稲浦鹿藏の発言 (風水害対策特別委員会)
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○稲浦鹿藏君 建設、自治小委員会の審査の概要を御報告いたします。
本小委員会は、内閣提出の建設関係四件、地方自治関係二件の特例法案につき、一昨二十八日慎重に審査をいたしました。
その概要を申し上げますと、まず、「今回の特例法が実施される場合には、特例法の趣旨が誤まりなく実施されなければならないのであるが、二十八年災害の復旧事業の実施状況を見るに、当初の査定額と実施額とには大きな開きがある。これは二十八年の特例法の趣旨に反し、実施面において財政の圧迫があったのではないか。今回は特に政府の提案であるし、前回の誤まりを繰り返してはならない。堆積土砂の排除事業についても予算の使用残があるのではないか。」という質疑に対しましては、政府側から「二十八年当時は机上査定が相当あったので、再査定で減額をし、その他設計差、入札残等により差額を生じているが、その後は実施査定を原則としているので差額は少ない、堆積土砂の排除についてもよく検討し、今後は慎重に実施する」旨の答弁がありました。
次に、「日本の工業地帯は海に臨み、ほとんどが高潮の危険地域である。しかもこの地域は沖積層で、地盤沈下の現象がある。高潮と地盤沈下をどう処理していくか。今後海岸堤防を実施する個所は、必ずボーリングによる地盤調査を実施すべきではないか。」との質疑については「広く学者の意見を聞き、今日の科学の粋を集めて、抜本的な対策を立て、実施以前に必ず調査をする。」との答弁があり、また、これに関連して、「高潮対策について、建設、農林、運輸各省の計画及び実施についての調整をどうするか。」との質問に対しては、「設計については企画庁を中心とした関係各省からなる高潮対策協議会で、民間の学識経験者にもはかり慎重に決定し、実施については緊密なる連絡をとって実施する」。旨の答弁がありました。
また、「低湿地帯の住宅、工場の安全をどうするか。政府は建築基準法三十九条の災害危険区域の指定により指導するというが、これは地方の条例に待つにすぎないし、元来建築基準法だけの問題ではない。個人の所有以外に公共物もあり、広く都市計画、国土計画上の問題ではないか。」という質疑に対しては、建設大臣から、「たとえばサンド・ポンプの吹き上げにより公共的な避難場所の設置、鉄筋コンクリートによる校舎の復旧等をはかるけれども、個人の宅地までは現在補助することは考えていないが、融資の面で堅牢な建物にするよう指導し、また、都市計画上からは、土地区画整理の場合には、地上げ等も検討していきたい。」旨の答弁がありました。
次に、「二回連続して災害を受けた地域については特別の配慮をなすべきであると思うが、何らかの特別扱いができるか。」との質疑に対しては、自治庁長から、「起債については困難であるが、特別交付税では特にめんどうを見ることにしたい。」旨の答弁があり、また、「気象観測の拡充は緊急であるが、従来気象庁関係の予算は不足している。いかなる方針であるか。」との質疑に対しては、気象庁から、「来年度においては、レーダー施設、山地ロボット雨量計、上高層観測等による予防警報を充実し、また、通信施設の整備、人員の増加、高精度の予報研究等をはかりたい。これらについては予算計上の見通しがある。」旨の答弁がありました。
以上のほか、「公有水面埋立法により、地方公共団体が埋め立てて、民間に売り払った土地で、災害により再使用にたえなくなっている場合、その責任はどうするか。現行の公有水面埋立法は単なる手続法にすぎないから、これの改正を考えるべきではないか。」また、「緊急砂防は特例法を設けず、起債による運営にまかせているが、高率負担を考慮すべきではないか。」また、「道路と堤防の併用、埋立地と防波堤の関連を考慮すべきではないか。」等の質疑があり、そのほかに、中部地方建設局の海岸部二百名の増員の内容、治水、利水等、水の行政の一元化とこれの基本法である水に関する法律の確立について等、多岐にわたり、きわめて熱心に論議が重ねられました。
以上簡単でありますが、本小委員会における審査の概要を御報告申し上げた次第でございます。