津田実の発言 (法務委員会)

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○政府委員(津田実君) 今回の二法律案によりまして若干の裁判官の報酬、検察官の俸給の改善がなされるわけでございますが、これは御承知のとおり人事院勧告に基づきまして一般職の給与に関する法律の一部を改正いたしますことに準じまして改善をいたすわけでございまして、この法律案の内容によって裁判官に対する待遇が根本的に改善されるという性質のものではないわけでございます。もとより裁判官の待遇の問題につきましては、かねてから種々の検討なり研究なり調査をいたしておるわけでございまして、今日その点につきまして、画期的な根本的な改善を要するという結論には到達しておるわけでございますけれども、具体的にしからばいかなる形において、いかなる程度に、いかなる標準をもって行なうかということにつきましては、いまだ具体案を得ていないのが現状でございます。もとより、この現在の裁判官の定員につきましても、不満足な点が多々あるわけであり、さらに、差の定員の充足すら困難であるという現状については、十分の認識を持って去るわけでございまするけれども、これらの裁判官の充員が困難である。したがって、裁判官の定員の増加が困難であるという原因に至りましては、はたはだ複雑なものがあると言わざるを得ないというわけでございます。
 その二、三の点を申し上げるわけでございますが、まず、裁判官の報酬の問題、これが主として裁判官の給源になる法曹の中において、いかなる地位を占めているかということであります。現在、裁判官は法曹一元の理想を実現するためには、在野法曹、あるいは当事者たる検察官から選ばれるべきであるのでありますが、検察官の給与につきましてはさておきまして、弁護士の現在の所得と裁判官の報酬との間には、格段の相違があるということが言われておるわけです。その点におきまして、新たに修習生から任官し、あるいは弁護士となろうとする者において、少なくとも弁護士のほうが魅力があるということが出てくるわけで、その点で裁判官になり手が少ないという一つの原因があるわけでございます。これは裁判官の仕事の内容の問題についてもいろいろ問題があるわけでありまして、裁判官の仕事そのものに、はたして現在の司法修習生、すなわち若い法曹志願者の魅力があるかということが問題になるわけであります。現在の裁判官におきましては、あまりに日常の仕事が複雑多岐にわたっておるというようなことでありますので、裁判官のなすべき職務の範囲というような点についても、相当の整理と申しますか、整理を加える必要があるということが考えられるわけであります。これは、主として訴訟法等の問題、あるいは裁判官に相当の補助者を付するというようなことも考えなければならぬわけです。そういう意味におきまして、裁判官の職務そのものに魅力を持たせる、現在のように、裁判官が仕事におぼれると申しますが、用語はまずいかもしれませんが、おぼれて、自分の本来なすべき修養等に時間をさくことが非常に困難であるという実情は、やはり裁判官に対する魅力を失わせる多くの原因の一つであるというふうに考えられます。
 それからもう一つは、やはり裁判官の任地その他の問題であります。弁護士でありますれば、みずから好んだ所に事務所を設けて弁護士の業務を営むことができるわけでありますけれども、裁判官はそれが認められない。少なくとも、裁判官におきまして、任地にある程度の保障はありますけれども、これは、一たん任官いたしました以上、特別の事情がない限りは、それぞれの任地におもむくべき必要があることは当然でありまして、やはりその義務はあるものとなるわけであります。そういたしますと、子弟の教育とか、そういう面に非常に困難を感ずるというような事情がありまして、そういうこともやはり裁判官に対する魅力を減殺する原因となると思うのであります。したがいまして、これらの諸原因をいかにして除去するかということの問題に結局帰着してくるということに考えられるのでありまして、その原因の一つ一つを除去する何らかの方法をとらなければならないわけでありますが、これにつきましては、やはり裁判官の仕事なり、その地位についての一般国民の認識というものが得られなければ、とうていその満足な実現は困難であると考えられますので、それらのいわば一般大方の方々の認識を得るということに努力をしなければならぬというふうに考えておるわけであります。それと同時に、いかにして技術的にかような、いわば裁判官の魅力を減殺する諸要素の除去ができるかということについては日夜その研究をいたしておる次第でございます。
 なお、具体的充員の問題につきましては、最高裁からお答えを願いたいと思います。

発言情報

speech_id: 103915206X00419611017_006

発言者: 津田実

speaker_id: 17127

日付: 1961-10-17

院: 参議院

会議名: 法務委員会