杉山昌作の発言 (本会議)
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○杉山昌作君 私は、ただいま議題となっております補正予算三案に対しまして、緑風会を代表して賛成の意を表そうとするものであります。
補正予算三案のうち、その中心をなすものは一般会計の歳出補正増六百十四億円でありまするが、そのうちで、予備費の一部五十億円を含む三百九十四億円が災害復旧関係の経費となっております。本年はしばしば台風の来襲を受けまして、災害も各地に続出いたしましたが、九月の伊勢湾台風は史上まれに見る強烈なものでありまして、その被害は言語に絶するほどの激甚なものでありました。これに対する援護と復旧とは何をおいても実施しなければならない国の大きな施策であります。政府が急遽補正予算案を編成し、必要な災害復旧関係の経費を計上して国会に提出されましたことは、わが意を得た措置でありますけれども、しかし、この予算は、編成を急ぐのあまり、幾つかの難点を包蔵していることもまたやむを得なかったことかと存じます。しかしてその難点の一番大きいものは、今までの討論でも触れられましたごとく、計上せられた予算額をもって、はたして完全に事業ができるかどうか、換言すれば、予算額は少なきに失しはしないだろうかということであります。すなわち、予算編成当時、実態の調査未了のために、一応の見当で計上された費目が多いのでありまするが、その後事態の判明するに従いまして、計上額をもってしてはまかないきれないではないかというおそれがだんだんと出て参っておるのでございます。たとえば、特に高率の補助金を交付すべき被害激甚地の指定の問題にいたしましても、また、高潮対策として築造する海岸堤防の延長の問題にいたしましても、さらにはまた、補正予算執行の基礎となりまするもろもろの特例法に関しましても、すでに衆議院段階において、あるいは本院の段階において、数々の修正が行なわれようとしておりまするけれども、これらはいずれも経費の増額を伴うものばかりでございます。しかしながら、現に困窮のどん底にある被災者を援護し、将来に万全の備えを築こうとする以上、予算がないからということで途中で事業を打ち切り、または縮小するようなことがあっては絶対になりません。必要があるならば、さらに予算の補正増額をも回避すべきではないのでございます。この点に関しまして、政府におきましては、善処して遺憾なきを期するということでございますので、私は、この政府の善処に大きな期待を持っているものであることを特に申し述べておきたいと存じます。
次に、今回の補正予算を加えまして、本年度の一般会計予算は一兆四千九百八十一億円、約一兆五千億円となったのでございます。長い間、いわゆる一兆円というワクをもちまして予算の膨張を抑制して参りました政府が、去る三十二年度予算において一兆一千三百七十億円、初めて一兆円のワクをはずした予算を組みましてからわずかに三年目の本年度予算が一兆五千億円に躍増いたしたということは、これは、一方に国民経済の目ざましい成長があるにいたしましても、大いに注目をすべき態度ではないかと存ずるのでございます。しかも、この予算の膨張と並んで、財政資金の撒布超過も非常に巨額になっている事実は、さらに一段と注目しなければならないと存じます。すなわち、本年度の財政資金撒布超過は、当初は二千四百億円と見込まれておりましたのが、今回の補正予算と同時に発表せられたところによりますると二千九百六十億円ということになっております。もちろんこれは、今回の補正予算増または財政投融資の増額によるものでなく、食管会計及び外為会計の支払い超過によるものであるということが言われておりますけれども、とにかくこの数字が、三十年度の二千七百六十億円を上回る戦後最大の数字であることは事実でございます。これが今後の景気動向に及ぼす影響は、かなり刺激的なものがあることは否定できないと存じます可しかも一面、物価におきましても最近注目すべき傾向がございます。八月以来、特に伊勢湾台風の後におきまして数種の物価が急騰いたしましたが、これは一時的なものであると見ましても、なお過去一年間の物価の足どりを見まするならば、日銀の卸売物価調べによりまするならば、十一月初旬における一年間において四・八%の増、十一月七日経企庁調べの昨年九月のそこからの動静を見るならば、実に七・四%の増ということを示しているのでございます。しかもまた、今度の予算補正によりまして追加されたところの災害経費三百九十余億円が、これから年度末にかけて、物価の動向に対してはこれを押し上げるところの需要力として働いてくるということは、大いに心しなければならないことであると存じます。かような状況のときにおきまして、今回の補正予算が通過し、それによって増額されたところの本年度予算の執行をいたすものでありますので、政府は、これによって景気の過熱を来たさないように、十分の金融方面その他の配慮がなされなくてはならないと思うのでございます。この点、政府の善処を要望する次第でございます。
以上、私は二つの点に関しまして所見を申し添えまして、議題となっておりまする三つの補正予算案に対して賛成をいたすものでございます。(拍手)