生内玲子の発言 (逓信委員会公聴会)

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○生内公述人 御紹介いただきました生内玲子でございます。交通とか旅行を中心にいろいろ物を書いておりますので、郵便については素人でございますが、生活関連の記事を書いております関係上、やはり素人なりの関心はかねがね持っております。それと同時に、きょうは女性の公述人は私一人のようですので、家計を預かる主婦の立場からも意見を申し上げたいと思います。ただ、主婦の代表というわけではございませんで、あくまで市井の一主婦としてということでお聞き取りいただければ幸いだと思います。
 最初私がこの問題を考えましたときに、料金改定は好ましくないけれども、まあやむを得なければ渋々賛成しようという立場でございましたが、いろいろ考えてまいりますと、これは大変だということに気がつきました。そして、ぜひ早い時期にこの改定を決定していただきたいというふうな感じになってまいりました。なぜかと申しますと、郵便事業というものは国民の基本的な通信手段でございまして、これが危機に瀕するということは私たち国民一人一人の不利益に直接につながってくると思います。そういった意味で、欠損が大きくならないうちに早く今回の改定を決定していただきたいと思うわけでございます。
 まず、今回の改定がひとつ遅きに失しているのではないかという感じがいたします。昭和二十八年からのデータがありますが、郵便料金の改定はその問三回行われておりますが、これに対して国鉄の旅客運賃の方は十回、それからタクシーが七回、それから公共料金にやや準ずるものといたしまして新聞の購読料などは十二回も改定されているようでございます。また諸外国の例を見ましても、イギリスでは郵便料金の改定がこの昭和二十八年から十二回、フランスが十回、それからアメリカが七回、物価の優等生と言われております西ドイツでさえ六回の改定が行われているというわけでございます。こんなわけで、欠損が大きくならないうちに早く改定していただきたいと望むわけでございます。
 五十一年の改定のとき、このときには石油ショックなどが重なりまして、四十八年、四十九年と改定が見送られたために、大変大幅な料金改定になっていたと記憶いたします。当時、定形の一種の手紙が二十円だったものが現行の五十円に上がり、そして、はがき十円だったものが二十円と二倍になったわけですが、確かに私たち庶民のふところには大きく負担になりました。その結果が数字でもあらわれているわけですが、戦後一貫して数%ずつの割合で伸びてきていた郵便の利用が、この五十一年にはマイナス七・八%になっているわけです。ということは、数%伸びていたものが七・八%減ったといいますと、伸びるべきものが伸びなかったということまで入れますと、二けた台の減少ということになりまして、それだけ私どもはどこかで無理をして不便な思いをしなければならないという状態に立ち至っていたのだと思います。このときにはがきを十円から二十円に改定いたしましたが、そのときですら実ははがき三十円というのが答申に出ていたものを、諸般の事情などを考えて十円控えたというふうに承っております。
 それでは、今日私たちの家計に対して今回の料金改定がどのように影響するかということなのですが、この数字は実は受け売りなのでございますが、一家族の、郵便のために使っている費用が、五十四年度中平均いたしますと三千百八十九円、月割りにして二百六十六円になるそうです。家計に対する割合が〇・一%、このほかに多少ポケットマネーなどから出しているものもあるそうですが、およそ〇・一%。それでは改定後どのくらい影響するかといいますと、一カ月百十円程度だそうです。ただ、五十五年度中ははがきについては四十円にしないで三十円ということでございますので、五十五年度中はもう少し負担が少なくて済むのではないかと思います。諸物価に対するはね返り〇・〇四%、このくらいならば以前と違って不自由な思いをして郵便を使うことを差し控えたりしなくても済むのではないかというふうに考えております。
 今回のはがきについての非常に大きな幅の改定、これが急に二倍になって大き過ぎるのではないかという声がございますが、よく考えてみますと、郵便事業というのは全く手づくりの作業でございまして、私もいただいた資料などから数えてみましたら、中継局での作業を入れますと十九もございますが、これだけの手数を経て北海道から九州まででも届けてもらえるものが二十円では、いかに何でも安過ぎるのではなかろうかという気がいたしました。
