小林大祐の発言 (逓信委員会公聴会)

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○小林公述人 経団連の情報・通信委員会の委員長をしております小林でございます。
 本日、この逓信委員会におきまして、電気通信法制度の改革の問題について私どもの見解を述べる機会をいただきまして、ありがたく存じておる次第でございます。
 経団連では、主として通信のユーザーの立場から、情報・通信委員会が中心となって、産業におけるより一層の情報化、ネットワーク化の推進に取り組んできております。
 特に最近では、通信回線利用の自由化、通信事業への民間参入の実現、電電公社の改革及び民間による衛星通信利用の早期実現など、いわば通信分野のハード、ソフトの両面にわたって、その自由化を要望してまいりました。
 政府・自民党が一昨年七月の臨調基本答申を受けて今国会に提出された電気通信法制度改革に関連する一連の法案、すなわち、日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び関連法律一括整備法案には、経団連が従来要望してきた事項がほぼ取り入れられており、産業界から見て評価できる内容の法案であると思っております。つきましては、ぜひともこれら法案の早期成立をお願いする次第でございます。
 本日はせっかくの機会でございますので、電気通信法制度改革に対する私どもの見解につきまして、今後の課題も含めて御説明申し上げ、御参考に供したいと存じます。
 まず最初に、私どもの基本的認識を申し上げますと、戦後、我が国では基本通信綱としての電話綱の建設に重点が置かれ、電電公社の独占のもとでその建設が行われてきたわけでございますが、その結果今日、電話綱については世界有数の水準にあり、その意味で戦後の通信政策は所期の目的を達したと言えると存じます。
 しかしながら、電話の架設の積滞解消及び全国即時通話化が既に昭和五十三年度に達成され、また、情報通信分野における技術革新が日進月歩で進んでいる今日、利用者、特に産業の通信ニーズは高度化、多様化しておりますので、高度な通信につきましては、従来の全国あまねく公平にという基本理念から、ニーズに応じて機動的にという新たな理念への転換が求められているのではないかと考える次第でございます。
 この点につきまして、やや立ち入って御説明申し上げますと、今後の高度情報通信社会において、情報は物資、エネルギーに次ぐ第三の要素として重視されておりまして、情報を伝送する通信ネットワークは、社会のインフラストラクチャーとして極めて重要になりつつあります。
 特に、産業のネットワーク化は今後の我が国産業の国際競争力を左右する重要な要素であり、多様な通信ニーズの充足と通信コストの低減とは、産業界の切実な要望でございます。
 御案内のとおり、米英では、通信分野に競争を導入することによって、最新の技術革新の成果を通信分野にいち早く導入し、あわせて通信コストを引き下げるという政策をとっております。
 我が国において電電公社が果たしてきた役割は高く評価されてよいと存じますが、公社発足後三十年を経て、電話加入数が四千万を超え、多様化しつつある電気通信サービスのすべてを依然として公社が独占的に提供している中で、合理化意識の希薄化、サービス精神の低下等、巨大独占事業体としての弊害も指摘されるに至っております。
 多様なニューメディアをすべて一元的体制の中に閉じ込めておくことは、技術の発展の見地からも、ニーズに適切にこたえていく上からも好ましくないと存じます。基本通信綱としての電話の普及した今日では、競争する事業体の提供する多様なサービスを利用者が自由に選択できるようにすることが、利用者の利益の増進にかなうことと考えます。我が国においても、通信分野に競争を導入し、民間の創意工夫を積極的に活用することが不可欠と考えるゆえんでございます。
 これを輸送に例えれば、鉄道以外に自動車や飛行機といった新しい交通手段が出現したにもかかわらず、すべての輸送期間を一つの事業体に任せることがいかに不合理か明らかなところだと思います。
 通信の場合一元的運用の必要性がよく言われていますが、これも近年のインターフェース技術の進歩によりまして、複数のネットワークが併存することが可能となっております。
 その意味で私どもは、今回の元気通信法制度改革法案の趣旨は、民営化によって新電電会社に当事者能力を付与し、その活力を十分に発揮させるとともに、競争を導入することによって公共的使命を負った新電電会社とニーズに応じてサービスを提供する民間とが相補完し合い、競争と協調を通じて我が国全体としての電気通信の水準を高めていくことをねらったものと理解し、歓迎しておる次第であります。
 次に、今回の法案の内容に関連して、産業界の立場から、次の四点につきまして御配慮をお願いいたします。
 一つは、通信分野への民間参入を、法律の上だけでなく、現実に可能とすることでございます。何分新電電会社は巨大であり、新規参入者が仮に東京-大阪のようなトラフィックの多い区間に参入したとしても、対等に競争していくことは極めて困難であります。新規参入者が育ち、適正な競争状態が出現するまでは、公正かつ有効な競争確保のための配慮が望まれる次第でございます。
 具体的には、データ通信設備サービス部門の分離等により、新電電会社による内部相互補助を禁止すること、公社体制のもとでの研究開発の成果は国民の財産であり、通信事業全体の発展の見地から適正な対価をもって公開すること、料金決定の面で新規参入が不可能となるようなことのないよう十分配慮すること等が必要であります。
 また、現在私どもは、望ましい新規参入のあり方について勉強をしておりますが、何分我が国では、従来から通信関係の基本データが十分に公開されておりませんので、こうした資料の公開も望まれるわけでございます。
 このほか、国内通信だけでなく、国際通信についても、民間の新規参入が可能となるよう、国が積極的に対外調整に当たっていただくことが望まれます。
 第二は、新電電会社による投資の問題であります。国の基本的な電気通信サービスを担っていく上で、新会社に当事者能力を付与することは、臨調答申の精神に沿うものと思いますが、進出分野あるいは進出の態様によっては問題を生ずるおそれもありますので、慎重な対応を望みたいと存じます。
 第三に、新電電会社のあり方及び電気通信事業法そのものの見放しについては、技術革新が激しく、ユーザーニーズの変化の早い時代でございますので、ぜひとも法案に盛られたとおり、それぞれ所定の期間内に見直しをしていただきたいと考えております。
 第四に、情報通信分野の研究開発につきましては、今後、この分野が我が国の発展に極めて重要な役割を果たすことと認識いたしておりまして、新体制移行後も、我が国全体のこの分野での研究開発力が低下することのないよう、所要の措置が望まれます。
 私どもといたしましては、ソフトとしての通信回線の自由な利用が進めば進むほど、ハードとしての通信綱の高度化に対するニーズが高まりますし、逆に、ハードが高度化し多様化していけば、ソフトも同じように高度化し多様化していくものと考えております。そうした意味で、両者はいわば唇歯輔車の関係にあり、通信のハードとソフトの両面に競争を導入し、民間の活力と創意工夫を生かしてこそ、高度情報通信社会の早期構築が可能になるものと確信いたします。
 以上、いろいろと申し上げましたが、今回の改革は行政改革の面からも、また、今後の我が国の電気通信の高度化を図る面からも、時宜にかなったものと考え、ぜひともその早期実現をお願いしたいと存じます。我が国の場合、VANの開放がおくれた結果、この分野で米国に大きくおくれをとった経験がありますので、ぜひとも今国会でこの法案が成立をするよう重ねてお願いして、私の御説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 小林大祐

speaker_id: 31982

日付: 1984-07-06

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会