門司亮の発言 (本会議)
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○門司亮君 私は、ただいま議題になっております新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、民社党を代表して反対の意思を明確にしようとするものでございます。(拍手)
私が反対の意思を表明いたしますものは、先年制定されましたいわゆる新産業都市建設促進法の第一条には、その目的として、今日非常に大きな話題になっております過密都市の廃除、さらに地域格差を是正するということ、もう一つは、労働力の最近におけるきわめて不均衡な流動を防止するという三つの柱から成り立っておるのでございます。したがって、この法案の趣旨は、明らかに国家目的のためにこの新産業都市の建設をするということは明確でございます。ただ、その第二条において、新産都市を指定するにあたって、道府県知事は申請書を内閣総理大臣に提出しなければならぬという規定があるだけであります。したがって、この法律は、あくまでも国の責任においてこの法律の施行が行なわれるということが正しい法律の解釈であり、またそうでなければならないと存ずるのでございます。
ところが、今回出されてまいりましたこの法律は、その中で最も重要な要素となりまする住宅、あるいは港湾、あるいは道路交通というような部面に対する国の施行するもの、並びに都道府県が行ないまする事業に対して利子補給をしようとする法案でございます。
この問題は、一面妥当のように見えるのでございますが、実際の問題としてこれを考えてまいりますると、先ほど同僚秋山議員からも申されましたように、利子の補給をするといいましても、結局わずかに昭和四十年から五十年の間でありまして、一体こういう短期間においてこの大事業ができるとはどうしても考えられません。したがって、その内容はきわめてごまかしであるということが一つでございます。(拍手)
もう一つ最も大きな問題は何であるかと申し上げますと、国家目的のために行ないます事業について、都道府県がそれにさらに事業を加えていかなければならないことは当然でありますので、これに補給するといっておりますが、地方の自治体はそれだけで新産都市ができるのではございません。今日新産都市において、地方の公共団体が最も憂慮いたしますことは、地方における単独事業に対してその費用をどう支弁するかということでございます。いわゆる水道の問題、下水の問題、あるいはし尿の処理、じんあいの処置というような、こういう環境衛生的なもの、あるいは教育、学校をどうするかというような地方の単独事業に対する援助を顧みていないというところに、との法案が全くの国家本位のものであって、地方の行政を忘れた問題があろうかと存ずるのでございます。(拍手)かりに現在三十五万の地域が百万に伸びるといたしますならば、そのことのための水道施設、下水施設、教育の施設に対してどれだけの費用を必要とするのか、私はこのことがこの法案に触れていないところに、この法律の全くの大きな見当違いがありはしないかと考えざるを得ないのであります。したがって、もしこの法律の適用によって、地方がかりにこれを受け入れるといたしましても、それらの財源を一体どうするかということについては、これまた全部を借金でまかなわなければならないということに相なろうかと存ずるのでございます。そうなってまいりますと、ごくわずかの利子補給のえさにつられて仕事をしていって、そうしてそういう大きな借金を背負って、ことに自由経済の社会におきまして、その企業が必ずしもそこに来るか来ないかということは、法律は何にも保証しておらない。そうなってまいりますと、思惑のはずれたときには明らかに、だれかが申されましたように、結局は借金だけが残って、何らの効果もなかったという、地方公共団体をきわめて財政的窮境におちいらせる問題ではないかということが考えられるのでございます。
われわれはこういう問題を考えてまいりますと、この法案に対して直ちに賛成するわけにはまいりません。したがって、政府にわれわれが強く考えていただきたいと思いますことは、今日の現状においてすら一般会計において九千三百億の借金を背負って、地方の自治体はみずから納めております地方税の八・九%はこの借金の利払いに使っております。国が地方にあてがっております起債と申しましても、国民全体から取り上げた税金であることに間違いはない。この税金が一回り回って地方に貸し付けられて、その利払いにみずから納める地方税の約一割をまた国に払わなければならないというのが、今日のすべての現状である。こういう時期において、こういうきわめて無謀といっても差しつかえないような法案を出されるということは、私はほんとうに地方自治体のために嘆かざるを得ないのでございます。かような意味におきまして、私どもはこの法案に賛成をするわけにはまいりません。
同時にまた、この法案がかりに、いま申し上げましたように効果があるとするならば、それは、この法案という名前につられて、いわゆる新産都市、工特という名前につられて、地価の値上がりを来たして、事業はますます困難になるであろうということだけが残りはしないかと私には考えられる。こう考えてまいりますと、結局この法案は欠陥だらけでありまして、どう考えましても未熟なものであって、もう一度政府で練り直して出していただきたいということが申し上げられようかと存ずるのでございます。
以上、きわめて簡単ではございましたが、民社党のこの法案に対する反対の意思を率直に申し上げた次第でございます。