安井吉典の発言 (本会議)

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○安井吉典君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました地方税制改正に関する二法案につき、政府の所信をたださんとするものであります。
 今日の地方財政の実態は、道路をはじめとする公共事業の大幅な増加と、物価騰貴からくる給与費及び行政費の一般的な膨張で、地方財政の需要は増大する一方である上に、都市部の自治体では、産業と人口の激しい流入のために、上下水道、住宅、文教施設等の整備、ごみやし尿の処理に追いまくられ、税の伸びはあっても、これにとうてい間に合わない状態であり、また、農山漁村部の自治体では、おくれた農林漁業近代化の基盤整備をはじめ、郷土に残った住民にこれ以上見捨てられないための行政水準引き上げに、乏しい財政のやりくりで四苦八苦をしているのであります。これらはすべて、池田自民党内閣の誤った高度経済成長政策が、そのゆがんだ影を地方自治体の上に落とし、地方財政を撹乱しているからにほかならないと思うのであります。(拍手)
 私は、この際、最近の特徴的な問題点二、三についてお尋ねをいたしたいと考えます。
 まず伺いたいのは、所得倍増政策から最初に見離された産炭地の自治体の財政は、いまはなはだしい窮状にあるが、これに対しては、さしむき、特別地方交付税を増額配付すべきであるとともに、別に産炭地特別交付金制度のごときものを設け、財政援助に遺憾なきを期すべきと思うがどうか。
 第二点、新産業都市建設は、政府予算を見ても、ほんとうにやる気があるのかどうか疑わしいのでありますが、この事業による地方財政の持ち出しは、指定地区自治体の負担能力と全くかけ離れた膨大な額となるのでありますが、政府は財政の特別な援助措置を講ずべきではないか。
 第三点、交通、水道、病院等の地方公営企業は、赤字の累積で苦境にある上に、このたび政府は公共料金一年間ストップの措置をとったが、これが物価値上がりの政策の失敗を償うための政治的措置である以上、政府は当然責任をもって、たとえば企業債の償還延伸や利子補給、一般会計からの補てんなど、新年度予算の編成もできないでいる地方自治体に対し、緊急に措置すべきであると考えるがどうか。
 以上、三点につき、自治大臣並びに経済企画庁長官、さらに、金を出し渋っていると伝えられる大蔵大臣のお考えをあわせて伺いたいのであります。
 最近、国と地方の間の行政や財政の秩序の乱れがひどく、たとえば国はかってな計画を不十分な財源措置で地方に押しつけ、補助金、助成金も単価が低く、当然の国の事業まで負担を地方に強制、また、中央官庁の地方出先がやたらにふやされ、仕事が重複し繁雑となっているのでありますが、この際、抜本的に国と地方の間の行政事務の再配分を行ない、それに伴い、税財源をあらためて配分し直すことが必要であると思うのであります。現在、各調査会でも検討中のようでありますが、各官庁のおそるべきセクショナリズムの中では、これは言うはやすく行なうはかたい大事業であります。これについて、政府のお考えはいかがでありましょうか、総理の御決意のほどをぜひお聞かせ願いたいと思うのであります。
 さて、地方税改正につきましては、重点をしぼって、わが党の考えを明らかにしつつ、お尋ねをいたしたいと思います。
 市町村民税の改正では、税額が高くなるただし書き方式の採用や準拠税率を超過する課税が、財政力の弱い市町村で行なわれ、行政サービスの低い市町村のほうが税金が高いという事態をぜひ解消しなければならないというわが党の年来の主張がやっと実現するものとし、賛意を表しますが、しかしながら、三十九年度にただし書き方式を中途はんぱに残すやり方は、納税者も理解しにくいし、事務も手数がかかります。三十九年度はただし書き方式の廃止、四十年度は準拠税率を標準税率に改める、こういうすっきりしたやり方をすべきではないでしょうか。
 ところで、この減収補てん措置を赤字公債に類する形で、地方債で行なうということは不合理であります。ただし書き方式や超過税率で課税している市町村は、これまで国のこれらに対する税財源の配慮が十分でなかったために、財源が乏しく、住民に重い負担をかけていたのであり、そこへいま国が法律で課税方法の改正を強制するのでありますから、当然減収額全額を臨時の特別交付金で完全補てんすべきであります。この交付金は漸減し、地方交付税で処理する状態に復させるにいたしましても、必ず交付税の交付率をいまの二八・九%からその分だけ引き上げ、総ワクをふやしつつ貧弱団体への傾斜配分を強める形で実施すべきであります。自治大臣並びに大蔵大臣の率直なお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、固定資産税につきましては、政府は固定資産の評価を取引価格で統一し、本年一月一日付で全国市町村に評価がえを実施させつつありますが、新旧評価額を比較すると、家屋と償却資産はさしたる変化はないが、土地にあっては、都道府県別にその基準地の評価を見るに、田畑は修正率が乗ぜられる関係で、一・二倍から三・二二倍の幅で引き上げられ、山林については三・〇八倍から最高六・五七倍の引き上げ、宅地では最低三・三二倍から最高は実に十一倍の引き上げとなるようであります。