小林英三の発言 (本会議)
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○小林英三君 ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十四年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和三十四年度政府関係機関予算補正(機第1号)の予算委員会におきまする審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
今回の予算補正は、伊勢湾台風等、今年発生災害の災害対策を主眼としたものであります。累次にわたる今年発生災害に対しましては、すでに予備費の使用等によりまして各般の対策が進められているわけでありますが、今回さらに大幅な災害関係費の追加を行なうため、各種の特例法とともに補正予算が提案されたわけでございます。この予算補正にあたりましては、あとう限りの財源をこれに充当することといたしましたために、その他の経費につきましての補正も同時に行なわれたわけでございます。
一般会計予算の補正による歳出の追加額は総額六百十四億余円でありますが、うち災害関係費は約三百四十四億円、その他の経費が約百九十一億円、予備費が八十億円となっております。災害関係費のおもなるものは、三十四年発控災害復旧事業費百七十九億円、伊勢湾高潮対策事業費六十二億円、その他、緊急治山及び緊急砂防事業費、三十四年発生住宅施設災害復旧事業費、公立文教施設災害復旧費、災害救助費等で百三億円であります。災害復旧事業費百七十九億円は、被害額の調査がいまだ完了していないものもありますため、推定分を含めて算出されたものでありますが、台風七号以前の分場については当初予算計上の予備費によって大体措置済みであり、それ以後の分については、この百七十九億円及び補正予算計上の予備費から措置されることになっておるのであります。また、この災害復旧事業については、歳出予算のほか二十九億円の国庫債務負担行為ができるようになっておりますので、初年度二五%という従来の復旧率に対し、二八%半まで着工できることになっておるのであります。伊勢湾高潮対策事業費六十二億円は、伊勢湾台風に際し海岸河川部の被害が特に激甚であったことにかんがみまして、特別の高潮対策事業として、原形復旧にとどまらず、大規模な改良工事を急速に実施するために計上されたものでありまして、この事業に対しましては、すでに予備費から十一億円支出されておるのでありますが、さらに、今後の工事の実施状況に応じ、補正予算計上の予備費の使用のほか、県営工事分については七億円の国庫債務負担行為の活用が可能になっておるのであります。その他、緊急治山及び緊急砂防事業費、三十四年発生住宅施設災害復旧事業費、公立文教施設災害復旧費、災害救助費等は、いずれも激甚地の地方公共団体に対する起債の元利補給、補助準、補助単価の引き上げ等、各般の特例措置を見込み、所要額が計上されたものであります。その他の経費のおもなるものは、地方交付税交付金八十五億円、義務教育費国庫負担金等、法令の規定に基づく義務的経費九十二億円及び石炭対策費七億円等であります。予備費八十億円については、うち五十億円は災害対策関係に充てられ、残り三十億円はその他の今後の不測の財政需要に充てられることになっております。これらの歳出追加に必要な財源は、法人税を中心とした租税の自然増収四百九十億円及び専売納付金を中心とした税外収入の増加四十八億円をもってこれに充て、さらに不足する七十六億円については、公共事業費等、既定経費の節減により充当されることになっておるのであります。以上の補正の結果、三十四年度の一般会計予算の総額は、歳入歳出とも一兆四千九百八十一億余円となります。
特別会計予算並びに政府関係機関予算補正の内容は説明を省略いたしたいと存じます。
なお、以上の各予算補正に関連いたしまして、財政投融資においても総額五百一億円に上る投融資の追加が行なわれておるのでありますが、このうち災害対策関係の追加額は、中小企業、農林漁業、住宅、地方債等で合計四百一億円でありまして、年末中小企業金融対策関係の追加額は百億円となっておるのであります。
これらの補正三案は、去る十月二十八日、国会に提出せられ、十一月十四日、衆議院において可決の上、本院に送付されたものであります。委員会におきましては、十月三十一日、佐藤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取いたしまして、衆議院からの送付を待ち、十六日から昨二十五日まで、正味七日間にわたり、岸内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行ないました。以下委員会における質疑応答のうち若干の事項につきまして簡単に御報告申し上げます。
まず、災害に対する根本的な対策につきましての質疑といたしましては、「今回のような災害を再び繰り返さないようにするためには、治山治水の根本対策がぜひ必要と思うが、総理の考えを示されたい」、また、「恒久対策の立案にあたっては、財源の裏づけが必要となるが、公債、借入金等による方法も、長期にわたり国民に恩恵を残すものであるからよいのではないか」、「治山治水特別会計の設置についてはどう考えているのか」等の質疑がありましたが、これに対し、総理大臣及び大蔵大臣から、「日本の国土保全については、今回の災害にかんがみ、治山治水、防潮等、総合的見地から抜本的な対策を立て、通常国会に提案をいたしたい」、また、「その実現のためには予算の裏づけ、法制の整備等を考えていきたい」、さらに、「その財源については、公債、借入金等によれという主張もあるが、日本経済の健全性を害しないことを根本条件として検討することが必要であると思う」、また、「治山治水事業について特別会計を設置するかどうかについては、事業の性格からいって問題もあるが、目下検討中であって、まだ結論に到達していない」旨の答弁がありました。
