米窪滿亮の発言 (労働委員会)

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○國務大臣(米窪滿亮君) 七月の五日給與審議会で、新物價体系を樹立する一つの算出のフアクターとして、原價計算による生産費のコストの中、一番大きな面である賃金を、どの程度に標準を取るかということが、極めて重大なる問題でありまして、それはなぜであろうということは、今日のインフレのいろいろの原因がある中、その主なる一つは、賃金と物價との惡循環が断ち切れない、お互いに追い駆けつこをやつて、だんだんと惡性化して來るというような点にあつたことは御承知の通りであります。そこでいろいろの案が出ましたのですが、結局労働者側は二千六百円ということを主張され、政府は当時官公廳及び私企業の各業種別の平均賃金を綜合しまするというと、大体において千六百円、これに物價改訂による撥ねつ返り二百円を入れて千八百円という、一應新物價体系算出の基礎としての賃金を決めた。そうするというと、労働者側の生活費を基準として算出された標準賃金即ち実質賃金の最低賃金、それが二千六百円、それと政府が新物價体系算出のいわゆる基礎として、或は予想として作つた千八百円というものとの間には、八百円のそこに食い違いがあるのです。この八百円をどうやつて埋めるかということについては、政府としては融通秩序の確立、即ち闇の撲滅徹底、それからして新マル公の設定を急速に急ぐということそれからもう一つは、問題になつておる勤労所得税の基礎控除引上によるところの軽減というこの三つで大体吸收する。併しそれでも尚且つ八、九、十と、大体三ケ月の間に約四百円の赤字が出て來る、この赤字は、政府の手では如何ともできないから、これは國民がその家計費において節約をするなり或は他の方法で一つ十月一杯までは耐乏してくれというのが、当時のいわゆる千八百円ベースの説明だつた。勿論何万という價格を一々新マル公に設定をするまでの間に時間のずれがございまして、從つて最初に決めた物價と、後から決めた物價との間に不均衡が起つたり、いろいろのそういう摩擦があつて、それによつて國民に迷惑を及ぼしたことは、我々も認めておるのであります。又それの撥ねつ返りが來て、そうして労働者の負担になつておるということも我々はこれを率直に認めるものです。併し政府としては栗山さんの仰しやつた、それによつてすでに千八百円が崩れておる、こう断定するのは少しまだ早いのではないか。こういう工合に我々としては考えておる。これはどうしてそういうことを言うかというと、私企業で以てこれを千八百円で縛るというのではなしに、労資の間に團体協約によつて、團体交渉によつてたとい千八百円以上に出ても、その企業の経理の面においてこれを経営者が支出し得るものは支出してもよろしい。勿論千八百円以下でその團体協約ができておるところもあります。そうしてこれらを総平均して千八百円ベースということであれば、政府のいわゆる経済政策はそこから破れないと、こういう考をもつておる者であります。一方國家財政のことについても言及されたのですが、成る程四十五六億円の税收入減になります、一年の間に。併しこれを埋めるいわゆる代り財源としては、前内閣当時、設定した財産税や前内閣当時設定した特別所得税、これらの追及というものがまだまだ決まつておらない。物納を認めておる、或いは延納も認めておる財政税が、なかなか予定通り行かない。又特別所得税のいわゆる査定などにおいても凹凸があり、甚だ不公平のあるということで、これ又思うように行かないのでありますが、片山内閣に至つては、前内閣が決めたこの課税方針ということに対して、凸凹は直し、公正ならざる点は直し、同時に課税全体の方針としては、これを徹底して行きたい。勿論これには相当の危險もあり、障碍があるのであります。例えば川崎の税務署の役人が酒を密造しておる者を摘発しに行つて殺されたということもありますので、從つて治安問題も相当、これに絡んで來ますけれども、政府は相当の困難と危險を冒しても、勤労所得税というものが減つただけの代り財源については、今言つた持てる階級に対する課税を徹底して行こう。こういう考えでおるのであります。

発言情報

speech_id: 100115289X01219471014_016

発言者: 米窪滿亮

speaker_id: 9227

日付: 1947-10-14

院: 参議院

会議名: 労働委員会