勝間田清一の発言 (本会議)
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○勝間田清一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、河上議員のあとを引き継ぎまして、財政、経済に対する質問を続行いたしたいと存ずるのであります。
第一に、昭和三十一年度予算案一般について、重要諸問題をお伺いいたします。
今回政府が提出した昭和三十一年度予算案は、一般会計が一兆三百四十九億円で、これは三十年度予算に比して五百三十四億円の実質的増加を示すものであります。しかしながら、この増加額の七割五分、すなわち四百億円が軍事費、恩給費、そして地方財政の赤字補てん費の増額であって、もしこれに賠償等特殊債務の返済費百億を加えるとすれば、これら総額は実に四千三十五億四千七百万円に達しまして総予算額の四割を占め、いかにわが国の財政をこれら非生産的支出が圧迫しつつあるかに驚かざるを得ないのであります。(拍手)しかも、これら費目のいずれを見ましても、現鳩山内閣の続く限り、年々歳々ウナギ登りに上りこそすれ、軽減される見込みは断じて期待し得ないのでありまして、鳩山内閣の財政的行き詰まりは、もはや今日時間の問題とここに申しても過言でないと存ずるのであります。(拍手)
公務員の給与を二ヵ年にわたってストップし、民間労務者の賃金を、労働の生産性上昇率をはるかに下回ったままに抑圧しながら、わずかばかりの所得税の軽減でお茶を濁し、鳩山内閣の三大公約の一つと豪語した総合的減税が早くも遅延せざるを得なくなったのも、その一つの大きな現われであります。(拍手)
食糧増産関係を含む公共事業費を五十億円、住宅対策費七十億円、その他の建設資四十億円等をそれぞれ一般会計から削減してその不足分の一部を、利子のついた民間資金に切りかえてつじつまを合わせねばならなかったのも、鳩山内閣の財政の限度を示すものであります。(拍手)
鳩山総理は、昨日の答弁におきまして、社会保障費を百二十二億円増額したと称して大みえを張ったのでありますが、これは実に数字の表面づらだけを見た空論でありまして、実態を御存じない証拠といわなければなりません。増額いたしたの、鳩山内閣の炭鉱合理化や駐留軍労務者の首切りを初めといたしまして、中小企業者を倒産せしめている独占資本中心の政策から街頭に投げ出されておる労働者の方たちへの失業対策費が不十分のままに増額されたのがその根本でありましてあとは、対象人員の自然増から当然増加すべきものが増加したにすぎないのであります。国が管理しておる健康保険の赤字対策として、当然、二割、すなわち約八十二億円の負担を国がすべきにかかわらず、わずか三十億円だけ国が負担をいたしまして、病人に二十三億円を医療費の一部負担として負担をさせるような鳩山内閣の政策に、社会保障を論ずる資格は断じてないと確信するのであります。(拍手)
さればこそ、一萬田財政は、ついに、この財政行き詰まりに対する逃げ道を、財政投融資、民間資金の利用、さらには国庫債務負担行為の増額に求めたのであります。そして、一般会計を含むこれらの総額、すなわち真の意味における予算規模とも称すべきものは一兆六千四百七億円の膨大なる金額にのし上り、三十年度に比し、実に一千百六十九億円の膨張となって現われておるのであります。
そこで、私は、一萬田大蔵大臣並びに関係閣僚に対して、次の諸点を明らかにいたしてもらいたいと思うのであります。
第一は、予算の基礎になっておる消費者米価をいかに考えておるかということであります。河野農林大臣は、膨大な赤字に達しておる食管特別会計をいかに処理せんとするのであるか、また、その結果、消費者米価は本三十一会計年度に関しては断じて値上げせずとここで断言することができるかどうか、大蔵大臣とともに、この点を明白にせられたいのであります。(拍手)
次に、政府は、物価の横ばいを前提といたし、また、物価の安定を経済政策の一目標といたしておるのでありますが、果してこれが維持できるかどうか、経企長官に根拠ある説明をお願いいたしたいのであります。すなわち、政府の施策を見れば、当然無利子の財政資金によるべきものを、金利のついた民間資金や財政投融資に切りかえておること、従って資金コストが上っておること、砂糖消費税、軽油税、さては鉄道等に対する固定資産税等を設けて、物価値上りの基礎をここに作つておること、また、最近における物価の若干の上昇、なかんずく鉄鋼等の二千円引き上げ等、すべての条件をここに総合いたしまするならば、さなきだに料金の値上げを要求いたしておる鉄道運賃を初めといたしまして、家賃、電気料金等の値上げが危惧されるのであります。政府は参議院選挙をおそれて、これらの物価の値上りを今日押えておるけれども、やがて、選挙の後に、これらのものを引き上げるのではないかというのが、今日国民の持っておる一様の危惧であります。この点を明白にお答え願いたいのであります。
