渡邊一郎の発言 (電気委員会)
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○專門調査員(渡邊一郎君) 第一囘報告書の内容の御説明をいたす前に、配付しました資料について申上げます。第一囘國会参議院電氣委員会審議経過というプリントをお配りしてあります。この中に電氣委員会の運営方針について、それから説明の聽取は、どういう題目について誰からいつ説明を聽取したかということ、次には実地調査はどういう地方に誰がいつ頃行つたかということ、第四番目には渉外事項としてGHQの関係でどういうことをしたか第五には請願、陳情について、その名称と請願者と紹介議員、そうしてそれをどういうふうに処理したかということ、次には第六として緊急質問にどういうことをやつたかということを載せ審議経過としての最後に調査承認要求書を、電力復興問題について求め、或いは綜合燃料動力対策について求めたかというその寫しを附けて、最後に綜合燃料及び電力危機突破に関する決議案の全文を掲げております。尚ここで抜けておりますが、これは十二月五日に決議したので、そのことはちよつと抜けておるように思いますから……。それからもう一つ附録といたしまして連合委員会において家庭用燃料及び電燈確保に関して関係の大臣に四委員長が要望いたしましたその内容を掲げてございます。これが電氣委員会における審議経過であります。
それからもう一つ、第一囘國会における綜合燃料動力対策の審議経過がございます。これも大体において同じような内容で作つてございます。それから電力復興問題の調査第一囘報告書というのがお手許に差上げてあります。その外これは日本発送電会社から出ました「最近の電力事情」と称する、新聞に一部出ました日発から出た電力白書というものをお配りいたしました……。今それをお配りいたさせます。電産の組合から出て電力白書というもの、これは全部前に各委員の方にお配りいたしました。
それでは電力復興問題のこの委員会の第一囘報告書について御説明いたします。これは委員部の、國会事務局の正式の印刷が間に合いませんでしたので、その本文に当る部分だけをがり版にいたしまして、取急ぎお配りいたしたわけであります。これは第一囘の本文に当るものでありまして、尚この報告は最後の委員会において委員長からお話がありましたように、調査の第一としては調査の経過、それは現地調査はどういうふうにやつたか、説明聽取をどういうふうにしたか、或いはその他どういうやり方で調査をやつたかという、そういう第一の調査経過があり第二には調査の範囲をどういうふうに限つていたかということがありましてその第三として本文がありました。その本文だけをここに印刷いたしたわけであります、これの内容はこの委員会が調査し或いは審議した結果でもあるし、又この委員会が活動を行なつて、そうして最後に決議にまで実を結んだその活動の理論的な前提をなすものがその内容になつておるわけであります。尚この中に掲げた数字を最も確実な数字だと考えておりますが、数字について各方面で一致しない点の数字がございますが、それについては最も妥当だと思われる数字をここに掲げた次第であります。内容について極く簡單に御説明いたします。
最近の電力事情が四月、五月、六月のような、例年ならば、豊水期であつて水が余るというような時にも電力制限を行なつた。これは非常に未曾有の異変でありまするが、そういうふうな豊水期にも電力制限をした。そうして七月、八月の各渇水期は勿論、それから後も更に電力の制限が益々強化されて行つた。こういつた益々悪化することによつて、今後どういうふうになるかという点に非常に不安がありますので、これについてどこに一体電力不足の根本原因があるか。又電力の設備の状態は現在どういうふうになつておるかということについて、以下に問題になるだろうと思われる点を通り拾つたわけであります。
第一の電力の生産状態、二ページにございますが、それは大体において現在における生産は戰前……、ここで戰前といいますのは昭和十年から十二年までの三ケ年の平均を出しております戰前の比べて電力の生産は非常に殖えておる。数字でいうならば一一三%という数字を昨年度には示していた。この時に一般の鉱工業の生産は、國民経済の研究協会から発表されておるように戰前に比べて二五乃至三〇%に過ぎない、それに対して一一三%を占めておる。最も生産増強が努められていた石炭の生産ですら五〇乃至六〇%である。更に本昭和二十二年度に入つても、四月から七月の間は、最も電力の生産が過去において多かつた昭和十八年度に比べても、一〇〇%から一〇五%の間を動いておるように状態で、非常に電力の生産が殖えておる。ところが八月から以降は非常に渇水の状態になつて來たので、この生産が衰えた。併し考えて見るのに四月—七月においてはこれは生産が非常に殖えていたにも拘わらず、尚且つ電力の制限を行なつておる。従つて電力不足の根本原因は電力の生産が低下したためと一般に考えられておる点があるようですが、電力の生産の低下の中にはなくて、むしろこの生産によつて賄なうべき電力の需要が非常に殖えていた。