1956-09-03
衆議院
小笠公韶
商工委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会
小笠公韶の発言 (商工委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会)
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○小笠小委員長 これより会議を開きます。
鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関し調査を進めます。
先般来商工委員会においては各地に委員を派遣し、実情調査を行なって参りましたが、そのうち特に本小委員会の当面の重要課題であります鉱害問題について、参考のためその調査の結果について私から簡単に御報告申し上げます。
御承知のように、現在の石炭鉱害復旧につきましては、特別鉱害復旧臨時措置法と、臨時石炭鉱害復旧法の二法律が施行されております。
福岡県当局の報告によりますと、昭和三十一年七月末における特鉱法に基く復旧事業瞳は、金額にして九十二億円、進捗率は認定事業量の九三・七%に達し、地元市町村を初め関係者の方々から非常に感謝されましたことは、まことにうれしく感じた次第であります。これは政府関係官初め、地元関係者の努力のたまものであると思います。特別鉱害復旧臨時措置法の施行前に見られた美田変じて泥海と化した往時の面影は今はなく、豊かに実る田園の情景が、本法の威力を物語っているように思いました。
このように特別鉱害復旧臨時措置法に基く復旧は、明年五月の本法の有効期間内にほぼ当初目的の事業を完了するものと想像されます。しかしながら臨時石炭鉱害復旧法に基く一般鉱害の復旧は、相当予定計画量を下回っております。すなわち一例を福岡県にとりますと、昭和三十年度末の復旧事業量は、金紙にして約十二億円、その進捗率は一七%となっており、当初予定の四〇%を著しく下回っておるのが現状であります。これは一般鉱害と認定されながら、鉱業権者の所在が不明であったり、資力を喪失したりしている等の原因によるものであります。従いまして、地元被害者を初め関係者は、現行臨時石炭鉱害復旧法の運用にいま一段の強い施策をとられたいとの熱心な陳情がありました。現地におきましては、飯塚市、直方市を初め関係市町村民が手に手に歓迎と書いた旗を振って出迎えられ、われわれ一行は本件の緊要性と被害者の苦悩をひしひしと身に感じつつ視察を進めたのであります。調査報告の詳細は時間の関係で別の機会に譲ることといたしますが、以下簡単に陳情の内容を申し上げることにいたします。
第一に、現行の和解仲介制度では、鉱害紛争の処理がきわめて不十分であるから、鉱業法の一部を改正いたしまして、鉱害審議会を設置する等の措置により紛争処理の促進をはかられたいというものであります。さらに鉱害紛争処理については、鉱害の事実認定の可否に基因する紛糾の多い現状にかんがみて、鉱害測量制度を充実されたいというものであります。
第二に、家屋、墓等は臨鉱法による国庫補助の対象とされていないため、著しく復旧がおくれている現状にかんがみ、家屋、墓等も農地同様に国庫補助の対象とされたいというものであります。
第三は、鉱業権者の所在不明または無資力等のため復旧が放置されている鉱害については、国の責任においてすみやかに復旧するよう措置されたいというものであります。
第四に、福岡県木屋瀬地区等に見られる加害者不明の被害については、すみやかにこれを鉱害と認定して復旧されたいというものであります。
第五に、鉱害の適正なる復旧をはかるため鉱害引当金制度を設け、この引当金については損金処理を認めるよう税法上の改正を行われたいというものであります。
第六に、特別鉱害復旧臨時措置法に基いて認定された物件については、必ず法の有効期間内に復旧を完了するよう措置されたいということ等であります。
以上が陳情の概要でありますが、最後に言申し上げたいことは、現在石炭の採掘によって発生した鉱雪は、現地において深刻な社会問題となっていることであります。しかしてこれが復旧について関係者は非常な努力を払っておりますが、今回の視察により、私たちはこれを炭鉱地帯の一現象と見るべきでなく、国家的視野をもって本問題を解決せねばならぬと痛感した次第であります。以上をもって調査の報告を終ります。
それではお諮りをいたしますが、この際小委員長のもとにおいて作成いたしました本問題解決の方法に関する案を朗読いたします。
政府は、本問題の重要性にかんがみ、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定をはかり、あわせて石炭鉱業の健全な発達に資するため、左記事項について次の通常国会を目途として必要な措置を講ずべきである。
一、鉱業権者の所在不明または無資力にかかる鉱害を早急に復旧することとし、これに伴う地方公共団体の負担を軽減する等必要な措置を講ずること。
加害者不明の被害についても右に準じて措置すること。
二、鉱害家屋の復旧を促進することとし、これがため、国庫補助金を交付する等必要な財政措置を講ずること。
三、鉱害の適正かつ早急な復旧をはかるため、鉱業権者の鉱害賠償資金の確保について、適正な措置を講ずることとし、これに伴い税法上供託金及び鉱害賠償費引当金等の損金処理を容認すること。
四、鉱害紛争の円滑な処理を図るため、紛争処理に関する必要な措置を強化し、これに伴う十分な予算措置 を講ずること。
五、鉱害紛争中、鉱害の認否に関するものが大部分を占める実情にかんがみ、その迅速的確な判定を行うため、鉱害測量に関する予算の充実をはかること。
六、特別鉱害復旧臨時措置法に基き認定された物件については、特にその復旧に遺憾なきを期すること。
以上であります。
簡単にただいま朗読いたしました案文の解釈についで御説明申し上げておきたいと思います。
第七は、鉱業権者の所在不明の問題であります。この「鉱業権者の所在不明」の意味は、失踪宣告を受けたというふうな法律的な見解にとどまらず、もっと鉱業権者の責任の不明な場合その他を広く解釈するようににいたしたいと思うのであります。
「加害者不明の被害」という第二項につきましては、たとえば木屋瀬地区のごとく、鉱害と認定するかどうか、いろいろ問題のあるような地域をも復旧せしめるの意味におきまして、これを付記いたしたのであります。
第四の、「紛争処理に関する必要な措置」、この点につきましては現行法おきまして、和解の仲介制度がございまするが、和解の仲介制度に限らず、さらに必要なる諸制度を考究していただきたい、こういう趣旨でございます。
第六の、特鉱法に関しましては、明年五月十二日をもって法律の期限が満了する予定に相なっております。しかるに工事能力等との関係から見まして、期間内に工事の完了のできない場合も予想されますので、それらの問題につきましては遺憾のないように予定通り工事の進捗するに必要なる措置を法的その他予算的に講じてほしいということであります。
申しおくれましたが、第三項におきます「鉱害賠償資金の確保」につきましては、既発生の鉱害賠償にとどまらず、将来起るべき鉱害の復旧という問題をも含めての趣旨に解釈いたしたいと考えております。
以上、簡単に小委員長の案を御説明申し上げたわけでありまするが、本件について御意見等がございますればこの際発言を許すことといたします。