曽山克巳の発言 (逓信委員会公聴会)

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○曽山公述人 前の公述人の方がそれぞれ意見を陳述なさいまして、大部分を覆っておりますので、私からダブって申し上げることは避けた方が効果的だと思います。ただ私、本日公述人の肩書といたしましてまかり出ましたのには、電気通信審議会会長代理という役目を仰せつかっておりますので、その関係で、昨年の秋からことしの一月にかけまして郵政大臣の諮問を受けまして審議をいたし、答申をいたしましたところの「二十一世紀に至る電気通信の長期構想」ということについての中身をいま一応思い起こしていただきまして、これに盛られました主な諸点をさらに強調することによりまして諸先生方の参考に供し、できるだけ合理的な、かつまた、理想に近い法律をおつくりいただくようにお願いしたいという趣旨で、申し上げる次第でございます。
 実は私、そう申しましたが、先ほど第一番目にお述べになりました小林公述人は、この電気通信審議会の委員でもございまして、しかも、この長期構想につきましては小委員長をお務めになりました。したがって、私が申すよりもむしろ、小林公述人にお願いした方が本当はいいのでございますが、役目の振り分けから、私は今申しましたようなことで進めさせていただきたいと思うわけでございます。
 実は臨調が、高度成長期を通じまして肥大化した行政のあり方を見直しまして財政再建を図るということで、政府の規制、監督を緩める一方、官あるいは公から民への役割分担変更といった考えのもとに、極めて強い線を出されたことは周知のとおりでございます。
 また、私の次に意見をお述べになります公述人でございます岩村精一洋公述人は、たまたま臨調におきまして電電公社の経営形態につきましての審議をいたしましたときの第四部会長代理でございまして、そういった意味で、後ほどあるいはそういう御意見も出ようかと思いますが、この現在審議されております法案に至ります過程において、臨調論議が一つの引き金になったことは、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、紛れもない事実でございます。
 その線に沿いまして、公社の使命達成論あるいは非能率論のもとで電電公社の経営形態の検討の結果、民営・分割という結論に至ったことはこれまた御存じのとおりでございます。しかし、臨調のお力といたしましても、民業の振興によります経済社会の活性化という視点がありましても、高度情報社会への進展の中で果たすべき電気通信の基本的役割といった長期的展望まで踏まえたビジョンづくりまでには至らなかったと私は思います。
 行政当局のことを一々言うのもどうかと思いますけれども、臨調の論議の始まるのと並行いたしまして、郵政省におきましても、例えば一九八〇年代の電気通信政策のあり方という研究もございましたし、また、特に大事なことは、電気通信システムの将来像に関する調査研究という、むしろ中期的と申しますか、さらに長期的な視点のもとに通信政策を見直し、そして、これもただ役所の作文ということではなくて、部外有識の方々の知恵を完全にまとめまして、いろいろな審議を行ったということでございました。こういった研究の成果を踏まえまして、私ども、大臣の諮問に基づきました長期構想についても審議をいたしたわけでございます。
 今ここで、もう既に先生方御存じの長期構想につきましての答申の中身を御披露するのはいかがかと思いますが、私が当初申し上げましたように、いま一度この重点だけを見返していただきまして、その重点とするところをさらに一、二の点を強調いたしますので、それをさらにお取り上げいただきたいということが私の趣旨でございます。
 答申の中で私、最も重要だと思っておりますことは、電気通信政策の理念をはっきりさせたということだと思います。先ほどどなたかがおっしゃいましたように、理念につきましてはあるいはいろいろな見方がございましょう。ペシミスティックかあるいはオプティミスティックかは別といたしまして、どうも積滞解消ないしは全国自動化達成の後に、いささかその論議が足りなかったのではなかろうかというのが私の意見でございますが、従来の電気通信政策の理念でございました、公衆電気通信サービスを合理的な料金であまねくかつ公平に提供するという理念は踏襲いたします。それにプラスいたしまして、来るべき二十一世紀における高度情報社会の実現を基本理念としているのが答申でございます。
 この場合、高度情報化と申しますのは、これも言うまでもないことでございますが、データベースの充実、さらにニューメディアの開発を通じまして、双方向で多層的な電気通信のトータルネットワークを社会、産業あるいは家庭の全国的な規模で推進するところにございます。その際、あくまで人間中心ということを忘れずに、効率的な産業を可能にし、地域の自立発展につながり、また国際交流が円滑となるという社会をつくり上げることが、真の姿の高度情報化社会ということになることをこの答申でははっきりと言っております。
 そのため、今も申しました積滞解消あるいは全国自動即時化の二大目標の達成の後の新しい課題といたしまして、電気通信の総合的な高度化といいうことを目標にいたしました。ただしその際、要件としましては、第一に、利用者の方々の利益の増進を図る、第二には、国家的利益を確保することを配意するということが必要となっておるわけでございます。今それぞれ申し上げましたが、私、繰り返して申し上げますが、このことが非常に大事なことであるということの御認識をさらに訴えたいわけでございます。
 次に、この基本的な理念でございますところの高度情報社会の実現に向けまして、具体的な方策がいろいろ提言されております。これは時間の関係もございますのでるる申し上げませんが、まず、基本的な電気通信システムの高度化の目標を示しております。
 いろいろございますが、例えて申し上げますと、今世紀におきましては、既存のメタリックケーブルを活用いたしまして、言うところのISDN、つまりサービス総合ディジタル綱というものを全国的にあまねく構築する、あるいは産業用を中心といたしまして広帯域網を構築する、さらには長期的な視野に立ちまして、加入者線系まで光ファイバーの導入を促進していくということでございます。その際、国自身が高度化のための長期指針を定める必要がございます。そしてその上に立って、今回提出されましたような新しい法制度をつくり出して、これによって、先ほど申します新社会に即応していくということを提言しているわけでございます。
 その際、先ほどもいろいろ議論ございましたように、利用者が多様多種なサービスの中から自由に最適なものを選択する体制が必然となってまいりますので、全分野にわたって新規参入を図るということをも提言いたしているわけでございます。
 この答申の最後でございますが、大切な中身といたしましては、これらの方策を実行いたしまして効果あらしめるためには、電気通信分野に優先的に投資が必要になります。そのために例えて申しますと、特別会計あるいは基金などを設置いたしまして、そういった具体的な措置によって情報通信産業の拡充強化をしてもらいたいという要望をいたしております。
 具体的な例としましては、例えば基礎部門におきます研究開発、これはもう既に皆さんが申し上げられました。あるいは衛生通信の利用促進を図っていく、さらには、データベース等の情報ソフトの内容を充実していく、さらに光ファイバーあるいはディジタル化を早期に促進していく、また社会的公共的システムの開発も図っていくということ等がございます。
 もちろん一方では、ITUの機関でありますCCITTに協力いたしまして、これらのニューメディアなりあるいは既存のメディアに対しますところの標準化の推進を図っていく、同時に、電気通信システムの安全性、確実性、信頼性の確保もやっていくということでございます。こういった基盤整備につきましても、ぜひ尽くしてもらいたいという強調をいたしております。
 私といたしましては、先ほども申し上げましたが、今もう既に先生方御存じでございますけれども、重点を置いて申し上げましたこれらの諸点についてさらに御審議をいただき、しかも盛られておりますことを努めて実現していただきますようにお願いし、時期的にも速やかに、今国会におきます審議を可能ならしめるようにお願いしてやまないものでございます。陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 110104821X00119840706_010

発言者: 曽山克巳

speaker_id: 32667

日付: 1984-07-06

院: 衆議院

会議名: 逓信委員会公聴会