江崎真澄の発言 (本会議)

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○江崎真澄君 私は、ただいま議題となりました佐藤内閣不信任決議案に対し、自由民主党を代表して、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 社会党の内閣不信任案は、国会末期において人為的にことさら対立感を盛り上げようとする定期的行事と化した感があります。(拍手)そのことは、国会審議を通じての理論構成の弱体ぶりをおおい隠そうとするものであるというそしりを免れません。(拍手)二大政党のもとにおける内閣不信任決議案は、みずから直ちに政権を担当し得る能力と資格のある責任感に徹した政党によって提案されてこそ、はじめて意義のあるものと言えるのであります。(拍手)世界の大勢とわが国の実情を極端に無視し、とうてい実現のできない日米安保体制の破棄あるいは空洞化といい、非武装中立といい、社会主義経済、進んでは階級独裁政権の樹立などを十年一日のごとく主張し、非現実的にして無責任な政策を掲げる政党が、もっぱら党略の具としてもてあそぶ内閣不信任案のごときは、ただいたずらにみずからの権威と面目を失墜するものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)私は、社会党が不信任案をもって挑戦をされる前に、まずみずからを謙虚に反省し、国民の信頼を得るに足る現実的政党に脱皮することこそ先決であると思うのであります。(拍手)
 私がこの内閣不信任決議案に反対する第一の理由はここにあるのであります。(拍手)
 佐藤内閣成立以来まだ一年有半でありまするが、その間、数々の成果をおさめております。
 日韓国交の正常化と諸懸案の解決、またILO八十七号条約の批准と関係国内法の成立など、長年にわたる重大懸案の解決を行なってまいったのであります。(拍手)ことに、足かけ十五年間という長期にわたって難航を続けました日韓交渉を妥結させ、戦後二十年余にして両国間の国交正常化の実現を見ましたことは、単に両国の繁栄と平和のためのみならず、アジアの安定と世界の平和にも大きく寄与したものであります。(拍手)その功績は、後世長くわが国の歴史に書きとめられることでありましょう。
 さらに私は、財政政策の前進と大幅減税とを取り上げたいと思います。公債政策を取り入れ、積極的政策の実現をはかった昭和四十一年度予算と、平年度三千六百億円に達する大幅減税こそは、すでに着々と効果をあらわし、わが国経済は安定成長の方向に前進しつつあるのであります。(拍手)佐藤内閣成立当時の困難な経済事情と、現在の上向きの経済情勢とを思い比べてみまするとき、経済閣僚を中心とした勇気ある財政政策が、いかに適切に作用しつつあるかを有力に物語っておると思うのであります。(拍手)私は、このような財政経済政策の躍進発展が、今後のわが国の繁栄と国民生活の向上を確実に約束づけるものであることを確信するものであります。
 社会党の内閣不信任決議案は、このような自民党内閣の功績にはことさら目をおおい、一時的、きわめて部分的な現象を誇張して取り上げ、国民を欺瞞せんとするものであります。(拍手)
 私がこの不信任決議案に反対する第二の現出はここにあるのであります。(拍手)
 次に、内閣不信任の理由の一つに物価問題を取り上げられました。社会党は好んでこの問題を政府及びわが党攻撃の材料とされるのであります。わが党も、近年の消費者物価の上昇が、高度経済成長に伴うひずみの一つであるとして、その安定に長期的な施策を強く推進しておることは御承知のとおりであります。しかし、消費者物価の上昇は、中小企業製品、農水畜産物及びサービス料金がその八割程度を占めておるのであります。これらの価格や料金が大幅に上昇しましたことは、流通過程の隘路もさることながら、これらの職場に働く勤労者の待遇が改善されてきたことを示しておるものであります。(拍手)従来きわめて低かった所得が是正されてきたことは、二面、まことに喜ばしく力強いものがあります。
 このように、現下の消費者物価問題は賃金問題と不可分の関係にありまするが、特に問題となるのは、大企業、先進産業に働く労働者諸君の賃上げ要求であります。すなわち、賃金の引き上げは生産性向上の範囲内にとどめ、生産性向上の成果の一部を消費者にも還元する態度でなければ、賃金と物価の悪循環を断ち切ることはとうていできないのであります。(拍手)
 社会党の支持する総評においては、生産性向上のための企業の合理化には反対をし、賃金は、生産性にかかわりなく、毎年常識を逸脱した大幅な引き上げを要求し、ときには国民大衆の利益を無視してストを強行するのであります。しかも、一方においては、公共料金値上げ反対、物価値上げ反対を叫んでおるのであります。このような総評の態度に対し何らの反省を求めることなく、むしろ無条件でこれを支持し、奉仕しているのが社会党の諸君であるといわなければなりません。(拍手)消費者物価上昇、公共料金上昇の責任の一半は、まさに総評とこれを支持する社会党が負うべきであると断言してはばからないのであります。(拍手)