そのために電力需給のバランスが破れた。そこに電力不足の根本原因があるのではないか。そうしてこの電力需給のバランスが破れて、需要と供給の間に開きがあつたところに最近の異常渇水が加わつたために、更に電力の不足の激化した。併し最近の異常状態がなくなつたとしても、豊水期のあの電力生産が、過去における最も沢山出た時ですら制限しなければならないという点から見るならば、異常渇水が解消しても尚且つ電力の不足は止るものではない。從つて電力の需要の点に問題があるのじやないか。何故電力の需要がこんなに非常に殖えておるかということについて、戰前及び戰後における電力需要について檢討いたしたのでありまするが四ページにある電力の需要状態であります。それを鉱工業と電力と、鉱工業以外の、主として家庭の電燈、電熱ですが、これを二つに分けて檢討いたしたわけであります。鉱工業電力の需要については、昭和十二年が百七十八億昭和十年、十二年の平均では百五十九億が鉱工業に使われていたのに、昨年の昭和二十一年度は百五十四億キロワツト、詰り戰前と殆んど同じような鉱工業の電力の需要があつた。而も鉱工業の生産指数は、先程申上げましたように、戰前の二五乃至三〇%の過ぎない。何故こういうふうに鉱工業生産が激減しておるにも拘わらず、電力の需要が依然として戰前と同量を占めておるか。その理由を1、2、3、4と挙げております。
第一が石炭の不足のために、生産の方式を、石炭による製法、例えば硫安の水性ガス法熔鉱炉等から、電氣による電解法と電氣炉法、そういうものへ轉換した。そのために、例えば硫安では製法の轉換によつて、同じ一トンを作るのに四、五倍の電力量が要る、銑鉄の場合は電氣炉によつて、約三十倍くらいの電力量が要る、綱塊では二十倍くらい要る。そういうふうに製法の轉換によつて、同じ一トンを作るにも非常に電力が沢山要る。或いは工場の作業の蒸氣ボイラーが石炭或いは油の不足から電氣ボイラーに変つた、或いは塩を作るのに石炭、薪がないために電氣製塩に移つた。詰り一括して言うならば、石炭、ガス、油、薪炭、そういつたエネルギー源が不足しておるために、そのエネルギー源の不足を補なうために電力というものに新らしいエネルギー源を求めて來た。それが第一の大きな原因だと考えられます。
第二には、これは一般的に工場も鉱山も、その稼動率が低下して能率が下つた。或いは機械が老朽化して、そのために電力量が余計要る。或いは技術が低下した。このために原材料の質が悪いとか、或いは不適正な源材料を使つて作業をする、そういつた関係から、同じ製品を作り上げるにも電力量が非常に過去におけるよりも余計要つた。これもやはり鉱工業生産の低下にも拘わらず、電力需要を低下せしめない理由であります。
第三には、これは各種の鉱工業でストツクとか或いは闇資材なんかを使つて、計画生産以外の闇生産をやつておる、或いは闇流しをやつておる部分がある。それが官廳発表の生産量の統計には入つていない。詰り二五%乃至三〇%という数字の中には現実には入つておらない数字である。而もそれによつて使われた電力量というものが、公表された生産量に全部引つかけられてしまつて、そのために電力が原單位あたり非常に殖えておるという形を呈しておるということが第三の理由であります。
第四の理由としましては、工場や鉱山に石炭或いは薪炭が不足しておるために、生産過程以外に暖房とか浴場とか炊事とか合宿、そういうものが電化せられて、熱源として電力を使うようになつた。このために電力消費が増加し、或いは部分的には極めて浪費、濫費が行なわれておるんじやないか、以上の四つの理由が鉱工業生産の低下にも拘わらず、電力需要が依然として戰前と同じであるといつたことの大きな理由だと考えます。從つてこれは石炭ガス、油、薪炭、そういうエネルギー源が絶対的に不足しておる。その不足をカバーするために電力が動力源として、或いは熱源として原料源として使用せられた、これに一般的に効率が下つておる。或いは計画生産が未だ確立されていないために闇生産が行なわれる、そういうものが加わつてこういう状態を呈しておるんじやないかということであります。
それから鉱工業以外の電力需要状態、これは七ページ以下にありますが、大体家庭用の電燈、電熱でありますが、これが戰前の昭和十二年度においては、家庭用の電燈、電熱は約三十二億程でありましたが、これが昨年においては六十三億程になつておる。約二倍の増加を示しております。その中昨年度の電力需要の中約三十億というものは、これは大体電燈の需要でありますから、残りが電熱と考えられる。何故そういうふうに家庭用の電熱が殖えたかということは、これは家庭の燃料であるところの木炭、薪、ガス、加工炭そういうものが不足しておるために、各家庭が燃料源を電力に求めた。更に電力が外の燃料に比べて價格において安いということ、或いは使用が簡單便利だと、そういつたことが加わつて、家庭の燃料源が電力に非常に置き換えられて行つた。で、この状態を戰前昭和十五年における一人当りの総有効熱量、カロリーから比べるならば、昨年度は約三九%にしか当らなかつたこと、全國の都市の標準世帶当りの燃料を木炭換算して見るならば、十六年において四十一俵程であつたものが、昨年度においては二十二俵にしかならなかつた。これで分るように、家庭の燃料が非常に不足して、從つて電力の方にその燃料が求められて行つたということで、この鉱工業以外の家庭の電燈、電熱においても、電力の需要が非常に殖えて來たということであります。
