灘尾弘吉の発言 (社会労働委員会)
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○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案、その他各法律案につきまして、順次提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
児童扶養手当法は本年一月から施行され、母子世帯等における児童の福祉の向上をはかるため、母子世帯の母等に対して児童扶養手当を支給することとなっているところでありますが、今回さらにこの児童扶養手当制度の充実をはかるため、手当の額を引き上げるとともに受給資格者の所得による支給要件を緩和することを内容とするこの法案を提出した次第であります。
次に、今回の改正の概略について御説明いたしますと、まず第一は、手当の月額が現行法では児童一人の場合は八百円、二人の場合は千二百円、三人以上の場合は三人以上の一人につき二百円を加算することになっておりますのを、児童二人の場合は千四百円、三人以上の場合は三人以上の一人につき四百円を加算することに改めようとするものであります。第二は、現行法では受給資格者が前年において十三万円以上の所得かある場合は手当が支給されないことになっていますが、この所得による制限額を十五万円に引き上げ支給制限を緩和しようとするものであります。なお、この改正は、手当額の引き上げについては本年五月分の手当から、所得制限額の引き上げについては昭和三十六年分の所得から適用することといたしております。
以上が児童扶養手当法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
次に、国民健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
国民健康保険は、その被保険者の相当部分が保険料の負担能力の乏しい低所得階層であるため、その財政基盤は比較的薄弱であります。特に受診率の上昇、医療費の改定等の最近の状況にかんがみ、保険財政の健全化のためには、この際国の財政措置の強化が必要であると考え、ここに、この法律案を提案した次第であります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。現行の国民健康保険法におきましては、療養給付費についての国庫の負担または補助の率は十分の二となっているのでありますが、この負担または補助の率を五分引き上げ、百分の二十五にすることといたしました。
なお、本改正は本年四月一日から実施するものであります。
以上がこの法律案の提案理由であります。
次に、国民年金法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
国民年金法は、昭和三十五年十月の拠出年金の適用及び昭和三十六年四月の保険料納付の開始をもって、全面的な実施に入ったのでありますが、この制度につきましては、さきに第三十九国会におきまして相当大幅な改善内容を持った改正法案について御審議をわずらわし、その実施をみたのであります。しかしながら、わが国年金制度の中核たる基盤を確立し、所得保障の実をあげますためには、なお改善充実に努めなければならないことは申すまでもないところであります。
今回の改正法案は、この制度における低所得者層の処遇をさらに厚からしめるため、当委員会の強い御要望でもある保険料の免除を受けた場合にも保険料を納付した場合と同様に国庫負担を行なうことを実現することによって、低所得被保険者について拠出年金の受給要件を緩和し、あわせて年金額の引き上げを実施するとともに、低所得、かつ、低額の公的年金受給者に対する福祉年金支給制限の緩和等を行なおうとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。
まず、拠出年金に関する事項について御説明申し上げます。国庫が毎年度において免除された保険料総額の二分の一に相当する額を負担することにいたしましたことは、さきに申し上げたとおりでありますが、これに基づき、まず第一に、老齢年金について、従来二十五年間以上の保険料納付または十年間以上の保険料納付及び十五年間以上の保険料免除のいずれかに該当することを受給要件といたしておりましたが、これを改め、保険料納付期間、保険料免除期間またはこれらの合算期間のいずれかが所定の年数以上あればよいことにしたのであります。
第二に、老齢年金の額は、保険料納付期間に応じて定める額と保険料免除期間に応じて定める額との合算額とし、その合算額が一万二千円に達しないときは、七十歳以後の老齢年金額を一万二千円まで引き上げるものといたしたのであります。
第三に、障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金については、継続する直近の三年間の全部が保険料免除期間であっても支給が受けられるようにその要件の緩和をするとともに、その場合の支給額も保険料納付期間で満たされている場合と事実上ほとんど等しからしめようとするものであります。
次に、福祉年金に関する改正について申し上げます。第一に、公的年金受給者に対する福祉年金の併給に関する改正でありますが、その内容は、公的年金を受けている人々の年金額が二万四千円未満であるときは、福祉年金の額の限度で、二万四千円とその公的年金額との差額を支給しようというものでありまして、公的年金が戦争公務により死亡し、または廃疾となったことに基づき支給されるものであるときは、この二万四千円を七万円といたしております。
第二に、受給権者本人の所得による福祉年金の支給制限額十三万円を十五万円に引き上げようというものであります。
第三に、福祉年金の受給権者の配偶者が公的年金を受けております場合に、受給権者に支給する福祉年金の額を六千円に減額する措置は、これを撤廃することといたしております。
第四に、母子福祉年金及び準母子福祉年金における加算額を一人当たり年額四千八百円とし、現在の倍額にしようというものであります。
なお、以上のうち、福祉年金に関する第一及び第三のものは、昭和三十七年十月分から、第二及び第四のものは、昭和三十七年五月分から支給することといたしております。
