苫米地英俊の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○苫米地英俊君 私は安保条約の各条項について、多少今まで理解されておらないと考えられるものについてお伺いいたしたいと存ずるのであります。
 安保条約の改定ができるかできないかということは、日本民族の浮沈興亡にかかわる真に死活の問題であると私は考えるのであります。改定ができなくとも、現存条約が続くのであるからいいじゃないかというような、安易な考えもありますけれども、それは、この改定ができないということによって、現在の状況が変わるものでなく、もっと後退して、国民に及ぼす心理的影響、世界において日本が失うであろう信頼感、これらのことを考えてみますというと、決して、これが成立しなくて、現行安保条約が継続されればそれでよいというものではないと思うのでございます。衆議院の段階におきまして、この条約の条文について微に入り細をうがって、いろいろ議論されて参りましたけれども、現在の段階では、条文をどのように改正するとか、どこが不満である、それを修正するならば賛成するとかいうような議論に耳を傾ける段階ではないのでありまして、それらはむしろ枝葉末節な問題に現在ではなっておると私は考えます。根本は、安保体制そのものを、どう処理するか。万難を排して安保体制を確立、持続するか、あるいはこれを解消して、日米防衛関係を切断して、日本民族を共産圏に売り渡すかという、国民が最終的の決断を下すべきときであると私は思うのであります。この基本的な最も大切な事柄が、今日まで国民大衆に徹底周知されておらないことは、まことに遺憾に存ずるのであります。それにはいろいろ異なった大きな理由がありますが、その一つは、左翼攻勢が、長い期間にわたって基地問題であるとか、親ソ反米の教育であるとかというようなものを利用して、巧みに国内に展開せられたことであります。その次には、日本の法秩序が維持せられなかった。悪法はじゅうりんしてもかまわないのだというような考え方があって、いわゆる実力と称する暴力が事々にあまりにも多くいろいろの場所に繰り返されて参りまして、国民がある程度これに不感症になってしまった。感じなくなってしまった。そして、これをやむを得ないものとして不本意ながら是認する傾向さえ見られるようになったことであります。また、もっと重い点は、日本国民が戦争にこりごりして、心の底から戦争はいやだ、ごめんだ、こういう気持を持ち、いちずに平和をこいねがっておる。その国民がいろいろの問題で宣伝され、説かれ、新聞で読み、ラジオで聞いて、危機感を感じ、恐怖感を覚えておる。このために、平和を望むけれども、平和はほかの人に守ってもらたい、自分は平和を守るためには犠牲は払いたくない、こういう気持になってきておるのでありまして、安保条約の正しい理解を妨げ、国民を混迷に陥れている。もう一つのさらに大きな原因は、中ソの平和攻勢の結果であります。日本国内において、中ソの言うがままに、中ソの意図を実況しょうとして、活機な運動が、共産党員と名乗らない多くの日本人によって、執拗に展開され、アメリカは日共同の敵であると共同声明を発表した人がありますが、国民はこれを聞いて驚愕した。けれども、時日を経るに従ってその驚きもさめていく。どうして国民がそう健忘症になるかというと、中ソがさらに進んで保守党の分断を策し、保守党の人がこれにやはり乗せられていく傾向が見えてきたからであります。安保改定がようやく政治上の問題として現われてくるというと、いわゆるグロムイコの覚書というものが出てきた。そして新安保条約の締結は決して日本の安全を保障するものでなく、むしろ日本を戦争に巻き込む結果となり、不可避的に破局の危険を増大すると言い、第二回目の覚書でも同じ趣旨を貫き、戦争になれば、人口稠密で狭い領土に外国の軍事基地が点在する日本国土が、最初の瞬間に広島、長崎の悲劇的な運命を見るおそれのあることは、何人にも明らかであると、すごい脅迫を日本国民に投げかけているのであります。さらに公文書や私文書、演説などによって、フルシチョフ首相が、グロムイコ外相、フェドレンコ大使等が日本に宣告し、抗議し、脅迫を繰り返して今日に及んでおります。これによって、日本国民の平和を念願する心、戦争におびえている気持、これが非常に動揺して来た。ところが黒いジェット機が問題となって、再び安保条約の審議の途中において日本国民を脅し、またこれを種として、いろいろの宣伝が行われて来た。これが安保条約の基本的な問題を国民が認識することができなかった大きな原因であると思うのであります。
 そこで私は、今後政府としてなすべきことは、まず法秩序をいかにして維持するかということであります。今までもたびたびあったことでありますが、もしこの条約をわれわれが通した暁においても、反対論者が、これは悪法である。戦争に巻き込まられる条約である。であるから、われわれはこれをぶちこわさなければならない。そのためには、近ごろできた抵抗権というようなものを振り回して、この条約に対して絶えず国内をゆすぶることは火を見るより明らかであると思うのであります。そこで、従来のように、三池においてピケに対して裁判所の命令が行なわれない。きのうのデモのようなああいう常識を逸した、国を恥かしめるような、先ほど木村委員から質問のあった、ああいうことがあったときに、従来はどうも、法秩序が乱されても、徹底的に法秩序を維持するために努力がされなかったかのように思うのでありますが、今後はこの法秩序維持のためどういう構想を持たれ、どういうふうにこれを強行されるか、それを伺いたいのであります。
 もう一つは、私は日本国民の恐怖感、危機感というものを除くためにどういうふうにするか、こういうことをまずお伺いいたしたいのであります。先ほども質問がありましたが、今の日本国民の指導階級、私は、いわゆる進歩的な文化人、それからして言論機関、これらのものが相当誤って報道をいたしておると思うのであります。しかし、その根源はどこにあるかといえば、大学の教育にあるのであります。この現在の大学の教育というものを改めなければ、これらの誤った、共産党員と名乗らない共産党員が日本の秩序を乱すということが絶え間なく起こってくると思うのであります。これは非常にむずかしい問題でありますが、文部大臣の御所見を伺いたいと存ずる次第であります。

発言情報

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発言者: 苫米地英俊

speaker_id: 11467

日付: 1960-06-11

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会