次に、政府は、財政行き詰まりのしわを民間資金の活用で逃げまして、公募債を除き四百八十八億円をこれに予定いたしておるのであります。この民間資金を、大蔵大臣はいかにして確保せんとするのであるか、いかにしてこれが合理的な運営をはからんとするのであるか、この点をまず明白にせられたいのであります。また、公団債の発行を政府は企図されておるのでありますが、利益が確実である限り、また公団が乱立に陥らない限り、この政策が必ずしもインフレを惹起するものとは考えませんが、公団債の発行が公社債発行の第一歩であり、インフレの懸念をここに内蔵いたしておることは、争われない事実であります。従って、われわれは、公団乱造に対しては絶対反対すると同時に、当然必要なる経費は特別会計によってまかなっていくのが必然であると考えるが、大蔵大臣の所見を承わりたいのであります。
次に、政府は、各大臣並びに与党内における予算の分配のために、幾多の無理な財源を捻出いたしておるのであります。その代表的なものは、旧朝鮮銀行と旧台湾銀行に対する清算剰余金を三十五億円も引き揚げんといたしております。また、賠償費を当初の原案より五十億円減額いたしております。そこで、外務大臣に対してお尋ねいたしたいのであるが、これらの財源が日韓交渉、目比賠償に支障はないのであるかどうか、また、日比賠償のいかんによっては補正予算を組まざるを得ないのではないか、この点を大蔵大臣に明白にお伺いいたしたいと思うのであります。(拍手)
次に、恩給費の将来についてであります。恩給費は、予算に明らかなごとく、旧軍人恩給と文官恩給を合せて、前年度より六十六億円増額いたしております。そうして、恩給の総額は実に八百九十九億円に達しているのであります。そこで、今後の問題でありますが、文官恩給の二十三年度以前の退職者に対する不均衡是正を平年度化すといたしますれば、実にこれは十一億に達します。そうして、また、軍人恩給についても是正をするのであるかどうか。それをやるとすれば、まさに恩給費は一千億円に達するのであります。ここに、財政を憂える者の中には、日本は恩給亡国になるのではないかという当然の疑問が生じて参るのであります。
しかし、他面におきまして、これらの恩給権者の権利を剥奪することも無理でありましょう。同時に、社会保障的性格を無視することも無理でありましょう。そこで、財政的な要求と社会保障的な要求とをいかにして合理的に確立するかということが、当然政府において計画されねばならぬことは明らかであります。(拍手)ここにおいて、わが党は、世界の動向をにらみ、現在のこれらの状況を勘案いたしますならば、農民等全国民に対して老齢年金制度を設け、それを組み入れることによってこの恩給制度を吸収して、全社会保障体系としてこれを確立すべきである、これがわれわれの考え方であります。(拍手)一体、総理大臣及び厚生大臣は、これらの方途に対していかに考えておるのであるか。
以上、私は予算上の諸問題の質問を若干いたしたのでありますが、これを要するに、本予算案は、きわめて脆弱な基礎の上に無理に組み立てられた、きわめて弾力性のない予算であることは、否定できないと思うのであります。特に、一萬田蔵相と高碕経企長官の主張にもかかわらず、日本経済に対する長期的な見通しと、それに対する配慮を欠いており、経済自立五ヵ年計画に対する財政的な裏づけのないものであることは明らかであります。(拍手)
アメリカの三十二年度予算教書を見ましても、現在アメリカが未曽有の繁栄にあり、しかも、年末には大統領選挙を控えながら、あえて減税を見送り、国債の償還をはかり、しかも不況対策への弾力性を保持しつつあることは、両大臣とも認められるところと思うのであります。また、たとい一萬田財政の主張をいれるといたしましても、それは、日本をしてアメリカの支配から脱却せしめ、平和と生活安定をこいねがう全勤労階級のための健全財政でないことは明らかであります。(拍手)再軍備と独占の上に安住を求める資本家、財閥のための予算であることは今日明白であります。(拍手)私は大蔵大臣の所見を承わりたいのであります。
