稲浦鹿藏の発言 (建設委員会)

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○稲浦鹿藏君 瀬谷理事と田上委員と私の三名は、去る一月十一日から十四日まで四日間、愛知県及び三重県における建設事業の実情を視察してまいりました。
 まず、順路から申し上げますと、第一日は、東三河工業整備特別地域の中心である豊橋市をはじめ、豊川市の周辺、蒲郡中央埠頭、ヨットハーバー等を視察。第二日は、三ケ根山から地勢展望、二級国道二四七号線、碧南市、衣浦大橋、半田中央埠頭、武豊石炭埠頭等の衣浦港沿岸を経て鳴子団地を。第三日は、高蔵寺ニュータウン、小牧市、名神一宮インター、名岐・名四国道。第四日は、名阪国道建設工事を加太及び関トンネルまで、また、四日市市の公害事情、都市改造事業等を視察し、この間地元の県、市、中部地建、各公団の関係者等から説明を聴取、懇談をいたしてきたのでありますが、以下その概要について申し述べたいと思います。
 東三河工業整備特別地域についてであります。東三河地区は、他の五地区とともに昨年九月、工業整備特別地域に指定され、三河湾が昨年三月重要港湾に、さらに、東海道新幹線が開通し豊橋停車の実現、東名高速道路豊川インターの決定という一連の進展がありました。東三河は、太平洋ベルト地帯の京浜、阪神二大工業地帯の中間に位し、すぐれた立地条件を備えており、また、名古屋大都市圏の外側というべき距離にあります。
 整備基本計画としての構想は、工業整備の目標として、三河湾に面する臨海工業地帯神野、田原、大津島、蒲郡地区等を造成し、鉄鋼、化学など、重化学工業コンビナートをつくり、内陸部は、二川、大清水、豊川地区とし機械工業を中心とするものであって、約六百万坪の工業用地を造成、昭和五十年には、出荷額七千五百億円の工業開発を目標とし、住宅三万六千戸、豊川工業用水、学校施設の整備など総事業費約二千九百億と推計されています。なお、道路は、臨海、内陸の工業地帯及び七十万都市形成のための幹線道路体系を確保するため、国道一号線バイパスを中心に整備し、港湾は、神野埠頭、蒲郡埠頭の施設を早急に整備する。公害対策として、土地利用面から市街地区、住宅地区と工業地区との分離をはかるとともに、風向きによる影響、水質保全を考慮するなど、十分な事前調査を行なうこととしている等であります。ただ現地の方々は、財源措置を危惧されているようであります。なお、首都移転が考えられる場合の候補地として、愛知県東部、静岡県西部浜名湖周辺一帯に十分なる余地ありとの地元の意見がありましたことを申し添えます。
 次に、衣浦臨海工業地帯について申し上げます。
 衣浦地区の開発は、碧南市、高浜市、半田市、武豊町地先に展開する衣浦湾に、重要港湾である衣浦港を中心とした臨海工業地帯を造成しようとするものでありまして、この地区は、刈谷市から豊田市に及ぶ内陸工業地帯と並んで愛知県の工業開発の拠点であります。立地条件は、海浜埋め立てによる約五百万坪に及ぶ臨海工業川地の造成が容易であり、かつ、これを受ける内陸部の工業適地の開発が可能であることで、漁業補償も解決済みであります。名古屋市中心から三十五キロ圏内にあり、埋め立て地造成及び港湾建設は、昭和三十六年度から本格化し、現有までの造成済み面積は約五十万坪に達しております。しかし、当衣浦地区において、西側である半田地区は、すでに工業の立地が行なわれておりますが、東側の碧南地区においては、現在造成中の臨海工業地帯の先行投資の実をあげるべく、それに伴う道路、工業用水、住宅等、各種関連施設の建設が着実に推進される必要があります。
 名古屋市はその都市計画の成果で知られておりますが、組合等民間の任意的発起により施行される土地区画整理事業が非常に盛んであり、現在施行中の個所は四十七カ所、約七百五十万坪に及び、設立準備中のもの二十カ所、約六百万坪の予定とのことでありました。当市においては、旧市街地の八割は何らかの形で区画整理を行ない、これによってすでに約七百万坪に近い道路と公園ができ上がったわけであります。既成市街地に接する密集市街地の改造は、駅西都市改造事業、大曽根都市改造事業等のごとき方策で行なわれ、新しい都市住宅開発として高層建築の構想も活発であります。われわれが強く感じましたことは、当地方における諸建設事業計画が県、市谷公団等の緊密な協調のもと地元の方々の熱意ある協力によって着着と実施されていることであります。
 次に、高蔵寺ニュータウンについて申し上げます。
 この開発計画地域は、名古屋市中心部から北東約二十キロ、春日井市の東部に当たり、国鉄中央線高蔵寺駅の北方一帯で、南傾斜の丘陵地帯であり、愛知用水が北から南へ流れておりますが、名古屋駅から高蔵寺駅までは複線化しており、電化が完了すれば三十分で通勤できるところであります。
