江尻進の発言 (逓信委員会)
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○参考人(江尻進君) 問題点は、新聞に対する郵便料金を通じての経済的援助という問題だろうと思いますが、私たちは、この郵便料金が安いということによって、経済的援助を受けておるというふうには考えておりません。新聞事業が受益者でなくて、読者である国民が受益者であるという建前であって、その後進的な地域の国民に対して、社会政策的に国家あるいは社会が援助していいのじゃないか、こういう建前から主張しているわけであります。御承知のように、新聞事業というものは、他の事業と違いまして、国家的援助は、いかなる角度においても全然受けておりません。一部の事業においては、利子補給を受けるなり、あるいはまた低利の資金を借り入れるなり、いろいろな方法で国家的援助を受けておりますが、新聞事業に関しては全然受けておりませんし、また受けべきものではないというふうに感じておるわけであります。それでは、この郵便の第三種の低料金をやらないという結果、だれが困るかという問題ですが、それは、先ほど言いましたように、後進地域の読者が困るということでありまして、新聞はあくまで、これは私企業でありますから、経済性の合わないところは、いかに公益事業といえども、やれない。だんだんにそういう読者には配れないという状態が起こってくるわけでありますから、結局、高い金を後進地域の読者が払ってとるか、あるいはそれに耐えないでやめるかということになるわけです。そうしますと、それによって起こる社会的な障害というものが必ず起こるわけです。政治的、文化的、社会的に、いろいろな障害が起こってくる。
ところが、この郵便制度というものは、言うまでもなく、公共的目的、政治的、文化的、社会的な何らかの目的を達成するためにある制度であって、それがゆえに公益事業になっている。それがないなら、私企業としてやらしていいのじゃないかと考えますが、そういうために、一つの助成手段として、原価主義だとか、あるいは受益者負担だとか、独立採算ということが言われているわけでありますが、これはあくまでも、それを達成するための一つの技術的手段にすぎないと考えるわけでありますが、そういう技術的手段とか目的が先行しまして、公益的な社会的目的というものを忘れるということになりますと、それは倒錯しているのではないか。あくまでそういう制度であるべきであって、もしもそれが達成できないで、そういう後進地域の国民に対して、文化的なインフォメーション、あるいは政治的なインフォメーションが与えられないというような制度になるとすれば、それは制度そのものの運営か目的かに欠陥があるのじゃないかと思います。
そういう点について、根本的検討を要するのじゃないかというふうにわれわれは考えるわけであります。決してこのために新聞が経済的援助をほしいという目的で言っておるわけではなくて、そういう政治的、社会的目的を達成するために、制度そのものとして考えてもらいたいということを言っておるわけでございます。