次に、外交問題について重光外務大臣に御質問をいたします。
政府は、昨日、アメリカとの間に防衛分担金削減に関する一般方式の取りきめを行いました。一体、その内容はいかなるものであるか、その経過と実態とをお示し願いたいのであります。新聞の報道によりますれば、昭和三十年度の防衛庁費八百六十八億円、対米施設等提供費八十億円、並びに防衛分担金三百八十億円を基準といたしまして、毎年、防衛庁費と対米施設提供費の合計額が前年度のそれをこえる金額の半分を防衛分担金から削減すると聞いております。もしこれが政府の取りきめの内容であるといたしますならば、私は二つの疑問が起きて参ると思うのであります。
その一つは何か。何ゆえに、これら増加額の半分にとどめて、全額を分担金から削減しないかということであります。(拍手)何となれば、このことは、アメリカが防衛分担金一を削減することによって、日本は二倍の再軍備を要求せられることにほかならぬからであります。もしこの方法で行くとするならば、現在ある三百八十億円の分担金をゼロにするためには、防衛庁費、施設提供費を百億円ここで予算上増額したといたしましても、実に八ヵ年を要することに相なるのであります。日本の予算に対して長期にわたってこの重大な制約を政府間の取りきめによって行うことに対して、私は断じて承服し得ざるところであります。
第二の疑問は、防衛庁費の増額分だけを分担金の削減に見返るというならばまだ話はわかるのでありますが、何ゆえに施設提供費の増額が防衛分担金削減の条件になっておるかということであります。(拍手)これは重大なごまかしであります。われわれは、昨年度の予算において、分担金を一面において削減しながら、他面において、立川、砂川、大高根等の飛行場を初め、軍事基地を拡張した苦々しき経験を持っておるのであります。また、たとい七年か十年の後に分担金がゼロになったといたしましても、施設提供費が義務になっておるから、最後の段階においては、膨大なる施設が日本の国に厳然と残るのであって、アメリカの軍隊も駐屯することを意味するのであります。(拍手)そこで、今日、鳩山内閣が再軍備すればアメリカ軍隊は撤退すると国民をごまかしてきたが、これをやつても厳然としてアメリカ軍隊は駐屯することを意味するのであって、鳩山総理はいかにこれを考えるかを御答弁願いたいのであります。(拍手)
次に、賠償等特殊債務の返済に対して、特に日比賠償を中心といたしまして、鳩山総理並びに高碕、重光、一萬田等関係大臣にお尋ねをいたします。
およそ、賠償問題のうち、日比賠償の交渉経過ほど不明朗かつ不愉快なものはございませんでした。昭和二十七年二月、津島使節団がフィリピンに派遣されて交渉を開始して以来、今日まで満四ヵ年を経ておるのでありますが、その間、日比双方に政変と複雑なる国内事情があったとは申しながら、その基本方針、特に、日本政府の基本方針に確固たる見解がなく、常にぐらつき、軽々に取り扱われつつあることは、きわめて遺憾にたえないところであります。(拍手)
津島使節団のとった役務賠償主義が、昭和二十八年六月の吉田首相の国会答弁によって、現物賠償併用主義に変りました。次いで、二十九年四月に、四億ドル、十ヵ年返済の大野・ガルシア協定の覚書が調印されました。これが、不幸にして、フィリピンの与党内の反対によって流れました。国際信義の上にきわめて遺憾にたえないところでありますが、われわれが、しかし、さらに遺憾にたえないことは、鳩山内閣が、昨年五月四日、突如として来朝したネリ大使との交渉で、賠償五億五千万ドル、海外投資二億五千万ドル、計八億ドル案を軽々にもうのみにし、しかも、ネリが帰って直後、この全貌がマニラ新聞によって暴露されて、今日に至っては、国民の正当なる主張も要求もすでに許されざるまでに既成事実化しつつあることであります。(拍手)いかに鳩山内閣が当時功をあせっておつたとはいえ、日本としては大野・ガルシア覚書の経過尊重を当然要求すべきであります。すでにきまっておるビルマ賠償との均衡、今後行われるインドネシア等への影響、さらには日本経済の賠償支払い能力等への計画的な配慮の上にこそ、この重大事は決定さるべきだったと思うのであります。(拍手)しかるに、これら一切の条件を無視いたしまして、にっちもさっちもいかぬ八億ドル案を軽々にのむに至った鳩山内閣の無責任きわまる底抜け外交を、われわれは断じて糾弾いたしたいのであります。(拍手)
