酒井健三の発言 (大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会)

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○酒井政府委員 私ども、来週の月曜日、火曜日と、第三回目のアドホック円ドル委員会の作業部会をやることにいたしております。
 御承知おきのように、いわゆるこの円ドル委員会というのは、円ドルレート、それから金融・資本市場の自由化問題を論議する大蔵省と財務省との場になっているわけでございます。一体、この円ドル委員会でどういうことが討議されるのか、過日の大蔵委員会でもちょっと申し上げましたが、一つは、この円の国際化という意味で、アメリカ側はユーロ市場の拡大という問題に関心を示しておりますし、二番目は、アメリカの金融機関等が日本の金融・資本市場へ参入する、アクセプトと言っておりますが、それを改善するという問題・三番目は日本の金融・資本市場の自由化の問題、それから四番目が直接投資の投資交流の促進の問題でございます。
 ただ、アメリカ側とこれまで二回の作業部会をやりまして私どもも感じたのですが、アメリカ側が重点を置いて考えておるのは、ユーロ市場の拡大の問題と、三番目の日本の金融・資本市場の自由化の問題でございます。
 そこで、ちょっと時間の関係もございますので、ユーロ市場の拡大の問題につきまして、簡単に御報告させていただきたいと思います。
 アメリカ側は、円ドルレートが日本の基礎的な条件、ファンダメンタルズと申しますか、そういうような経済力を十分に反映していないと認識しておりまして、それが、いろいろアメリカ側のドル高の要因というような基本的な問題もございますが、一つの要因としては、円が国際的に十分使用されていない、さらには金融・資本市場が自由化されていないということが影響しているというふうに認識しているわけでございます。そこで、日本の金融・資本市場の自由化を促進し、円が国際的に使用されるのを許容するように、自由主義世界第二位の経済力を持つようになった日本として、それにふさわしい円の国際的な使用を許容していくということを受け入れるべきであるという気持ちを持っているわけでございます。
 ところが、それぞれの国の金融・資本市場には制度、慣行等がいろいろございます。アメリカにおきまして金融の自由化が進展しておりますが、アメリカでも金利の自由化には十年の日時を要したわけでございます。したがいまして、日本が今後も金利の自由化を進めるにしても、小口預金の金利の自由化に至るまでにはやはり数年かかるのは、これはしょうがない話であろうと思います。
 他方、ユーロ市場を見ると、ここはユーロダラーを中心にして発達してきたわけですが、各国の通貨当局が介入しない、源泉徴収税という税の問題も存在しないような慣行のマーケットである。そこで、日本が経済力も向上したことであり、円がこのユーロマーケットで居住者、非居住者いずれもが資金調達、通用において自由に使用するようなことを検討してほしいという気持ちを持っているわけであります。これに対しまして私どもの基本的な考えは、確かに私ども円の国際化という問題につきましては、今日世界経済における日本の地位を考えますと、これはある程度前向きに取り組む必要があるということで、円の国際化につきましては、大蔵省としては積極的なスタンスで対応していくということを考えているわけでございます。
 ところがしかし、円の国際化というのはいろいろの見方があるかと思いますが、とらえ方としては、取引通貨としての円の使用、それから資本取引における円の使用、公的準備における円の使用、それぞれ三つの面で考える必要があるんじゃなかろうか。
 そこで、経常取引における円の使用。今日輸出、輸入とも円建ての比率がかなり低いという現状でございまして、これはやはり自然な姿ではないので、この辺についてはもちろん取引当事者の選択によるわけでございますが、私どもとして取引当事者にチョイスを与える、選択の機会を与えるというようなことで、円建てBA市場の問題についても積極的なスタンスで検討をする必要がある。それからまた、この経常取引、貿易取引における円の使用というものも、やはり取引の当事者がどの程度円を自由に調達し、またその取得した円をどの程度自由に効率的に運用できるかというような問題も絡んでいるわけでございます。そういう意味で、この円の国際化を考えていく場合に、私ども金融・資本市場の自由化、それが基本となるべきである。円の国際化というものを、仮に円が国際取引において使用、保有されることというふうに認識するならば、堀先生が先ほど御指摘のように、やはり国内の市場において外国の人等が円資金を十分調達し、運用をすることを拡大していく、それが基本であるべきである。確かにユーロ市場というものはございますが、これはやはり国内の金融・資本市場の自由化と平仄を合わせると申しますか、そういうような位置づけで考えるべきじゃなかろうかというふうに思っております。
 そこで、具体的にユーロ市場の問題になりますと、ユーロ市場では債券の問題それからCDの問題、ローンの問題がございます。それぞれ居住者、非居住者が短期資金あるいは中長期資金の調達、運用の場としての存在があるわけでございます。ところが、ユーロ市場というのは全く日本の国内市場と隔絶した存在ではなくて、そこの資金の交流というのが非常に自由である。そしてまた、そこで使用された債券であるとかCDであるとか、そういうものもやはり国内に持ち込まれるという問題もある。他方、国内の市場におきましては、債券の市場におきましてもローンの市場にしましても、いろいろの制度、慣行がある。その自由化というものにも日時がかかる。それでユーロ市場で円の使用を直ちに大幅に自由に認めるというようなことをすれば、国内の金融・資本市場に非常に大きな影響を与えるということは避けがたい問題でございます。
 そういうようなことで、私どもはそういう大きな衝撃、混乱を与えることを回避する。しかし、日本の経済的地位に応じて、ある程度補完的な意味でのユーロ市場での円の使用を許容していくことはやむを得ないというようなことを考えているわけでございまして、来週の作業部会に向けまして現在各国と意見調整等を行っております。
 新聞にいろいろ出ておりまして、私どもも当惑している次第でございますが、私ども、第三回目の作業部会でアメリカ側といろいろ意見交換をいたします。しかし、この円の国際化、金融・資本市場の問題は、先ほど堀先生御指摘のように日本経済のため、日本国民のために考えるべき問題でございます。もちろん、日本の国際的な地位というものも十分念頭に置いていかなければいけませんが、しかし我々の通貨の問題でございますので、この辺は自主的、段階的、積極的に対応していきたいというふうに考えております。

発言情報

speech_id: 110104640X00119840410_024

発言者: 酒井健三

speaker_id: 32711

日付: 1984-04-10

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会