池田勇人の発言 (本会議)

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○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 世界情勢の見方につきましては、曾祢君は大体私と同じような考え方のようでございます。ただ問題は、政府はいつどうするかと、今後の方針につきまして御質問がございました。
 第一の、核武装はしない。これはもう前内閣よりわれわれは、はっきり申し上げておるのでございます。ただ、これに中国を入れるか入れぬかという問題でございます。われわれは中国も核武装しないことを望んでおりまするが、これはただいまのところ強制するわけには参りません。ただ、核兵器禁止を含む軍縮につきましては努力することをここで誓います。
 第二の、中共に対しまして国連における代表権を認め、また台湾問題もこの際、国連で処理すべきではないか、こういうお考えでございまするが、これは昨日申し上げましたごとく、私はこの問題に対して、ここに具体的に方針をどうこうということを申し上げることは早過ぎると思います。中共貿易につきましては、たびたびお話し申し上げた通りでございまして、われわれは積み重ね方式でだんだん拡大することを望んでおります。
 日米の安保条約に対しましては、再改定を申し出る気はないか。——ただいまのところございません。
 外交問題につきましてはこの程度でございまして、次に、単独審議は行なわないか。——これは私は、テレビで申しましたごとく、単独審議は行ないません。と同時に、私は、審議放棄、暴力行使をやめてもらいたい。これに変わりはないのであります。
 次に選挙に対しましての、選挙の公営、あるいは比例代表、あるいは政治資金規正法と罰則の強化、あるいは審議事項につきまして国会議員をどうするか、こういう御質問でございましたが、選挙の公営、私は賛成でございます。ただ、これにも完全公営かどうかの問題はございます。やはり選挙の自由という観点から、完全公営ということにつきましては、私は直ちに賛成はできません。しかし、公営を拡大していくということにつきましては賛成でございます。政治資金規正法と罰則強化、これも私は同感でございます。次に比例代表ということにつきましては、私は今の状態からいって、直ちに賛意を表するわけには参りません。十分検討しなければならぬ問題と思います。また調査会を設けまして、——大体三十数名の調査会の予定でおりまするが、この調査委員に国会議員を入れるかどうかという問題につきましては、いろいろ議論がございます。ただ私は、審議事項の関連において、具体的の問題のときに考えたらどうかという一応の考えは持っておりまするが、まだ結論を出しておりません。
 次に経済関係でございまするが、千億減税、千億の社会保障、こういうことを選挙の公約にしたとおっしゃいまするが、これは誤解ではないかと思います。平年度千億円以上の減税ということは公約いたしました。社会保障を千億とは私は公約いたしておりません。これは御承知の通り全体の社会保障が千八百億ぐらいなのに、一年間に千億もふやすということはなかなか困難でございまして、私は、初めから千億という、いわゆる純粋の狭い意味の社会保障では、千億は初めから無理と考えております。しかし、六百三十八億に加うるに、他の関係の狭義の社会保障費を入れますると、相当の額に上っております。また、広義の社会保障ということになりますると、これは、千億以上であることはもちろんでございます。
 次に、予算編成の手続でございまするが、御非難を受けまして恐縮に存じまするが、大体当初のワクにはさわっていない。われわれは、予算の編成権は内閣にあることをはっきりつかんでおりまするが、政党政治という実際上の立場から、党の意見を聞くことは私は当然だと思います。従いまして、全体のワクは動かしておりませんが、各関係事案につきまして、やりくりの点は、ある程度党の意見を聞くことは、私は今の制度として当然のことと考えております。
 次に、千億減税の問題で、中小企業に対しての減税は非常に少ないとおっしゃいますが、ただいま大蔵大臣から言ったように、中小企業を主として減税する方針でいっておるのであります。これは所得税につきましても、税制調査会の課税所得百八十万円ということを七十万円、九割五分のいわゆる所得の下の方の方々に対しましての減税を多くしようとしたのであります。また法人関係でも、中小企業法人につきましては特段の減税措置を講じまして、私は今回の税制改正くらい中小企業に力を入れた税制改正はないと考えておりますが、詳しくは大蔵大臣からお答えいたします。