そこで、鳩山総理は次の諸点を明らかにされたい。
一つは、賠償五億五千万ドル、投資三億五千万ドル、計八億ドル、このワクは今や動かし得ざる状態に立ち至っているのであるかどうか、もしそうだとすれば、四億ドルの大野・ガルシア協定かち二倍の八億ドル案に行ったあのときの経過を、この国会を通じて明らかにすべきであります。(拍手)また、伝えられるところによれば、もし日本が八億ドル案をのまなければ、交渉の経過をフィリピンは暴露すると言って、総理をおどかしているやに聞いておるのであるが、それを受けて立つ総理の確信が今日あるかどうか、これを明らかにいたしたいのである。(拍手)
もう一つ明らかにいたしてもらいたいのは、ビルマは二億五千正万ドルの賠償及び投資を締結いたしました。その際に覚書によって明らかになっていることは、フィリピン、インドネシアの賠償は、ビルマの賠償と適正なる比率を保つことの約束になっておる。ビルマの一億五千万ドルは、ほぼこの二倍のものがフィリピン及びインドネシアの賠償になることが受諾されてあの締結はスムーズに進みました。ここで、もし、フィリピンとの八億ドルの賠償案を政府がのむとすれば、当然、ビルマの二億五千万ドルの賠億及び借款は、日本が追加補正をしなければならない義務が生じてくると思うが、どうか。この点を、重光外務大臣は、外交責任上明らかにすべきであります。
最後に、大蔵大臣及び経企長官にお尋ねをいたします。もしこの日比賠償が八億ドルのワクとなりまするならば、先ほどの経緯をもって、インドネシアの賠償はほぼ同額になって参るでありましょう。ガリオア、イロアの援助によって行われた約二十億ドルの対米債務がたとい五億ドルに削減されたといたしましても、タイの特殊円その他の賠償を含めて、私は、ここに、二十億ドルの賠償並びに特殊債務の返済が、すなわち約八千億円の弁済が日本の義務となる可能性がきわめて濃化したことと思うのであります。これは、すなわち、たとい二十ヵ年にこれを償還いたしましても、実に年四百億円ずつ予算上負担しなければならないことを意味するのであります。今日のこの予算において、将来の予算においてこの賠償費に対する日本の負担能力をどう見るか、いかにしてこの際この賠償問題を解決せんとするのであるか、それに対する計画をこそ今日日本国民に明らかにせずして、いたずらに健全財政を謳歌することは国民を欺くこともはなはだしいと確信いたすものであります。(拍手)私、次に、外交問題の最後の問題としまして、中国に対する鳩山内閣の見解を重ねてお尋ねいたします。
鳩山総理は、対ソ交渉においては国民の世論に抗し得ず、もたもたいたしつつも、とにかく平和回復のための交渉を踏み切ったのである。しかし、日本の最大の課題は、隣国として、経済的にも、文化的にも、あるいはアジアの平和のためにも、わが国に重大な関係のある中国との関係をいかにして打開するか、いかにして平和を回復するかという問題であることは、否定できないと思うのであります。しかも、わが国に率先して、すでに英国はこれを承認し、インド、ビルマ等の中立外交をとつている諸国家はもちろん、アジア、アラブ諸国は、バンドン会議に見られるごとく、急速に中国との友好関係を回復いたしつつあるのであります。この傾向は、好むと好まざるとにかかわらず、世界の大きな外交上の課題であること、今日明白であります。
私は、過般、党を代表いたしまして、アメリカに使いいたして参りましたが、対中共に最も強硬な態度をとっていると見られるアメリカにおいてさえ、大統領選挙以前においては、あるいは大きな動きはないかもしれないが、少くともその後において、対中共政策を大きく進展せざるを得ないであろうとの印象を強く受けて参ったのであります。いずれにも増して、中華人民共和国は一大独立国として成長いたしつつあるのであります。これを無視して、国際外交、なかんずくアジアの問題を解決することはできないまでに世界の情勢は進みつつあることを、アメリカ自体も承認せざるを得ないのが現在の世界であると思うのであります。(拍手)私は、諸般の情勢を考え、昭和三十一年度の国際外交の重点は実に対中共の承認の問題であると思うのであります。鳩山総理は果してこの情勢をどう判断せられておるのであるか、ここに一言明白ならしめてほしいのであります。
