重光葵の発言 (本会議)
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○国務大臣(重光葵君) 御質問の点で私の外交報告になかった点からお答えをいたします。それは国際連合加入の問題でございます。国際連合加入の問題は、サンフランシスコ平和条約発効直後、この国会の全会一致の承認を得て、昭和二十七年六月、国際連合に申請をいたしております。同時に、友邦諸国に対し、これを支持するよう要請してきたのでございます。「しかるに、わが国の加盟申請は、国際連合加盟国間の意見の対立のために、実を結ぶに至りませんでした。行き詰まりの状態にあったことは御承知の通りでございますが、今回、この問題が、カナダ政府の提唱する十八カ国一括加入という形の提案が出ました。これを契機といたしまして、国際連合で取り上げられることになりました。これに対しては、日本の加入は、関係各国のひとしく支持するところであって、世界のこれが世論となっておるといってもさしつかえのないことは、われわれの喜びとするところでございます。そして、特にわが国の友邦諸国は、日本の加入を実現するために非常に援助をいたしてくれております。ところが、この加入問題が、外蒙古の加入の問題と一括されております。十八カ国一括の提案というものは、外蒙古も入っております。それで、外蒙古加入に反対を表示する国の態度によって、日本の加入があるいは阻止されるかもしれぬというような状況に立ち至っております。目下その障害となっておる外蒙古の加入に対して非常に反対の態度をとっておるのは、御承知の通りに国民政府の態度でございますが、国民政府といえども、東アの大国にかんがみて、わが国をこの国連に加入せしめることを阻止するような結果となることは、必ずや手控えをするであろうと想像されるのでございます。もしそういう故障がなくなりますれば、わが国の連盟加入の問題は、ここ一、二週間の間に決定されるような状況でございます。
以上、私は御報告申します。この加入に対しては、国会の御趣旨によって申請をしたことであるのであります。外交機関は全力をあげてその実現に努力いたしておる次第でございます。
さて、その次の日ソ交渉の問題について、よく世論の趨勢を見てやらなければいかぬということが第一点でございました。私もそう思います。国論の帰趨をよく見定めつつ交渉に従事しなければならぬ、こう考えておるのであります。なお、交渉に当っては、国際連合憲章の精神、それのよってきたる大西洋憲章の精神等を十分に主張して、領土問題についてもわが立場を明らかにすることがよかろうという御趣旨に至っては、これまた私も当然御賛成を申し上げる次第でございます。いずれにいたしましても、わが主張はきわめて公正であり妥当なものであるという確信のもとに、この主張を続け、かつまた交渉を進めていく考えでございます。(拍手)
なお、原子力の問題についてお話がございました。原子力協定が今回議会の承認を得るために提出されることになっております。原子力の国際的協力は非常に重要でございます。特に国際連合を中心としておる原子力の平和利用の問題については、国際的に各国とも非常に熱心に努力をいたしておるわけであります。日本もむろんこれにおくれないように参加をいたしまして進んでいきたいと考えておる次第でございます。
さらに、自由民主主義国との協力を強化しなければならぬというお考えが第一点にございました。これはその通りに考えております。そうして、基地問題その他は、みなこれは条約上の義務に関係を持っておるのであります。むろん、その利害関係を持っておる各個人の気持及び利害問題は、十分にこれは考慮しなければならぬと私は思います。そうして、十分に納得を得るような努力をしなければならぬと思いますが、しかし、国際問題から申しますれば、条約の尊重ということは、これまた国の信用をかけた問題でありますから、最も重要な問題と考えておる次第でございます。
極東の情勢について御意見の御発表がございました。私も、外交報告において、ヨーロッパは勢力の均衡のために相当動揺を免れておるけれども、その他のところはどらも不安であると申しておきましたが、東アの方面の情勢は決して安定と申すわけには参りません。これは流動的と申してもいいかと思います。それに対して外交手段を講じなければならぬことは当然のことであります。日本は、有力なる東アの一国でありますから、従来の平和外交を推進して東アの安定に資するように、あらゆる努力をしなければならぬということは当然でございます。そのために施策を一々講じつつあるわけでございます。
以上をもって御質問にお答えいたします。(拍手)
〔国務大臣清瀬一郎君登壇〕