近藤道生の発言 (大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○近藤説明員 歩積み・両建て預金の問題につきまして、その経緯と現状の概略を初めに申し上げます。
 大蔵省はかねてから過当な歩積み・両建て預金を自粛整理するように金融機関を指導し、また金融機関におきましてもこれにこたえてその自粛申し合わせを行なってきたのでございますが、御承知のようにその是正はなかなか行なわれない実情でございました。
 昭和三十八年になりまして、衆議院大蔵委員会を中心といたしまして歩積み・両建て預金問題が大きく取り上げられたわけでございますが、種々の議論を経た後、昭和三十九年六月二十五日に同委員会におかれまして「大蔵省は新たなる指導基準を金融機関に示達し、一年間を目途として不当な歩積・両建が完全に解消するよう行政指導を強化する」こと等につきまして決議されたのでございます。
 この決議を受けまして、同日付で大蔵省は各金融団体あてに、歩積み・両建て預金整理指導方針並びに自粛基準を示しました。これがいわゆる第一ラウンドの措置と呼ばれるものでございます。すなわち、この自粛基準におきましては、第一に、自粛整理されるべき過当な歩積み・両建て預金の範囲を明確にする基準を示しました。第二に、この自粛対象預金を、銀行は昭和四十年五月末までの一年間に、相互銀行及び信用金庫は昭和四十一年五月末までの二年間に、それぞれゼロにすることを目途として整理すべき旨を指示いたしております。第三に、全金融機関から各営業店ごとに毎年五月末及び十一月末現在で歩積み・両建て預金等に関する報告を徴求することを指示いたしております。これは今日まで継続して行なわれているところでございます。
 各金融団体はこの銀行局長通達に従ってそれぞれ自粛措置を申し合わせ、実行したのでありますが、金融機関から毎年五月、十一月現在で徴しております報告によりますれば、各金融機関とも所定の期間にその整理を完了いたしたこととされております。
 なお、大蔵省は歩積み・両建て預金の自粛整理を一そう促進するため、昭和四十年十月に歩積み両建て預金苦情相談所を設け、各財務局、財務部所在地の商工会議所におきまして週一回これを開設いたしております。昭和四十一年五月からはこの相談所を全国約百二十カ所に拡張いたしました。
 第一ラウンドの措置は一応所期の成果をあげたのでありますが、昭和四十一年十月三十一日に至りまして、大蔵省は各金融団体に対し、貸し出し金に対する拘束性預金の比率の引き下げ、拘束性預金に対応する貸し出し金の金利の引き下げを内容とする自粛措置の強化を指示いたしました。これがいわゆる第二ラウンドの措置であります。各金融団体はこの通達に従ってそれぞれ自粛措置の強化を申し合わせております。
 この規制措置は、銀行については昭和四十三年十一月、相互銀行については昭和四十四年十一月、信用金庫については昭和四十五年十一月がそれぞれ目標期限になっておりますが、各金融機関からの報告では、銀行、相互銀行においては所定の期限内に目標を達成しております。また信用金庫についてもおおむね予定どおりに自粛措置が進められております。
 このように、第一、第二ラウンドの措置の目標が達成され、歩積み・両建て預金の自粛整理が次第に進められてきましたものの、なお拘束性預金に関する世の非難にはきびしいものがあり、その自粛整理の一そうの徹底が必要と認められるに至りましたので、昨年九月、金利表示の年利建て移行を機会に、大蔵省はあらためて各金融団体に対し、拘束性預金比率の一そうの引き下げ、拘束性預金に対応する貸し出し金の金利の一そうの引き下げ、債務者に対してその預金の拘束の有無の通知の励行等を内容とする自粛措置の徹底についての通達を発したのであります。
 歩積み・両建て預金の自粛整理につきましては以上のほか、銀行検査におきまして常時、検査の重点項目の一つとして取り上げてきております。
 次に現状でございますが、以上の結果、歩積み・両建て預金の自粛整理につきましては、昭和三十八年当時から見れば全般的にはかなりの改善が行なわれたのであります。すなわち、第一に、自粛対象預金のみならず、広く拘束性預金一般につきまして一定基準に従いその対応する貸し出し金の金利が引き下げられております。第二に、拘束性預金の貸し出し金に対する割合、いわゆる拘束性預金比率はかなり大幅に低下いたしました。都銀につきまして申し上げますと、昭和三十九年五月末で一二・二%でありましたものが、昨年十一月末には四・八%にまで下がっております。他の金融機関につきましてもほぼ同様であります。
 また公正取引委員会におかれましても、独自の立場から毎年二回中小企業者を対象に拘束預金の実態についてアンケート調査を行なっておられますが、その調査結果も大勢としては大蔵省調査とほぼ同様の傾向を示しております。その調査結果を都銀について見ますと、拘束性預金比率が三十九年三月末で三二・一%であったものが、四十四年十一月末では八・一%と、かなりの低下を見ております。他の金融機関もほぼ同様であります。
 次に、今後の方針でございますが、このように歩積み・両建て預金の整理のための措置につきましては一応その形は整ったのでございますが、事柄の性質上その根はなかなかに深いものがございます。したがって、今後はその整えられた規制の方式をより実効あらしめるために、実施面において一段のくふうと努力を重ねてまいりたいと存じております。
 その具体的な手段といたしましては、第一に、金融機関検査の際に重点項目として検査、指導することであります。第二に、公正取引委員会と密接な連絡をはかりつつ実効ある指導を進めることでございます。第三に、歩積み・両建てが行なわれる根本的な原因の一つとして、預金獲得の際の過当競争があると考えられます。金融機関の経営態度がいたずらに表面的な預金残高の誇示等の過当競争に走らない、量より質の競争に向かうよう指導、くふうしてまいりたいと考えております。第四に、歩積み・両建ての整理にあたっては、債務者の側においても泣き寝入りをしないような慣行をつくり上げることが重要であります。不満があれば苦情相談所等を大いに活用していただきたいと存じます。またそのためには、金融機関の債務者に対する預金の拘束の有無の通知の励行を特に重視して指導していく必要があろうかと存じます。
 以上、歩積み・両建ての預金規制についての経緯と現状と今後の方針について、簡単に申し上げた次第でございます。

発言情報

speech_id: 106304640X00219700611_002

発言者: 近藤道生

speaker_id: 8893

日付: 1970-06-11

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会