 計画全区域の面積は約二百五十万坪、想定人口八万七千人とし、住宅約二万二千戸、学校は、合計二十二校を建設しようとするもので、日本住宅公団は第一次開発計画として二百十二万坪について土地区画整理の手法により開発に着手しました。すなわち、地区内に約七十三が坪の土地の先買い完了、減歩率は約五〇%、土地利用は、南北に走る幅員三十六メートルの都市計画街路と地形の関係から三つの大住宅団地と一つのセンターをめぐって諸施設が配置され、各施設の地区面積に対する利用率は、道路一八・六%、公園八・六%、学校六・六%、住宅地五七・七%等となっております。開発の年次は、宅地造成が昭和三十九年から昭和四十六年、住宅建設は四十一年から、宅地分譲は四十二年からと予定され、事業費は、第一次分百二十億円であります。しかしながら他方、ニュータウン受け入れに対する春日井市の現状は、人口十一万、年約一万人の増があり、小中学校の急増対策等に追われ、今後三十六億円以上の負担が予測される公共事業の発生に、国と県の善処方が熱望されておりました。
 次に、道路関係について申し上げます。
 東名高速道路のうち、愛知県内の区間については、昭和三十七年九月に、豊川−小牧間約八十キロ、昭和三十八年十月には、静岡−豊川間を含めた全路線にわたる施行命令が建設大臣から日本道路公団に対して発せられておりますが、豊川−小牧間の工費は約六百十五億円と概算され、小牧−岡崎間に重点を置いて、三好地区、豊田地区は、二、三月ごろ入札・着工の計画のようであり、計画予定は順調に進んでいる事実を見聞いたしました。
 名神高速道路につきましても、未開通の一宮−小牧間で、一宮インターから丹陽工事区間の買収がおくれておったのでありますが、現在舗装工事中であり、八〇%の進捗率で、七月の開通の実現は可能と存じます。
 次に、名阪国道について申し上げます。
 四日市を起点として上野、天理を経て大阪に至る一級国道二十五号線の改良工事は、昭利三十八年度から中部・近畿両地建管内の亀山から天理に至る七十三・三キロを直轄施行することとなり、構造基準は、高速四級を適用する四車線であります。
 第一期工事として、昭利四十年十二月末まで千日間をもって二車線による全線開通をはかるべく工事を急いでいますが、事業費百億円で、進捗率は七〇%であります。地元の協力を得、平均年齢三十歳以下百名の若き所長諸君が一丸となって努力している姿はまさに感激の一語に尽き、この感謝の意をも含めて、たまたま風雪舞う山中を、加太トンネル・関トンネルの現場をも視察したわけでありますが、いまなおこの印象に捨てがたいものを感じております。
 最後に、四日市の公害問題に言及いたしたいと存じます。
  四日市は、北勢臨海工業地帯の中核都市として、石油化学工業都市として目ざましい発展を遂げたところ、市民生活との間に公害問題を惹起し、深刻な社会問題となったことは、注目すべき事柄であります。本市の重化学関係工場のほとんどは、四日市港を中心とした塩浜、午起地区等の臨海部並びにその周辺の二百万坪に集中的に立地しておりますが、急激に膨張したこれらの工業地帯は、既存の住宅地帯に近接しているため、ガス、煤煙、悪臭、騒音、汚水等による各般の公害が発生したのであり、市民からの苦情も、昭利三十八年に入って多くなっております。県、市当局の対策と企業者側の努力で防塵・防音等の問題については、相当の成果が見られたとのことでありますが、いわゆる「四日市ぜんそく」の発生があり、当地域のSO2汚染が重視され、三十九年五月ばい煙規制法による指定地域となったのでありますが、問題を解決する道は、今後に残されており、脱硫技術の積極的な開発及び導入が急務であるとともに、気象条件に即応するための観測施設の設置や都市環境整備についての一貫した行政施策が要請されているのも当然であります。
 四十年度から、公害防止事業団が発足することになりましたが、他面、公害対策と都市改造事業の推進が結びつけられ、合理的な都市計画の再検討が待たれるのであります。石油コンビナート設定に際しての都市計画、公害対策等の不備がいまにして反省されるのであります。当市の西北四キロ、泊山団地の造成が住宅公団の委託を受けて県によって三十九年度から着工され、五十万坪の用地に戸数四千六百戸、一万八千人の団地形成が予定されておりますが、被害地の方々の移転希望者を優先的に取り扱うとのことでありました。
 以下、各地で要望を受けましたうち主要なものを列記して御報告を終わることにいたします。
 名四国道の鈴鹿市までの延長。名阪国道の亀山−名古屋間の早期着工。国道一号線及び二十三号線について、四日市市追分地区の分岐点における交通問題の解決。国道一号線の鳴海地点の交通隘路打開。県道前芝−豊川線の改築。衣浦臨海工業地帯の産業道路の整備促進と工業用水の確保。国道四十一号線の区間改良、名古屋第三環状線小牧インターより北進道路の整備促進。奥三重開発道路の建設。公害に伴う公営住宅移転につき国の特別財政措置。四日市市都市改造事業費の国庫負担等。
 以上、御報告申し上げます。

発言情報

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発言者: 稲浦鹿藏

speaker_id: 30929

日付: 1965-02-16

院: 参議院

会議名: 建設委員会