谷村裕の発言 (大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会)

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○谷村参考人 ただいまの御質問の点についてはおおむね大月参考人と基本的な考え方は同じでありますが、若干補足いたします。
 佐藤委員おっしゃいましたとおり、私は、現在の解釈を踏まえます限り、すでに既得権であるからちょっと銀行法にこの際入れておけば、はっきりさせておけばいいのだろうという程度の問題ではない、新たな立法問題であるというふうに考えております。
 その場合、一般に銀行の証券業務というふうな物の言い方が使われておりますけれども、とかく業務という言葉は、何でもビジネスは業務という言葉で言っておりますために、コンピューター業務でありますとかあるいは営繕業務でありますとか、何でもかんでも業務にしてしまいますが、法律上銀行の業務という場合には、御承知のような意味における不特定多数の者を相手として反復継続してある業務を行うようなことを言うわけでありますから、ここで言う証券業務は、まさに現在証取法二条八項が列挙しております各号に入るものが証券業務でありまして、そういう意味で言えば、本来の銀行業務から言えば他業であると私は考えております。銀行が本来当然何らかの形でできるというものではない。その点は長期信用銀行法とも違って考えるべきだと私は考えております。
 その場合、先ほど御指摘ありましたように、五十年に一度でありますか何年に一度でありますか、この際大きな意味での金融法規の改正でございます。この問題の発展してまいりましたいきさつが、たまたま大量発行の国債を引き受けさせられて非常に苦境に立っておりました、そういう立場から、それが売れないものか、あるいはさらに一歩進んでいくと、どうせまた売ったり買ったりしなければならぬ、いやこの際いっそいわゆるバンクディーリング、これは英語を使っておりますからどういうことだかわかりませんが、とにかく証券会社と同じように、四社と同じように公社債市場にみずから乗り出していく、供給者、需要者としてではなしに、ある方は、ちゃんと証券取引所の会員になってやるのだとおっしゃった方もありますけれども、そういう証券会社、野村証券なら野村証券みたいなこともやるのだという話にまでなってしまったのですけれども、私は、銀行法の姿を考えるときに、たまたま国債大量発行というわれわれとしては本来望ましくない姿があることを前提としたような議論のもとに進められることに、大蔵省の先輩として非常に不満を覚えておりますということをつけ加えたいのが一点。
 それから第二点としては、私はわきにおりますから何も申すあれはありませんけれども、仮に他業であるという考え方をとっていただくとするならば、いまの銀行というものは、御承知のように信託も兼営いたしております。世の中では信託銀行と言っておりまして別の銀行があるように思っておりますけれども、そうではなくて、あれは銀行が信託兼営法によって信託を兼営しております。しかもれっきとして信託業法は現存し、信託業法による信託業務を行うものとしては信託会社があるという業法がちゃんと残っております。しかし、実態は銀行が数行兼営しているという姿であります。
 あるいはまた、こういうことで、信託業務のほかに銀行がやっておりますものに登録業務というのがございます。社債等登録法というのがございまして、社債を登録する仕事をある銀行は行えることになっております。これも、銀行法のどこにもそんな規定はございません。銀行法を目をさらのようにして見ましても、登録業務ができるということは書いてございません。これは他業として、社債等登録法の規定によってたまたまある種の銀行がしているということでございます。
 それから、御承知の担保附社債信託法というものによりまして受託業務を銀行はやっております。これも担保附社債信託法によって銀行が兼営をしているのだという姿で、法律は法律で別途あります。業法もございます。ただし銀行法は、当時昭和二年につくりましたときには法律がありましたから、それを引っ張ってきまして、それと付随業務のほかは他業はいけないよ、こうしております。しかし、その後、信託なりあるいは社債等登録法なりというもので銀行の仕事というものをきちっとしております。
 そういう意味で、証券取引法ができ、証券業務というものが確立され、そしてそれをやるのが——さっき大月参考人が言いましたように、ちょっとその辺の法律構成がおかしくなっておりますけれども、少なくとも証券会社というものが免許営業として昭和四十三年以降現存しておる。そして免許営業という特権的な立場に立つものはそれぞれのフィールドを持ってやっていこう、これが日本の行政の基本であると私は思いますが、そういうときにその銀行法の改正に、しかもこの際、国債大量発行ということを前提としたような議論のもとに公共債問題だけを取り上げる。そのときに一体銀行法にどうするかという問題なのか、あるいはむしろ、いま大月参考人も言われましたが、証取法との関係で、他業としての証取法の問題との関連において考える問題なのか、こういったことも、まあ私は、ここまでいってしまうと、もう結構です。どうぞそういうふうにお進めくださいということになってしまいますから、もっぱら論理的な話としてだけ申し上げておきますが、そういうことも、やはり私は、仮に五十年に一度か何か知りませんが、立法という大事な問題を考えられるときには、全体として銀行の姿あるいは金融機関の姿、そしてまた証券業務、証券取引法の姿、そういうものを考えていただきたいということを大蔵のOBの一人として願っているところでございます。

発言情報

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発言者: 谷村裕

speaker_id: 12239

日付: 1980-12-05

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会