福田一の発言 (本会議)
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○福田一君 ただいま議題となりました昭和四十一年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
本予算三案は、去る一月二十七日予算委員会に付託され、二月四日政府から提案理由の説明があり、翌五日から質疑に入り、以後ほとんど連日にわたり審議を続け、その間、二日間の公聴会、六日間の五分科会を開いて、審議の慎重を期した後、本日、質疑を終了して、討論採決をいたしたものであります。
予算の規模につきましては、さきに本会議において大蔵大臣から説明がありましたので、説明を省略させていただきまして、審議の概要を申し上げます。
まず、公債の発行に関しましては、「従来、一般財源で支弁していた公共事業関係費の大部分を公債財源によることは、実質的な赤字公債ではないか。公債発行の歯どめとしての公共事業費の範囲をどう解釈しているか。兵舎、兵器もこれに含まれるか。公債発行額は市中で消化される額にとどめるというが、公債のほか、政保債、地方債、その他の起債額を合わせると二兆円をこし、市中消化が困難となり、買いオペ等により日銀が引き受ける結果となりはしないか。今後公債は累積し、数年後には四、五兆円となり、インフレとなることは必至ではないか。公債償還についての具体的計画はどうか。昭和四十一年度中に補正要因が生じた場合に、四十年度と同様の特例公債の発行を必要としないか。また、小型免税国債を発行する意思はないか。」との趣旨の質疑に対しまして、「今次の財政政策においては、一般財源により大幅減税、社会保障の充実等を行なう一方、景気回復の手段として公共事業を拡充し、その財源を財政法の規定による公債によろうとするもので、いわゆる赤字公債ではない。公共事業費の範囲は、国家国民の財産として残るものと解釈しており、その金額は八千三百億円程度と計算されるが、七千三百億円の公債発行に見合う経費の範囲を予算総則に掲げている。防衛施設は、結局消耗的なものであるから、この範囲から除外してある。公債の市中消化については、金融機関の資金量が四十一年度には六兆七千億円程度増加する見込みであるから、何ら不安はない。今回発行の公債は、四十一年度中は日銀の買いオペ等の対象にはしない。今後公債が累積しても、その額は国民の年間所得に対し一割程度にとどまる見込みであるから、インフレの懸念はない。財政法の規定による公債償還の計画は予算に添付して提出したとおりであるが、将来の公債償還計画及び減債基金制度については、財政制度審議会の答申をまってきめたい。四十一年度予算は、税収をかたく見積もり、予備費を増額するなど、弾力性を与えており、補正要因が生じても、弾力性の幅の中で解決できるから、特例公債を発行することは考えていない。また、小型免税国債については今後検討したい。」との趣旨の答弁がありました。
次に、物価対策に関しましては、「四十年度消費者物価の七・七%上昇は、すでにインフレーションの段階であり、国民に貯蓄意欲を失わせるではないか。四十一年度は五・五%に押えるというが、消費者米価、鉄道運賃、郵便料金を値上げし、生鮮食料品の値上がりも予想されるのに、はたしてこれで押えられるか。政府は物価安定を犠牲にして不況克服をはかる意思のようであるが、物価を安定させなければ真の意味の景気は回復しないのではないか。不況下において物価が下がらないのは低生産性部門の立ちおくれが一因と思うが、これに対する明確な対策を講ずべきではないか。ことに、消費者物価上昇に多大な影響のある生鮮食料品の流通機構の改善については、予算をさらに増額して強力に推進すべきではないか。カルテルの存在、独占企業の管理価格、または再販売価格維持制度が物価高の原因となっているが、これに対し強力な態度で臨むべきではないか。勧告操短は廃止すべきではないか。地価安定強化に関し、さきに衆議院で議決されているが、これをどのように実施しているのか。」との趣旨の質疑に対しまして、「現在、消費者物価は上昇しているが、卸売り物価は落ちついており、国民は通貨価値に不安を有してはいない。また、この上昇は一時的なもので、二、三年中には三%程度にとどめるから、国民の貯蓄意欲を失わせることはない。