次に、災害関係費についての質疑といたしましては、「災害復旧補助事業費は、千五百五十八億円の被害報告額に対し、査定額は千七十二億円であり、六九%の査定率であるが、これでは少なきに失しないか」、「災害関連事業費も何%というワクを設けず、現地の実情に即するようにはできないか」、また、「伊勢湾高潮対策事業費についても、これでは改良復旧は不可能で、原形復旧に終わりはしないか」、また、「単独災害復旧事業で助成を受け得る事業量はどのくらいであるか」等の質疑に対しましては、大蔵大臣、建設大臣及び自治庁長官から、「査定見込事業費千七十二億円は従来の実績から算出したものであり、災害関連事業費については、建設省関係の河川等は率にこだわらず話し合いがつき、農林、運輸関係は、従来よりそれぞれ率を相当に上げている、また、「補正に計上したのは、明年の台風期までに原形に戻しておくための予算であって、工事の進捗率からこれ以上必要はない。単独の災害復旧事業費の額は二百四十億円で、そのうち起債の対象となるものは二百九億円、うち小災害が三十七億円で、今年度措置する額は十九億円であるし旨、答弁がありました。
次に、激甚地の指定の問題についての質疑といたしましては、「大蔵大臣、あなたは衆議院の予算委員会で、今回の補正で足りない場合は通常国会で善処すると答弁しているが、この補正予算編成にあたり、激甚地の指定をどの程度と見ていたか、また、激甚地指定基準の決定により、どの程度の額が必要となるか」との質疑に対しまして、大蔵大臣から、「災害復旧費は、災害という事実に対処するものであり、財源に合わせて査定する性質のものではない、激甚地の指定については、編成当時六制程度を予想していたが、指定基準決定の結果、公共土木施設は六七%、農地農業用施設は七一%ぐらいとなり、金額的には初年度数億円程度の増加にとどまるので、第二次補正は出す必要はないと思うが、事態の変化に対しては政府の責任で善処する」旨の答弁がありました。
さらに、地方財政につきましての質疑では、「本年の地方財政は一般に悪化すると憂慮されているのであるが、今次の災害のため地方財政が一そう圧迫を受けるのではないか」との質疑に対しまして自治庁長官及び大蔵大臣から、「地方財政については、各種の特例法による補助率の引き上げが予定されているほか、交付税についても、今回の補正による特別交付税四十一億円のほか、既定の特別交付税の中で災害関係に回し得るものが二、三十億円はある。起債についても、当初の起債ワク三十五億円のほかに、今回百六十億円が追加されており、また小災害についても、前回はワクを下げて補助事業としておったのであるが、今回は起債を認め、元利を補給することになっている。その他特別交付税の配分の方法についても実態に即して行ない、税の減免等による歳入欠陥については歳入欠陥債を認め、その償還にあたっても、ある程度のめんどうを見ることになっている。地方財政は今年は大体まかなえるのであるが、むしろ問題は来年度以降にあるので、今後とも災害によるしわ寄せを受けないよう健全化の方向に努力したい」旨の答弁があったのでございます。
次に、石炭産業離職者対策につきましての質疑といたしましては、「今回提案されている離職者臨時措置法の対象となっているところの離職者の数は幾らであるか。大手石炭業者は今後十万人の人員削減を目標として合理化計画を進めているのであるが、政府はこれを傍観するのか。石炭業界は従来政府の長期出炭目標に沿うて開発に努めてきたが、今エネルギーの総需要は増加しているのに逆に石炭が不況に陥った原因は、政府が無計画な外貨の使用により重油を輸入したからではないか。政府の責任ではないか。また炭主油従政策はどうなっているのか」等の質疑に対しまして、総理大臣、通産大臣及び労働大臣の各大臣から、「今回の臨時措置法の対象は、昭和三十年九号以来の離職者五万人と今年末までに予想されている離職者二万人のうち、緊急要対策者として予算措置をしているものは約二万一千名である。石炭の不況は世界的であって、経済情勢が急激に変化したために、政府としては、従来のエネルギー需給計画を根本的に再検討を加えているのである。炭主油従政策は堅持するが、単純に重油関税を引き上げればよいというものではなく、石炭業みずからがなすべき合理化の限度、重油価格の動向、需要の趨勢等を慎重に検討した上、各種の根本対策を通常国会に提出したい」旨の答弁があったのでございます。
また「明年度予算は、財源面で相当苦しくなると思うが、いかなる性格の予算となるか。租税等の自然増収は幾らか」等の質疑がありましたが、これに対しまして大蔵大臣から、「明年度は剰余金の減少、たな上げ資金の減により、相当額の租税の自然増収があっても新規政策に回せる財源が少ないことは事実である。明年度予算は災害復旧と国土保全が中心となるであろうが、経済を刺激しない予算を組みたい」旨の答弁があったのでございます。
なお、当面の外交懸案であります安保改定の問題とベトナム賠償協定につきましては、当委員会におきまして終始熱心なる質疑が行なわれたのであります。
その他、MSA協定と防衛費の関係など、内外の政治経済上の諸問題につきましても幾多の質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存ずるのであります。
かくて昨日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、社会クラブを代表して東委員が反対、自由民主党を代表して大谷委員が賛成、日本共産党を代表して岩間委員が反対、日本社会党を代表して鈴木委員が賛成、無所属クラブを代表して千田委員が賛成、緑風会を代表して杉山委員が賛成の意見をそれぞれ述べられました。
討論を終局いたし、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十四年度予算補正三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました次第でございます。
以上御報告を申し上げます。(拍手)