すると同時に発効いたします。そういたしますと前の議定書は、当該発効国との間に本協定発効と入れかわりに効力がなくなるわけであります。ところが今予定されておりますイギリス、オーストラリア、フィリピン以外の諸国につきましては、本協定が発効いたしませんので、依然として昨年の議定書が効力を有しておつて、本協定はまだ発効しないまま署名した状態のままで存続しておる、こういう形になります。そこでそれらの諸国との間につきましては議定書が効力を有するわけでありますから、従つて刑事特別法は議定書に伴う刑事特別法でなければならぬわけであります。ところがすでに署名して、無条件で発効いたすことになつておりなすイギリス、オーストラリア、フイリピンにつきましては、発効のあかつきは今度の議定書に伴う法律である必要がある。そういうふうに、まつたく内容は同じでございますけれども、根拠たる条約を異にするわけでございまして、従つて両方共通に一つの国内法を使うということが立法技術上困難な点もございまするのみならず、運用の面におきましてはいろいろごたごたいたしまして、たとえば裁判所で引用いたします場合等におきましてもめんどうがあるというような点が出て参るということが予想されます。そういう理由から別個の刑事特別法をつくりまして、順次この新しい協定に前の議定書署名国が乗り移るように、当該国との間にはその刑事特別法の効力をなくして行く。そして前の議定書の署名国が本協定の署名国となつて発効いたしました場合には前の議定書の効力をなくして、これを永久に抹殺してしまう、こういう技術をとつたわけでございます。