四十一年度の消費者物価には、米価、鉄道運賃、郵便料金は計算に入れてあり、放置すれば六%をこえると予想されるが、五・五%にとどめることを努力目標として各種の施策を講じたい。物価安定と不況克服とは同時になし得るものと考えている。低生産性部門に対しては、中小企業基本法及び農業基本法を基幹として生産性向上をはかっている。ことに、生鮮食料品については、卸売り市場及び屠殺場の近代化、農産物の指定生産地及び価格安定資金の拡大、コールドチェーン方式の推進等の措置を講じており、所要経費は一般会計のほか財政投融資でも配意しているが、有効な具体的計画があれば予備費使用を考える。カルテルの認可については、できるだけ厳重に検討し、長期にわたらないよう注意しているが、法に認められていないカルテルが相当あると思われるので、公正取引委員会職員を強化してその取り締まりに努力する。管理価格についても同様である。再販売価格維持契約についても、現在認められているものを再検討するとともに、違法の維持契約を厳重に取り締まる。基礎産業において市況が生産費割れとなっているのに不況カルテルの結成が困難な場合、行政措置として勧告操短をさせることはやむを得ないが、正常な状態に返れば早急にやめるべきものと思う。地価安定対策は広範な問題を含んでいるが、早急に解決すべく努力中であって、現在大都市周辺の土地利用計画について宅地審議会に諮問中であり、地価公示制度も大都市周辺から早急に実現する準備を進めており、税制面でも土地収用法の改正に関連して考慮している。」との答弁がありました。
次に、不況対策に関しましては、「現在の不況の原因は、過去における過剰設備投資等、均衡を欠いた発展にあると思われるが、この不均衡是正にいかなる措置をとるか。個人消費の増大、輸出依存度の拡大につとめるべきではないか。現在の需給のギャップは相当大きいが、今次の予算ではたして景気は回復するか。景気回復のため、いかに予算を執行するか。設備投資の額は横ばいであるが、これから生ずる新規供給力が上積みされて、新規の有効需要と相殺され、いつまでも低圧経済が続いて安定成長に移行できないのではないか。」との趣旨の質疑に対しまして、「過去の高度経済成長政策はそれなりに効果をもたらしたが、一面非常な経済のひずみを生じたことを反省し、大企業等設備投資の進んだ部門の投資を押え、中小企業等低生産性部門の成長に力を入れるよう、十分行政指導をしていきたい。わが国の輸出の伸び率はきわめて高いが、輸出依存度は低いので、今後とも国民生活の向上とともに輸出の振興をはかりたい。現在の需給ギャップを一時に埋めようとすれば、二〇%以上の高度成長を必要とし、再び経済に大きなひずみを与えるから、四十一年度は七三五%程度の安定成長をはかり、翌年度以降もさらに七、八%程度の速度を続けたい。ここ二、三年は設備過剰状態は続くものと思うが、財政が設備投資にかわって有効需要増大の原動力となるように、年度当初から予算の執行を積極的に進めるため、中央、地方の連絡を密にし、年度前半に公共事業六〇%の契約を行なって事業推進に遺憾なきを期するから、新年度に入ったならば相当顕著な景気回復があらわれると思う。」との趣旨の答弁がありました。
次に、税制改正に関しましては、「今回の減税は企業減税中心であるが、この方針によった理由は何か。これで景気回復に効果があると考えるか。景気が回復したら増税に転ずるのか。所得税減税が中岡所得職に偏しており、租税負担公平の原則に反するのではないか。当初特別措置の整理改廃により増収をはかる意図であったようであるが、特別措置はかえって増加しているではないか。固定資産税及び都市計画税は、三年間据え置きの暫定指貫をとっているのに、その期間中に引き上げをはかることは公約を無視したもので、改正を取りやめるべきではないか。」との趣旨の質疑に対しまして、「従来の減税は所得税に大きな比率が置かれたが、個人を富ましめると同時に、大企業であると中小企業であるとを問わず、企業の資本蓄積をはかることがこの際必要であると考えたので、今回の減税は、所得税六、企業四の割合によった。不況対策の面からすれば公共事業費等の支出のほうが減税より相当効果が大きいが、今回の減税は必ずしも景気対策の面ばかりを考えたわけではない。現在においても個人、企業の税負担は相当重いから、今後とも長期にわたって減税をはかりたい。所得税の改正は、課税最低限度を引き上げ、三百万円以下の中堅所得層の税率を軽減するもので、公平の原則には矛盾しない。特別措置については、十分検討したが、中小企業を中心に企業一般の資本蓄積のため、これを強化する必要を認めたものである。固定資産税及び都市計画税の改正は、急速な都市再開発の必要があること、宅地価格急騰の際に税を据え置くことは課税の公平原則に反すること、及び住民税の減税に応じ他に恒久財源を求める必要があることを考慮し、税制調査会の答申の線に沿って行なうものであって、激変を緩和するため徐々に引き上げることとしているが、これについては地方税法の改正案において十分国会の審議を願いたい。」との趣旨の答弁がありました。
