塩崎潤の発言 (大蔵委員会)
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○塩崎政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、課税最低限はいかなる基準によってきめるべきかという基本的な御質問だと思うのでございます。
私は、いろいろ基準がありますが、主として三つの基準からきめられるであろうと思います。第一は、財政上の事情でございます。第二は、所得の再分配を所得税に期待しておるわけでございますが、これをどの程度の階層から始めるかという基準でございます。第三は、やはり、所得のうちでもどうしても支出せざるを得ない生計費的なものがありますれば、それに対しては課税しないほうがいいという、いわゆる生計費との関係。この三つが私は課税最低限の基準だろうと思うのでございます。
そういった意味で、先生は、生計費との関係でいろんな問題があるが、大蔵省は最近逃げ腰であり、この点についてはくさいものにふたをしておるような感じではないか、こういう御質問でございますが、私は決してそういった意味で申し上げておるのではございません。四十年から、御案内のように、生計費、いわゆる基準生計費を出しまして、非常な反響を招いたわけでございます。反響を招きました大きな理由は、何と申しましても、食料費あるいは生計費の見方について、大蔵省の主税局がこれを試算いたしまして課税最低限の基礎にするということ自体がどうもおかしい、税金を取らんがために無理した数字ではないか、こんなふうなお話がございます。私は決してそんなような意図もなかったと思いますけれども、そういうふうな見方が多い。そこで、これは客観的な資料あるいは権威ある外部の方々、あるいは厚生省でもいいかと思いますが、それが税の見地を離れてフランクな生計費を出していただいて、それからひとつ判断してもらう、こういったことのほうが適当である、こんなような意味で言っておるわけでございます。
私は、生計費の関係につきましては、今年度も御要求によりまして、いままでの基準生計費が私どもは正しいと思っておりますけれども、それをもとにいたしまして、四十一年度の消費者物価の上昇見込み五%、それから四十二年度の物価上昇の見込みをかけまして、二百五円というような食料費を一応計算いたしまして、エンゲル係数をいままでのものを借用いたしまして単純に出してみますとこの程度のゆとりがある、あとは、生計費の使い方は人によって違うのでございますから、そこでひとつ判断していただきたいということで出したのでございます。そういった意味から見ても、私は、いままででも適当だといたしますれば、今年度の課税最低限の引き上げは、過去にないほど、平均一八%という大きな引き上げ方でございます。消費者物価の上昇は四・五%という見込みでございますので、一八マイナス四・五%ということで考えていただきましても、これは妥当ではないか。
それから、もう一点は、そんなつくり上げたような恣意の入ったような生計費じゃなくて、現実に総理府の消費支出の家計調査がございます。この家計調査の金額を見ますと、四十一年度は、これはなまのままの数字でございますが、五人世帯で五万九千二百二十一円、食料費が二万一千六百九十二円、これを十二倍いたしまと約七十二万円ばかりになるわけでございます。こんなところから見て、これは平均でございますから、こういう高いところを別に所得税で取らなければならぬとは思いませんし、所得再分配機能はもう少し低いところから始めてもいいと思うのでございますが、そういった意味で適当である、こういうふうに思っております。
なお、所得単位でいまの税法はできておりますが、生計単位と申しますか、世帯単位で考えますと、大体四〇%の世帯は所得税からはずれているというようなことも御参考にしていただきたい。
なお、しかしながら、まだまだ今後におきまして課税最低限の引き上げの要望はいろいろな意味において強いのでございますから、例の百万円の目標というものは、これは私どもの努力すべき大きな目標だと考えております。