松野允彦の発言 (大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会)
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○松野(允)政府委員 本日は、最初に最近の証券市場及び証券会社の状況について御説明し、次に、証券取引に係る基本的な制度の見直し問題について、証券取引審議会基本問題研究会における最近の審議状況と、不公正取引の規制のあり方について同審議会不公正取引特別部会における最近の審議状況につきまして御説明申し上げたいと思います。
まず、最近の証券市場の状況でございますが、昨年の株式市場は、年初から、薄商いの中、軟調に推移いたしまして、四月二日には株価は一時二万八千二円まで下落いたしました。その後、株価は一たん反発をいたしまして、五月中旬から七月下旬にかけては、おおむね三万一千円台から三万三千円台で推移いたしました。
しかしながら、八月二日にイラク軍のクウェートへの侵攻が伝えられますと、市況は再び軟調に転じ、薄商いの中、十月一日には株価は一時一万九千七百八十一円まで下落しました。
このような我が国におきます株価の急落は、中東情勢の不透明感があるとはいえ、我が国経済のファンダメンタルズ及び諸外国における株価の下落幅などから見ましても、急速過ぎるのではないかと考えられました。
そこで、当局及び証券取引所におきましては、市場の状況を踏まえ、株式の現物市場における需給の安定と取引の円滑化を図るとともに、現物・先物両市場のバランスを回復するための措置として、先物取引等の規制の強化及び信用取引規制の緩和等に関する一連の措置を講じたところであります。
その結果、株式市場は概して落ちついた動きとなり、株価も本年初めにかけて二万二千円から二万四千円台で推移してまいりました。
その後、本年一月十七日には湾岸戦争が勃発いたしましたが、戦争の早期終結期待が高まるとともに、原油価格の下落、ニューヨーク株高等を好感し、株価はむしろ堅調な動きを示しておりまして、ごく最近では二万六千円台を回復しております。また、これに伴って、株式市場の売買高も相当程度回復してきております。
このように、最近における株式市場の状況は、おおむね落ちついてきていると考えられますが、当局といたしましては、株式市場の動向について引き続き十分注視してまいりたいと考えております。
次に、株式等の発行市場につきましては、株価が平成二年に入り軟調に推移してきたことから、三月以降時価発行増資等の中止が相次ぎました。その後、株価が反発したことを背景に、平成二年六月より転換社債、ワラント債について発行が再開されました。しかし、時価発行増資については、その後株価が再び軟調に転じたことから、いまだに再開のめどがついていない状況にあります。
次に、最近の証券会社の経営状況について御説明いたします。
証券会社の収益は、株式市況に影響されるところが大きいわけでございますが、平成三年三月期の収益状況は、ここに来て株式市況の好転は見られますものの、昨年来の株式相場の急落や発行市場の閉鎖などの影響が大きく、大幅な減益が見込まれています。
証券会社については、一昨年末までの数年間の株式市場の好調などを受けまして、その財務体質は相当充実されてきております。
また、昨年四月から新たに自己資本規制を導入いたしまして、証券会社経営の健全性の確保について、一層の充実と強化を指導しているところであります。
今後の証券会社の経営につきましては、金融・資本市場の自由化、国際化の進展など環境変化の著しい中にあって、業務の合理化など経営の効率化に努めることにより、より一層の経営基盤の強化を図っていくべきものと考えております。
特に中小証券につきましては、株式公開基準の緩和を図ったところでありますが、今後ともさらにきめ細かい指導を行っていく所存でございます。
次に、証券取引審議会における審議の状況について御説明申し上げます。
まず、証券取引審議会基本問題研究会における審議状況について御説明いたします。
証券取引審議会は、昭和六十三年九月に設置されました基本問題研究会におきまして、金融の自由化、国際化、証券化の進展に対応するため、資本市場全般に関する検討を行ってきております。
現在、基本問題研究会は、証券化への対応、公募概念の見直し、私募についての法整備及び市場仲介者についての検討という三つの問題について審議を行っているところであります。以下、それぞれの問題ごとに議論の概要について申し述べたいと思います。
まず、金融の証券化への対応でございます。