次に、地方財政に関しましては、「地方財政悪化の原因は何か。財政強化のためいかなる措置をとったか。また、これによりどの程度財政が改善される見通しか。景気刺激のため公共事業が拡充される結果、地方債の増発を招くこととなるが、はたして消化することができるか。特に弱小地方公共団体では困難ではないか。国の補助委託費の基準単価等が不適正なため、地方財政は多額の負担をしいられているのではないか。過密都市の財政困難に対しいかなる援助策を講ずるか。地方公営企業は、その公共福祉性にかんがみ、地方の一般会計が財源補てんをし、さらに国がこれを補助すべきではないか。」との趣旨の質疑に対しまして、「地方財政悪化の原因は、不況による税収減と人件費等の負担増にあり、四十一年度においては、地方財政収支不足見込み額約二千五百億円に対し、交付税率二・五%の引き上げ、臨時特例交付金の交付、固定資産税及び都市計画税の改正、特別事業債発行等の措置を講じて収支均衡をはかることとしている。景気回復のため国も公債発行の方針をとるのであるから、地方債が増発されることもやむを得ないが、その消化については、国債同様懸念はない。弱小地方公共団体の起債については、なるべく政府資金でまかなうこととする。国庫補助単価等の改正については、知事会から八項目の要請があり、おおむねその要請にこたえた。過密都市の財政援助については、臨時特例交付金の一部のたばこ本数割り配分、固定資産税及び都市計画税の改正、大都市海岸事業の補助率の引き上げ等の措置を講じている。地方公営企業の財政は、当該企業の受益者が負担すべきもので、この原則を変える意思はないが、個々の実情に応じ、長期、低利の資金供給、一部一般会計負担を考えている。」との趣旨の答弁がありました。
次に、中小企業対策に関しましては、「中小企業の倒産がきわめて多いが、政府はその実態を把握していないのではないか。依然として長期手形が横行しているが、どう対処するか。中小企業向け金融比率を増加させるべきではないか。公定歩合が下がったのに、中小企業向け金利はほとんど下がらず、歩積み・両建ても依然として解消していないではないか。」との趣旨の質疑に対しまして、「人員の関係上、中小企業倒産の全体を調査することはできないが、サンプル的に倒産の原因を徹底的に究明しており、その結果によると、売れ行きまたは受注の不振が最も多く、代金回収困難、過去の設備投資の負担がこれに続いている。下請企業に対する代金支払いについては、下請企業にしわ寄せすることのないよう行政指導し、実効があがらなければ法的措置も必要と考えているが、いかなる手形サイトが適切であるかは結論に達していない。中小企業向け金融比率は、最近増加の傾向に転じたが、設備近代化の意欲を喚起するなど、行政指導により、この傾向を維持したい。なお、公定歩合の引き下げに応じ市中金利は多少下がったが、中小企業向け金利はなかなか下がりにくいことを考慮し、政府三機関の金利を、昨年の三厘引き下げに続き、さらに三厘引き下げようとしている。過当な歩積み・両建てについては、逐次整理させ、都市銀行及び地方銀行はほぼその整理を終わり、相互銀行及び信用金庫も相当整理が進んだ旨報告を受けているが、さらに銀行検査を通じ的確に把握していきたい。また、歩積み・両建ての苦情処理機関をつくったが、受付件数が少ないので、さらに適切な方途を検討している。」との趣旨の答弁がありました。
