稻村順三の発言 (予算委員会)
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○稻村委員 本豫算は豫算編成の常道から見ますと、勞働省だけ切り離してやるということはちよつと妥當を缺くように思われます。しかしながらわが國の當面せる經濟危機の切り抜けのためには、勸勞大衆の活動にまつところが、實に緊急を要するという提示から考えまして、當然勞働行政の革新強化が片山内閣の重大な使命となつておるわけであります。從つてこの使命を達するためには、勞働行政を強化する意味におきまして勞働省を設置して、迅速にその政策の實行に當らなければならないとかように存じております。その意味から申しまして、全般的な豫算の編成をまつてそれをなすという時間的餘裕がないと申しますか、それまでまつておるよりも、もつと早く急いでその任務の達成に邁進しなければならぬと考えております。しかして政府のこの豫算を提示したところによりますると、新規豫算といたしましては、主として前年度豫算の剩餘金からこれを賄つておりまして、別の財源にこれを求めるというような必要もないということは、本豫算が一應理論的には全般的な豫算を切り離すことができないようではありますけれども、その意味におきまして一應全般的な豫算から切り離しましても、大體そう不當な處置ではないというふうに考えられます。豫算書にもある通り、勞働省を設置するについては、五千萬圓の追加支出が必要とされておりますが、厚生省において極力經費の節減に努めた結果といたしまして、千三百餘萬圓の不用額を生じ、實際上は差引三千六百萬圓をもつて足りるようになつておるという要求が、健全財政の建前をここに多少織りこんでおる努力も見られるわけであります。なお勞働省の所管の事業として勞働保險は厚生省からそのまま引繼がれるのでありますが、そのほかに近く勞働保險に必要な豫算が提出されようとしております。それらの勞働關係の特別會計については、次の機會に十分愼重な審議を行わなければならないのであります。
最後に本豫算審議にあたつて、人件費の適當であるかどうかということが問題になつたのでありますが、これはもし變更する場合には、全般的な追加豫算にこれを提案することができるのでありまして、その際十分に論議を加えても、決してその機會がないというわけではないのであります。
要するに以上の理由によつて本豫算にわが社會黨といたしましては贊意を表する次第であります。但し次の點についてはちよつと述べさせてもらいたいことがあるのであります。本豫算の審議に際して最も問題になりましたものは、政府の説明による新物價體系における賃金の千八百圓ベースの計算の基礎については、未だ十分な科學的基礎をもつておるということが明らかでないように思われます。この點できれば全般的な追加豫算が編成され、その審議にあたる前に、十分に科學的な檢討を加えて、そうしてわれわれ議會竝びに國民に、その科學的な基礎を公表する必要があろうと存じます。かようなことを私たちは條件といたしまして、本案の決定に贊成する次第であります。以上私の贊成趣旨を終ります。
つきましてはわれわれの委員會におきましても日本社會黨、民主黨、ならびに國民協同黨、自由黨の四黨が、ここに共同で附帶決議をすることになりましたから、この附帶決議を讀み上げます。
附帶決議
健全財政を堅持し經濟再建の基礎を確保するため、補正豫算編成に當つて政府當局は、左記の三點に關し適當な措置を講ずること。
一、勤勞者の主食配給を確保する。
一、酒類、煙草類等勤勞者の生活に重大な關係をもつものの値上げについては、國會の愼重な審議を經た後これを行うこと。
一、政府は地方勞働基準局及び地方勞働基準監督署の設置に際しては、地方行政一元化の精神に則り充分な考慮を拂うと共に、これが設置については地方的負擔を來すことのないように注意すること。
この三點を附帶決議として、本豫算の通過に贊成するものであります。