松尾泰一郎の発言 (商工委員会)

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○政府委員(松尾泰一郎君) ただいま御審議を願っておりますアジア経済研究所法案の概要につきましては、さきに提案の理由の中で、概略説明をいたしておりまするが、若干補足説明をさせていただきます。
 お手元に資料といたしましてアジア経済研究所法案要綱をお配りいたしてありますので、その要綱につきまして御説明をいたします。
 第一といたしまして、研究所の目的と掲げております。「アジア経済研究所は、アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、並びにその成果を普及し、もってこれらの地域との貿易の拡大及び経済協力の促進に寄与することを目的とする」ということであります。特に御説明を申し上げるほどのこともなかろうかと思いますが、調査地域といたしまして「アジア地域等」というような表現をいたしておりますが、調査の重点といたしましては、日本と貿易及び経済協力におきまして、密接な地域になりますアジア地域に重点を置いているのであります。「等」と申しておりまするのは、アジア地域以外の地域につきましても、ある程度の調査研究を行なうという趣旨でありまして、それは要綱の第十をちょっとごらんを願いたいのでありますが、第十の業務のところにおきまして、その第二項に「研究所は、前項の業務を妨げない範囲内において、アジア地域以外の地域の経済及びこれに関連する諸事情について」云々ということで、まず重点をアジア地域に置きまして、その業務を妨げない範囲において、アジア地域以外の地域についての調査研究も行なうという趣旨で「等」という表現をいたしております。それからいま、一つは「経済及びこれに関連する諸事情」というような表現をいたしておるのでありますが、これは調査研究の重点はもちろんこの経済なのでありまするが、その必要な限りにおきましては、経済に関連の深い法律あるいは社会、民族、宗教等の各般の問題につきましても、調査研究をいたそうという趣旨であります。なおこの「基礎的かつ総合的」というような表現を用いまして、在来の各種の調査研究機関との性格の相違を表わしたつもりであります。いわゆる断片的な調査であるとか、あるいは表面的なそのときどきの現象をとらえるようなことは、基礎的な調査じゃございません。あるいはジェトロのやっている調査等にまかす面も多々あるわけであります。要するにこの基礎的かつ総合的な調査研究をねらいにいたしておるのであります。
 それから次は、第二は、法人格を与えるために、研究所は法人とするというようなこと、これはこの種の特殊法人と同様の表現でございます。
 それから次の第三のところに、資本金に関する規定、「研究所の資本金は、一億円と研究所の設立に際し政府以外の者が出資する額の合計額とすること。」で第二項に「政府は、研究所の設立に際し前項の億円を出資するものとすること。」こういうふうに表現をいたしております。一億円は政府が出しまして、政府以外の者の出資も予定をいたしておりますが、現在のところ一応二千万円を予定いたしております。今後できますならば、五千万円程度に民間出資額の方はふやして参りたいというふうに考えております。政府出資の方はさしあたり一億円でありますが、この第四項でも書いておりまするように、もし予算が許され、政府出資が増加していくというようなことになりました場合には、この第四項におきまして、この法律改正を待たずして、資本金がふやせるというような表現になっております。
 第四の定款につきましては、別段例文的なものでありますので、御説明を要しないかと思います。次に、役員の規定、第五と書いております。「研究所に、役員として、会長一人、所長一人、理事二人以内及び監事二人以内を置くものとすること。」、比較的役員の数を少数にしぼつたつもりでありまして、こういう調査機関の性質としては、役員機構は簡素にやる方がよかろうというような趣旨をもちまして、この程度の人数にいたしたのであります。で、一つの特色としましては、会長と所長というような制度を設けておりまするが、このほかにも、たとえば国立競技場法等にも例があるのであります。その場合は、会長、理事長というような表現になっております。で、今回の場合、これは研究所でございまするので、まあ会長、所長ということにいたしたのでありますが、従来たとえば学校法人等におきましては、理事長、それから学長ないし校長というような形をとりまして、理事長に学校経営の才のある人材を迎え、学長ないし校長には、教育者、研究者としてすぐれた人材を迎える方法を認めているのでありますが、そういう人材を集め、適材適所に用いる配慮というので、こういう会長、所長制をとったのであります。現在の財団法人アジア研究所も、同様な体制をとっているということで、それをやや踏襲したのでありますが、法律的に申しますれば、そういうほかに例もありますし、学校法人等におきましては、大体こういうふうな総裁、副総裁とかあるいは理事長、副理事長とかいうような通例の場合よりも、こういう会長、理事長とか会長、所長というようなあるいは会長、学長というふうな表現をとる場合もあります。その例にならったのであります。
 それから次に、第六は、「会長、所長及び監事は、通商産業大臣が任命するものとすること。」、あとの「理事は、会長が任命するものとする。」ということは、従来のこういう特殊法人と同じ形態をとっております。
 次は、役員の任期でありますが、これが会長、所長、理事の任期が四年、監事が二年ということであります。この辺もほかの特殊法人とほぼ同じようなことになっているのであります。
 それから役員の欠格条項につきましても、大体この特殊法人のほとんど例文的な規定であります。