尚ここで家庭の電燈、電熱において注意すべきことは昨年度における電燈電熱の消費は、年間を通じては二二・六%という数字を示しておりますが、電力の需給が最も逼迫する冬の二月の渇水期においては、三五%以上であつた。このことは冬季における電力の需給を非常に家庭の電熱が圧迫しておるということを示し、又それによつて対策もそういう点を考慮しなければならないということを示しておるわけであります。從つて以上の点から出ますことは、日本における現下の石炭、油、ガス、薪炭、燈油のそうした全エネルギー源が絶対的に不足しておるということが根本原因であつて、この絶対的な不足を、鉱工業の生産においても、家庭生活においても電力が負担し、それを補なつておる、それが最近の電力の生産の増加にも拘わらず、電力の需要が極めて多くて、電力不足を呈しておるということの原因である。
それに更に最近における電力生産の異常渇水による低下、或いはその不足を補うべき火力用炭の不足、こういうことが加わつておると、こういうふうに考えられるわけであります。從つてこのことから現在の電力不足問題の解決を重力のみの分野において解決するということは絶対にできなくて、綜合エネルギー対策というものが必要である、こういうことも亦必然的に出て來るわけであります。このことが綜合燃料動力対策を本委員会において審議し調査せられた前提になつておるわけだと思います。
それから第三に、電力の供給力を十頁以下に書いております。その内、発電設備についてでありますが、大体現在の発電設備は、認可出力で、水力が最大約六百万キロワツト、火力が約二百九十万キロワツト、合計八百九十万キロワツトであります。尚この外に自家用発電設備が水力、火力合せて百三十五万キロワツトありますが、この六百万の水力は、地域によつて水の出る時期を異にするので、同時期には最豊水期において約五百万キロワツトありますが、最渇水期には大体半分の二百五十万キロワツト程度に下るわけであります。これがため全國における貯水池或いは調整地というものがあつて、これを補つておるわけですが、これが現在約六十万キロワツトに過ぎず、從つて最渇水期における水力の最大発電力は、合計約三百乃至三百十万キロワツトに過ぎない。而もこれらの設備は日発所有の設備で、これは水力においては約七七%を占めておりますが、それで見ますと、建設後二十年以上経過した老朽設備が、出力においては三二%、個所数では四四%を占めておる。そういう老朽であり、而も戰時中建設第一主義が採られたために、補修が非常に不完全であつたために、そうして戰後においてそれが引続いておるために現在非常に内容が悪く、現在停止電力が約二百万キロワツトあるといつた状態である。
これについては、今年の冬までに、電氣事業全体としては約三十二万キロ程度を復旧するということが政府の緊急対策の中にあります。
以上のように、水力は渇水時において、三百万キロ程度に下りますが、これを補給すべき火力発電、これが現在設備として二百九十万キロある。併しその中の殆ど大部分を占める日発の火力設備について言うならば、建設後二十年以上を経過した老朽の設備が、出力で三八%箇所数で四八%を占めており、而もこの火力は、水力以上に無理な酷使と、補修の不十分、戰災を受けておる、発電用の石炭が質的に下つておる、そういつたことのために非常に傷んでおります。從つてこれがために停止電力が日発で約百五十万キロある。而もこの火力については、賠償の指定の問題がありまして、現在は二十ケ所約百三十七万キロある。これは外の設備に比べまして、非常に優秀な最新式の設備のみが指定されておるような現状であつて、現在においては、これは一應使用が許可されておるためにこの設備が殆ど主体となつて現在の火力補給をやつておるわけでありますがこの賠償の指定いかんによつてこれがなくなるとすれば、非常に深刻な影響があるわけであります。それでまあ賠償の指定の設備をも含めて現在ある二百九十万キロの設備の中どれだけが出るかということについては、大体二月においてもやはり百十万キロ程度じやないか、これが実際に動かし得る設備じやないかと考えられます。殊に九州中國地方では、非常に供給力の不足があるわけであります。ところがこの火力設備が、実際には発電用炭が絶対的に不足しておる、或いは炭質が以下しておる、或いは補修運轉の人員が不足しておる、或いは労働の能率が下つておる、そういうことを考慮すると、実際には渇水期において石炭が下期百四十一万トン確保されても、五、六十万キロ程度しか出ないのではないかと考えられます。