次に、外交政策に関しましては、「ベトナム紛争の解決に対し、いかなる態度で臨んでいるのか。ベトコンを和平交渉の相手方とするよう努力すべきではないか。来たるべき日米安保条約の改定期にいかに対処するか。現在のような米軍の常時駐留を有事駐留に切りかえるべきではないか。アメリカの沖繩施政権行使は条約上の疑義もあるから、強力に施政権返還を要求すべきではないか。日ソ航空協定が暫定運航のままいつまでも推移することはないか。中国の国連加盟問題について今後いかなる態度をとるか。対中国貿易に輸銀資金を使用するか。韓国が十年間の有償無償の経済協力の早期繰り上げを要望していると伝えられるが、これを認めるか。」との趣旨の質疑に対しまして、「ベトナム紛争については、戦闘を停止して協議に入ることが最も望ましいと思い、その方向で努力している。この場合、ベトコンの意向は何らかの形で会議に反映させるべきものと思う。日米安保条約については、現在のところこれを改定する意思はない。有事駐留に切りかえることは反対である。沖繩施政権返還については、アメリカ大統領に強く要望し、大統領の意向は共同声明に表現されたとおりであるが、今後とも日米の相互理解と協力によってこれを実現するよう努力したい。日ソ航空協定については、二年以内の本格的乗り入れの実現を強く申し入れ、相手方もこの申し入れを了承している。中国の国連加盟は、国民政府の処遇とも関連し、きわめて重要な問題であるから、従来の重要事項指定方針を堅持するが、流動する国際情勢に処して誤りのないよう注意する。中国貿易は、国交未回復の現在、政経分離のたてまえで進んでいるが、輸銀資金使用についてはケース・バイ・ケースで対処していきたい。日韓の経済協力は、協定に従って行なうもので、多少の変更はあっても、十年を六年に短縮することは不可能である。」との趣旨の答弁がありました。
以上のほか、全日空機及びカナダ航空機事故に関連する対策及び航空行政のあり方、早稲田大学紛争に関連する私学振興策、京都の精神異常少年犯罪に関連する警察行政及び精神異常者対策、新潟県知事選挙違反事件に関する処理等、最近生じた事件に関連する事項をはじめ、沖繩の自治権拡大、青少年の意気高揚及び非行防止対策、同和問題の根本的解決、第三次防等将来の防衛構想、自衛隊の海外派兵、北九州高射群配置にあたっての自衛隊の行動、米軍提供施設整備費によるゴルフ場移転、核拡散防止に対する態度、日米加漁業条約及び日米繊維貿易協定の不公平の是正、輸出及び国際収支の見通し、輸出秩序の確立、ベトナム特需の現状、賠償担保の貸し付け、日銀の山一証券への融資の経緯及び今後の処理、教職員の超過勤務手当、低開発地方の高校教育補助、医療保険制度改正の方向、原爆被爆者援護、環境衛生関係営業への金融、社会保険診療報酬支払基金の運営、薬務行政の改善、食糧自給対策、食管制度及び生産者米価算定方式の維持、農業構造改善事業の成果、農林漁業団体職員共済組合等に対する補助、農林漁業用揮発油税の免税または身がわり農道等整備費の増額、国有林の経営方針、原子力発電の開発、繊維産業の構造改善、鉄道運賃の値上げ及び値上げ遅延に対する補正予算の必要、都市交通の改善、郵便料金の値上げ、放送法改正の構想及び電波免許方針、最低賃金法の改正、住宅及び宅地開発対策、出かせぎ労働者の雇用体系及び宿舎設備の改善、地方公務員の定年制、その他国政各般にわたり、きわめて熱心な質疑が行なわれ、政府から答弁がありましたが、その内容は、会議録をごらん願うことといたしまして、説明を省略させていただきます。
本日、質疑終了後、日本社会党から、昭和四十一年度総予算につき撤回のうえ経済財政政策を転換し編成替えすることを求めるの動議が、また、民主社会党から、昭和四十一年度一般会計予算外二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、それぞれ趣旨説明がありましたが、その内容は会議録をごらん願いたいと存じます。
かくて、予算三案及び両党の動議を一括して討論に付し、円山民主党が、政府原案賛成、両党の動議反対、日本社会党が、政府原案及び民主社会党の動議反対、日本社会党の動議賛成、民主社会党が、政府原案及び日本社会党の動議反対、民主社会党の動議賛成、日本共産党が、政府原案及び両党の動議反対の討論を行ない、採決の結果、両党の動議は否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決された次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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