次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
医療金融公庫は、昭和三十五年七月に、私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって、一般の金融機関が融資することを困難とするものを融通することを目的として設立されたのであります。
設立当初の昭和三十五年度におきましては、二十九億五千万円の融資原資をもって発足いたしましたが、昭和三十六年度におきましては、これを七十億円に増加し、これについては、三十六年十二月末までにすでに約六十五億円の貸付けを決定しているのであります。しかし、私立の病院、診療所等の適正な整備及び機能の向上をはかるためには、公庫の資金量を一段と増加する必要があり、政府は、昭和三十七年度におきましては、公庫の融資原資として九十億円を予定し、これに要する資金として資金運用部資金の借入金五十億円及び貸付回収金六億円のほか、一般会計から二十五億円を出資することといたしております。このため、公庫の資本金三十億円を二十五億円増加して五十五億円とする必要があります。
また、医療金融公庫は、昭和三十七年度は設立三年目に当たるわけでありますが、年々その業務量が増大し、経営の基礎も充実して参りましたので、この際、他の公庫の例にならい、理事長を総裁と改め、業務の一層円滑な運用を期することが必要であります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回の主要な改正事項は二つありまして、一つは、被保険者の標準報酬を改めること、一つは、遺族に対する保険給付の合理化をはかることであります。
まず、標準報酬の改正について説明いたします。船員保険の標準報酬の月額は、現在、最低五千円、最高三万六千円の十八等級に区分されておりますが、社会経済情勢の推移等によりまして、現在、この区分では著しく実情に沿わないものとなって参りました。
今回の改正におきましては、この標準報酬の最低を七千円に、最高を五万二千円にそれぞれ引き上げ、あわせて標準報酬の等級を二十一等級に区分いたそうとするものであります。
第二に、船員保険における遺族給付の合理化について説明いたします。現在、船員保険の遺族に対する年金給付には、老齢年金の受給資格を満たした人が死亡した場合とか、職務上の事由で死亡した場合に、その遺族に支給する遺族年金の制度のほかに、主として老齢年金の受給資格を満たすに至らない短い被保険者期間しか有しない被保険者が職務外の事由で死亡した場合に、その配偶者または子に支給する寡婦年金、鰥夫年金及び遺児年金の制度がありますが、この両制度の統合及び調整につきましては、昭和二十九年法律第二百四号船員保険法の一部を改正する法律の附則第二十一条によりまして、その実現が強く要請されているところであり、また、厚生年金保険におきましては、すでに昭和二十九年にこれらについての統合が実現しているのであります。
今回の改正は、寡婦年金、鰥夫年金及び遺児年金の制度を廃して、すべて遺族年金の制度の中に統合するとともに、遺の族範囲、年金額の計算方式をも遺族年金の場合と同様とする等の調整をはかり、もって船員保険の遺族給付の合理化をはかろうとするものであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
最後に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族、引揚者等に対しましては、戦傷病者、戦没者遺族等援護法、未帰還者留守家族等援護法、引揚者給付金等支給法及び未帰還者に関する特別措置法によりまして各般の措置が講ぜられて参りましたが、今般これらの援護措置の改善をはかることとし、別途本国会に提案されております恩給法等の一部を改正する法律案とも関連いたしましてこの法律案を提案する運びとなった次第であります。
次に、この法案律の概要について御説明いたします。まず第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。この改正は、恩給法等の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額を増額いたすこととしたものでありまして、増額の程度、増額の実施時期等につきましては、恩給法のそれにならっております。
第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。その改正点の第一は、留守家族手当並びに死亡の事実の判明した未帰還者の遺族に対して支給する葬祭料及び遺骨引き取り経費の額を他制度との均衡を考慮いたしまして増額いたしたことであります。改正点の第二は、未帰還者に対する療養の給付に関しまして、現在給付期間が、帰還の時期により、最高九年ないし十四年となっており、本年八月以降その給付期間が満了する者が生じて参りますが、期間経過後もなお療養を必要とするものについては、当分の間療養の給付を行ない得ることとしたことであります。
第三は、未帰還者に関する特別措置法の一部改正であります。改正点の第一は、最終の生存資料が昭和二十八年以後に存する未帰還者についても、厚生大臣が同法により戦時死亡宣告の請求をなし得るように対象範囲を広げ、民法第三十条に規定する場合と合致させることといたしたことであります。改正点の第二は、戦時死亡宣告を受けた者の遺族に支給する弔慰料の受給者の範囲につき、現在二親等内の血族に限られておりますのを、戦傷病者戦没遺者族等援護法による弔慰金の受給者の範囲と同様に、三親等内の親族にまで拡大することとしたことであります。
第四は、引揚者国債の元利金の支払いにつきまして、その消滅時効の適用についての特例を設けることとしたことであります。右のほか、条文の整理等、所要の改正を行なうことといたしました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
何とぞ各案につきまして、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。