松阪麻樹生の発言 (逓信委員会公聴会)
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○松阪公述人 松阪でございます。私は、郵便事業に直接携わっておりません。したがって、いままでの公述人の皆様のように細かい数字は決して詳しくはございません。ただ、公共性と企業性という郵便事業が持っております二つの面において、私自身の、むしろ一人の国民という気持ちで率直な感じを申し上げたいと存じます。
と申しますのは、まず企業性からいいますと、私自身が外資の会社の経営を十五年ほどやっております。収支のバランスということに絶えず非常に気を配り、かなり厳しい見方をするのは当然であります。また、公共の面は郵便のように広くはございませんけれども、ある大きな私立大学の評議員を十数年務めまして、その経営に若干携わっております面で、受益者負担その他において授業料値上げその他の検討を十数年にわたってやってきておりました経験で申し上げたいと存じます。
まず第一の企業性の面、これを申し上げますと、先ほど申し上げましたように企業の収支バランスをとるというのは、これは私ども私企業では死活を制する命題でございます。しかるに、公共料金の面をわれわれなりの目から見ますと、第一次オイルショックと言われます四十八年度においては、その公共料金へのはね返りをかなり政府が抑えられた。その結果として、いろいろな面でのひずみがはっきりその後の各会計の赤字に見られます。先ほど公述人が言われた三Kというのもその最たるものかと思います。それに比しまして、第二次のショックと言われます二年ほど前の際には、第一次ごろに比べますとかなり公共料金にも思い切ってこのコストのアップをはね返らせた政府の施策と私は見ております。結果としてはその方が、経済の新しい一つのスタンダードに立ちましてすべてのことが行われるという面では、むしろ健全に近いのではないかというふうに、企業経営からいいますと見られるわけでございます。
なお、公共性の方から見ますと、これは当然値上げが望ましくないということは言いやすいわけでありますけれども、これもやや皮相な見方だと思います。私自身の偽らざる感覚を言いますと、新聞その他で見ますと国民一人当たり約六十万円の借金をわれわれがしょっている、これがいまの国家財政の現状であるというふうに書いております。これが正しいかどうかは私は知りませんけれども、率直にそういう感じを受けるわけでありまして、その一つの大きな原因としての三Kである。これで郵政が加わりますと、先ほどのように三KにUでありますからサンキューということになるのでしょうけれども、とてもサンキューではございません。これはノーサンキューでございまして、その意味におきましてもこの三KにUが入るようなことを絶対に避けなければならないというふうに思うわけであります。
と申しますのは、先ほどの学校経営におきましても受益者負担の原則というものは根本であります。郵便の料金は郵便を使う者が負担することが受益者負担の原則の原理だと私ははっきり申し上げて差し支えないと思います。しかるに、ここに赤字を補てんするということになりますと、これはむしろ不公正でありまして、国民のそのサービスを受けない人たちからも税金を取ってこれを補てんせざるを得ないのが、これも国家財政及び企業経営、両方からいっても明白であります。これは不公正だと私は思うわけでありまして、その意味において、受益者負担の原則からいっても、公共性からいいましても、しかるべき妥当な価格というものがここに郵便料金の根底になるべきものと思います。
もちろんこれらの面だけではなくて、先ほど生内さんその他から数字を挙げての御説明のごとく、諸外国との比較あるいはほかの諸物価との比較、あるいは他の公共料金的なものの過去の値上げとの比較、その他の面をざっと、私、本当に素人なりに見ただけでも、そのようなことが裏づけられることは、先ほどの公述人の皆さんの御発言でおわかりだと思います。
このようなことで、私自身の結論といたしましては、今回の郵便料金の改正は、企業性からいいましても、公共性からいいましても妥当である、むしろ上げるべきであるというふうに判断せざるを得ないことを率直に申し上げたいと存じます。
もちろん先ほどの大儀見さんからも言われますように、企業性の面からいいますと、郵政の事業にもまだ企業努力の面が多く残されているのではないかと思います。多角化その他におきましても十分に御検討いただく場にいまなりつつあると存じます。ただ原則的には、人件費が八〇を超す、九〇になんなんとするというふうにも聞いておりますので、集配業務というのが人力でやらざるを得ないという実情からいいましても、これはある程度どうしても労力志向の事業であることはわれわれ認めております。その意味におきましても、それらに従事される、郵便業務に従事される皆さん方がもっと、われわれ民間企業で言いますと、いわゆるやる気を起こすということをひとつぜひお願いしたい。そのためにも及ばずながらわれわれも、企業の経験から通して、郵政に携わっていらっしゃいます方々の教育というと失礼でありますけれども、示唆を差し上げるのにやぶさかでございません。
なお、もう一つの案件として出ております郵政大臣の決定及び省令でこれを定める件でありますけれども、これもいま申し上げた第一次オイルショックの後の問題と、第二次ショックの後の問題、いろいろと考えてみますと、もちろんこれは野方図というわけではありませんけれども、枠をつけておきまして、しかし、その中においての機敏なる即応、いまの企業経営の面から見ました健全収支のバランスを即刻即応してとっていくという意味では、このことも必要かと存じます。
以上、非常に端的な、非常に素人的な意見だと思います。しかし、偽らざる国民が持っております簡単な感情も入っております。繰り返し申しますけれども、やはりわれわれが日本の経済というものを、私自身外資として見まして、外から見た日本という力強さはございます反面、国家財政に国民一人当たり六十万円もの借金を負わせている現状というのは、絶対に改善に最高の努力を皆様方ぜひおやりいただきたい。私たちも絶対協力したい。これなくしては日本の本当の意味での国力の発揚は、経済的にいいましてもやはり問題があるというふうに思います。郵政事業、郵便事業がその足を引っ張ることではなくて、むしろ寄与するようにわれわれとしてはひとつやっていただきたいというのが偽らざる気持ちでございます。ありがとうございました。