大儀見薫の発言 (逓信委員会公聴会)

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○大儀見公述人 ただいま御紹介にあずかりました大儀見です。
 私ども実際に郵便を使って業としている者ですけれども、きょうはそういう郵便を使って業をなしているということではなくて、日ごろそういう立場におる関係で郵便に対する関心も非常に深いわけですし、そういう立場で、一市民として今後の郵便行政のあり方について深刻に憂えているという観点から御意見を申し上げたいと思います。
 現在審議されております問題は、先ほどから触れておられますように、第一は郵便料金の値上げ、それから第二が郵便料金の値上げの決定の方法について、累積赤字が解消されるまでの間の決定の方法についてこれを省令でできるようにする、それから第三は利用者に対するサービスの改善に関する若干の条項ということですけれども、この第一の郵便料金の値上げとそれから第二の郵便料金の決定方法に関する特例について強く反対したいということで意見を申し上げたいと思います。
 第一の郵便料金の改定ですけれども、先ほどからも触れられていますけれども、政府の当年度の物価値上げ見込みの六・四%が維持できるかできないかわからないという状況になっている、それから現在の物価の値上げが八%前後を推移して、ここ数カ月間、各勤労世帯の実質所得が昨年度の水準を下回っているというような状況の中で、果たしてこの時点で平均三九%というような大幅な郵便料金の値上げを強行しなければいけないのかどうかということをやはり考えてみる必要があると思います。
 現在の提案されております郵便料金値上げ案が出されましたときに、五十四年度の予算として郵便事業は約四百七十三億の赤字を見込んでおりました。それから五十五年度の概算要求としては何と一千百七十七億の赤字が出るということを根拠にして今回の大幅値上げ案が決定されてきたわけですけれども、実際にふたをあけてみれば、五十四年度の赤字は二百二十四億、つまり前回の郵便料金が上がった後に五十三年度で初めて赤字が出たわけですけれども、このときの赤字が二百三十九億、五十四年度はそれを下回る規模で一応抑えることができた。この理由は、郵便通数の利用の伸びが当初見込まれていたものより大幅に伸びた、六・八%くらいのベースで伸びたということです。
 ちなみに、五十四年度の決算の数字と今度の値上げ案の前提になった五十五年度の概算要求の数字を比較しますと、収入の方は八千六百九十一億が五十四年度の実績ですけれども、五十五年度概算要求ではこれが八千七百八十億、わずか八十九億、一%のアップしか見ていなかった。支出の方はどうかといいますと、五十四年度の実績が八千九百十五億に対して、概算要求では何と九千九百五十七億、一千億以上、一一・七%のアップが見込まれていたのが実情なわけです。
 現在の五十四年度の実績の水準に対しまして、収入を通数の伸びに見合った六・八%とみて計算し、かつ支出の方を、前年度の実績に対して五・七五くらいのアップだったのですけれども、それを少し奮発して六%のアップと見ましても、どういうことになるかといいますと、五十五年度で収入が九千二百八十二億に対して支出が九千四百五十億、差し引き百六十八億程度の赤字で済むのがむしろ現状ではないか。これはもちろん小包料金のすでに決めて実施されているアップが含まれておりませんので、当年度内の小包料金による収入増が約九十億見込まれておりますので、実質的に現在の郵便料金全体として赤字にはなっていない。それから小包の赤字が五百億くらい見込まれておりますから、ここで審議されております一種、二種の通常郵便物に関しては当年度は黒字であるというのが実情であってみればなおさらのこと、ここで無理をしてこれだけの大幅な値上げをしなければいけない理由は見当らないというふうに思います。
 それから、個々の通数のあれでいきましても、第一種の原価というものが五十三年度の郵政省から出された数字によりますと約四十一円、その後二年間で六%ずつ上がったとしても現在四十六円で、現行の五十円の料金に対しては四円くらいの黒字がまだ出ている。はがきの方は、二十七円くらいのコストがかかっていたわけですけれども、これにしても六%ずつ上がったとして現在三十一円ということになりまして、四十円の大幅値上げを現時点で強行する理由はさらさらならないということで、具体的に見てみますと、この値上げ案が提案されたときの状況と現在の状況では、通数の伸びに支えられてかなり収支の改善が見られているので、強行すべきではない。
 それからさらに第二の大きな点は、特にこの郵便料金の改定方法について省令で定めることができるということに関連してですけれども、現在のこの郵便事業の財政改善、経営改善の方策に関するアプローチが全く国鉄の場合と同じで、赤字になれば料金を上げる、これでは国鉄財政の改善が成り立たない、むしろ赤字の拡大再生産につながるという路線を文字どおり国鉄の轍を踏むという形ですでに突っ走っているという現状を指摘しないわけにはいかないと思います。
 料金が上がれば当然郵便離れが起こり、結局郵便事業の経営基盤というものは縮小する。先ほど生内さんの方から、前回の郵便料金の値上げで郵便離れのなだれ的な現象が起きたということが指摘されていますけれども、料金問題にかてて加えて、各種通信手段の発展というものは目をみはるものがある、これは将来のものではなくて現在すでに着々と進行している、こういう状況の中で、ちょうど国鉄の場合に、鉄道にかわる手段として自動車あるいは飛行機等の交通網が整備されている中で、総合的な交通政策を立てないで、ただ料金問題という角度から毎年上げていくという結果として国鉄離れ、そしてむしろかえって国鉄の経営基盤の縮小と赤字の拡大再生産につながったということを考えれば、郵便の場合にも、現在の提案されておりますようなコストという観点からこれに見合って料金を上げていくんだということを考えた場合には、むしろ郵便財政と経営の改善にはつながらない、文字どおり近い将来、三K一Uという、米と健保と国鉄に加えて、もう一つ郵便事業が国家財政に対する大変大きな圧迫となって、結局はこの帳じりが何らかの形で、一般消費税の形をとるかどういう形をとるかはわかりませんけれども、国民のツケに回ってくることは避けられない。こういうことから、やはり現時点での郵便料金の値上げについては、むしろ総合的な通信政策の確立という観点で、全体として郵便事業の将来あるべき姿を根本から見直した上で、需要の拡大をいかに図るかということに主眼を置いて郵便財政の改善を図るべきだというふうに考えます。

発言情報

speech_id: 109304821X00119801024_008

発言者: 大儀見薫

speaker_id: 19557

日付: 1980-10-24

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会