このような評価額の激変と、全国的に巻き起こりました反対運動の高まりから、政府はこの三年間だけは農地は据え置き、宅地等は二割増しでとどめるという暫定措置を定めているわけでありますが、これでは四年後の昭和四十二年からは、いま申しました倍率で想像をこえた大増税になるのであります。現在二千数百億円にのぼっております固定資産税の総額をそのままにして税率で調整するといたしますれば、現在の標準税率一・四%を約二分の一に引き下げればよいという計算が一応成り立ちますが、もしそうするといたしましても、税額は農地ではなお五割以上上がるものもありますし、山林につきましては、約二、三倍に上がり、宅地では四、五倍の増税になる一方、家屋と償却資産の税は半分に減り、大企業の工場の機械類や林立するビルの税の減った分を土地がかぶり、財源のふえる市町村ができる反面、大幅な歳入欠陥を生じて苦しむ市町村も出てまいるのであります。
 そこで私が自治大臣に伺いたい第一点は、暫定期間中でも、宅地等を二割増税することは、物価騰貴の現況において不適当ではないか。
 第二点、問題の多い新評価をいま直ちに確定することなく、激変緩和の十分な措置が見出されるまで旧評価のままで課税し、はっきりした措置が確立してから合理化された新評価を確定するという、慎重な態度をとるべきではないか。もしそれができないとすれば、三年を過ぎた恒久措置の場合も、三十八年度の課税額よりいずれも増税にならないし、財政欠陥をも生じさせない旨の保証を、政府はいま明確にすべきではないか。これから税制調査会で検討しますといった答弁では、国民は納得するものではなく、四月の課税台帳縦覧の場合、不服審査の要求が全国的に続発することは明らかであります。
 第三点、立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっております現在、農地、作業場、温室あるいは農機具、その他農業用の固定資産に対する税の軽減措置を行なう考えはないか。現に大企業には三分の二、二分の一、三分の一、あるいは六分の一といった軽減措置の規定が置かれており、また、西独や米国も農業用不動産に対する軽減を行ない、英国は全部免除している立法例があることからいたしましても、十分検討に値する問題であると思うが、自治大臣はいかがお考えでありましょうか。
 最後に、私は、料理飲食等消費税の改正について、特に池田総理にお尋ねをいたしたいのであります。
 この法案の国会提出が非常におくれた理由の一つは、料飲税を外人客に対し免税する問題について、与党が自治省原案を支持し、免税の期間はオリンピックのあることし限り、場所はホテルにおいてのみ、と一たん定めた方針を、閣議において異例の修正を行ない、期間は当分の間と改め、また場所の制限を全く除いたので、自民党側はこれに激高し、国会審議の中で閣議決定をくつがえし、もとどおりに修正することを党議で決定し、いまの国会への提案が行なわれたと、ふかしぎな事実を新聞は報じているのであります。池田総理は、自民党の総裁と政府の責任者との二重人格をお持ちだが、政府の責任者として提出案どおりの国会通過をはかることは当然であり、一方国会が法案修正権を持つことは当然としても、与党が法案提出前にすでに修正を決定しているということでは、双方の責任者である池田総理は、みずからの立場から矛盾をお感じにならないのですか。
 さらに、私は、外人客誘致の観光事業の大切なことはよくわかるのでありますが、外人が、日本では料飲税という地方税を取られるから日本に行くのはやめた、とこういうものではないのであって、それよりも、列車の沿線に立ち並ぶ醜い野立ち広告を一掃し、道路をりっぱにし、公園などのごみやくずをきれいにすることのほうが、外人客を美しい日本で気持ちよく遇する観光政策としてもっともっと重要であると思うのであります。(拍手)パスポートさえ見せれば、料理屋でもキャバレーでもどこででも外人には免税するというのでは、脱税奨励のおそれすらあるのではないでしょうか。この外人客免税で都道府県の財源が三十億円も減少するというのですが、もしそれだけの余裕財源がありますれば、簡易食堂やおでん屋やすし屋などで五百円以上の飲食をしたらすぐ一割税金が取られ、諸物価値上がりの現在なお千円以上の宿泊費に同じく一割税金を取られるという、この現行法において、これらの免税点を大幅に引き上げ、国民大衆の生活につながる減税につとめることのほうが、私はほんとうの政治ではないかと思うのですが、総理はいかがお考えでしょうか。(拍手)
 以上、政府の明確な御答弁を要求し、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕

発言情報

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発言者: 安井吉典

speaker_id: 8030

日付: 1964-02-27

院: 衆議院

会議名: 本会議