曾禰益の発言 (外務委員会)

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○曾祢益君 すでに佐藤、羽生両委員からの御質問があったのですが、私も、少しばかり質問申し上げたいと思います。
 まず、松平大使の発言で問題になった問題でありまするが、私は、二つの点からこれは非常に重要だと思うのです。第一には、日本の国連協力というあり方について、日本国民が常識上考えておる線と、あるいは諸外国が見ておるといいますか、ニューヨークの国連の場等を通じての外国側の受け取り方との間に相当ズレがあるのではないか、こういう問題、これは当然今の外務大臣の羽生君に対する御答弁の中にも触れられた点ですが、これは、なかなかそういう違いはあると思うのですね。これは直していかなければならない。だが、もう一つ、これに関連して厄介だと思われるのは、日本の外交のこの方面の先端に立っておられる国連の首席全権が、向こうの空気を日本に適当に伝えるのはいいのですね、適当に。日本国民の方がいわば多少ナイーブな考えであって、国際的には、かなり割勘を払わないのはけしからんという空気がある。そういう事実を国内に適当な方法で伝えるのはいいけれども、みずからがやはりどうもそういう気持になってしまって、今外務大臣が言われた、日本は、この国柄で、別の方法で協力するのだ、まだその協力の手が全部私は尽くされているとは思わない、ほかの協力の仕方があるのだという日本の立場をもっと強く、代表すべき人が向こうの空気に巻き込まれて、かえって日本国民に、いたけだかになってではないかもしれないが、ややものを教えるというような態度とそのセンスでは、ちょっと困るのではないか。この空気の違いというものがあったということは事実なんですね。従って、そういう、私は、あり勝ちなことがあったのであるから、これを災いを転じて福にしなければならないという問題が一つあると思うのですね。
 いま一つの重要だと思われるのは、先ほどの両氏の御議論の中心である国連警察軍というものは何であり、それが現在の時点でどういうものであり、将来どうなって、理想形態の場合と、いろいろ場合を分けて、相当それは真剣に考えておかなければならない問題だ。この点については、従来、海外派兵はしない、従って、軍事的協力はいかなる場合も、憲法に触れるおそれも多分にあるし、あるいは自衛隊法にも触れるであろうし、また国民感情も許さないからやらないという、これは岸内閣以来の方針であったと思うのですね。だがしかし、そこにそういった甘くいけるのかどうかという問題が横たわっているという事態に対して、われわれはもう一ぺんこれを考えなければいかぬ、こういうことじゃないかと思うのです。
 そこで、第二の方から申し上げるならば、これは私は、きわめて理想的な国際秩序ができた場合に、そういう場合、各国軍備というものが完全になくなった、そこで、残るであろうところの国際的な唯一の治安維持的な性格を持った国連警察軍というものを想定するならば、そのアイディアそのものに反対な人はほとんどいないのではないか。少なくとも政党団体として、そういうことに反対だということはまだ私は聞いていない。私ども民社党の場合だけで申し上げるならば、われわれは、現憲法の範囲内においても、最小限の自衛措置はとれるという解釈をとっております。同時に、それが単に一国武装自衛論だけではなくて、われわれの将来の構想としては、やはり国際軍縮が完全にできて、残るであろうところのそういう意味の国際警察軍というもののいわば日本部隊であるという、思想的には、一国自衛論的な、孤立的な考えを持っておらないつもりなんです。だから、そういう場合に、どういう協力ができ得るかは別として、そういう国際警察軍というものが各国軍というものにかわるようなものになってくるならば、大いに賛成であり、わが国が持ち得る最小限度の自衛力も、そういう国際的な、正しい国際的な、何といいますか、集団維持機構の一翼であるというセンスを持って考えていくべきじゃないか、こう考えております。まあ大へんによその場合のことを申し上げて恐縮ですが、私の承知しておる限りでは、社会党のきめられた方針の一つに、そういう完全な国際軍縮法によるべき国際警察軍は、これを支持するという、非常に重要な文章がある。そういう理想体における議論ならば、私どもはそういう方向は支持する。