大島国雄の発言 (逓信委員会公聴会)

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○大島公述人 ただいま御紹介にあずかりました大島でございます。
 郵便事業は、御存じのように、わが国三公社五現業の一つといたしまして、十三万九千人の職員から成っております代表的な公企業であります。その経営に当たりましては、公共性と企業性、この両面を実現することが根本だと存じております。その場合、公共性及び企業性の概念につきましては、これを抽象的あるいは観念的に理解するのではなくて、具体的かつ科学的に理解することが必要ではないかと思います。
 私の考え方によりますと、公共性と申しますのは、公共所有、公共主体、公共目的、それに公共用役及び公共規制、こういう五つの概念を包括するものでありまして、言いかえますと、所有の公共性、主体の公共性を基礎にいたしまして、公共規制のもとに公共用役を提供することによりまして、目的の公共性を実現するという使命があると思います。また企業性と申しますのは、独立採算制と生産性の向上という二つの原理に支えられました自主的かつ効率的経営を目指すものであります。
 本日のテーマであります郵便料金の改正、料金決定方法の特例の問題及びサービス改善等の問題も、当然にただいま申し上げました公共性と企業性の総合的観点から、科学的に議論さるべきである、こういうふうに存じております。
 まず第一の郵便料金の改正につきましては、言うまでもなく、料金決定の根本にただいま申し上げました独立採算原則があり、さらに原価補償主義と受益者負担原則が遵守されることが不可欠と存じます。
 郵便事業の場合、五十一年一月の料金改定によって、一応財政状態が好転したものの、御存じのように、五十三年度から赤字に転じ、五十四年度末で累積欠損が実に二千百二十四億円に達し、このまま推移いたしますと、五十八年度末には九千二百九十億円の累積欠損が見込まれております。このような状態では、独立採算制が全く侵害されているのでありまして、速やかに赤字の解消を図り、独立採算制を確保し、企業性を維持することが緊急の課題であると考えております。
 こうした状況にありまして、公共性の名において独立採算制を無視し、さらには原価補償主義を放棄することは、公共性そのものをかえって侵害することになることが留意されなければならないと存ずるのであります。国家財政の再建が最も強く求められている現段階におきまして、このことは一層重要な問題ではなかろうかと存じます。
 個々の料金改定について見ますと、はがきは五十四年度で六百十三億円の赤字でありまして、それは実に収入の四〇%にも及んでいることを考えますと、料金を二十円から四十円にすることはやむを得ないことと言わなければならないと存じます。また、封書は五十四年度で四百七十五億円の黒字となっておりますけれども、他の種目の赤字を補てんし、かつ、これまでの累積赤字二千百二十四億円を減らしていくためには、十円の値上げは妥当なものではないかと存じます。今回の値上げによりましても、五十六年度見込みでなお累積欠損金千三百二億円が残るわけでありますが、家計への影響、諸物価との対比、あるいは諸外国の郵便料金とのバランスをも考えますと、全体として一応妥当な料金改定と言えると存じます。
 ところで、公企業の本来の姿は、収支均衡を確保するにとどまらず、進んで最低限の拡大再生産の資金を確保することが必要であり、それによって初めて真の独立採算制ないし企業性が維持し得るものでありまして、今回の改定は、そうした本来の姿から見ますと、なお若干遠いものであるような状態であります。
 次に、料金決定方法の弾力化のための改正について見ますと、これは国鉄を初め公企業の多くが議会による料金決定方式をとってきたことが料金決定をおくらせたりいたしてまいりまして、独立採算制の原則を大きく破る結果の一因となっております。国鉄では、そうした点を改善するために、周知のごとく運賃改定方法の弾力化を採用することになったわけでありますが、郵便事業におきましても、同様の趣旨から、一定の範囲と条件のもとで、第一種及び第二種の料金を、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で省令で定めることに改めるのは妥当な改善策と存ずるのであります。これによって、過度の公共規制から来るゆがみが是正され、公共性と企業性の正しい調和が図られることを期待するものであります。
 以上述べましたような料金改定と料金決定方法の改正は、郵便事業の経営が企業的、効率的に行われ、かつ、国民へのサービス向上を一段と高めることが前提であることは言うまでもございません。したがって、今後もそうした効率的な経営とサービスの向上については、十分に内部努力が払われなければならないと存じます。今回の改正案の中にも、サービス向上の具体案が盛られておりますが、その効果に多大の期待を寄せるものであります。そうした努力によってこそ真に国民のための公共目的が実現するのではないかと存じます。
 なお、終わりに、効率的経営ないし生産性の向上の努力が、かつてのマル生運動のように労使の対立を激化させることのないよう十二分に配慮がなされることを期待するものであります。
 以上で終わります。

発言情報

speech_id: 109304821X00119801024_002

発言者: 大島国雄

speaker_id: 171

日付: 1980-10-24

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会