 郵政省さんでは二十円で何が買えるかというような資料を出していらっしゃいますが、それによると、仁丹三十粒、割りばし一・七本、セブンスター二・二本、これが買えますというのですが、実はこのデータ、うそなんですね。買えません。だって、仁丹三十粒下さいと言ってお店に行く勇気がありますか、割りばし一・七本下さいと言って買うことができますか。割りばし一本欲しければ、おそば屋さんへ行って、こっそり、店員が向こうを向いてるすきにポケットへ入れてくるしかない。買えません。私はきのうスーパーへ行って、一階から三階までずっと歩いてみました。二十円の物、何にもありませんでした。やっと見つけたのが、ボタンの半端物の安売り二十円ということで、何かそこらから拾ったような落ちこぼれのボタンのようなものが箱に入っておりました。ボタン一つ買っても何にもならないと思います。そういった意味で、ちょっと安過ぎるのではなかろうかという感じがいたします。
 私よく外国へも取材に参りますが、外国で見ておりますと、手紙とはがきというものは余り値段の違いがないんですね。フランス、イギリスなどでは同じ値段です。それから、アメリカの場合には、はがき十セント、手紙が十五セントということで、五割増しということです。それから西ドイツでは、はがきが五十ペニヒ、手紙が六十ペニヒということで、手数から考えればこのくらいの差が妥当ではないか。したがって今回の改正が妥当ではないかという感じがいたします。日本では、はがき一銭五厘、手紙三銭以来何となく半額で出せるというような、特にいまははがきがなおさら安くなっておりますが、こんな慣習がありますが、手数を考えれば、やはりこのくらいの割合が妥当であると思います。
 それから、はがきは低所得者層が多く使うものなので、これに大幅な値上げを課すということはおかしいのではないかと言われておりますが、はがきの需要は全郵便の半分を超えているそうでございます。ところが、日本はほとんどが中流意識を持っている。低所得者層というのはきわめて少ない。で、こういった低所得の方々を優遇することに便乗して、いわゆる中産階級と言われる方たちが安い料金ではがきを利用し、そしてほかの郵便を負担するところに負担をかけてしまっているというのは、別の意味で言えば大きな不公正を生じるものと思います。したがって、福祉の観点から所得の低い方々を大切にしなければならないということはよくわかりますが、これはやはり社会給付を手厚くするなど、郵便事業でない別のところでぜひやっていただくべきことだと思います。
 それから、もう一つ改定を早くやっていただきたいと申します理由は、サービスが低下するのはかなわないということです。私も現に毎日二回ずつ宅配をしていただいて大変ありがたいと思っておりますが、日本では宅配を二回行っているところが四五・六%、これに対して、イギリスは多少この割合が多いようですが、フランスあたりで三四%、アメリカでは二回配っているところはわずか二%、西ドイツでは一日二回配るというところは全くないそうでございます。それから、速達の配達地域にいたしましても、日本では全世帯の九一%が速達の恩恵をこうむることができるというようなことで、まあ日本の郵便事業というのは世界に誇っていいものではないかと思います。こういったものが不便になってしまうのではかなわない、欠損を生じたからというのでサービスが後退してはかなわないと思います6もっとも、審議会の答申では、一日二回配る必要はないんでないか、合理化という観点から一日一回でよいではないかというような答申が出ているようですが、これはこの時点ではさておきたいと思います。
 それからまた、欠損が大きくなって機械化がおくれてしまっては困るということ。
 それから、一般会計から赤字補てんをするというのはかえって不公正になるのではないかということです。一般会計というのは、必ず納めなければならない税金から成り立っておりますので、ほかの手段を選択できるような郵便の赤字をこれで埋めるということは全くおかしいことではないかと思います。
 時間をオーバーしてしまって申しわけありません。それから郵便貯金とか保険事業、これは私どもの大切なお金を預かっていただいているものでございますから、こういったものの黒字で郵便事業の赤字を埋めるなどということはとんでもないことだと思います。これは特に庶民の立場から、こんなことのないようにお願いしたいと思います。
 大変勇ましいことを申し上げてしまいましたが、私個人としては、やはり値上げになるのは困るなあという感じがしております。それで、なるべく封書を出すのをやめて、今度料金の改定にならないミニレターというのを多く使おうと思います。ミニレターを使うことによって封筒代、便せん代が浮きますから、その浮いたお金ではがきが上がった分をカバーして何とか暮らしていこうかと思っているわけですが、こういったふうに、料金が変われば自分で選んでほかの方法をとることができるという点でも、この料金というのは税金などのように絶対納めなければならないものと違って選択できるものであるということをおわかりいただけると思います。
 失礼いたしました。

発言情報

speech_id: 109304821X00119801024_006

発言者: 生内玲子

speaker_id: 14229

日付: 1980-10-24

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会