しかしてこうした情勢の中で、日本は、肥料一トン送るのにも、一人の客人を中共から招くのにも、やすやすとはできない。まことに、わが国の中共外交は、かたくからを閉ざしておるというのが、私は現内閣の中共外交であると思うのであります。私は、これには二つの理由をあげることができると思うのであります。
その一つは、わが国の外交、すなわち、吉田内閣以来の数次の保守党内閣が、外交の自主権をみずから放棄いたしているからにほかならぬのであります。(拍手)自由諸国との協調という美名に隠れて、ひたすらアメリカの外交に追従いたしておることが、この最大の欠陥であることは明らかであります。(拍手)いずれの陣営に対しても国際的協調を保たねばならぬことは、わが国憲法の建前から当然であります。同時に、みずからの義務と権利の上に立って外交の自主権を行使し得る権利を忘れてはならぬのであります。戦後十一年、隣国との間に不自然な戦争状態のままに置かれておる日本が、これと国交を回復しなければならぬ自由を、いずれの国といえども阻止することは断じてできないのであります。(拍手)鳩山内閣は、対ソ連との交渉に踏み切ったごとく、対中共に対する国交回復をここに踏み切ることができるかどうか。
昨日の北京放送によれば、周恩来は、政治協商会議において日本政府に対し、昨年八月十七日、十一月四日にわたって交渉したが、残念なことに何らの返事のないことを遺憾に思う、と称しております。一体、今日、鳩山内閣は、これらの中共外交に対する根本の態度を明白ならしむる必要があると確信いたすのであります。むしろ、今日、中共との国交回復は鳩山内閣によってはできないというのが、鳩山外交の限度であるのではないか。(拍手)
対中共との国交回復を阻害いたしておる第二の大きな条件は何か。言うまでもなく、吉田内閣によって決定せられた日華条約の締結というものが中共との国交回復を阻害いたしておる原因ではないかということであります。思うに、終戦以来、今日、日本外交における最大の失策は、日華条約の締結にあったと思うのであります。サンフランシスコ条約その他の条約は、あるいは国際的な圧力によってできたという弁解も成り立つかもしれない。だが、少くとも、台湾政府との条約については、日本は自由なる権利を行使することができたはずであります。しかし、私はここに過去の批判のみを言わんとするものではありません。問題はここに明白になります。一つは、台湾と日華条約を締結しておる事実と、今後中共と国交回復をしなければならぬ要請との間における調整、矛盾をここにいかに解決するかという問題であると私は思うのであります。(拍手)
われわれの考え方は、台湾は中華人民共和国に終局的には帰属すべきであると考えるが、いずれにいたしましても、中国と台湾との関係は、中国の国内問題なのであって、両当事者が話し合いによって平和的に解決すべきであると確信いたすのであります。(拍手)われわれの今日なし得ることは、両当事者の話し合いに国際干渉をすることではなくて、この促進に協力することが、われわれに負わされたる今日の道であります。(拍手)そして、日本は、この問題とは別個に、中共との間に、すなわち、日華条約の廃棄を前提条件とせず、無条件の姿で中共を承認し、これと国交回復をする具体的な手段を今日とるべき段階に達したと確信いたすのであります。(拍手)私は、ここにおいて、鳩山総理の今日これに対する見解をお伺いいたします。
私は、最後に、鳩山総理に一つ質問をいたしたいと思います。昨日の河上顧問の質問に対して、領土問題は後に主題とするということを言った覚えは断じてないと言われました。私はここに明らかにいたします。朝日新聞等における鳩山首相の記者会見の録音によれば、「そこでまあ戦争状態終結の宣言をしたいというようなことからはじまって来て戦争状態終結の宣言をすれば当然にそれと同時に抑留者を帰さなくちゃあならん。領土問題にしても不当に占拠しているという理由はないんであるからして戦争を防止するために必要な程度に限つてそういうようなものは暫時の間このままにしといて後日解決するというような結果になって行ってだね、日ソ交渉が片付きゃしないかということをこい願っているわけだ。」こう言っておる。鳩山総理に私は質問をいたしたい。あなたにおける今日の二重外交、二また外交、これはまさにこの事実によって明白であります。私ははっきり申し上げたい。この新聞の録音の速記がうそであるか、鳩山総理の主張がうそなのであるか、いずれがうそであるか、明白にせられんことを最後に要求いたして、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