河野一郎の発言 (本会議)
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○国務大臣(河野一郎君) ただいま議題となりました河川法案の趣旨を御説明申し上げます。
現行河川法は、明治二十九年に制定され、その後部分的改正は数回行なわれましたが、根本的な改正はなく今日に至っているのであります。しかるに、現行河川法制定後約七十年の歳月が経過し、当時の社会情勢、経済情勢並びに国情を背景として制定された現行河川法については、今日においては、種々の面において検討を加え、整備、改善をはからなければならない点が少なくないのであります。
まず第一に、現行憲法の制定に伴い、国の行政及び地方制度に大幅な変革が加えられましたが、このために従来の制度を前提とした河川の管理制度について、また、国民の権利義務に関連する河川管理方式の近代化について、法制上検討を加え、整備をはかる必要が生じて参りました。
第二に、各水系における沿岸流域の開発に伴い、かつ、最近の災害発生の状況にかんがみ、水系を一貫した全体計画に基づいて、財政負担の面も十分考慮しつつ、治水事業を計画的に実施する緊要性が一段と強くなって参りました。また、近時における産業の発展と人口の増加に伴い、各種用水の需要が著しく増大しておりますが、これらの需要を満たすためには、各水系について広域的な見地に立ち、合理的な水の利用を確保する制度を確立し、水資源の総合的な利用と開発をはかることが現下の急務として要請されているのであります。そこで、国土の保全と開発に寄与するため、河川を水系ごとに一貫して総合的に管理する制度を樹立することが必要となって参ったのであります。
第三に、各河川には、治水利水の両面の要請から、また、近時における科学技術の発達に伴い、大規模なダムその他の施設が数多く建設されてきておりますが、現行法においてはこれらの施設の設置または管理に関する規定が必ずしも十分ではなく、その設置または管理の万全を期するため、所要の規定を整備する必要があるのであります。
以上の諸要請にこたえ、現在の国情に最もよく適合した新しい河川管理制度を樹立することは、現下の急務でありますので、ここに現行河川法を全面的に改正することといたしたのであります。
次に、この法律案の主要な点を御説明申し上げます。
第一に、河川管理の適正を期するため、河川管理制度について現行制度を次のように改めることといたしました。
まず、従来の適用河川、準用河川の制度を廃止して、河川を水系別に一級河川及び二級河川に区分し、一級河川は、国土保全上または国民経済上特に重要な水系について、河川審議会及び関係都道府県知事の意見を聞いた上、政令で指定し、二級河川は、一級河川以外の水系にかかる河川で公共の利害に重要な関係があるものについて、関係市町村長の意見を聞いた上、都道府県知事が指定することといたしました。
河川の管理につきましては、一級河川は建設大臣、二級河川は都道府県知事がそれぞれ管理することとし、河川管理の責任を明確にすることといたしました。なお、一級河川の管理につきましては、建設大臣は、一定の区間を定め、都道府県知事にその管理の一部を行なわせることとしております。
次に、河川の管理に要する費用につきましては、原則として一級河川は国、二級河川は都道府県が負担することとしております。
このうち一級河川の改良工事に要する費用につきましては、建設大臣が施行する場合はもちろん、都道府県知事が委任を受けて施行する場合もすべて国がその三分の二、都道府県がその三分の一を負担することといたしました。これにより、従来同一の水系における工事であっても、建設大臣と都道府県知事が施行する場合には、国と都道府県の負担の割合が異なっていたため、必ずしもその治水効果が十分でなかった一級河川の工事が、一貫した計画のもとに施行することができることとなります。
また、二級河川の改良工事につきましては、国がその二分の一以内を負担することといたしました。
なお、治水事業十カ年計画の最終年度である昭和四十四年度までは、国は、一級河川の改良工事につきましては四分の三を、二級河川の改良工事につきましては、この法律施行時において現行河川法に基づいて直轄で施行中の工事につきまして従前どおり三分の二を負担して行なうことといたし、治水事業の円滑な施行をはかることといたしました。
流水占用料その他河川から生ずる収入につきましては、すべて従来どおり都道府県の収入としております。
次に、都道府県知事が行なう河川管理行政に対する監督につきましては、一級河川においては都道府県知事に委任した事項のうち重要なものについて、また二級河川においてはその管理に関する重要事項について、建設大臣の認可を要することといたしました。
以上のほか、一級河川または二級河川以外の河川につきましては、市町村長が指定したものについて、この法律を準用して、市町村長が必要な管理を行なうととができることとしております。
第二に、河川区域につきましては、現行法においては地方行政庁が認定することとなっておりますが、この法案におきましては、河川の現状に即して、一定の要件に該当する区域は法律上当然に河川区域となり、その他の区域は河川管理者の指定によって、これを定めることとし、河川管理の適正を期することといたしました。
第三に、流水の占用、工作物の設置等につきましては、地元の意見を十分尊重して、河川が適正に、かつ、合理的に使用されるよう規定を整備し、水利使用の許可に際しては、既得の水利権を保護するとともに、新規利水事業が円滑に施行されるよう水利使用関係の調整をはかる規定を設けました。
第四に、河川管理者の許可を受けて設置する一定規模以上のダムにつきましては、防災上の見地から、その設置及び操作について必要な規定を設けました。
第五に、建設大臣の諮問に応じ、一級河川の指定、水利調整その他河川に関する重要事項を調査審議するため、建設省に河川審議会を設置するとともに、都道府県知事の諮問に応じ二級河川に関する重要事項を調査審議するため、都道府県に都道府県河川審議会を設置することができることといたしました。
第六に、河川の現況、水利の状況を把握して、河川管理の適正を期するため、河川現況台帳及び水利台帳を整備することとし、慣行水利権者等の権原に基づいて河川を使用する者は、必要な事項を河川管理者に届け出なければならないものといたしました。
その他、河川に関する調査、工事等のための土地への立ち入りの手続、河川予定地における規制等に伴う損失の補償等につきまして、所要の規定を整備いたしました。
以上がこの法律案の要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。(拍手)