 なお、社会保障の関係でございまするが、これは、所管大臣から答えまするが、この一八%の引き上げでは少ないということ、私も十分ではないと思っております。しかし、これは、今後においてこれをふやしていきたい。ただ、過去の状況をお考え下さいますると、昭和二十六年ころから始めておるのでございまするが、今回は、一躍東京の五人家族では千七百円ふやしております。今まで一番ふやしたのは、昭和三十二年に六百円をふやしたのでございまするが、今回千七百円、その他の都市においては百円とか二百円程度だったのを、今回は千七百円ふやしたことを御了承願いたいと思います。
 それから農業関係の問題でございまするが、いろいろ御注意の点でございます。しかし、この農業問題は、先ほど申しましたように、難事中の難事でございます。これを一挙にどうこうというわけにはいきません。農業基本法を御審議願いまして、そうして長い目で農業所得の他産業に負けないような拡大強化をはかっていこうといたしておるのであります。
 また、中小企業につきましての予算がどうこうというお話でございまするが、もともと中小企業に対しまする一般会計からの歳出は、御承知の通り非常に少ないのでございます。非常に少ない。昨年度の予算と今年度は、従来のそれに比べまして画期的に増加いたしておることをお認め願いたいと思います。また、中小企業に対しましての育成は、一般会計の予算というよりも、財政投融資の方が中小企業関係には非常に重要なことでございますので、この点につきましては従来にも増して努力しております。また、零細企業に対しましての指導育成は、昨年度から始めました商工会法の施行によりまして、いわゆる中小企業ことに零細企業の指導に対しましては格段の予算を組んでおるのであります。
 なお、中小企業対策といたしまして、政府の買い上げ等を二割強制的にというお考えがあるようでございまするが、今後検討してみたいと思います。ただいまのところなかなか困難と思うのであります。
 次に、値上がりムードの問題でございまするが、私は、自由主義経済のもとにおきましては、国鉄運賃あるいは郵便料金——国鉄運賃が上がりましても、これは大体生産性の向上によって吸収し得るのではないか。昔、曾祢さんなんかがおやりになったように、物価体系をきめ、あるいは物価安定帯を置いて、そして鉄道運賃が上がったら価格がこうなるのだから、その上がった分がはね返ってこうなる。それは政府の方で税金で補助する。ああいう考え方は私は日本には合わないと思いまして、二十四年から自由主義経済にいったのであります。従いまして、二十八年、三十二年に二度国鉄運賃を上げました。しかし、そのときの物価はどうであったかとごらん下されば、決して値上がりムードで波及するということはない。生産性の向上で吸収しておるのであります。私は、高度成長によりましてこれを吸収し得るものと、卸売価格におきましては考えております。絶対にインフレのようなことはないと思います。また、値下げを押えているというお話でございまするが、私は値下げを押えておりません。たとえば鉄にいたしましても、昨年は上げております。また繊維関係におきましても、私はこれははもう自由な姿にしておりまするが、大体卸売物価が横ばいしておりまするが、今は材木あるいは建築資材が非常に上がっておるのでございまして、他の物資は下がり気味であるのであります。卸売物価から見ますると、そういう状況でございまして、大企業に特にどうこうということはいたしておりません。また、大企業に対しまして料金が低い。電力料につきましては、従来から関係がございまして、大企業につきまして電力料を引き下げておる昔からのしきたりがございます。今後はだんだんこれは改めていくようになると思うのであります。
 次に、国際収支の問題で御心配のようでございます。われわれも十分検討いたしましたが、この国際収支の見方は、今まで役所で見ておったのは非常に誤りが多かった。いつも見込みより違っておるのであります。私は十分検討を加えまして、ほんとうに今までの誤りのないようなことでいっておるのであります。全体といたしまして、資本取引の方は二億近く黒字になりますが、それ以外の輸出入貿易関係の方は大体とんとんということでいっておるのであります。この程度は私は十分見込み得ると考えております。何と申しましても、本年度末において二十億ドルの外貨を持つ状態でございます。私は、当分の間、今の健全財政でいくならば、国際収支に対して心配はないと考えておるのであります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 103815254X00419610131_022

発言者: 池田勇人

speaker_id: 8420

日付: 1961-01-31

院: 参議院

会議名: 本会議