米窪滿亮の発言 (労働委員会)

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○國務大臣(米窪滿亮君) 川上さんから非常に示唆に富んだ御意見があつたのですが、実は今日の経済事情の特徴は綜合経済だということ、即ち一つ一つの物價というものは單独に査定ができない。必ず関連性がある。これは勿論昔からもそうでありますが、今日は特にその特徴がひどいということと、それから價格の決定についてはいろいろな決定方法があるでしようが、一番無理のない方法はいわゆるパリテイ計算である。いわゆる均衡経済論ということが経済安定本部で唱えている原則ですが、パリテイ計算ということからいいますと、いわゆるそのウエイトのとり方と、そして比率のとり方、レイトのとり方によつて大分変つて來るのです。而も日本のように統制経済が非常に強く行われておるところにおいて一々の物價をパリテイ計算して行くというと、そのものにおいては昔のいわゆる原價と今日の原價との計算においては誤りがなくとも、それと関連のある他の物價とのパリテイ計算が果して横の均衡がとれて行くかということで川上さんの御指摘のようないろいろな矛盾が出て來ると思う。そこでフランスの例をお取りになつたのですが、これは敢えてフランスの例を取るまでもなく昭和九年、昭和十一年当時の價格と、今日の價格をやはり比較して見れば分るので、即ち今度の新物價体系が昭和九年十一年の時の物價、價格平均水準に対して、平均して六十五倍のセーフテイバンドを嵌めておる。これに対してパリテイ計算で行けば、当然賃金もその当時の平均賃金の六十五倍を嵌めなければならんと、一應そういう比率になりますが、これにはいろいろ関連したところのフアクターが出て來る。その当時の生産力に比べて、今日三分の一に落ちている。或いはその当時の生産費の原價計算において、コストの中において占める人件費の分野と今日の分野は、当時は三割、四割だつたのが、今日は六割、七割になつておる。こういつたいろいろのフアクターがあつて、二十七倍、二十八倍で賃金を押えておると、こういうことになつておると私は考えておる。勿論こういう説明でも、これに反駁する理由は出て來ると思いますが、何しろ人間のやることで、なかなか完全無欠というわけに行かないのです。いろいろの意見も出て來るが、一番マイナスの出て來ない方式を取つておるのです。それに対して最近問題になつておるのは、米價の決定であると思いますが、これは生産者價格から出発して來たところの米價の決定方法と、昭和九年、十一年の時の米價に対して、どの程度のパリテイを掛けるべきかという、二つの方法がいま閣議で問題になつております。それがまだ米價の決まらない主なる原因でございます。生産者價格から出発したところの米價という点から言いますと、この点を力説すると、それは何であるかというと、麦の價格が改訂され、それから國際レートで考えてみると、海外から輸入しているところの小麦というものが、大体において一トン百ドルだ、これが日本の金に貿易的に換算するときに、どのくらいになるか、仮りに百三十円とすると、相当のものになる。これは麦であるから米に直すと、大体石どのくらいになるか大体二つぐらいの見方が生産者の方面の米價算出の方式だと思う。そうしないというと、いわゆる農民の供出意欲は起らない。ここまでに決定すれば、一〇〇%であるから、以下が九〇%或いは八〇%になるだろうということです。これで行けば当然千八百円が崩れる。そこで生産者の立場に立つた計算を國として採るべきか、或いは消費者の立場から計算して新米價を決定すべきであるか。このいずれにも偏ることができないので、やはり両者の関係を考慮して決めるべきであるが、政府としては目下何としても千八百円ベースを堅持したいということから、米價を決定したい。これに対してやはり多少のマイナスが出ると思いますが、これは馬鈴薯であるとか、或いはその他の代替物の非常処置の配給によつて、このマイナスを消して行きたいと考えております。川上さんの御意見は私においても、大体において同意見であります。殊に労働攻勢に対処して行くところの関係の省としては、生産者の立場だけを考えた米價の決定は困難であると思います。

発言情報

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発言者: 米窪滿亮

speaker_id: 9227

日付: 1947-10-14

院: 参議院

会議名: 労働委員会