 それから次の第九、参与会という制度を置きました。「研究所に、参与会を置くこと。」「参与会は、会長の諮問に応じ、研究所の業務の運営に関する重要事項を審議すること。」、それからまた次では「会長に意見を述べることができるものとする」、それから「十五人以内で組織する」、それから「参与は、研究所の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、通商産業大臣の認可を受けて、会長が任命すること。」ということをきめました。で、これは先ほども役員のところで申しましたように、役員の組織として、できるだけこの執行機関を簡素、強力にするという形態をとりました。反面、その研究所の性格としまして、関係各省に関連する事項が非常に多い、またいろいろ財界、学界、その他の調査機関とも関連するところが多いのであります。この研究所の業務を円滑に運営をいたしますためには、広く各方面の意見を集めて適正な運営を期する方がよかろうということで、こういう参与会という制度を設けたのであります。現在の財団法人アジア経済研究所におきましても、参与会という制度をとっております。現在十人程度の参与になっておりますが、それを強化するという意味で十五名ということにいたしております。
 なお、このほかに在来の民間の各種の調査機関との連繋を密にいたしまして、調査の実をあげるようにいたすことになっておるのであります。要するに、これは調査の機関の性質といたしまして重複して調査をするということがあっては何ですので、そういうことを避ける意味におきまして、調査協議会というのを、事実上、法律に基づかずに設けるということになっておるのであります。
 次は、第十の業務のところでございます。「研究所は、第一の目的を達成するため、次の業務を行うものとすること。」、第一が「アジア地域の経済及びこれに関連する諸事情に関する資料を収集すること。」、第二が「アジア地域の経済及びこれに関連する諸事情に関し、文献その他の資料により調査研究を行ない、又は現地調査を行なうこと。」、それから三が「前二号に掲げる業務に係る成果を定期的に、若しくは時宜に応じて、又は依頼に応じて、提供すること。」、それから第四が「前各号に掲げるもののほか、第一の目的を達成するため必要な業務。」、まず、アジア地域に関する経済及びこれに関連する諸事情についての資料の収集、それから文献、その他の資料による調査研究をやりまして、大体、在来の調査研究機関は、その調査の内容あるいは対象というものは、この研究所のごとく、基礎的、総合的ではございませんが、それにしましても、資料の収集なり、文献による調査研究というものが大体在来の調査機関の重点であったかと思うのであります。それでは率直に申しまして、最近のようにアジア緒国、新興国として日進月歩、いろいろ経済上変化をしているというような場合におきまして、十分な調査研究をいたせられませんので、まず内地におきまして、資料を集めたり、文献による調査をやるが、それで不十分なる点は、現地に人間を派遣いたしまして調査をする。この現地調査というところに、この研究所の特色があろうかと思うのであります。なお、現地調査は、短期に現地に人間を派遣いたしましてやるのでありますが、現地語を修得するというような必要もありますので、現地語を修得するためのいろいろなゼミナールも持たなければならぬというようなことになりますし、ただ現地調査とこう簡単に申しましても、非常にむずかしいことなんでございます。条文の方でははっきり明確にはなっておりませんが、そういう現地語に精通をしたいわゆる調査マンの養成ということ、これは在来の調査機関に行なわれなかったのでありますが、これに非常に重点を置きたいというふうに考えておるのであります。なお繰り返すことになりますが、現地調査も、長期の派遣調査と、それから短期の現地調査、二種類に分かれるかと思うのであります。それから、さようにいたしました調査結果を、定期的にまたは時宜にまたは外部からの依頼に応じて提供する、いわゆる広報活動と申しますか、のようなこともいたします。それから第四といたしましては、その他の業務でございます。これは、アジア地域に対する、いろいろそういう研究調査ないし関心を高めるために、ゼミナールをやるとかあるいは講演会を開くとかいうふうなことを予想いたしているのであります。それから第二項は、アジア地域に重点を置きますが、その業務を妨げない範囲で、アジア地域以外の地域の経済及びこれに関連する諸事情についても調査研究を行なう、こういうことでございます。
 それからあと、第十、第十二、第十三、第十四と、これもほとんど特殊法人に伴ないます整文でございますので、省略させていただきます。
 それから第十五といたしまして、監督の規定を入れております。「研究所は、通商産業大臣が監督するものとする」、それから「通商産業大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、研究所に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができるものとする」ということ、これも監督上から見れば、特殊法人に関連する当然の規定でありますが、一言補足させていただきますと、現在の財団法人アジア経済研究所も通産省が所管いたしておりますし、そもそもことの起こりが、貿易の拡大なり経済協力に資するために、財界方面からの要望がありまして、それに学界の強い要望もありまして、こういう財団法人ができ、またその財団法人を特殊法人にしようというような経緯からみまして、通産大臣の所管ということになったのであります。まあ往々にして考えられますほかの省との関係もあるのでありますが、監督の簡素化を期するという意味において、通産大臣だけの所管に一応なっておりますが、外務省あるいは農林省、ほかの省とも関連するところが非常に多うございますので、それらとの緊密な連絡調整につきましては、先ほど申しました参与会を活用することによって十分に効果を発揮していきたい、こういうふうに考えているのであります。なお、この調査機関の性質としまして、必要があるときには、監督上必要な命令を出すということは、特殊法人の一般並みの規定になっておりますが、心がまえとしましては、監督は最小必要限度にとどめまして極力調査機関の自主性を尊重するということになっております。それにつきましては、そういうような閣議の了解もついているような次第であります。
 以上簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。

発言情報

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発言者: 松尾泰一郎

speaker_id: 13240

日付: 1960-03-17

院: 参議院

会議名: 商工委員会