現在においては三、四十万キロ、先だつては二十万キロまで下つておりましたが、その程度しか現実には出ておらないということであります。從つて、以上の水力、火力。水力においては三百万乃至三百十万キロ、火力においては五、六十万キロ、両方合わせまして三百五十万乃至三百七十万キロ程度が最渇水期において動く程度であろう。これに対する需要は、最渇水期において、これは予想でありますが、約五百万キロ近くあるわけであります。從つて、その差額だけは電力が不足を來すという事情でございます。而もこれ以上の渇水とか、或いは石炭の百四十一万トンが確保されないというようなことになると、更に供給力は低下するわけですから、電力の事情は更に激しくなるのではないかと思います。
それから十三頁以下にある配電設備でありますが、この配電設備は現在非常に弱化しております。それは戰爭中に、軍需工場その他へ供給するために家庭用の配電線、変圧器というものを外して、そうしてそれを轉用した。而も、そのために非常に弱くなつた大都市が、更に空襲その他によつて燒失して、而も人口は燒け残つた所に集中したという形で、需要に應ずる設備の関係は極めて弱化しておる。而もそこに終戰後電熱の需要というものは更に激化したというわけで、非常に弱くなつております。そうして又こういうふうな配電線及び変圧器の不足が、当然配電線の損失というものを早め、電圧を下げる、從つてラヂオも聞こえないというような状態になつておるわけでありまして、この電圧の降下を一定の所に保つためには、どうしても要確保電力以外を切らなければならないということが今起つておるわけであります。從つて要確保電力以外を切るためには要確保線に繋つておる便乘需要というものが今のところまだ十分切れないために、便乘需要以外の地域はいつでも切られるという不公平も生じておるわけでありまして、配電設備も非常に弱化しておるわけであります。
それから四として、尚これ以外に電氣事業の資材とか、資金とか、或いは料金とか、石炭從業員の問題とか、企業形態とか、建設計画、そういつたもの、或いは電力法規、戰前時代に作りました法律というものについていろいろな問題がある筈でありますが、これは当面の問題と一應切離しまして、殊にまだ調査が不十分であるためにこの報告書では省いてあります。
以上によつて十五頁以下に結論があるのでありますが、電力不足の原因として、この綜合エネルギーが絶対的に不足しておる、この不足を賄うために電力がこれを補つておる、從つてそのために電力不足の形を、実は綜合エネルギー源が絶対的に不足しておるということが、電力不足という形で現れておるということ、第二次には、電力生産は戰前に比して増加しておるにも拘らず、このために電力の需給が破れておる、そうしてそれを八月以降の異常渇水が更に拍車をかけて開きを大きくしておるというようなこと、そうしてこの異常の渇水を補給すべき火力発電用炭が、現在のところでは不十分である、このために火力設備は十分に動かないということ、第四次には、資金、資材、労務者用物資の不足、或いは賠償の不安、労働能率の低下等のために電力設備の補修が十分に行われないということが、電力不足の原因として挙げられると思います。從つて当面の電力の不足の対策の重点は、これらに対應すべきものでありまして、綜合エネルギー対策の必要が第一番に掲げられる、第二には、鉱工業における電力の不適正な使用による浪費、濫費、或いは闇生産用の電力を抑えるということ家庭において外の燃料を確保して電熱消費を減らすということ、これが第二であります。第三には、石炭についてもつと適宜に措置を講ずることが必要である、第四には、設備の復旧、補修を急速にやるということ、そのために必要な資金、資材、労務者用物資を確保すること、第五には、特に設備の足りない九州、中國地方においては石炭に余裕がある場合は、自家用火力の動員を強化するということであろうと考えます。
尚最後に統計の数字を一應掲げておきました。これはこの前に連合委員会でお配りした数字を多少変更したところがございますが、こちらの方が正しいものとして御利用下さいますようお願いいたします。
尚、日発及び電産から白書の形で数字が出ております。日発の白書については、大体電力の生産の部面からのみこれは日本発送電という会社が電力生産を掌つてやつておる会社であるという関係もあると思いますが、生産の部面からのみ問題を取上げておる、而もその場合に設備は十分である、ただ水が異常渇水であつたとか、そうして石炭が足らない、そのために設備が余つておるけれども、どきないのだ、十分の発電ができないのだというふうな書き方がしてあります。それから電産の白書は、やはりこれも生産の部面から大体取上げまして、設備はあるという日発の主張に対して、設備自体も非常に弱くなつておるのだというふうに書いております。全体を通じて需要と生産と両方の部面から全般的に取上げ、從つて電力対策の問題を考えるといつた立場は欠けておるような感じがいたします。