河野一郎の発言 (体育振興に関する特別委員会)

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○河野国務大臣 実は陸連の会長に就任いたしました際にそういうことを申しましたが、わが国のスポーツが発展してまいりました経緯から、学校スポーツが次に社会人になります場合に、会社のクラブになる経緯を見てみますと、やはり体育奨励の政府の考え方が従来ゼロだった。そのために金のあるもの、出し得るもの以外はこれに関係できなかった。川崎さんも御承知のようにお互いに陸連に関係しておりますが、陸連にいたしましても収入は全然ない。一年の予算はわずかに千何百万円、それで日本の全体の陣上競技、大きくいえばオリンピックの競技の中心になってあの競技会をやった。ところがその金はどこから出るかというと所属の団体から会費を取る。所属の団体といいましても会費を出す力がないということで、勢いいま言うような会社的な背景を持ったものから金を出してもらうということになる。そういたしますと会社のほうでは、初めのうちはいろいろなことを考えたかもしれませんが、そこに出てきたものは何かというとノンプロというものが出てきた。野球の場合にはノンプロというような名前を使いますけれども、それはひとり野球だけではない。ほかの場合でも常に会社の宣伝用と併用してこれが行なわれるということになりますので、大学の選手の引き抜きをやって、そうしてそれを一つのチームにして会社の宣伝をするというようなことが非常に強く出てきておる。そのためにいまの段階で弊害があるとは私は決して申しませんけれども、この傾向が将来強くなりますと何か大きな弊得が起こってくるのではないか。国際的にもフロとアマの関係がどうなるかということが問題になるのではないか。また、日本の青年自身にしましても、自分が就職するときに、大学卒業ということで会社に入るのではなくて、何の選手であるということが売りものになって会社に就職する。選手が弱くなってしまうと会社の中でぶらぶらしてしまうというようなことになる。こういう傾向は非常に遺憾なことでございまして、たとえばよく世間でいわれますように、プロ野球の選手に優秀な体格を持った素質のある者はみな高校時代に引き抜いてしまう。そこにいくことがまた高校時代の一つのはやりものじゃないでしょうけれども、何かおかしなムードが生まれてくるというようなことでは、この程度以上にスポーツは発達しないんじゃないか。これは私の考えておりまする国民健康の面とは多少迷うかもしれませんが、たとえばオリンピックで勝つとか勝たぬとかいいます場合にも、そういったようなほかの要因でほかの方向に選手がいく。それはそれだけならまだよろしいが、選手の目標はしからば何だといいますと、純真な世界記録に挑戦するというような考えじゃありませんで、プロ野球に幾らで買われていくかというようなことが、もし間違って青年のこれが一つの目標になるというようなことになりましたら、これは私は非常に遺憾なことだと患われるのでございます。したがって、いま申しましたように、つじつまが合わぬようなことになりますけれども、どうかひとつもう少し純真なスポーツということになりますためには、いま言うように、会社とか宣伝、広告とかいうものとはなるべく切り離すように、また、会社を経営していらっしゃる人もそういう点に深く御理解を願って、そういうものにスポーツを利用するということはやめてもらう。ほかのもので芸人でも使って宣伝するなら、たくさん宣伝の要因があるわけでありますから、スポーツを使ってやることはやめてもらいたい、こういう発言をしたのでありますが、これはいま申しますようにその基本は何か。われわれが考えて、ひとつ手を打たなければならぬものは、体育団体、たとえばいまのアスレチックの各種のクラブにしましても、たとえば道具を一つ買う、設備をするといいましても、なかなか設備費用まで出し合ってやるということはむずかしい。しからばそういうものを出し得るものは何かということになりますと会社になる。それはしかも有力な会社になるということになりますから、私はこれらのものについても何らかの方法で奨励費を出してやる、設備をしてやるというようなことをしてやったらどうか。一例を申しますれば、運動器具、用具については税の点についてどういうふうなことを考慮するとか、そういう団体がこれを使用する場合には総括的に公共団体がこれを持っておりまして、これらのものには無料で貸し付けるとかいうようなところまでいくことができますれば非常にけっこうだ。ことにいま体協関係のたくさんの団体がありますけれども、これらといえどもいま金が中心になっている。金を出せるものというようなのがリーダーシップをとっておるというようなことでは、私はいかぬのではないか。そうではなしに、何らかの資金関係は別に見てやるということにいたしませんと、どうもいまの程度以上に伸びていかないのではないか。これは欧米各国の例に比べまして、その点が非常に違う。日本の場合にはまだその点は何といっても後進国で、スポーツの指導もしくはこれらについて有力な発言をするのは何かといえば、常にそこに金がついて回る。金が力だということになっておっては必ずしも将来の発展の上によくない。何らかの方法でこれらのスポーツ団体の運営については特別な方法を講じて、常時しかるべき財源がこれに与えられて、そしてそれが中心になってものが回っていくということまで考える必要があるのではないかと思っておるわけであります。

発言情報

speech_id: 104804607X01119650323_008

発言者: 河野一郎

speaker_id: 32604

日付: 1965-03-23

院: 衆議院

会議名: 体育振興に関する特別委員会