今崎好男の発言 (商工委員会)
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○今崎参考人 私は紡績産業の基礎産業である機械産業を中心とする事業場に働きます、十六万ないし十七万の従業員と、その家族の本法案に対する意見を代表する一人として、ただいま出されておりますこの法案に対し全面的に反対をいたしたい。まずこの結論から申し上げておきたいと思うのであります。
なぜ反対をするか、御承知のごとくこの法案は繊維産業総合対策審議会の答申に基いて作成をなすったのでございますが、午前、午後に引き続き各参考人からも陳述されましたごとく、この繊維産業総合対策審議会の構成を見ますときに、機械機械産業の業者ないしはこれに伴う従業員の代表が参画をいたしておりません。でございますから、委員に選ばれました方々の手前みその答申である。また意図する問題に対して作文を作られたにすぎない、かような見解に立たざるを得ないのであります。なぜかと申しますと、あの答申案の内容ないしは提案の説明にもございましたごとく、日本の繊維産業がわが国の経済に占める重要性と、海外市場におきますところの信用回復の問題について強調なすっておるのであります。またこれらを解決する手段といたしまして、繊維製品を制限する、そのまた手段として設備をまず制限する、かようにおっしゃっておるのでございますが、現在日本は原綿を政府におきまして一括して購入なさっておる。そしてまたこの原綿の割当統制ないしはこれによりまして製品の規制を行うことが、今言われました問題に対するところの安定策である。何となれば政府は前に通産省の勧告をもちまして、紡績業者に対しまして操短を行わしめたのでありますけれども、この操短によってどういう結果が起ったか。ちっとも生産は低下しなかった。いわゆる精紡機の回転を早くする、ないしはフルに回転することによって価格を上げ、価格が上りまして、また在庫品がはけた。そこでより多くの生産をするためにあらゆる努力を払ってきておるのであります。かような実態からいたしますと、設備の制限を行なっても現状におきましてはほんとうの安定ということにはならない。まず原綿に対する何らかの措置を講ずることがとりもなおさず法案を改正する答申案の趣旨に沿うものである、かように考えます。
また第二点といたしまして、すでに周知の通りではございますが、紡績産業は日本の経済上重要な地位にありますが、それゆえにこれに関連する他の産業に対する対策をなおざりにすることができないのであります。前述いたしましたごとく、この関連産業に従事いたします従業員の数は十五、六万、家族を含めまして数十万になんなんとするのでありますが、この法案の施行と同時に約半数以上の失業者を出さなければならないということを覚悟しなければいかぬのでありますが、この答申案ないしは法案の中で、これらに対する対策をどういうふうに規定しておるか。それらのためにいわゆる審議会を設けて、各代表を選んで十分意見を聞いて善処していきたい、この善処というのは非常に危険でございます。行き詰まったときに答弁なさる言葉が善処で、あろうかと私は考える。何ら具体策がないのに善処という言葉でもって当面ごまかしていこうという気配が濃厚である。かようなことでわれわれはこの法案について審議会ないしは提案なすっておる内容を了解することはできないのであります。
第三点といたしましては、審議会ないしは提案の説明の中で、関連産業に対する影響を取り上げておりますけれども、これはもちろん自分たちの面接関係する問題でないということもありますが、非常に過小評価をなすっておる。注文が若干減るであろう、だからこれに対して耐用年数を短縮する、ないしは更新の助長を希望する、希望という表現、この一字によりまして、十六万ないしそれに付随する家族の人たちの生活が断たれようとする、かかることは断じて許されぬと私は思うのであります。しからば過小評価でないかどうかということを具体的にこの答申が行われた後において起った現象によって反証したい、かように考えるのであります。すなわち今刈谷の市長さんも叫ばれましたごとく、現在繊維機械工業を中心とする関連産業の所在地の各自治体におきましては、失業者の増大することをおそれ、また貧困な財政の立て直しに際し、極端な税の減収をおそれまして、この法案に反対するところの意見書を提出する決議を行なって、すでに関係官庁に対して提出を終っておる。この事実に徴しましても、この法案による影響というものが関連産業に対していかに大きいかということもわかっていただけると思うのであります。
それから次に申し上げたいことは、日本の紡績産業は御承知のごとく今や斯界を風靡するところまで発展を見ております。しかしこの発展がどういう経過をたどって発展して参ったかということは、今さら私が申し上げるまでもないことでございますが、この発展の陰に基礎産業である機械工業者が、紡績の一等国といわれた英国の機械に匹敵する機械を作り出すために陰の努力を払って参っておるのであります。ところが審議会に出られました皆さん方はほとんど機械屡ではなくて繊維屋さんが多いのでありますが、この日本の繊維業界を今日まで成長せしめたところの陰の力となった機械屋さんの影響に対して何ら考慮を払うところの考えがない、かようなことでは手前みそのそしりを受けましても、これに対して何ら弁明する余地はなかろうと私は考えるのであります。昔からいわれておることでございますけれども、政治というものがいかに国策上必要であったといたしましても、またある業界を成長せしめる上において必要であったといたしましても、その陰に泣く多くの国民があるといたしますならば、その法律というものは悪政のそしりを受けるのが当然であると私は考えるのであります。そこでこの法案に対しまして、いろいろ具体的に数字をあげまして立証いたしたいのでございますが、時間の関係もありますので、質疑の中で十分解明をしていただきたいと思うのであります。
最後に申し上げたいことは、この法律は現在の紡績業界の状態におきまして尚早であり、必要でないと私は考えますが、絶対なものであるといたしましても、前申し上げましたように多くの国民が泣かない、いわゆる関連産業に対する十分の措置を考慮するための独立立法を並立して提出なすって、ともに審議を進めていく、一方を成立させたときは、陰の力となる基幹産業もともに、自己の見通しの上に意欲を持って研さんし成長し得るところの道を立ち開いていくことこそが、真に国民を規制する民主的な法律である、私はかように考えますので、委員の皆さん方は、どうかこの法案にあわせて、関連産業に対する今後の助成対策の立法をともにやる、そうでなければ、一方的にこの法案を通さないという形に持っていっていただきたいと思うのであります。何となれば、前にも申しましたように、この法案の内容の中では、それらの問題を第四章の設備審議会において議するようになっておるのでありますけれども、審議会というものはどういうものであるか。これは前に申し上げましたごとく、繊維総合対策審議会しかりでありますが、最終的には力の関係によって決する。これは最近の裁判の例を——これは例になるかどうかわかりませんが、見ましても、法の解釈にも幾通りもあるわけでありますが、ましてやこの審議会というものは何ら効力がないといわれてもしかりであり、効力ありとせんか、それはその審議会を構成するメンバーの力の関係によって決する。すなわち十大紡を中心といたしますところのき大な業者によって支配される結果が招来するということを懸念するからであります。どうかこの点を十分御勘案をいただきまして、この法案を廃案ないしは、絶対必要であるといたしますならば、関連産業に対する今後の助成措置立法をあわせて御審議していただきたい、かように考えまして、私の御意見とする次第です。