安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えをいたします。
核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国の協力が必要不可欠であります。今回の交渉には、五核兵器国のどの一か国の出席も得られていません。このような形で核兵器禁止条約を作っても、実際に核兵器が一つでも減ることにはつながりません。また、北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決には結び付きません。
政府としては、核兵器国が参加しないこのような形で条約を作ることは、核兵器国と非核兵器国の亀裂を一層深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざけるものになると考えています。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。被爆者の方々の思いは大変貴重なものであり、重いものです。そうした思いや声はしっかりと受け止めなければならないと思います。
我が国は、核兵器のない世界の実現を真に願うからこそ、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識の下、核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、核兵器のない世界の実現に向けて、核廃絶のための具体的かつ効果的な措置の積み上げを追求してまいります。
南スーダン情勢と武力行使の一体化についてお尋ねがありました。
政府としても、南スーダンの治安情勢は極めて厳しいものと認識しています。他方、武力紛争の当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておらず、参加五原則は一貫して満たされています。また、自衛隊は、安全を確保しながら意義のある活動を継続しています。
ジュバは現在も比較的落ち着いており、先般ジュバを訪問した柴山総理補佐官からも、ジュバ市内の様子は、昨年十一月の前回訪問時よりも更に落ち着きを取り戻している様子だったとの報告を受けています。このような我が国の情勢認識は、国連の認識とも相違するものではありません。
南スーダンPKOのみならず、平和安全法制の下での自衛隊の活動については、他国の武力の行使と一体化を防ぐ仕組みが設けられています。その上で、政府としては、自衛隊の活動する地域の情勢を不断に注視し、適切に判断を行っていく考えです。
稲田大臣についてお尋ねがありました。
稲田大臣は、自らの責任の下、大臣直属の防衛監察本部に対して特別防衛監察の実施を指示し、徹底的な調査により、改めるべき点があれば大臣の責任において改善し、再発防止を図ると述べています。また、駆け付け警護の任務付与などに際しては、自ら南スーダンの現地視察を行うなど、実態を踏まえて答弁を行っており、戦闘行為や武力紛争といった法律上の概念についても、政府として過去一貫した考え方の下、答弁を行っています。
もとより、閣僚の任命責任は全て内閣総理大臣たる私にあります。その上で、稲田大臣には、引き続きしっかりとその職責を果たしてもらいたいと考えています。
南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
今般、現地で活動中の第十一次隊の派遣期間が今月末をもって期限を迎える予定であったことを踏まえ、これまでの検討状況を取りまとめた結果、現在、国連の地域保護部隊の展開が開始されつつあります。また、南スーダン政府は、民族融和を進めるため、国民対話の開始を発表するなど、国内の安定に向けた取組が進展を見せており、また、国連施設の整備は四月末に、道路整備も五月末までに完了する見込みであることから、一定の区切りが立つ五月末を目途に施設部隊の活動は終了することとしたものです。
その上で、グテーレス国連事務総長が、二月二十三日の国連安保理の公式会合において御指摘のような発言をしたことは承知しております。他方、その発言の真意は、現地を訪問したラドスース国連事務次長がキール大統領との会談において強調したとおり、南スーダン国民の幸福を保証する上で、包摂的な政治プロセスが決定的に重要であるとの点にあると承知しています。
我が国としても、南スーダンの治安・人道状況は極めて厳しいものと認識しており、このような我が国の情勢認識は国連の認識とも相違するものではありません。いずれにせよ、参加五原則については、一貫して満たされていると考えています。なお、施設部隊の活動終了後、将来のため教訓、反省をしっかりと整理すべきことは当然と考えています。
ACSAについてお尋ねがありました。
米国は、日本を含む約百十の国及び機関と物品又は役務の相互の提供に関する政府間の国際約束を締結し、又は当局間の取決めを作成していると承知しています。
新たな日米ACSAの締結は、平和安全法制によって幅の広がった日米間の安全保障協力の円滑な実施に貢献し、協力の実効性を一層高める点で大きな意義があります。新たな日米ACSAが、米国に対していつでもどこでも切れ目なく支援を行うことが可能な体制をつくるものであるといった指摘は全く当たりません。いずれにせよ、我が国として、国際法上違法な武力行使を行う国に対して、ACSAの下での物品、役務の提供を含め、協力を行うことはあり得ません。
いずれの国とACSAを結ぶかについては、各国との二国間関係や協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら判断していく考えです。外国軍との共同の活動を無原則に広げるものとの指摘は、これも全く当たりません。
弾薬の提供については、緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものであり、拳銃、小銃、機関銃などの他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用される弾薬の提供に限るとする五党合意の趣旨を尊重して、適切に対処することになります。
いわゆる敵基地攻撃についてお尋ねがありました。
平和安全法制の審議の際、我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有しておらず、個別的自衛権の行使としても敵基地を攻撃することは想定していない旨申し上げましたが、この点は今も変わっておりません。
敵基地攻撃能力については米国に依存しており、敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有する計画はありません。その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力を強化し、国民の生命と財産を守るためには我が国として何をすべきかという観点から、常に様々な検討は行っていくべきものと考えています。
安全保障環境の変化に対応し、国民の生命と財産を守るため、あるべき防衛力の姿について不断の検討を行うことは、一国の政府としては当然のことであり、このような検討を行うことが我が国と他国との関係に特段の影響を及ぼすとは考えておりません。(拍手)
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