坂田英一の発言 (本会議)
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○国務大臣(坂田英一君) お答え申し上げます。
総理から全般的なことが大体お話がありましたのでございまするが、なお追加して申し上げます。
農業基本法施行以来五年もたつが、今回の年次報告を見ておると、自給率の低下、それから労働力の質の低下、兼業化の進行などがあって、さっぱりじゃないか、こういう一つの御質問でございます。
私は、かねがね、わが国の農業の当面する問題は、第一に、国民食糧の安定的供給をいかにして確保するかということであり、第二は、農業の生産性と農業従事者の所得をいかにして向上させるかということであり、第三は、どのようにして農村の環境を整備し、農業従事者の福祉の向上をはかるかということであると存じております。今回の年次報告でも明らかなように、最近の農業の動向は、ますますその感を深うするものでございます。これらの問題に対処するために、農業生産基盤の整備、農業構造の改善、農業技術の開発及び普及等の諸施策を拡充することによって、農業の生産性の向上をはからなければならない、農業生産の維持増大につとめるということ等は言うまでもございません。なお、農村対策の一そうの充実により、立ちおくれた農村環境の整備をはかってまいる所存でございます。なお、土地生産力は、私は世界に類例がないと見ておるのです。
第二は、政府は生産性の向上を労働生産性向上一本やりで考えているようだが、これが生産増強、農業所得の増大に結びついておらない、兼業化や冬作の耕作放棄などが進んでいる、このことは政府の見通しの誤りを示すものであって、農業基本法路線の再検討を必要とするのではないか、こういう御質問であります。
しかしながら、私は、農業基本法は絶対間違っていないと確信を持っております。(拍手)ただし、この基本法によって行なわれておる事柄については、地方的に間違っておる例もあります。人間のやることだから……。それは、たとえば構造改善にしても、ことしの八月に入って、私もすぐ構造改善のやり方を調査したわけです。ところが、大部分のやり方は非常によくいっております。心配をしたわりあいによくいっております。しかし、中にはやはり悪いのもございました。それは、その基盤整備がなく、農道がないのに、大きな機械を持ち込めば、うまくいかぬのはあたりまえなんです。また、地方の実情に即しない、たとえば兼業が非常に多いという地帯に対しては、やはり共同とか協業とか、それが寄っていろいろなことがやれる仕組みでなければならぬのに、その仕組みに反したことをやっておるような実例があると間違いがあるのです。農業基本法はそういうことを書いてないのでありまして、農業基本法の趣旨は絶対間違いはないと確信をしておるのでありますが、やり方に間違いがあるやつは、これから直していきたい、こういうのでございます。(拍手)
それから、農業労働力が引き続いて減少しておる現在のもとでは、農業生産性の向上と農業所得の増大をはかるためには労働生産性を高めることが重要なことは印すまでもなく、土地の生産性その他のことも考えないとだめじゃないか、こういうことのようでございまして、これは総理からもお答えを申し上げたとおりでございまするので、つけ加えて申しませんが、確かに、日本の民族の一つの欠点は、一つのことをやろうとすると一つをやらいでもいい、黒か白か、こういうことです。それは間違いである。黒も白も必要ならば二つとも一緒にやるということが大事なのであって、労働生産性向上は、現在の日本としては特に重要であると思うけれども、やはり土地の生産性も特別に重要であると思います。特に、米作のごときは、この土壌の手入れ、あるいは土壌保全の問題とか、なかなか大事な問題がございますから、それは繰り返して申すまでもない、こう存じます。
次は、食糧自給率が低下しておるが、今後の見通しはどうかというのでございます。
現在の食糧、自給率は確かに八〇%程度でございます。しかしながら、よく考えてみますと、その中には熱帯のバナナとか、コーヒーとかココアなんかも入っておるのであります。それから畜産をうんと発展させるために、その飼料がうんと入っております。こういうものが入っておるために、全体の自給率が下がるわけです。しかし、米にしてみると、現在停滞しておるとはいえ、米だけで言えば九六%の自給率を保っておるのであります。そこで、畜産のごときは、牛のように草を食うものについては、草地の造成は、これはどうしても自給しなければならぬから、いわゆる長期計画によって四十万町歩の草地をさらに造成していこうという考え方であることは言うまでもございません。しかし、人間の食糧さえなかなか——この狭い土地で一億の人間が食っていくのでありまするからして、そういうときにまた家畜の濃厚飼料も急激にふえる、そういうものまでも一緒にやろうというのは欲深いです。
それから次は、自立経営農家の育成の問題であるのでございますが、これは総理からお話がありましたので、別に私がつけ加える必要もなかろうと思いますが、ただ一言申し上げまするならば、兼業農家は非常にふえております。兼業農家は現在すでに平均二一%ぐらいになっておると思います。特に第二種兼業農家は四二%になっておる。北陸地帯は、専業農家は一〇%もないくらいなんです。これはまた、生活が苦しいから兼業農家になったというんじゃなしに、単作地帯において文化が発達して、つまり生産性が高まっていくとそういうことになることがある。これらについては詳しく申し上げると時間がありませんが、そこで、北陸のごときは一〇%の自立経営しかないということになっておるけれども、農家の生活及び農民的精神の旺盛なことは、他の地帯よりもはるかに大きいのです。それだけつけ加えて申し上げます。
それから、兼業農家の問題についてさらに申し上げたいことは、もちろん私どもは自立経営をでき得る限り増強いたしたいという考え方をもって進んでおることは、湯山議員も十分に御了承のはずでございます。ただし、兼業農家がこれだけおるのに、農業政策であろうと何政策であろうと、そのたくさんおる兼業農家に対して所得をふやしてやるという政策は、これは政治として当然やるべきことであります。それが農業的にやれればわれわれは満足でありまするけれども、そうもいかぬときには、ほっておけというわけにいきません。やはり、これらは、所得をふやすということについては十分考えていくことは当然であると思うのでございます。
それから、最後に、米価の問題についてでございます。
四十一年産の政府買い入れ価格は、昨年同様、生産費及び所得補償の考え方に基づき、米の再生産を確保することを旨として定めたいと考えておるのでございます。算定諸要素が未確定でありますので、その額がどの程度になるかということは、現在何とも申し上げるときではございませんが、方向だけは生産費及び所得補償方式によっていきたい、こういう考え方でございます。生産者米価の決定いかんによっては、消費者米価の問題が免ずることは考えられるのでありますが、何ぶんにも将来のことでありまするので、本年消費者米価をどうするかということについては、申し上げられる段階ではございませんのでございます。ただし、消費者米価は、家計費の範囲内において、家計の安定をはかることを旨としてきめるという方針をはっきり申し上げます。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