芳賀貢の発言 (本会議)
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○芳賀貢君 私は、日本社会党を代表して、ただいま坂田農林大臣より説明のありました昭和四十年度の林業年次報告及び四十一年度の林業施策に関して、総理大臣はじめ関係大臣に質問を行なわんとするものであります。(拍手)
今回の年次報告は、基本法が制定されて第二回目の報告であり、林業の動向等についてはかなり克明に述べられてあるが、白書にとって最も重要なわが国林業が直面している問題点を浮き彫りにして、これに立ち向かう林政の基本目標と具体的施策を明らかにせず、問題を回避されたことは、はなはだ遺憾にたえません。(拍手)
先般本院で行なわれた総理大臣の施政方針演説においても、林業問題については一言半句も言及されていないが、この際、林政の基本について総理の所信を明らかにしていただきたいのであります。
質問の第一は、森林資源の基本計画と林産物の需給計画についてであります。
林業基本法第九条によれば、政府は、森林資源に関する基本計画並びに林産物の長期需給見通しを立てて公表しなければならないことになっておるが、いまだに基本計画が公表されないことは政府の怠慢というべきであります。(拍手)森林資源の実態については、民有林の造林面積の減少、国有林の増伐等によって、蓄積量が減退の傾向にあり、需給関係については、木材価格の低調、労働力の不足、大規模所有者の切り惜しみ等により木材の供給力は大幅に減退し、国内自給率は七〇%に低下し、不足分の三〇%を外材に依存するに至ったことは、国民経済的に見ても重大な問題であり、これに対する政府の見解を承りたいのであります。(拍手)
特に、国土開発を担当する経済企画庁長官からは、森林の資源調査及び土地利用区分等に対する基本調査の概要を説明せられたいのであります。
質問の第二は、外材の輸入と管理の方法についてであります。
前段で指摘したとおり、外材の輸入は逐年増加し、三十五年の七百五十万立方メートルが、四十年には二千万立方メートルと、わずかに五年間に二倍半となり、国内需要の三〇%を占めるに至り、こうした輸入外材の増加傾向が、国内の林業に対して、生産、流通、価格及び所得等の部面に直接間接に重圧となっていることは、年次報告の指摘のとおりであります。しかしながら、木材需要の動向から、当分の間外材の輸入は継続される見通しであり、この際、抜本的に輸入方式を改善し、たとえば食糧管理特別会計による外米、外麦の管理貿易と同様に、政府が直接外材を輸入し、国内の需給調整、価格安定、森林資源の増進等、国民経済の伸展に寄与する方途を講ずべきと思いますが、総理及び所管大臣の所信を承りたいのであります。
質問の第三は、林業基本法に関連する立法措置についてであります。
基本法審議の際に、関係法の立法措置につき、政府の言明もあり、また、農林水産委員会は附帯決議によってその重要性を指摘したところであるが、その後政府は、関係法案の国会提出を怠っているが、明らかに基本法を軽視した態度であります。特に造林法及び林道法の制定、国有林野特別会計法及び森林法の改正等は緊急を要するものであるが、政府としては誠意をもって取り組んでおられるか、事態を明らかにされたいのであります。
白書においても明らかなとおり、わが国の森林資源は、世界の主要国に比較すると、はなはだしく劣勢であり、森林の蓄積は、世界の平均水準が一ヘクタール当たり百十立方メートルであり、これに対し、西ドイツは百二十六立方メートル、スウェーデンは九十七立方メートル、フランスは八十二立方メートル、日本は六十三立方メートルで、世界最下位の資源状態であります。基本法においては、林業生産に関する施策として、森林資源基本計画に基づき、林道の開設、造林の推進を国の責任で行なう旨を規定し、未開発の奥地林については、林道網を開設して開発を進め、利用度の低い民有林については国の事業で造林及び林相改良を実施する等、資源の増進と林業生産の拡大をはかるために、林道、造林に関する立法措置について、総理及び主管大臣の見解を明らかにされたいのであります。
質問の第四は、国有林野事業の公社化と国有林開放の動きについてであります。
政府は、昭和三十八年六月、重政農林大臣の時代に、中央森林審議会に対して国有林野事業の役割りと経営のあり方に関する諮問を発し、四十年三月末に答申が行なわれた結果、農林省林野庁内部で国有林公社化案が穏密裏に検討されていると聞くが、農林大臣から事実について承りたいのであります。公社化構想の根拠は、おそらく審議会の答申の中で、「国有林野事業を運営すべき組織形態として、独立の人格をもった公企業形態が妥当であると考える。」と述べた点と思われるが、いかがでしょうか。すなわち、国土の保全、森林資源の確保、林業の発展を目的とする国有林野事業の国民経済的役割りから、公共的使命を除外して独立採算の企業体に切りかえようとする公社化構想は、やがて国有林を裸にして、緑の国土を荒廃に導くことは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)
