池田勇人の発言 (本会議)
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○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
御質問の第一点の選挙の公明でございまするが、民主主義を完全に打ち立てていきます場合におきまして、公正な選挙が行なわれることは当然でございます。私は選挙法の改正につきましていろいろ考えております。従来、調査会によりまして答申が出、これを与野党で審議いたしましても、なかなか結論に達しないのであります。私は、新たに相当権威のある調査会を早急に設けまして、そうしてその結論によって、できるだけ早い機会に改正をいたしたいと考えておるのであります。
なお、寛容と忍耐についてでございまするが、私は、政治につきましては、与野党と議会運営につきましては十分話し合いをしていかなければなりません。また、政策につきましても、私は国会において十分論議していただきたいと思うのであります。従いまして、予算案その他の法案につきましては、野党の御批判を十分喜んで受けるのであります。その結果におきまして、私は修正する必要があるならば国会で修正なさることに反対するものではございません。
次に、ラオスの状態でございまするが、関係各国の努力によりまして、私は御心配のような事態は起こらないものと認めております。また、従来ともそういう方向で関係国と協議をし、できるだけの努力をいたしておるのであります。
なお、中共との政府間貿易でございまするが、私はこの政府間貿易が中共承認になるようにとられることはただいまの情勢としてとれない。従いまして、私は今まで通りの積み重ね方式で行って、世界の情勢を見ながら適当な措置をとっていきたいと考えておるのであります。
次に、韓国に対しての問題でございまするが、わが国といたしましては、一衣帯水の間でございますので、韓国と国交の平常化をしていきたいと考えております。なお、お話の韓国への借款とか、あるいはSEATOへの参加、こういうことは考えておりません。(「NEATOだ」と呼ぶ者あり)
次に、経済問題でございまするが、高度成長とドル防衛の関係につきましてお話し申し上げます。私は、日本が高度成長をいたしまするには、貿易・為替の自由化が絶対必要であると数年前からその考えで進んでおったのでございます。しかもまた、世界の経済の伸展に、アメリカがドルを持ち過ぎておるということも世間でいわれておったのであります。だんだん私の予想通り、また各国民が期待しておりまするように、アメリカの世界経済における地位はドルの減少によりましてだんだん低くなり、西欧並びに日本の国際的な力が強くなってきたのであります。しかして、今回のドル防衛につきまして、私は高度成長を変える考えはないのであります。変えなくても、昨日申し上げました通り、われわれが貿易の伸長をはかっていくならば、また国内の生産態勢を指導強化していくならば、これを克服できると考えておるのであります。
また、税の自然増収でございまするが、さきの国会におきまして、大体千五百億をこえる自然増収を見ました。しかし、あのときも申しておりましたごとく、年末における法人税の収入、あるいは年末の賞与、あるいは間接税収入によりまして、今のところはこれが適正でございまするが、将来はまだわかりませんと答えておいたのであります。従いまして、一月の状況におきましては、相当の予想外の自然増収が出ましたから、適当な措置を講じたのであります。
また、社会保障の関係でございまするが、お話の通り、私は今で十分とは思いません。しかし、減税につきましては、調査会の答申通り、平年度千二百億円程度、初年度、所得税、法人税で九百二十五億円程度の減税をいたしたのであります。大体予定通りの減税をいたしておるのであります。しこうして、社会保障制度あるいは公共事業につきましては、経済の伸び、また、今の状況から考えまして、私が当初考えておった以上に社会保障費は予算を計上することができたことを申し上げておきます。まだこれでも十分ではないということは先ほど申し上げた通りでございます。
次に、消費者物価の問題でございまするが、企画庁の調査は大体妥当なものと思います。われわれは、今後物価政策におきまして、あの線を守るように努力していきたいと思いますが、何分にもこれは見込みでございます。従いまして、経済は生きものでございますから、これが動いたときには責任をとるか、これは私はそういう責任をとらずに済むように努力していきたいと考えております。(拍手)
また、貿易の状態でございまするが、御心配の点はわかりまするが、一昨年におきましては、日本の輸出入貿易は二割ふえました。昨年でも一割五分以上、一割七分くらいふえておるのであります。今年におきましては、大体一割以上ふえる見込みでございまして、これは私は達成できるものと考えておるのであります。従いまして、国際収支におきましても、大体二億ドル程度の黒字を見込んで差しつかえないと考えておるのであります。従いまして、今後、今明年中に国債を発行するという考えは、ただいまのところございません。
なお、私が石橋内閣のときに出しました千億減税、千億施策は、失敗ではなかったかと、こうおっしゃいますが、私は今日の高度成長のもとをなした予算でございまして、決して失敗とは考えておりません。あの積極政策があったからこそ今日のような状態ができたことを私は確信いたしておるのであります。数字をあげて申し上げればおわかりと思いますが、これは、はぶきます。
なお、農村につきましてのお考えでございまするが、私は、農村の方々の所得を、他の産業の方々の所得と見合うようにしたい。農村における他の人人の所得ではございません。全体的に農村の所得を上げまして、他の一般産業との格差を少なくしていこう、だんだんなくしていこうというのが、私の農村に対する政策でございます。従いまして、私は農業基本法その他財政金融措置を講じまして、そうして、また工場の地方分散等を行ないまして、ほんとうに全産業が均衡のとれた発展を促すよう、万般の措置を講ずる考えでございます。
なお、憲法につきましてのお考えでございまするが、憲法はわが国の最高法規でございます。われわれはあくまでこれを尊重し、そうしてこれに従って行動しなければなりません。御承知の通り、憲法調査会におきまして、憲法を改正する要ありや、また改正する要ありとすればどの点について改正する要あるかということを検討させておるのであります。この結果を見て、その結果に国民大多数の結論が出ましたときに私は考えたいと思っております。(拍手)