そういう場合、日本の部隊を外に出すとか出さぬとかいう問題じゃなくて、観念的なあれとしては、そういう国際秩序を支持し、われわれもそういう場合に協力し、貢献もし、こういう意味で、われわれは決してただ乗りじゃないという一つの理想を持って構想を描いていく必要があるのじゃないか。だがしかし、そのことと現状までの間に非常に大きな隔たりがあるわけです。現状においては、確かに、何が国際警察軍だといっても、その場その場、一つ一つ、ケース・バイ・ケースにできるものであって、そんなものは、各場合における性質がまるっきり違うわけです。そんなものを一緒くたにして、国際警察軍に協力することはいいことか悪いことかと言うことは、きわめて危険なことだと思うのです。ですから、もちろんそういう荒っぽいやり方じゃいけない。
 それからもう一つは、各国軍縮というものが完全にできてしまってから、一体国際警察軍が残るのか、世界的に軍縮が相当大国間の協定においてできる場合には、国連憲章の何条であったか、四十二、三条であったか、国連が、やはり軍事委員会ができて、国連が初めに憲章に予定したような、各国に割り当てる、いわゆる国連軍という形ができかけるのか、それとも常設的な、今ときどき作っておるような国際警察的な部隊、それが各国間の軍縮が進むに従って、中間的に、それとオーバー・ラップするような形で、そういう部隊ができていくのか、これは実際やってみなければわからないのです。一がいにそういう中間地帯なやつは、そういうときは絶対にいけない、そういうときは絶対に賛成するということは言えないのです。だから、やはりケース・バイ・ケースになるのです。まあしかし、将来の理想としてはいいけれども、現状からスタートした場合には、これはやはり従来政府がとってきたような見解、従来国民が、各政党がとってきたような見解——やはりそういう現状において作られるであろう、また現に作られておる、あるいは作られた、いわゆる国際警察軍的なものには、一つはまず海外派兵はできない。これも憲法上から絶対のものです。もし海外派兵、軍隊的なものを送るというならば、これは絶対できない。第二には、自衛隊を送るということは、自衛隊法上今のところできない。こっちからいっても、法律からいってもできない。それから第三には、しからばオブザーバーだとか、制服の軍人の何かグループを送るならどうか、これはできるかもしれないけれども、これもケース・バイ・ケースであるけれども、大体においてそういうものは、政策上危険なものはやらないという方針が、これはやはり政治方針として確立されておったと思うのです。また確立されておると思うのです。それで少しもかまわないじゃないか。私は、結論的に、その点においては羽生委員と全く同意見なんですが、何かそういうものでも出さなければならないというそのセンスがどうも、私最初にあげた第一の問題点で、そういうセンスでは困るではないか。これは、出先の外交官だけを非難すべきではなくて、そこにやはり現政府の国連協力外交の実体がない、裏づけがないという問題がそこにやっぱり伏在しているから、何か部隊を送るとか、監視隊を送る、制服軍人の監視隊を送らないと、何も、だいぶ協力々々と言いながら、ただ乗りばかり考えていて、協力の実がないじゃないかという、政策の貧困が伴ってくるんじゃないかと思う。ですから、そういう面においては、一つお互いに今後ともこういう点は具体的に考えていきたいと思うのですが、私はそういうことを申し上げて、まあ今まで申し上げた、自分だけ申し上げて恐縮ですが、国際警察軍に対しては、そういう意味で、理想的な将来の場合については、これはやはりお互いに真剣に考えてみて、現状においては、こういう危ない橋は一切渡らない。憲法は完全に守り、海外派兵は絶対しない、自衛隊は送らない、それから、いろいろオブザーバーだ何だという中間的なあれも、そういう危険なことはやらない、こういう方針で一つ行っていただきたいと思いますし、それに対するお答えを得、私はこの一問で終わりますから、ついでに国連外交について、これを機会として、そういうどうも、何かおつき合いをしなければいけないというようなセンスでなく、りっぱな他の意味における国連協力の実をあげるような方法でやっていただきたいし、出先に対する指導も、しっかり一つこの際確立していただきたいと思うので、この二点についての外務大臣のお考えを承らしていただきたい。

発言情報

speech_id: 103813968X00419610223_022

発言者: 曾禰益

speaker_id: 12807

日付: 1961-02-23

院: 参議院

会議名: 外務委員会