次にお尋ねしたいのは、最近表面化してまいりました国有林開放運動に対する政府の見解であります。基本法に示されている森林の高度利用については、わが党としても土地利用区分に基づき、国有林、民有林を対象として農地、草地の造成等、林野の農業的利用を推進する立場をとっておりますが、いやしくも国家百年の計を誤るがごとき国有林の開放については、絶対賛意を表することはできないのであります。
この際、国有林公社化及び国有林開放の動きに対し、一国の首相として、同時に自由民主党の総裁として佐藤総理の所信を承りたいのであります。(拍手)
質問の第五は、国有林野特別会計の整備と運営についてであります。
最近、国有林野事業の経営は弾力性を失い、収支の面でも余剰を生み出すことは困難と考えられます。従来は特別会計の中から事業外の支出として、林政協力事業の名目で一般会計がまかなう性格のものまで負担してきた事実があり、たとえば昭和四十一年度の国有林野特別会計予算を見ると、歳入は一千五十九億円で歳出は一千七十四億円であり、歳出超過分の十五億円は持ち越し現金で充当し、しかも、林政協力費として四十四億円を一般会計に繰り入れる仕組みになっているが、林野事業の収支が不安定なとき、事業外の負担を特別会計に課することは極力避けるべきと判断するものであります。
次に、特別会計が行なう国有林の立木及び製品の販売についてでありますが、先日、本院において大蔵大臣から決算に関する報告が行なわれた際、国の財産等の処分については一般競争入札をたてまえとする旨の言明がありましたことは御承知のとおりであります。ところが、従来林野庁の販売方法は、配材基準によって紙パルプ資本を最優先に置き、販売契約についても随意契約、指名入札、競争入札の順序と聞くが、実態はいかがでしょうか。大企業には特売をもって優遇し、中小企業には競争入札をもって冷遇するがごとき運用上の差別が行なわれているとするならば、大蔵大臣の本院における言明から見てもまことに不可解なことであります。(拍手)以上、特別会計の適正な運営につき、大蔵大臣と農林大臣から見解を承りたいのであります。
質問の第六は、林業関係の中小企業対策についてであります。
今日、中小企業の経営不振は慢性化し、特に木材関係は一そう深刻であります。一体、政府として、木材産業の保護、育成を通産行政の中で進めていくのか、あるいは農林行政の中でかかえていくのか、まことに不明朗であるが、この際、責任の分野を明らかに示されたいのであります。最近は、現地においても企業の整備統合、経営の共同化等の動きが進行中であるが、政府の抜本的な対策につき説明を願いたい。また、設備資金、経営資金等の融通措置についてはいかなる配慮を行なったか、通産大臣、農林大臣から責任ある答弁をいただきたいのであります。
質問の第七は、林業労働に関する施策についてであります。
基本法において、国は林業労働に従嘉する者の就業の促進、雇用の安定、労働条件の改善、社会保障の拡充、職業訓練の充実等について必要な施策を講ずることを約束してあるが、これに関して政府が実施した事項について明らかにされたいのであります。特に、国有林野事業に従事する労働者の雇用と事業の実施については、直営、直用を原則として就業の拡大をはかり、通年雇用制を全面的に実施すべきであります。これに関し、わが党といたしましては、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案を提出いたし、委員会付託となりましたが、あわせて政府の見解を承りたいのであります。
一方、民間の林業労働者の就労動向は、依然として劣悪な条件下にあり、それがまた労働力流出の原因ともなっており、すみやかな対策が望まれておるが、雇用の安定、労働条件の改善につき、いかような対策を講じたかを説明されたいのであります。
また、社会保障の面についても、労災保険、失業保険、健康保険、厚生年金等の被用者保険制度の適用範囲の拡大等については、どのように対処されたのであるかを承りたいのであります。
さらにまた、造材作業の機械化により白ろう病が発生し、対策に迫られているが、職業病としての労働災害を、労働省及び農林省においていかように処理されているか、明らかにされたい。以上の諸点について、労働大臣、厚生大臣及び農林大臣から具体的な説明を願いたいのであります。
最後に、総理にお尋ねしたいのは、わが国の農林漁業が直面する共通の問題として、国内自給度の低下、所得格差の増大、労働力の流出、兼業の激化、従事者の老齢化と婦女子化、及び後継者の不足等、いずれも農林漁業の発展をはばむ灰色の壁であります。これらの現象は、政府・自民党の高度成長政策の所産であり、政治の貧困の帰結であります。この際、政府自身が築いた灰色の壁を前に、人間尊重、ひずみ是正を政治の信条とする佐藤総理の偽らざる心境を承りたいのであります。
これをもって私の質問を終わるものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