石黒忠篤の発言 (本会議)
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○石黒忠篤君 私は、緑風会を代表いたしまして質問いたしたいと存じます。
今日、米ソの両首脳が会談を行ないまして、これが将来いわゆる東西雪解けを来たさしめんとしつつあることは、その意義をきわめて高く評価すべきであり、これに対して多大の期待をつなぎたく考えるものであります。しかしながら、さればというて、国際共産主義固有の脅威を思うとき、直ちに安保条約廃止すべしとの主張を肯定するわけにはとうてい参らないのであります。(拍手)そこでわれわれは、今後も日米安保条約の必要を認め、その改定についての政府の中間報告に連関して、二、三、総理及び外相の意見をただし、今後の審議に資したいと考えております。
総理は一昨年、この改定問題をひっさげて米国を訪問し、日米新時代に入ったと声明した当初においては、両国対等の立場の双務的な相互防衛条約にするというようなことであったと記憶をいたします。しかるに、昨年十一月ごろになると、外相は、米国のわが国に対す防衛義務に対し、わが方は沖縄、小笠原を区域からはずすこととして基地貸与義務だけの協定の形となるであろうというようなことを申され、今回の中間報告もその通りでございます。しからば、新条約は基地貸与協定であるのか、または、報告第五の後段の、在日米軍に対する攻撃を日本も防衛することを義務とするというところで、これを相互防衛条約とするという気持であるのか、はたまた、報告第二の、経済協力——それは、安保条約としては直接に関係のない条項でありまするが、それを新たに挿入することによって、これに相互協力条約の名前をかむらしめんとするのであるか。相手のあることとは言い条、根本義においていかにも一貫性を欠いたうらみがあるのであります。よろしく、新条約の性格とそれを正しく表明する名称を国民の前に明示して、おもむくところを知らしめることがきわめて肝要であると考えますが、この点に関して政府の答弁を求めます。
また、報告第七として、安全保障上、十年の安定期間を定めることとしておるが、それには自民党内においても、今なおこれをフレキシブルなものにしようという主張があるのであります。私は、ただいまこの主張の可否を申すのではありません。聞くべきところもあるように思います。が、今これを論ずるのではありませんが、これを強く主張しっ放しで国会をあとにして外遊しました有力なる一党員がおるように思います。その人は、昨日の新聞によりますると、米国国務省に期限内改定論を検討する必要を申し入れ、かつ、ハーター長官の、安保条約交渉についての満足の意思表示を、自分が了承したようにとられては事実に反することとなるというて、強く主張したようであると伝えられております。さきに自民党の元老ともいうべき一党員が中共におもむき、また、帰ってきて、総理の外交を非難しており、今また安保に対してかくのごとき現状であるのを、総理はこれをいかに考えられるか。われわれは、立法府に連なっておる者として、憲法第七十三条による政府の外交権を常に極度に尊重し、事、外交に関しては超党派でいくべきものであることをこいねがっておるものであります。それゆえに、過般、同僚佐藤尚武君は、野党の首脳者が中共政府と共同して日本政府を攻撃する声明をなしたときに、それをけしからぬ不都合事として、この壇上で糾弾したのでありました。今、与党のかくのごとき状態は、さらにさらに、われわれをして、この国の外交のために憤懣せしむるものであります。政府、自民党は、今後の外交がかような統一性なき状態で進められるのも、それはいたし方がないと放置していく気持であるか、外相及び総理の所見を伺いたいのであります。
安保条約改定に関しては、今国内に賛否両論がきびしく対立をいたし、国民は帰趨に迷っております。これは自民党多年の重要懸案であるから、とくに研究審議を遂げて、国民の了解、啓発を行ない、堂々たる主張であらしめねばならぬはずであったと思います。しかるに、政府はこれを怠り、自民党は、先般の選挙にただ政策の一項としてこれを掲げたのみで、候補者は投票者の反対をおそれて多く口にせずにしまいました。政府与党の得票の多数がこの主張によって戦いとられたものとは決して申されません。最近にわかに講演会等を催したようでありますが、地方講演に行くことを逡巡する党員が多かったと聞いております。今日国民が事を了解せざるままに、賛否両説の間に迷うておるのは、政府与党の趣旨徹底の啓発努力に欠けるところがあったと私は思いますが、総理及び外相の所見を伺いたいのであります。
なお、報告第八において、事前協議を付属交換公文に譲ったことを、外相は非常に重要視したからであると言われますが、はたしてさようであるか。われわれの聞いておるところでは、交換公文はアメリカの議会に提出せられないというところがあるように思いますが、その交換公文に譲ったゆえんを、どうぞ正直にこの壇上において公表していただきたい。外交のことでありますので、相手方がありますから、いろいろなかけ引きがあろうと思います。国民に正直にその点を申されれば納得をすることもあろうかと思います。
以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