松野頼三の発言 (農林委員会)
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○松野委員 他の産業も同様でありますが、さしあたり一番大きな問題として、現在日本は銑鉄を輸入し、鉄鋼一貫作業で鋼鉄を生産しておりますが、これを経済的に申しますならば、鋼鉄を入れて製品にして輸出する方が原価は安くなるのです。しかし日本の産業育成のために、あくまで銑鉄を入れて加工して鋼鉄にして行くわけです。こういう、ふうにほかの産業でも同様に、合理化、能率化あるいはコストの低下ということだけを目標にして、日本国内全体の完全雇用なり産業の育成を忘れてはいけないと思います。それと同様に、日本の米が高いから、外国の米を入れればいいというわけには参らぬと思います。ある程度値ざやはあるにいたしましても、当分の間私たちは日本の農民の完全な生活を助けるために、いかに社会政策的とは言いながら、日本の米が現在外米よりも高くても、日本の農業の育成発地というものを継続して行かなければ、日本は立つて行かないと思うのであります。日本の生産費を安くすることはけつこうであります。しかし日本の米が外国の米よりも安くなければ日本の農家は健全でない、あくまでも外米よりも安い日本の米をつくるのだという目標を置く必要はないと思う。ある程度高くてもちつともさしつかえない。もちろん法外に不必要に高いならば別でございましようが、現在の生産費計算からいつて妥当な値段ならば、外米の値段がいくら下ろうが、日本の米の値段はある程度高いところに置いても、一つも外国に輸出競争する米ではないのですから、あえてさしつかえなかろう。もう一つ賃金の問題にも触れますが、なるほど米の値段は賃金の値段に相当影響はいたします。しかし日本の内地米だけが賃金に影響するわけではない。魚あるいはその他の副食物、すべてのものが生活に影響するのであつて、米が七%上つたから賃金が七%上つたということは、過去の自由主義経済時代にもございません。米は御承知の、ごとく生活費の何パーセントなんです。従つて米の値段ばかりで賃金を安定させようという河野農林大臣の考え方では、妥当な結論は得られない。その例はこの五、六年間の例をずつとおとりになるとわかるように、米の値段が上つたたびに賃金は値上げをいたしておりますが、米が七%上つたからといつて賃金は七%上つておりません。むしろ賃金がうんと上つたときに、米の値段は一銭も上らなかつた例もある。米と賃金は一対一ではない。従つて米というものは総体的に考えて、総合食糧の中でその一部を占めるものでありますから、米すなわち賃金という考えは、私はどうしても妥当に考えられません。従つて今後社会政策的に米の問題ばか参りあるいは農家ばかりこれを圧迫する言う考え方は、妥当ではなかろう。その他のすべての生活費のわずかの何パーセントですから、農林大臣がここで大きく言われるように、米によつて社会政策の基礎をつくるのだというならば、日本の社会政策の重荷を農村だけが負うことになる。これは日本の農村の現状からいつて、妥当でない。肥料を下げるのもけつこう、電気料金を下げるのもけつこうです。しかしながら農村から考えるならば、あくまでも大きな農業の価格の安定あるいは将来の見通しというものにゆるぎを抱きますならば、せつかくの河野農政の第一歩において農民の支持を失うのではなかろうかという心配になる言葉が、断片的ですが、多々ございます。この点はよくつなぎ合せて御説明いただかないと、わからない点がたくさん出て参ります。そのほかにも、安い農村労働賃金を一般労働賃金まで引上げる、これはどつちかと申しますと、相当米の値段が高くなつて来る。先ほどのお言葉では、安くて安定させる、最後の方に参りますと、労働賃金と言われる。これは何の労働賃金か知りません。農村の雇用賃金なのか、あるいは副業の労働賃金なのか、何の労働賃金なのかわかりませんが、少くともこういうことを考えて参りますと、前後して非常に疑問を抱く。私は日本の米の値段を外米と匹敵するように安くしなければ日本の農政が失敗だとは思いません。日本の米は妥当な値段で外米がどう上ろうが下ろうが、日本の農業は独自に保護された一つの国内産業として立つて行くべきものであつて、国際産業の中に農業を入れるという考えは非常に危険ではなかろうか、またそういうことは日本の農業においてはあまりにかけ隔てた条件ではなかろうかと考えます。御答弁をいただければけつこうであります。