近年、我が国におきましては、証券化の進展に伴いまして、コマーシャルペーパー、住宅ローン債権信託などの証券化関連商品が増加してきておりますが、これについては、現在、証券取引法の適用対象となっておりません。これらの商品については、今後さらに国内における自由な商品開発を促進していくとともに、海外からの持ち込みについても認めていくことが適当であり、そのためには、投資者保護のための一般的な法的枠組みを整備していくことが必要であります。
そのため、証券取引法の有価証券の定義の拡大を行い、証券化関連商品を証券取引法の適用対象にすることが必要であると考えております。
次に、公募概念の見直し、私募についての法整備の問題がございます。
現在の証券取引法では、公募については、不特定多数の者に対し均一の条件で勧誘するものとされ、こうしたものにはディスクロージャーの義務が課されることになっております。しかしながら、不特定多数の概念については、内容が不明確であるとの指摘などがかねてよりなされております。さらに、公募に該当しない発行、いわゆる私募は、証券取引法の適用対象外となっているという問題もあります。
また、金融の証券化の進展などを踏まえ、多種多様な商品の受け皿を整備する必要があること、我が国資本市場のいわゆる空洞化を防止するとともに、一層の国際化を図る必要があることから、公募市場及び私募市場を整備していくことが必要であると考えております。
しかしながら、特に社債については、現在のように公募市場に諸規制、諸慣行が存在し、公募市場が必ずしも十分に機能していない状況を考えると、諸規制、諸慣行の見直しによる公募市場の機能発揮の状況に配慮しつつ、私募市場の機能を拡大していくことが望ましいと考えております。
第三に、資本市場への新規参入についての検討であります。
資本市場への新規参入については、競争の促進を図るという観点から、参入の必要な分野はどこか、参入を認めるとした場合にどのような者が適格かを中心に検討を行っているところであります。
特に、金融機関による証券業務への参入に関しては、利益相反等の弊害を防止し、資本市場の健全な発展を確保する観点から、参入に伴う弊害防止策、市場の安定性への配慮などについて具体的に検討していく必要があると考えております。
次に、証券取引審議会不公正取引特別部会における審議について御説明申し上げます。
証券監督者間の意見交換の場である証券監督者国際機構において勧告された市場仲介者に係る行為規範の我が国への適用について、不公正取引特別部会は去る二月五日に取りまとめを行ったところであります。
この取りまとめは、誠実公平の原則や適合性の原則を法令等に明示的に規定すること、証券会社の役職員に対する行為規範マニュアルを作成すること、及びいわゆる売買一任的な行為については、原則的に禁止することなどを骨子としております。
当局としては、これまでも機会あるごとに証券会社に対し適正な営業姿勢の確立を求めてきたところでありますが、平成元年十二月、大手証券の一部法人顧客に対する損失補てん問題にかんがみ、証券会社の営業姿勢の適正化について通達を発出し、さらに厳正な指導を行っているところでございます。
また、昨年八月には、株価操作事件に関与した証券会社について行政処分をするなど、法令に照らし厳正に対処してきているところであります。
当局としては、今回の特別部会取りまとめを受けまして、今後具体的措置について検討を行うとともに、今後とも証券会社の営業姿勢の適正化について、証券各社に対する厳正な指導、証券会社検査の充実などにより、その実効性の確保を図ってまいりたいと思っております。
次に、店頭市場に対する行為規制の適用について御説明申し上げます。
最近、株式店頭市場が拡大してきていることに伴い、多数の投資者が参入するという状況のもとで、店頭市場の透明性、公正性を確保するため、同市場にも証券取引法上の相場操縦の禁止あるいはいわゆるインサイダー取引規制などの行為規制を適用することが必要となってまいっております。そこで、現在、不公正取引特別部会におきまして、店頭市場に対するこれらの行為規制の適用について御審議いただいているところであります。
以上、最近の証券市場と証券会社の状況、証券取引審議会における最近の審議の状況につき御説明申し上げました。
本格化する自由化、国際化の流れの中で、我が国資本市場は国民経済的にも国際的にも大きな役割を果たしており、このような内外から寄せられる期待に十分こたえていく必要があります。
我が国資本市場の健全かつ安定的な発展を期するため、行政としても引き続き努力していきたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、証券行政の現状について御説明させていただきました。