曾禰益の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○曾祢益君 私は、民主社会党を代表して、日韓問題を中心とする外交政策について、政府の所信をただしたいと存じます。
われわれは、かねてから、わが国と最も近い隣国である朝鮮に対し、不幸なる過去を反省して、独立国としてこれとの友好を樹立することは、わが国平和外交の当然の帰結と主張してきました。しかして、南北両朝鮮の平和統一が近く実現の見込み薄い以上、これを待つことなく、国連が唯一の合法政府と認めた韓国との間に、まず懸案の解決をはかり、国交を樹立することは、かつての多数講和から全面講和への道と同様、これまた当然であり、(拍手)加えて、とりあえず南朝鮮に民主主義の成長と経済的政治的安定をもたらし、平和統一への基礎を固めることは、わが国の平和と安全に貢献するものと信ずるものであります。(拍手)わが党はこの見地から、日韓国交正常化に賛成し、かつ、日韓条約、協定の批准成立に賛成の原則に立って、これが慎重審議を主張するものであります。国会の審議にあたっては、あらかじめイデオロギーで賛否をきめてかかるのではなく、あくまで、わが方の利益がどこまで守られたか、譲歩の限界がこれでよいかなどの内容に即して、冷静に判断すべきは申すまでもありませんが、特に条約などの解釈について、双方に根本的な食い違いが存するがごときことは、許されないのであります。よって、まず次の諸点について、総理の明快なる答弁を求めます。
一、管轄権問題について。国連尊重のたてまえから、国連総会決議第一九五号(III)に従って、韓国を唯一の合法政府と認めるのはよいが、同じ決議自体が、韓国の管轄権が事実上南半分に限られていることをも明らかにしております。さらに国連は、第十五、十六回総会で、韓国代表のほかに条件を付して、すなわち国連の権威を尊重、この条件を付して、北鮮代表をも招致することをきめました。以上の経緯から、日本の態度としましては、韓国は唯一の合法政府、北鮮は事実上の政権というたてまえを貫くべきは当然と信じます。また、基本条約もさように解釈すべきであり、条約の結果、日本が北鮮政権とのいろいろな事実上の関係を持つことを禁ぜられるいわれは断じてないと思うがいかん。また、韓国の憲法のたてまえがいかにあれ、条約上はこの解釈に韓国も従うものと考えてよろしいかいなか、お答えを願いたい。
二、竹島問題について。このたび、日韓交渉の妥結にあたって、ついに竹島問題の解決を見ず、両国の主張が平行線に終わったことは、はなはだ遺憾であります。ただ、韓国側の竹島領有の主張がいかに強くとも、彼もまた本件が日本側との紛争問題であることを認めているようであります。したがって、問題は、韓国側が、紛争の解決に関する交換公文に従って、この問題を外交的に処理することを認めるかいなかであります。首相の言うごとく、わがほうが領土権を主張するだけでは解決になりません。首相は、多少の時間をかけても、竹島問題は、たな上げでなく、両国間の外交交渉あるいは調停によって解決する自信をお持ちであるかいなかを明らかにされたい。
三、李ラインについて。韓国側の国内向けの説明ぶりや、政府の宣言、国内法の存続にもかかわらず、日本側の漁業の操業と船舶航行の安全については、韓国側も漁業協定を順守し、これによってのみ規制されることに同意しているのかいなか。換言すれば、季ラインは、わがほうに関しては、実質的に撤廃されると判断してよいか。政府は、さらに、韓国側の関係国内法等の廃止と、六年後の無協定の事態を避けるための措置を明らかにすべきと思うがいかん。お答えを願います。
次に、日韓条約等の可否を論ずるにあたって考慮すべき第二の点は、条約、協定が実施された場合、はたして両国友好親善の実をあげ得るかいなかであります。これについては、両国側それぞれに危惧の種があります。わが国内においては、次の諸問題があります。
すなわち、一、日本側の請求権の放棄にからんで、朝鮮からの引き揚げ者のいわゆる在外財産の補償と、抑留漁船、船員等、特に零細なる人々に対する各種の補償、弔慰金等をいかにされるのであるか。
