前田郁の発言 (運輸委員会)
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○前田(郁)政府委員 ただいま議題となりました南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
御承知のように、わが国は台風その他の自然現象による災害によって、年々多くの人命、財産の損失をこうむっております。これらの災害の予防、軽減に資するためには、気象観測の整備をはかり、かつ、予報業務を強化して、的確な気象予報を行なうことが必要でありまして、政府といたしましてもこれら気象業務の円滑な運営に鋭意努力を重ねて参っている次第であります。中でも高層気象観測は、一般の気象予報はもちろん、台風予報につきましては、重要な資料を提供するものであります。この点にかんがみまして、かねてから高層気象観測網の整備をはかって参り、本邦内においてはほぼ理想に近い体制が整ったわけでありますが、南方海域における観測網はきわめて粗でありまして、気象予報精度の向上に大きな支障を来たしている現状であります。南大東島は、沖縄本島より東方海上約三百キロの地点にありまして、年々わが国に来襲する台風の多くはこの南大東島付近を通過し、この付近またはその北方海域で進行方向を転向し北上する経路を示しております。台風予報におきましては、この転向点と転向方向とを予想することが重要でありまして、この意味において、南大東島における高層気象観測の開始は、台風予報にとって重要な役割を果たすものと期待されるものであります。さらにまた春、秋の季節に、日本の天気変化の主原因をなす南支那海南部に発生する低気圧の消長やその進行の予想にも南大東島における高層気象の観測資料の価値は大きいのであります。よって、政府は、この重要性にかんがみ、気象庁と琉球政府工務交通局との協力業務として南大東島における高層気象観測を実施し、その観測資料を入手し得るよう計画し、必要な経費を昭和三十五年度予算として計上いたしている次第であります。
しかして南大東島における高層気象観測資料を本邦の観測資料と統一して利用するためには、本邦における高層気象観測と同一様式の観測器械を使用し、かつ、同一の観測方式で実施されることが必要でありますが、琉球においては、高層気象観測につきましては、いまだ開発されていないのであります。従いまして、南大東島において高層気象観測を行なう気象機関に対して、その観測に必要な物品を譲与することができる権能を政府が持ち、これに基づいて譲与に関し必要な事項を琉球側と協定して実施するため、財政法第九条の規定の特別立法の措置を講ずる必要があるのであります。
以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
ただいま議題となりました国内旅客船公団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
国内旅客船公団は、資金調達困難な海上旅客運送事業者等に協力して民生の安定に必要な航路の旅客船を建改造いたしますために、昨年六月資本金二億円全額政府出資の特殊法人として設立され、初年度として本年度は、資金運用部資金からの借入金三億円と合わせ五億円をもちまして、三十四隻、三千二百総トンの国内旅客船を建改造いたすことになっておりますが、来年度におきましては、さらに老齢船の淘汰を促進して海上交通の安全に寄与するため、約五十隻、四千六百総トン程度の代替建造及び改造を予定いたしており、その所要資金七億円については、五億円を資金運用部資金よりの借り入れに仰ぎ、残り二億円は公団の業務運営の円滑を期するため資本金の増額をもって充てることとし、現在の資本金二億円を四億円に増額することにいたしたのであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
捕獲審検所の検定の再審査に関する法律は、日本国が、日本国との平和条約第十七条に規定する義務を履行するため、連合国の要請がありました場合に、旧捕獲審検所が検定いたしました事件で連合国人の所有権に関係あるものを、国際法に従って再審査することを目的とする法律であります。
捕獲審検の再審査の要請について、平和条約におきましては期限が定められておりませんが、事柄の性質上、平和条約の効力が発生いたしました後、比較的短期間に連合国の要請が出尽くすものと予想せられ、平和条約の実施のための国内法であるこの法律の存続期間は、当初三年と定められておりましたところ、各連合国の平和条約の批准の状況及び再審査の要請に関する状況にかんがみまして、その後五回の改正が行なわれまして、現在八年と定められ、すなわち、昭和三十五年四月二十七日限り失効することとなっております。現在、再審査はギリシャ国からの要請にかかる捕獲事件について行なわれており、その審理になお若干の時日を要する見込みでありますところ、他方一、二の連合国政府との間に、捕獲船舶について補償請求事件が目下懸案となっており、近くこれらの事件についての再審査の要請のあることも予想される現状にありますので、本法の存続期間をなお一年延長する必要があります。
次に、この法律の第十七条では、連合国財産補償法第十五条第一項の補償請求期限に関する規定の読みかえを行なっております。しかるに、同法第十五条第一項の規定はすでに改められておりますにもかかわらず、この法律ではいまだその改正に伴う読みかえ規定の整備が行なわれておりませんので、その整備を行なっておくことが必要であります。
これがこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。