千葉信の発言 (法務委員会)
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○千葉信君 私の申し上げたい問題に、ただいま委員長発言で若干触れられましたが、私は今回この裁判官あるいは検察官の報酬、俸給等に関する法律案の審議にあたりまして、第一点は、この法律案を審議する所管の委員会として法務委員会が審議をするという点に疑点を有し、さらにまた、昨日問題となりましたこの法律案の提案理由の説明者、いわば特別職の給与の決定等に関する権限はどこにあるのかという問題に関連しまして、私の意見としては国家行政組織法なり、あるいは各省設置法、なかんずく総理府、大蔵両省設置法等の関連から見て、担当者は大蔵大臣だという見解に立っており、従ってこの法律案の提案理由の説明者は大蔵大臣でなくてはならないという立場を今でもとっている次第ですが、しかし、きょうは国会の会期の関係もありますので、この問題点についての最終結論を今直ちに得ることが非常に困難だという段階を了承しまして、今回は当法務委員会で審議をし、さらに、今委員長からお話がありましたように、とりあえず今回は法務大臣の説明を了承して委員会の審議に入るということを私は納得して、これからこの法律案の審議に入りたいと存じます。しかし、ただ私は一言私の主張に関してここで明らかに申し上げておいて、そうして今委員長が言われたように、機会をあらためてこの問題の適正な解決をはかるというその前提とするために、私は若干この私の意見について触れておきたいと思う次第でございます。
政府の方では、一般職の職員に対する給与の改定等の関係についての専任大臣としては、閣議の決定によりまして、現在迫水国務大臣がこれを担当する形になっています。こういう形をとらざるを得なかったのは、総理府設置法によるところの他の所掌事務に属せざる事項として、総理府が担当しているその事務の中に、この一般職の職員の給与に関する事務なるものが含まれておりまして、従って総理府設置法によりましてこれは総務長官の担当ということになっておりまするけれども、総務長官は国務大臣でないという現実の問題がありますために、どうしても国会における提案理由の説明なり質疑応答に対処するためには、閣議に発言する資格のある者がこれを担当しなければならぬという意味で、国務大臣の迫水君がそれを担当することになっているのでございます。従ってそういう総理府の担当ということになりました各省分担事項に該当せざる事項が、一般職の職員に関する給与の問題でありますが、特別職の関係になりますと、これは大蔵省設置法に規定されておりまして、大蔵省設置法の定めるところによって大蔵大臣の担当ということになっている。従って、一般職の給与の改定の問題ないしは特別職の給与の改定等の問題については、他の平常における一般的な行政事務と違って、非常に高度の変革を要する、いわば政治的な解決を要する重大な問題だという建前で、本来ならば総理大臣の所掌すべき問題なのでありまするけれども、今申し上げたように二つの機関にこれは分けられております、分担されておりまして、これは大きな問題に関連して、他の一般行政事務と全く同じような解釈をとるということは、それ自体が問題の重要性を認識していない考え方になると私は判断しております。私は時間がありませんから、簡略に申し上げますが、昨日委員長理事打合会で問題となりましたこの担当大臣の解明の問題に関しまして、委員部長あるいは法制局の担当者ないしは内閣の法制局の担当者の主張によりますと、まあ私の意見もかなり重要視されている状態でございましたが、しかし結論としては大蔵省設置法にいうところの特別職の給与を管理するという大蔵省設置法の建前と、この際は法務省設置法の第二条第九号の「司法制度及び法務に関する法令案の作成に関する事項」、こういう分担事項があるから、裁判官であるとかあるいは検察官に関する俸給改定等の仕事もこれは法務大臣の所管だというこういう解釈でございます。一方では、大蔵省設置法によりますと、第八条の第十九号で「特別職である国家公務員等に関する給与制度を管理すること。」この二つの権限が競合しているんだ、従って法務省設置法によると、第二条第九号に基づいて、はっきり権限がある、そうして従来の国会における慣行もあることだから、この際は法務大臣が提案理由の説明に当たることもあえて異とするに当たらないというそういう意見が開陳されました。しかし、私はこの法務省設置法に言うところの「司法制度及び法務に関する法令案の作成」云々という条項が、非常に大きな問題であるところの給与の改定等の問題に関する条項を規定したものとは、どうしても解釈することができない。他の一般的ないわゆる司法制度に関するものないしは法務に関するという問題であれば、それは当然法務大臣の所掌であるけれども、給与改定のごとき、利害関係者はもちろんのこと、場合によれば非常に多額の国費を必要とする給与制度そのものの改定等に関して、法務大臣にその改定の権限ありなどという解釈は、この条文からは絶対出てこない。まあそういう立場からしますと、当然これは私の解釈によりますと、国会に対する法律案の提案権そのものは、行政府の中には内閣総理大臣一人しかない。それを内閣法に基づいて所掌事務を分担している各大臣がその提案理由の説明なり質疑応答に対処するという、こういう点については、国家行政組織法に基づいて各大臣の所掌事務は明確でなければならないし、従ってまた、その権限においても責任においても、完全に区分されたものでなくてはならないというのが、行政組織法、根拠法の命ずるところだ。そういう点から見まして、私は、どうも現実の問題としても、たとえば裁判官なりあるいは検察官の俸給改定についての権限を法務大臣が持っているなどという、はなはだ非現実的な解釈の上に立って、しかも、その根拠とする法律の条文のごときは、法務省設置法の第二条第九号などというのは、私はおおよそナンセンスだと判断している。
私は、きのうの委員長理事打合会も経過しましたけれども、私のこの意見はどうしても変更できない。疑点ははっきり残っておりますから、この点については、将来もこの主張を貫くつもりですけれども、ただ今回の場合におきましては、国会の会期の関係もあり、先ほど委員長発言もありました通り、適正な解決の時期を次の機会に求めることにして、私は委員長が議事を進行されることに賛成いたします。