大神善吉の発言 (本会議)
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○大神善吉君 本年度の追加予算編成につきまして、今日の日本の経済状態はいかに逼迫しておるか、また社会情勢はいかに紊乱しておるかということを考えまして、追加予算のすべてに対しまして大なる意見をもつておるのでありますが、この予算を編成することは、今の場合まつたくやむを得ないものと私は考えまして、賛意を表するものであります。(拍手)
しかしながら、この厖大なる追加予算のうち、不肖私が最も頭を悩ましました一点は、大衆課税であります。間接大衆税であるタバコの値上げ、これに対しましては眞向から反対せざるを得ないのであります。千八百円ベースをもつて十一月には黒字を出せると言うたあの安本長官が——この嗜好品の経済は、家庭におきましては三十分の一が普通である。三十分の一としまするならば、タバコは一箇月間少くとも六十円をもつて終らなければならぬと思うのであります。しかるに、現在の十本五十円は、おそらく千八百円のほとんどを食い潰してしまうのではなかろうかと思うのであります。
しからば、國民はタバコを吸わなければいいではないかということになりまするが、タバコを吸わなかつたならば、政府の予算が成り立たない。(笑声)それでは、國民に対し手を切り、足を切つて、なおかつまだお前たちは生きておるのかというような結果になるのではなかろうかと思うのであります。少くとも官業事業におきましては、國民に最も安價に、最も國民に安易に與えるものをもつて官業事業としなければならぬのであります。しかるに、むしろ官業事業によつてますます物價を引上げつつある現状は、まつたく私は反対せざるを得ない。
また現在の内閣におきまして、片山首相はインフレ防止を叫んでおられましたが、むしろ、インフレを高揚しておる現在であります。片山首相は、國民に対して耐乏を要求し、かつまた道徳の高揚を叫ばれたのであります。私は非常に賛意を表しておつたのでありますが、一向これを実行に移すことが現在できないのである。言行不一致をもつて道徳の高揚を叫ぶことができるでありましようか。私は少くとも片山首相に対しましては、最も敬意を表しておる一人であります。しかしながら、言行不一致は道徳の高揚を破壊する大罪であると考えるのであります。
また片山首相は、新円階級より徴税をする、重税をとるということを仰せになりました。そのときに社会党の諸公は拍手をもつて迎えられたことは、目新らしいことであろうと思う。しかるに、新円階級というものをいかなる点にもつていつておられるか、御存じあるのかないのか、おそらくなかろうと思う。御存じあるならば、新円階級から金をとる方法はいくらでもあると思うのであります。
いわゆる新円階級より徴税するということは——現在の日本の國情におきまして、新円階級はやみ屋よりないのであります。やみ屋よりないと私は断言してもいい。なぜならば、現在営業しておる者は、税務署が調査に調査をして、きつちりしておると思う。本年度は五千人の増加をして調査をしておるくらいでありますから、当然であるのでありまするが、やみ屋の懐ろにはいつておる金の調査ができておるのでありましようか。やみ屋においてはじめて私は新円階級ということを叫ぶことができるであろうと思うのであります。このやみ屋からいかにして取立てるかという問題であります。このやみ屋が現在ほとんど納税をしていないことは、私が言うまでもないことであります。
このやみ屋の集まるところは、やはり汚い所に寄るのであります。この汚い所に寄る者は何であるかと申しますると——あの料理飲食店が裏口営業をしておるということを、閣僚のある人からも話があつたようでありまするが、これを考えましたときに、裏口営業をさせるくらいならば、表口営業を堂々ととやらして、納税せしめるのが当然であろうと私は思うのであります。(「それが自由党だよ」と呼ぶ者あり)裏口営業をさせておいて、それが自由党とか何党とかという考えは、予算を編成する上において頭のなさがはつきりとわかるのである。少くとも國民に耐久を叫び、道徳の高揚を強調するならば、國民のすべてに釈然として納税をせしむるようにしなければならぬと私は思うのであります。
現在、商工省において電氣を消しておる。電氣を消しておる所と消さない所とあるが、この電氣を消しておる方は料金を値下げすることもならず、電氣がついておる所と、ついていない所の不均衡は、そのままにしておる。これがほんとうのくらやみの生活であろうと思う。(笑声)くらやみの生活をさせるよりも、明るい政治を行うて、國民を釈然とならしめなければならぬと私は思うのであります。
しかるに、現在は國民のすべてが、今日はどうなるか、明日はどうであろうかという不安を呈しておるのは、不肖私が言うまでもなく、議員諸公がみんな責任をもつ今日の議会の進行振りを見たならば、はつきりわかるであろうと思うのである。少くとも國民に現在滯納のあるということを、あなた方は御承知であるか。滯納しておるというのは、國民のすべてが喜んで納税をしないということである。少くとも現在の日本の再建をせんとするならば、政府と國民が一致して、どんな耐乏をしてでも喜んで納税をして、國家の再建に向つて立直らなければならぬと私は思うのであります。しかるに、政府の現在のやり方では、國民が政府そのものに対して信用をおとしておるのであろうと私は思うのであります。でありますから、どこまでも國民の代表たる資格を忘れないで、議事の進行をしていただきたいと思うのであります。
また六・三制におきましても、七億円の予算はただちに実行せられるかもわかりませんが、あとの七億円につきまして、片山首相の文化國家という見地からいきまして、あとの七億円を同時に実行してもろうことを切望いたしたいのであります。
大体におきまして、東井議員より五項目に対しましての條件を附し、これに賛意を表しておられますので、不肖大神も、インフレの高揚性、大衆課税性、公定價格の嚴守、六・三制、水害、旱害等の約束を果してもろうこと、現在の予算の編成が科学性を欠いておるという点におきまして、この点を特に御注意願つて、私は賛意を表する次第であります。(拍手)