山本勝市の発言 (大蔵委員会税制に関する小委員会)
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○山本(勝)小委員 国会が終った早々で、お疲れのところ皆さんまことに恐縮でありますが、かねて私は、予算委員会におきましても若干の質問を申し上げたのでありますが、今日相続税法が日本の実態にそぐわぬ点があって、税金をとる方の側でも、また納める方の側でも、非常に困っておるということは、これは争いのない事実だと思うのであります。これは一、二年前のことでありますけれども、ある税務署長から、何とか相続税法を変えてほしい、このままでは実際徴税に当っておる自分たちとしても矛盾に耐えられないというふうな、深刻な陳情を私は受けたのであります。税務署長からそういう種類の陳情を受けるということは、ほかには私は一回も例がないのであります。だんだん当ってみますと、たとえば農村におきましては、御案内の通り自作農を維持するということが、戦前戦後にわたっての一貫した方針であって、自作農の経営の安定のためには、各種の措置をいたして参っておるのであります。ところが税法の上におきましては、そういった農業が、言葉は適当でないかもしれませんけれども、一つの家産のような、あるいは家業として相続されておる、これは一般的な事実であります。戦前はもちろん、戦後といえども変りはありません。ところが家業を相続した場合に、相続税法では、そういう家業を相続するという考え方はみじんも入っておらぬのでありまして、黙ってほっておけば、その農家の財産は、被相続人が死んだとたんに多くの子供やその他の相続人に分散してしまう。そこで、これを分散させないというためには、その相続権を放棄するというふうな手続をとらねばならぬわけでありますが、実際は家業として相続されておるために、これが権利を放棄するということが一般の形になっておりますけれども、放棄すれば、今度は相続税が非常にたくさんかかる。五十万円という基礎控除がありましても、今日の農業は、農機具やらその他の実情を見ますと、五十万円なんというものはすぐ突破してしまうのであります。ところが現金がなかなかない。埼玉の私どもの選挙区は、全国の農村でも比較的余裕のある方だと思いますけれども、それでも、大部分は分納をしておるわけです。分納でありますから、当然利息を支払わなければならぬ。その利息を免除する方法は税制の上では全然ない。こういうのでありまして、分納すらもうまくいかぬというところから、一昨年でありましたか、この委員会ではありませんけれども、農林、委員会が審議をしまして相続税その他の支払いに窮した場合、その田畑を一売らなければ相続税が払えないというふうな場面に当った場合は、そういうことをさせないために、国として安い金利の、年五分で、たしか五カ年間措置の二十カ年賦で相続税を支払うというような制度までも作っておるのです。それも、最初の原案は十五年ということでありましたけれども、委員会ではさらに五年を追加して、二十年間に払う、そういう非常に親切な方法までとっておるのは、一に自作農の経営を分散させないで、安定させていこうという趣意から出てきておるわけです。これは一例であります。ところが相続税法は、そういうことはみじんも考えないで、相続と同時に分散してしまう。分散させないためには権利を放棄しなければならぬ。権利を放棄すれば税はたくさんかかる。税をのがれようとして、分散していないにかかわらず、たくさんの子供や兄弟に分散した形をとって税をのがれておる村もあります。しかしそういうのは一種の脱税でありますから、実際上はわからなくて済みましても、そういうことをやった結果は、いつかはどこかへ出てくる。どうもそういうことが税務署としても非常に困る、こういう点のようであります。内藤友明君でありましたか、内藤君の方では、こういう合法的な方法があって、これは税務署でも認めて、非合法ではないと言っておるというようなことを、内藤君から聞いたのでありますか、詳しくは研究しておりませんけれども、内藤君の説明では、何でも小さな子供に相続をさして——相続か贈与か、どちらか知りませんが、やって、そしてそれから借金をして、その借金を養育費で落していく、十二、三年の養育費で落していけば、これが払ったことになって相続税も払わないで、しかも非合法にならないでいけるのだということを聞きました。これも、法律の盲点はそこにあるかもしれませんが、好ましい方法ではない。これは、代議士の諸君でもいろいろ当ってみますとみんながそのことは私と同じ考えで、何とかしなければならぬということを言っておりますし、またいろいろ農家について、私は実は部落会を開いて、一週間ばかり各部落を歩いてみましたが、どこへ行きましても、その話を持ち出すと、みんなが非常に目の色を変えて、何とかしてほしいということを言っておるのであります。それが大きな問題にならないで今日まできておるのは、結局ほかの税と違って、一生に一度は必ず来ることでございますけれども、しかし一度来るだけのことであり、しかもそれは、みな一緒に相続の事実は起らない。ですから、そこにたまたまぶつかったときに、一人々々が泣いていくという事実であるために、これが大きく取り上げられていないのでありまして、その証拠に、こちらから問題を出したが最後、みな飛びついて訴えてくるのであります。先般の税制改革に当っても、私はおそらく税制調査会でも、これは問題になったことだと思うのであります。どこまで深く掘り下げられたか知りませんが、結果は、今回の税制改革では、少しもその点は触れないできております。触れないだけではなしに、今回の予算を見ますと、昨年に比べて、農家の場合でいいますと、農家の耕地の評価額が、昨年よりもことしは評価の基準が上って参りまして、このまま参りますと、すでにこれまでの税制で困っておる上に、さらにその評価基準が引き上げられたという関係から、その弊害がさらに加わってくることになると思うのであります。ですから、これは一朝一夕にすぐ右から左に変えるということはできませんし、すべきことでもないですけれども、しかしこのまま置くべき問題じゃない、実際一人々々泣いておることは間違いないのであります。税率書自身も、現場におられた方に聞かれればわかりますが、その矛盾というか、不公平というか、取扱いに困っておることも事実で、御承知のはずであります。主税局の方では、かねがね研究もしておられるということであります。今回は時間もありませんから、問題点として、将来の方向はどういうふうに行ったらよかろうかというようなことを一緒に研究していく意味で、ざっくばらんに、こういうふうにすればこういう点に障害がある、しかしそうかといって、ごうすればこういう点に障害がある。また現実に対してもどういうふうに見ておられるか、結局は現状がいいというのか、いやそうは思わぬというのか、その辺も打ち解けた研究会のつもりで審議を進めていただきたい。