 私は、社会党の諸君がほんとうに消費者物価の安定と勤労者の恒久的な生活向上を希望せられるならば、進んで企業の合理化と労使の協調と生産性の向上に協力するとともに、生産性を無視したところの賃上げ要求は押える努力をなすべきだと思うのであります。(拍手)こうした努力をなさずして、ただいたずらに政府だけを攻撃することは、責任ある公党のとるべき態度ではありません。
 いまや、わが国の経済は着実に安定成長の路線に入りつつあるのであります。本年度百億ドルに近づくと予想される輸出の好調、順調な財政支出の促進、大幅な減税、在庫投資の拡大等から見て、今後の経済の見通しはようやくここにきて明るいのであります。この上向きの経済情勢を巧みに誘導し、安定した成長繁栄と国民生活の向上をはかろうとするものであります。(拍手)
 私は、経済政策に関する内閣不信任の理由は何ら根拠なきものであり、これは必ず近い将来事実が立証することを申し上げて反論といたしたいのであります。(拍手)
 次に、外交政策における内閣不信任の理由も、はなはだ見当違いといわざるを得ません。
 外交政策は、防衛政策とともに国家の存亡にも関するものであります。責任ある政府としては、世界の大勢をよく洞察し、わが国の地位と立場に即し、賢明かつ安全にして、しかも現実的な道を進まなければならないのであります。政府及びわが党は、このような考え方に立って外交政策を展開し、今日の国際的地位の向上と、国家の安全と、経済の繁栄とをもたらしてまいったのであります。(拍手)さらに当面のアジアの緊張緩和と安定のためには、わが国としてなし得る限りの努力を傾けておるのであります。
 われわれは、社会党の主張せられるような反米容共の外交政策のきわめて教条的なあり方、日米安保体制の破棄ないし空洞化、あるいは非武装中立政策等では、わが国の独立と安全を保障し、国民経済の繁栄を確保することは断じてできないと思うものであります。(拍手)隣国の中共政府が、世界人類の悲願を無視して原水爆の実験、開発を進めている段階においては、日米安全保障体制の維持がいよいよ必要であることを確信するものであります。(拍手)
 わが国が、外交政策において、与野党の間に百八十度の隔たりがありますことは、まさに不幸なことであります。このことが強力、適切な外交の展開を阻害している事実は否定できないのであります。わが党においては、共産圏である隣国中共との間においても、内政不干渉の原則に立って国交を開こうとし、いわゆる積み上げ方式による外交関係の展開をはかっておるのであります。また、ソ連邦との外交におきましても、椎名外務大臣の訪ソに続き、グロムイコ外相の訪日予定があり、佐藤総理大臣言明のとおり、外相の相互訪問実現後には、両国首相の相互訪問も行なおうといたしておるのであります。(拍手)
 私は、この際特に社会党に反省を求めたいのは、外交政策をことさらに党略の具に供して、国論の分裂をはかるようなことは、天下の公党として避けられたいということであります。(拍手)お互いに国益を守る立場から、現実の上に立って外交問題に対処していきたいものであります。
 また、社会党の諸君は反動立法ということをあげておられるのでありまするが、これまたきわめて理由薄弱な議論であります。国民の祝日に建国記念の日を加えることを反動というならば、それは祖国の尊厳、ありがたさというものを忘れて、いたずらに祖国を卑下し、伝統を軽視するものであるといわなければなりません。(拍手)
 最後に、社会党の諸君は、佐藤内閣の政策は、日本国憲法が示す絶対平和と民主主義の徹底を期することに反していると申されるのでありまするが、これは詭弁もはなはだしいといわざるを得ません。社会党の諸君は、口を開けば憲法擁護を唱えられるのでありまするが、その党としての言動は、諸君こそ憲法をはなはだ粗末に扱っておられるのであります。たとえば、憲法擁護の運動は社会主義憲法制定への手段であると言い放ったり、そのことを忘れては護憲運動の意味がないときめつけた社会新報の論文は、まだ私たちの記憶にきわめて新たなところであります。(拍手)また、憲法九十八条は、最高法規であることを明示するとともに、日本国が締結した条約及び国際法規は、これを誠実に順守することを必要とすると規定いたしておるのであります。日米安全保障条約に基づき、成規の手続を経て貸与しておる基地に原潜が寄港するといえば、社会党の諸君は、実力でこれを阻止すると言います。そうして、実力阻止の先頭に立たれるなどは、憲法を守る熱意は残念ながら疑わしいといわざるを得ません。(拍手)まさに社会党の憲法擁護議論は、御都合主義の憲法擁護議論であると断じたいのであります。
 内外の情勢はきわめて重大であります。わが党及び内閣に寄せる国民の期待と信頼はいよいよ切実なものがあります。政府は、強い決意と勇気をもって政策を着実に実行し、経済の繁栄、民生の向上、アジアの安定と世界平和の確保に大いに邁進せられたいのであります。
 私は、何らの理由も何らの意義も見出し得ない社会党による内閣不信任決議案に断固として反対をし、討論を終わるものであります。(拍手)

発言情報

speech_id: 105105254X05119660514_008

発言者: 江崎真澄

speaker_id: 3035

日付: 1966-05-14

院: 衆議院

会議名: 本会議