二、在日韓国人の法的地位と待遇に関しては、永住権の付与の範囲や処遇の内容がわがほうの譲り過ぎであって、ためにかえって日本人社会との融合に害があるのではないか。また、北鮮系住民と韓国系住民との差別待遇などから、治安上の問題を起こすことがないのかどうか。
以上の諸点についてのわが国民の不安と不満とを残したのでは、日韓国交調整も日韓親善の道に通ずるとは一言いがたいと思うのであります。よって、外相及び蔵相、農相、法相、それぞれの答弁を求めます。
他方、韓国側の問題といたしましては、主として野党及び学生などの間に、わが国とは反対に、条約、協定の内容が屈辱的であるとの反対論があるようでありますが、政府は韓国国会批准後の政情をいかに判断しておられるのか。韓国の国論の大勢が反対に回るとか政変とかは予想されないかどうか、首相の率直な所見を伺いたいのであります。
さらに重要なことは、条約、協定が実施され、特にわがほうの経済協力や援助が実行された場合、これが韓国の危惧する日本の経済的侵略にならないよう、また他面、わが国の労働君や中小企業がおそれる、韓国を基地とする低賃金、ソシアル・ダンピングが起こらないように取り計らうため、政府はいかなる態度で日本資本の動きを規制する御意向であるか、首相よりお示しを願いたい。
同時に、韓国側に対しても、日本の協力と援助が浪費され、一部特権階級の利益にのみ奉仕し、韓国の民主化と経済の安定に貢献しないような事態を避けるため、日本政府は正当な要求を行ない、かつ、ときとしては歯にきぬを着せない友誼的な勧告をためらってはならないと信ずるがいかん。
また、今回の日韓国交調整を機として、韓国の従来の反日教育を改めさせるため、政府はいかなる施策と見通しを持っておられるか。
以上二点について、総理の見解をお聞きしたいのであります。
次に、中国問題についてただしたいと存じます。
佐藤内閣は、組閣以来、中国問題の重要性を説いてきたにかかわらず、今回の所信表明において何らこれに触れるところのないのは、全く自信喪失のいたすところと受け取るほかはございません。今回の国連総会においては、かねてわが党の予言したごとく、中国代表権問題が大きな山場を迎えることになります。しかも、イギリス、イタリアあるいはシンガポールなど、ますます多くの自由な国々が、わが党の言う、一つの中国すなわち中共、一つの台湾方式による中国代表権問題の解決の方向に動きつつあります。政府は、世界の動向を察知し、日本独自の外交を進めるため、中共の国連加盟の阻止や中国問題の討議たな上げを策するような、従来の消極的な態度を一てきし、中国代表権問題の解決に積極的に貢献するため、わが党の方向に進むべきであると信じますが、政府、首相の決意をお伺いしたいのであります。
また、総理は、ベトナム戦争の平和的処理を望んでおられるが、たとえば国連総会にみずから出席するなどの積極的なる行動をもって、平和解決への熱意を示すべきであると思うがいかん。
最後に、総理に対して一つの要望がございます。それは、日韓国交正常化並びに中国問題の解決、ベトナム戦争の終結の努力と並んで、わが国外交の最大の問題である、一九七〇年いわゆる日米安保条約改定期にいかに対処するかについてであります。われわれの見るところでは、一方では、岸・元首相その他の極右の人々の憲法改正、再軍備論があり、他方では、極左の人々の安保の一方的廃棄、自衛隊解散の主張があります。私は、かかる両極の激突から、わが国の平和安全と議会制民主主義を守ることこそが、国会の国民に対する最大の奉仕だと信じます。そして、この道は、憲法改正反対、そして限定された自衛力と、駐留なきアメリカからの安全保障の方向に向かって、安保を改定する以外にあり得ないと確信するものであります。このような方向への国民の総意結集のために、総理の努力の積み上げをいまから期待したいと思うが、首相の率直な見解を承わりまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